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築110年を超え、現役の学生寮として国内最古とされる京都大学「吉田寮」(京都市左京区)の現棟(旧棟)に住む学生ら40人に対し、京都大学が寮の明け渡しを求めた訴訟が起きていました。
その判決が2024年2月16日に京都地裁であり、松山昇平裁判長が現在も在寮している14人について、大学側の訴えを退ける判断をしたという、実質的に学生側が勝訴する判決がありました。
判決はすでに退寮した25人については大学側の請求を認めましたが、これは当たり前。
また3人についてはそもそも寮を使う契約が成立していないと判断したので、これも退寮はいたしかたありません。
しかし、京都地裁の判決は14人の在寮学生については寮を借りる契約(使用貸借契約)が大学側とあると認め、大学が明け渡し請求をすることはできないと判断したので、これは寮生側の主張が実質的には全面的に認められた完全勝訴なんです。
ことの経緯を振り返ると、京都大学は2017年12月、現棟は地震などで倒壊する恐れがあるとして、寮生の安全確保が目的として、寮生全員に2018年9月末までに退去するよう通告しました。
しかし、そこで生活して勉強しているのに立ち退き請求があまりにも唐突すぎますよね。
そもそも吉田寮では長年寮生の作る自治会が入寮の募集や手続きや選考などを行なってきていて、これについて大学側は訴状で自治会にこんな
「法的権限を授与したことはない」
と主張し、寮を所有しているのは大学だから
「(退去しない寮生は)不法占有者だ」
と主張したんですね。
また、吉田寮の寄宿料は月400円で安すぎるので賃料だとは考えられず、寮生と大学の間に賃貸借契約があるとは言えないとして、学生には寮を占有する権原はなく、他方大学には寮の建物の利用について広範な裁量権があるとも主張しました。
これに対して寮生側は、自治会と大学の間で入寮の選考手続きや退寮の決定を自治会が行う旨の合意があったと主張し、さらに寮生は規程に定められた寄宿料を支払っており、これは賃貸借契約にあたるとして、寮生には寮の占有権原があるのだと反論していました。
そして現棟の老朽化については、寮生らは建て替えが必要なほどかどうかが問題だと指摘しました。
具体的には、耐震診断の報告書には適切な補修で継続的に使用可能と書かれているとして、占有権原のある寮生たちに大学が退去を求められるほど朽ちているわけではないと主張したのです。
さらに、寮についての問題の解決方法として、自治会と大学間で確約書を交わすなどしており
「合意を形成する努力を行う」
「話し合うことなく、一方的な決定を行わない」
といった合意があると主張していました。
原告・被告双方の主張について、京都地裁は
「寮は、寮自治会が自治、自主により運営することが大学側と寮自治会との間で確認されている。
また、14人の寮生には大学との間で在寮契約が存在すると認められる」
と指摘して、寮生側の言い分を認めました。
また、倒壊の危険性があることや代替宿舎の提供を理由に在寮契約は解除できるという大学側の主張については
「寮生は自治運営されていることに意味を見いだして入寮しており、代替宿舎の提供をもって契約は終了できない。
また、大学の規程には老朽化を理由に退去を求めることができるという定めが存在しない」
などと指摘しました。
権力にとって邪魔な「学問の自由」は常に狙われている。
「処理水」=汚染水問題で日本学術会議を責めるのは学術会議の変質を狙っての策動。汚染水の危険性を指摘されるリスクを恐れて学術会議に「処理水」の安全性に対する諮問もできない岸田政権こそが責められるべきだ
そもそも京都大学が日本最古でもっとも有名な大学寮である吉田寮を壊そうとしたのは、そこに大学生の自治があるからこそなんです。
また寮生の安全を考えたなどと言っていますが、本音では吉田寮が学生運動の象徴になってきたのも気に食わないわけです。
これに対して寮生たちが大事に考えたのは、1世紀以上の長い自治の歴史の中で吉田寮で育まれてきたさまざまな「文化」でした。
それを下支えしているのは、誰もがいつでも使用できる食堂などの共有空間の存在です。
どれだけの哲学者、文学者、歴史学者、科学者などなどがそこから生まれてきたことか。
それこそが東大よりも多くのノーベル賞受賞者を産んできた所以なのです。
ところが、新たに寮を設置する場合の文部科学省の方針ではそういった学生たちが自由に議論できるスペースは少なく、また大学側が提案した代替宿舎では人間関係が育みづらいというのが、大学生たちの主張でした。
被告寮生側の代理人を務めた森田基彦 弁護士は
「判決は寮の自治会の法的な地位を認定し、大学と対等に契約をする団体だと認めるなど、自治会側の主張をおよそ8割認めてくれたと思っています」
と判決後に語ったそうですが、本当に心地よい、実によい判決でした。
日本学術会議の新会員候補105人に菅前首相に任命拒否された6人は含まれず。学問の自由と思想良心の自由に反する学術会議の人事権への介入は許されない。岸田首相は速やかに6人を別途会員に認めるべきだ。
