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2023年9月27日、また大阪地裁で画期的な判決が出ました!
水俣病被害者救済法(特措法)で救済を受けられなかったのは違法だとして、大阪府などに住む50~80代の128人が原告となり国や熊本県、原因企業チッソに1人あたり450万円の損害賠償を求めた「ノーモア・ミナマタ近畿訴訟」の判決
達野ゆき裁判長はなんと
「原告をいずれも水俣病と認定した」
と述べ、被告らの連帯などで支払うよう命じたのです。
特措法の線引きで救済されなかった方々が全員水俣病だと司法が断じたのですから、これはもうこの法律がが全く不合理であることは明らかです。
2009年に成立した特措法でも救済から漏れた人たちの集団訴訟は熊本、新潟、東京でも起こされ、大阪が初の地裁判決として注目されていました。
そしてこの裁判では、原告らが被告企業チッソが海に垂れ流したメチル水銀に汚染された魚介類を食べ、水俣病を発症したといえるかが主な争点で、特措法の救済基準の妥当性を司法がどう判断するかが論点でした。
そもそもこの特措法は、国の基準で患者と認定されていない人にも、
1 熊本、鹿児島両県の6市3町の一部に
2 チッソが排水を止めた1968年までに1年以上住んでいたこと
など一定の要件を満たせば一時金210万円や療養費を支給するとしていました。
この特措法により2012年7月の期限までに約4万8千人が申請し、約3万8千人が救済の対象となりましたが、1万人近くの住民が救済の対象から漏れました。
このうち、近畿訴訟の原告はかつて熊本、鹿児島両県にまたがる不知火海沿岸で暮らし、集団就職や結婚などで大阪などに移り住んだ人たちです。
この128人にはそれぞれ
① 特措法の対象地域外の出身である
② 1969年以降に生まれた
③ 症状はあったが病院などで診断されず、水俣病と認識できずに申請できなかった
などの事情がありました。
しかし、原告らは自分たちが特措法対象者と
「同じ地域に住み、同じ海の魚介類を食べていたのに、救済対象外となるのは不合理だ」
と訴えていました。
一方、国や県は
「原告らに水俣病を発症するほどのメチル水銀の曝露(有害物質にさらされること)はない。」
「したがって原告が訴える症状は、水俣病によるものではない」
「仮に暴露が認められたとしても、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するという『除斥期間』が適用される」
などとして請求の棄却を求めていました。
チッソの工場から出されていた水銀汚染水。
この日の大阪判決は
(1)低濃度の水銀であっても、長期にわたり曝露することによって水俣病を発症する可能性がある
(2)曝露終了から長期間経過後に発症する遅発性水俣病の存在が認められる
(3)特定の年数をもって、その発症時期を限定することはできない
(4)特措法の地域対象外であっても、不知火海でとれた魚介類を断続的に多食したと認められる場合には、曝露が認められる
として、原告全員を水俣病の患者と認定し
(5)除斥期間の起算点は、共通診断書検診に基づいて水俣病と診断された時である。本件患者らについて除斥期間は経過していない
として、国の除斥期間の主張も退けました。
この判決は、今現在、福島第一原発から太平洋に放出されている放射能汚染水の問題を考えるうえでも非常に意味のある判決です。
そもそも、水俣病の歴史はチッソと国による被害実態の隠ぺいの歴史でした。
水俣病の原因は、今でははっきりとチッソ水俣工場(熊本県水俣市)が不知火海に流した排水に含まれたメチル水銀だとわかっています。
しかし、チッソの工場周辺で取れた魚介類を食べた人やその胎児に症状が現れたにもかかわらず、地元を支配する大企業だったチッソは当初、
「原因は特定されていない」
として住民への補償を拒み、1959年に低額な見舞金契約で手を打って幕引きを図りました。
その後1965年に新たに同じ水銀が原因の新潟水俣病が確認されるなど、公害への批判が高まったこともあり、政府は1968年にようやく水俣病を公害認定しました。
まずこれでわかることは、今後放射能汚染水による健康被害が起きても、加害企業である東京電力と国はなかなか汚染水の放射性物質による被害だとは認めようとしないだろうことです。
