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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

日本弁護士連合会が『「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」の保有に反対する意見書』を岸田政権に送付。『「戦力」の保持に該当することも明らかであって憲法9条に違反する。』

2023年01月03日 | 日本国憲法の先進性

岸田政権が殺傷能力を持つ武器も輸出解禁をもくろむ!戦車、ミサイル、次期戦闘機も輸出。安倍政権が武器輸出禁止3原則を放棄した結果が今ここに。憲法9条を持つ日本が死の商人になることは許されない!

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 人権派・平和派を自称する弁護士として大変恥ずかしいことですが、我が日弁連が2022年12月16日付けで

「「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」の保有に反対する意見書」

を取りまとめ、19日付けで内閣総理大臣岸田文雄氏及び防衛大臣浜田靖一宛てに提出、その旨、21日に記者会見していたことをすっかり見落としていました!

 うううう~~ん、一般紙も報道していないし、我が敬愛する澤藤統一郎先生もブログ記事にされていなくて、全く気づいていませんでした(言い訳)。

 弁護士の私が気づいていないんだから、これは一般市民の方に知ってくれという方が無理なので、ここでご紹介します!

【絶望禁止!】安保政策の大転換ストップは可能。反撃能力=敵基地攻撃能力=先制攻撃能力の具備や軍事費爆増は来年の通常国会で阻止できる。まともな野党を応援して、戦争を準備する予算案を否決しよう。

 

 

 この意見書は28ページもあるので、日弁連のHPに要約が載っています。

 まず、大事なことは、戦争放棄と武力不保持を定めた憲法9条からすると、個別的自衛権の行使や自衛隊の存在そのものが憲法違反であるという学説の方が憲法学界では多数説なのですが、個別的自衛権の行使を認める従来の政府見解を前提にしても、敵基地攻撃能力は憲法違反であると明確に述べていることです。

『政府は、2022年12月16日、新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画を閣議決定し、相手国の領域内にあるミサイル発射手段等を攻撃するためのいわゆる敵基地攻撃能力や、更には、攻撃対象を「敵基地」以外に拡大することになりかねない、いわゆる「反撃能力」の保有を進めようとしている。

 しかしこれは、憲法9条の下で個別的自衛権の行使を認める従来の政府の憲法解釈においても、自衛権の発動の要件、とりわけ実力の行使は日本に対する外国からの武力攻撃の排除のために必要な最小限度のものに限られ、他国の領域における武力の行使は基本的に許されないとする原則に反し、また、相手国の領域に直接的な脅威を与える攻撃的兵器の保有として「戦力」の保持に該当することも明らかであって、同条に違反するものである。』

自衛隊が他国をこんな風に攻撃するなんて、一般市民のほとんどがおよそ今まで想像もしなかったことのはず。

岸田政権が米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診。さらにトマホーク搭載の潜水艦保有のために実験艦新造を防衛大綱に盛り込む計画。憲法9条を持つ国のやっていいことじゃない!

 

 

 さらに、私も

『また書きますが、集団的自衛権行使容認(=アメリカが攻撃されたら日本が相手国を攻撃していい)の安保法制と、先制攻撃能力が合体すると、日本が攻撃されていないのにアメリカが攻撃されただけで、日本が相手国に先制攻撃しなくちゃいけなくなって、相手国が自衛権の行使で日本を攻撃してきて、開戦、となりかねないんです。』

書いたことを日弁連も指摘しています。

『さらに、当連合会が一貫してその違憲性を指摘してきているいわゆる安保法制が施行されている現状において、集団的自衛権の行使などを通じて日本が戦争当事国になる危険が拡大している。

 その安保法制の下で日本が「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」を保有した場合、それが他国のために用いられて戦争に突入することとなる危険性がより一層高くなる。

 そして、個別的自衛権の行使にせよ集団的自衛権の行使にせよ、相手国の領域を直接攻撃する「敵基地」等への攻撃は、当然に相手国の反撃を招いて武力の応酬に直結するものであり、その結果は多大な国民の犠牲と広範な国土の荒廃を伴って、再びこの国に戦争の惨禍をもたらすことになりかねない。』

 ま、わたくしの文章よりかなり格調高いですが(笑)。

本当に、#安倍晋三が諸悪の根源、と言いたくもなる。

アメリカからガラクタ兵器ばかり超高値で買わされる良いカモの日本。5月にバイデン大統領に軍事費倍増を約束し、来年1月の訪米で防衛費爆増を手土産にしようとしている岸田首相は最低の総理大臣だ。

 

 

 そして、日弁連の意見書はこう結んでいます。

『このような破局的結末を避け、この国の存立を維持するためには、国際社会の平和、とりわけ経済的、文化的に緊密な関係にある近隣諸国との武力紛争を防止して、平和的な外交関係を構築する以外に方法はない。

 政府は、武力に依拠するのではなく、日本国憲法が掲げる恒久平和主義、国際協調主義の原理に基づき、関係諸国との間で主体的な役割を果たし、国際平和の維持のために最大限の外交努力を尽くすべきものである。

 よって、当連合会は、国が「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」を保有すること及びそのための準備を進めることに反対する。』

 私のような一弁護士も、弁護士会全体も、今回の反撃能力=敵基地攻撃能力=先制攻撃能力を保有するという岸田政権の安保政策大転換については、同じような危機感を持っていることがわかりますよね。

 今年はこの安保政策の大転換とやらを全力で阻止するのが、当ブログの最高目標です。

四方を海に囲まれ、食料もエネルギーも輸入に頼り、日本海側に原発が立ち並ぶ日本が安全保障を考えるなら、その方法は戦争の準備ではなく平和外交しかないのは誰の目にも明らか。