実は、大学が文化を培う「広場」=コミュニティなんだということを理解しない策動が最近とみに多く、これが日本の大学の衰退の最大の原因の一つになっています。
例えば、維新の会が二重行政の無駄を省く象徴だとして無理やり大阪府立大と大阪市立大という、それこそ文化の違う大学を統合してしまった大阪公立大学では、吉村洋文大阪府知事が、公用語を英語にするとか、秋入学にするとか、しょうもない「改革」を声高に主張しています。
そもそも、行政が大学の自治に土足で踏み込み、教育内容や運営の根本に口を出してはならない、そんなことをするのは学問の自由を侵害する憲法違反の行為だということが、維新の吉村氏にはわかっていないのです。
大阪「都」構想のデメリット 橋下市長の教育破壊 教育予算・現役世代予算5倍増の嘘
橋下市長「反維新が大阪府市3港の統合に反対するのはやる気がないからだ!」←実は港の性格が全然違うw
また、大学の自治の破壊ということでは、岸田政権が2023年の臨時国会で成立させてしまった国立大学法人法改悪案があります。
この改悪では大規模な国立大学法人を「特定国立大学法人」に指定し、学長と3人以上の委員でつくる「運営方針会議」の設置を義務づけ、中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることになりました。
つまり大学の自治の中核の一つである教授会で選んだ学長の上に運営方針会議ができてしまって、学長の頭越しに大学の財産を切り売りしたり、それに反対する学長の首を切ることさえできるようになってしまったのです。
国立大学の学長の上に政府が運営方針会議を設置!政財界が大学の財産を売り飛ばし「#学問の自由」と「#大学の自治」を破壊する国立大学法人法「改正」案が衆院文科委で可決。#国立大学法人法改悪に反対します
【#国立大学法人法改悪に反対します】大学の自治と学問の自由を破壊する国立大学法人法改悪を阻止するためにも、泉健太立民代表は今日朝一番で内閣不信任決議案を提出すべきだ【#国立大学法人法改正案を廃案に】
大学の自治は憲法学上「制度的保障」と呼ばれ、学問の自由という基本的人権を守るため、国家権力の干渉からの壁になるべきもので、これはルネッサンス時代から育まれてきた制度です。
たとえば吉田寮を自治する大学生の存在は一見大学にとって厄介に見えるかもしれませんが、実は自らの頭で考え、自らを律して自分たちの寮生活についてルールを作って運営していける力は、大学で身に着けられる最高の収穫であり生きる力です。
そんな機会と場所を守り切った吉田寮生たちの戦いのほぼ実質完全勝訴という今回の結果は、京都大学という一大学だけの話ではなく、この社会全体にとって非常に大きな、歴史的な勝利だったのです。
我々、大学の外の市民も人ごとと考えず、彼らを応援していく姿勢が大切です。
安倍政権の「反知性主義」。国立大学から政権に都合の悪い?歴史、法学など人文系学部を廃止・縮小へ。
大学の危機と学問の自由
実は京都大学はうちの亡父の母校でして、兵庫の田舎から出てきたうちの父も卒業まで吉田寮で生活していました。
もっとも麻雀に明け暮れる日々だったようですが(笑)、それもまたよし。
天国で親父も喜んでいることでしょう。
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京都大学の学生寮「吉田寮」について、大学が老朽化した古い建物に住み続けている寮生に明け渡しを求めた裁判で、京都地方裁判所は、寮に住む17人のうち、14人に対する訴えを退けました。
一方、そのほかの20人余りに対しては明け渡すよう命じました。
京都大学の学生寮「吉田寮」をめぐっては、老朽化した古い建物が地震で倒壊する危険性があるとして、5年前の令和元年(2019年)以降、大学が寮生40人に対し、明け渡しを求める訴えを起こしていました。
16日の判決で、京都地方裁判所の松山昇平 裁判長は、「寮は、寮自治会が自治、自主により運営することが大学側と寮自治会との間で確認されている。また、14人の寮生には大学との間で在寮契約が存在すると認められる」と指摘しました。
また、倒壊の危険性があることや代替宿舎の提供を理由に在寮契約は解除できるという大学側の主張については、「寮生は自治運営されていることに意味を見いだして入寮しており、代替宿舎の提供をもって契約は終了できない。また、大学の規程には老朽化を理由に退去を求めることができるという定めが存在しない」などと指摘しました。
そのうえで、現在も寮に住んでいる17人のうち、14人については大学側の訴えを退け、明け渡す必要がないとする判決を言い渡しました。
一方、大学側が新規入寮停止などを求めた平成29年12月以降に入寮し、在寮契約が存在しない3人の学生や、現在は学生ではないものの退寮を確認できていない23人については、建物を明け渡すよう命じました。
【在寮生 “うれしい判決”】
判決を受けて、被告側の学生や代理人は京都市内で会見を開きました。
このなかで、被告の1人で、現在も寮に住んでいる松村主承さんは、「思いもよらないうれしい判決に驚いています。寮の自治会と大学との間で交わされた約束がほごにしてはならないと認められたことは非常に大きいと思います」と話しました。