1960年当時の新日本窒素の水俣工場。
そして、謝罪と補償を求めた患者がチッソを訴えた裁判(1次訴訟)で1973年、熊本地裁がチッソの加害責任を断罪し、補償協定が結ばれ、国が定めた基準をもとに自治体が患者を認定し、1600万~1800万円の慰謝料のほかに年金や医療費を支払う現在の補償制度が整いました。
これにより旧昭和電工が原因企業の新潟を含め3千人が対象になっています。
しかし、患者認定の申請が急増したことから、国は基準の運用のハードルを高め、申請棄却が相次ぎました。
その国の責任を問う裁判が各地で続いたことから、1995年、患者とは認定しないが被害者として1人あたり260万円の一時金を支払うといった内容で「政治決着」を図り、約1万1千人が対象となったのです。
一方、政治決着に応じず、司法の場で行政の責任を問い続けた水俣病関西訴訟で2004年、最高裁が国などの責任を認め賠償を命じ、認定基準を緩やかに解釈する判断も示されました。
これによりふたたび患者認定の申請が急増し、対応を迫られた政治が「第2の政治決着」を探って与野党で協議した結果、民主党への政権交代の直前の2009年7月、今回問題になった水俣病被害者救済法(特措法)が成立したのです。
この特措法は「最終解決」をうたい、210万円の一時金や療養費の支払いの対象者をこれまでより広げて、前述のように約3万8千人が新たに救済措置を受けたわけですが、生まれた年やどこで暮らしていたかが判断基準となった「線引き」で、救済の網から漏れる被害者が多数発生して1万人がはじかれることになりました。
そこで東京、大阪、熊本、新潟の4地裁で係争中の今回の「ノーモア・ミナマタ2次訴訟」につながったわけですが、ここでわかることは政府による政治決着は必ず「ケチって」、被害者を全員救済しようとしないこと。
そして、1950年代には被害者が出ていた水俣病の解決が70年後の2023年になってもまだ裁判をせざるを得ないように、被害者の救済は被害者側の気の遠くなるような年月をかけた努力が必要になるということなのです。
こんなことにならないようにする方法が1つだけあるのですが、もうおわかりですよね?
それは海に有害物質を垂れ流さなければいいんです。
福島第一原発の敷地のタンクに貯められている130万トンの「処理水」は何も海に放出しなくても、ほかにいくらでも処理の方法はあるわけです。
それを福島原発の「廃炉計画」に間に合うようの放出しようとするから、日本と近隣諸国の市民、いや人類全体を危険にさらすことになるんです。
被害が出てからでは遅いし、被害者が自分の健康被害を東電から出た放射性物質による被害だと立証するのは非常に困難です。
そんなことにならないように、ただ、汚染水の海洋放出を止めればいいのです。
またこんなことを繰り返したいのか。
毎日新聞の【処理水放出、農相の「認識の甘さ」露呈 支援策の実効性問う声次々】に足らない視点。日本の水産物を中国が全面禁輸したことで失った貿易額は1600億円。汚染水の海洋放出は一番コスパが悪い下策。
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『MINAMATAは必見の名作』1 因果は巡る。安倍晋三元首相の原罪。
『MINAMATAは必見の名作』2 人類はいつまでこんな暴挙を繰り返すのだろう。水俣、福島、そしてコロナ。
財政に限りがあることを理由に認定制度になっている原爆症、審査がある水俣病、窓口で切られる生活保護申請。輪転機を回して紙幣を刷れば軍事費を倍増できるなら、苦しんでいる人をみんな救えたではないか。
石原慎太郎氏の差別発言と暴言を「石原節」とごまかすマスコミはジャーナリズムの放棄だ。悪い政治家が亡くなったら即座に批判することがこれからの世の中を良くするのだから。
原爆症認定訴訟でもそうなのですが、被爆者が放射線で起きうる病気にかかったら原爆症と認定するのを原則にして、その病気は原爆症でないと主張・立証する責任は国に負わす制度なら、まだまともな「認定」制度と言えます。
それを病気の被害者にやらせるさまざまな認定制度がおかしいのであって、「ノーモア・ミナマタ訴訟」と同じように、もう平均年齢が80歳以上の被爆者の方々が「ノーモアヒバクシャ訴訟」をやらざるを得なくなっています。
それなのに、また同じ過ちを繰り返して、今から半世紀も後に「ノーモアフクシマ訴訟」をやるんですか?