平和構想提言会議が岸田政権の安保3文書を批判して「戦争ではなく平和の準備を―“抑止力”で戦争は防げない―」を発表!「軍拡のための『戦略』ではなく、平和のための『構想』こそが求められている」。

 

 

 
 

「核の時代」と憲法9条

大久保 賢一 | 2019/5/14
 
 
 

平和と命こそ―憲法九条は世界の宝だ

日野原 重明澤地 久枝 | 2014/7/30

 

 

日弁連がこんなに思い切って憲法違反だと言い切るのは珍しいし、会長声明ではなく28ページもの連合会全体としての意見書を出すことも稀です。

なのに、一般マスコミが完全に黙殺しているこの現状、相当アンテナを高く上げている弁護士の私も気づかなかった今の状況が危機的です。

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しんぶん赤旗しか紹介してくれていないのは、これは一般メディアがひどすぎる。

2022年12月22日(木)

「敵基地攻撃能力」持つな

日弁連「9条違反明らか」

首相と防衛相に意見書

 「当連合会は、国が『敵基地攻撃能力』ないし『反撃能力』を保有すること及びそのための準備を進めることに反対する」―。日本弁護士連合会(日弁連、小林元治会長)は21日、会見を開き、岸田文雄内閣が16日に閣議決定した「安保3文書」に盛り込まれた「敵基地攻撃能力」に反対する意見書を岸田首相と浜田靖一防衛相に送付したことを明らかにしました。


写真

(写真)会見する(右から)福田、吉田、山口の各氏=21日、東京都千代田区

 意見書は28ページにのぼります。

 今回の「敵基地攻撃能力」の保有が、「自衛権の発動の3要件、とりわけ実力の行使は必要最小限度のものに限る」という政府解釈にも反すると指摘。加えて「相手国の領域に直接的な脅威を与える攻撃的兵器の保有として『戦力』の保持に該当することは明らか」として憲法9条に違反するとしています。

 「『敵基地』等への攻撃は、当然に相手国の反撃を招いて武力の応酬に直結するものであり、(中略)再びこの国に戦争の惨禍をもたらすことになりかねない」としています。

 会見で吉田瑞彦副会長は「これまで日弁連は憲法9条の平和主義に関して、意見書を出してきた。こういう時だからこそ出すべきと考えた。ロシアのウクライナ侵略や『ミサイルが飛んできたらどうするか』という議論を積み重ねての意見書だ」とのべました。

 日弁連憲法問題対策本部の山口健一本部長代行は「議論の出発点は、こちらが敵基地攻撃能力の備えをしていくことで、本当に平和が守られるのかということ。北朝鮮などとの緊張関係を解くにはまずは外交問題をどうするかが優先されるべきだ」と強調しました。

 同本部の福田護副本部長は「憲法9条は第2次世界大戦をへて、戦争をしないためにどうしたらいいのかという歴史と英知の結晶だ。軍備や軍事が法律を無視してはいけない」とのべました。

 また福田氏は、「敵基地攻撃能力」を自民党などが「反撃能力」と言い換えて、それにマスコミ報道が追従している点にふれ「あたかも先制攻撃をしないかのような前提になっており、ミスリードになる」とのべました。

 

 

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1 コメント

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Unknown (ewkefc)
2023-01-03 06:44:05
『日本弁護士連合会が『「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」の保有に反対する意見書』を岸田政権に送付。『「戦力」の保持に該当することも明らかであって憲法9条に違反する。』』に対する意見
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/17c421404cd44387a24217ae1fba7419


>個別的自衛権の行使を認める従来の政府見解を前提にしても、敵基地攻撃能力は憲法違反であると明確に述べていることです。

_______________________________________________________________

第90回帝国議会 衆議院 本会議 第8号 昭和21年6月28日

○國務大臣(吉田茂君) ・・・ 又戰爭抛棄に關する憲法草案の條項に於きまして、國家正當防衞權に依る戰爭は正當なりとせらるるやうであるが、私は斯くの如きことを認むることが有害であると思ふのであります(拍手)近年の戰爭は多くは國家防衞權の名に於て行はれたることは顯著なる事實であります、故に正當防衞權を認むることが偶偶戰爭を誘發する所以であると思ふのであります、又交戰權抛棄に關する草案の條項の期する所は、國際平和團體の樹立にあるのであります、國際平和團體の樹立に依つて、凡ゆる侵略を目的とする戰爭を防止しようとするのであります、併しながら正當防衞に依る戰爭が若しありとするならば、其の前提に於て侵略を目的とする戰爭を目的とした國があることを前提としなければならぬのであります、故に正當防衞、國家の防衞權に依る戰爭を認むると云ふことは、偶々戰爭を誘發する有害な考へであるのみならず、若し平和團體が、國際團體が樹立された場合に於きましては、正當防衞權を認むると云ふことそれ自身が有害であると思ふのであります、御意見の如きは有害無益の議論と私は考へます(拍手)
_______________________________________________________________


これが憲法第9条の理念です。
法案審議で示された条文解釈は法的根拠を持ち、もし条文の理念や目的を変更する場合は法的手続きを踏んで現行の『章』と『条』を破棄した上で、新たな『章』と『条』を制定しなければならないのです。
例えば、自衛権の行使を目的とした自衛隊の存在を憲法に明記する場合は、現行の第2章と第9条を破棄する必要があります。
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