また、被告の1人で、現在も寮に住んでいる高橋歩唯さんは、「裁判を5年間も続けることは学生である私たちにとってはきつかったです。今後は自治会と大学が話し合って、寮のあり方などについて決めていくかたちを望んでいます」と話しています。
被告側の代理人を務めた森田基彦 弁護士は、「判決は寮の自治会の法的な地位を認定し、大学と対等に契約をする団体だと認めるなど、自治会側の主張をおよそ8割認めてくれたと思っています」と話しました。
また、明け渡しを命じられた3人については控訴を検討するとしています。
【京都大学 “判決内容を確認中”】
京都大学は、判決について、「現在、判決内容の詳細を確認中であり、コメントは差し控える」としています。
老朽化を理由に京都大が学生寮「吉田寮」の旧棟(京都市左京区)の明け渡しを寮生に求めている訴訟で、京都地裁(松山昇平裁判長)は16日、現在入居中の寮生の一部に居住の継続を認める判決を出した。
吉田寮の旧棟は、1913(大正2)年に建築された木造2階建て。現役の学生寮としては国内で最も古いとされる。
訴状によると、京大側は震度6強の地震で倒壊する危険性があるとして、代替宿舎へ転居を求めるなどして2018年9月末までの退寮を通告。しかし、一部寮生が居住し続けていることから寮を不法占有しているとみなし、寮を明け渡すよう主張していた。
京大は19年4月に提訴。追加提訴も含めて、現在被告となっている学生らは約40人に上る。寮生側は請求棄却を求め、「対話」による解決を呼びかけていた。
「大半の寮生、明け渡す必要なし」 京大吉田寮訴訟 地裁判決
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大正初期に建築された京都大の学生寮「吉田寮」(京都市左京区)に住み続ける寮生ら約40人に対し、倒壊の危険があるとして大学側が明け渡しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は16日、退去要請に応じなかった大半の寮生については明け渡す必要がないとの判断を示した。
対象になったのは、1913年に建築された木造2階建ての「現棟」と呼ばれる建物。現存する国内最古の学生寮とされる。
大学側は「老朽化して耐震性が不足し、震度6強で倒壊の危険がある」などとして2018年9月末までの退寮を求めていたが、反発する寮自治会との協議が決裂。翌19年4月以降、退去しなかった寮生らを相手に提訴した。
寮生側は「適切に補強すれば使用を続けられる」などとして争っていた。【久保聡】
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2月9日に行われた大阪府と市による「副首都推進本部会議」では、大阪公立大学において、国際化を進め、国内外で活躍できるグローバルな人材を育成することを目標に掲げ、「秋入学」を導入する方針が示された。
秋入学の対象者は、留学生だけではなく、全ての入学者だ。2027年度から大学院と工学部など一部の学部で導入し、将来的に春入学を廃止し、すべての学部の入学者を秋入学にするということだ。
■「公用語を英語にするべき」と吉村知事
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吉村洋文知事は秋入学を導入する背景について「国立大学でやろうと考えているところはあると思うが、国の縛りであったり、国一律でやるとなかなか難しい。私学もそこまで踏み込むのは難しいということを考えた時に、大阪公立大学は大阪府市が設置している大学ですから、大阪の知の拠点であってほしい。 大阪がこれから国際化、もっと言えば日本全体が国際化目指していかなきゃ、もう、どんどん衰退していくと僕は思っています。実際衰退しています。世界は成長していますから」と語った上で、世界的な競争力のある人材を育成するため「将来的に大学の公用語は英語にするべき」と発言しました。
■課題は入試と就職
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現状、日本の入試や就職の制度が基本的に一律「春」を想定し、社会の仕組みが成り立っていることから、秋入学に合わせて独自の入試制度を構築するのか、現状の春入学に合わせた共通テスト等を活用した入試制度を設計するのかなどについて、大阪府市は、今後検討チームを設置し、議論する方針だ。
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しかしこの吉田寮、見た感じはほぼ「悪魔の手毬唄」の世界です
フランク・ザッパが有名にした「西部講堂」と並んで京大吉田キャンパスの名物なんですが、正直「住んでる人の気が知れない」とは思います(笑)
しかし2015年には「新棟」もできたそうで、そこでは「ジェンダーレス・トイレ」「ジェンダーレス・シャワールーム」という時事性のある設定も取り入れてるようです
「残りものには福がある」とも言いますし、どうにかして守り継いでいってもらいたいですね