馬鹿げているとは思いませんか。
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判決骨子
【水俣病の性質について】
▽(原因物質の)メチル水銀への曝露(ばくろ)と四肢末梢(まっしょう)優位の感覚障害・全身性感覚障害との間に、疫学的な因果関係が認められる。このことは法的因果関係を判断するうえで重要な基礎資料となる。
▽WHO(世界保健機関)が1990年に発症の閾値(いきち)として示した毛髪の水銀値50ppmを下回る低濃度のメチル水銀でも、長く曝露することで水俣病を発症する可能性がある。
▽曝露終了から長期間が経った後に発症する遅発性水俣病の存在が認められる。特定の年数をもってその発症時期を限定することはできない。
【曝露の考え方】
▽特措法の対象地域外であっても、不知火海でとれた魚介類を断続的に多食したと認められる場合には、水俣病の曝露が認められる。
▽被告チッソ水俣工場におけるアセトアルデヒド製造の停止(68年)後も、少なくとも水俣湾の仕切り網が設けられた74年1月までの時期に、水俣湾またはその近くでとられた魚介類を多食した者については、曝露が認められる。
【損害賠償請求権が消える除斥期間(20年)について】
▽除斥期間の起算点は、共通診断書検診にもとづいて水俣病と診断された時だ。本件患者らについて、除斥期間は経過していない。
【結論】
▽本件患者ら128人の全員について、水俣病にかかっていると認定し、1人につき損害賠償金275万円の支払い請求を認める。
▽ただし被告の国と熊本県が国家賠償法上の責任を負うのは60年1月以降の規制権限の不行使に限られるところ、患者らのうち6人についてはメチル水銀への曝露時期がそれより前に終わっていることから、被告チッソのみ支払い義務を認めた。6人以外は、被告らの連帯支払い義務を認める。
★ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟全面勝訴判決を受けて
2023年9月27日
ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟原告団・弁護団
ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議 本日、大阪地方裁判所第9民事部は、ノーモア・ミナマタ第2次 近畿国賠訴訟について、
救済された原告には、特措法の対象地域外の原告、年代外の原告、
この判決は、被告らの患者切り捨てを厳しく断罪したものであり、
原告らはいずれも、熊本・
原告らは、出身地を離れていることから、
これらの原告を水俣病と認めた本判決は、
また、本判決が、
以上のとおり、本判決は、原告らはもちろん、
我々、ノーモア・ミナマタ第2次近畿訴訟の原告団、弁護団は、
以上、声明する。
全面勝訴】「患者切り捨てを厳しく断罪したもので、全ての水俣病被害者救済へ大きな一歩」救済漏れの原告128人の訴え認められる 大阪地裁が初の司法判断 全員を水俣病と認定し国などに計3.5億円賠償命令
23/09/27 17:42 MBS毎日放送
水俣病の患者が初めて公式に確認された1956年(昭和31年)から67年が経過したきょう、大阪地裁で判決が言い渡された。国の認定や救済を受けられず苦しんでいる人たちが「水俣病は終わっていない…」と望みを託した司法。大阪地裁の判断は、原告128人全員を「水俣病」と認め、国などに計3.5億円の支払いを命じるものだった。
2009年に特措法成立も…救済から“漏れる”人々が生まれた
水俣病は、工場廃水に含まれるメチル水銀化合物に汚染された魚介類を、日常的に食べた人々が罹患した神経系疾患で、4大公害病のひとつ。熊本県水俣市の「チッソ」(旧:新日本窒素肥料)水俣工場からの廃水が八代海に流出したことで、沿岸住民など多くの人が罹患した。
2009年に「水俣病被害者救済特別措置法」(特措法)が成立して未救済の被害者に、一時金や療養費を給付するという救済措置がとられ、熊本県では約2万3千人が給付対象になった。しかし申請が2012年7月末で締め切られたため、制度を知らず申請できなかった人が生じた。申請はしたが、症状の基準や居住地が対象外との理由で認められなかった人もいる。
《手足のしびれや感覚障害、耳鳴りなどに苦しむ原告ら 文字を書けず“指をケガしている”と嘘…》
裁判の原告は、1940~60年代に熊本県と鹿児島県の八代海一円に住み、その後、集団就職などで近畿圏等に移住した男女128人。その約3割は、特措法の救済措置を申請したが対象と認められなかった人。約7割は情報不足などで期限までに申請を行えなかった人たちだ。
原告は、激しいけいれんといった“劇症型”症状ではなく、手足のしびれや感覚障害といった“慢性的”な症状に苦しめられている。大阪府内に住む前田芳枝さん(74)は、手のふるえや感覚障害などに長年苦しんできた。
「『指をケガしているからペンが持てないんよ、だから悪いけど書いて』と、嘘を言って人に書いてもらう。つらかったですよ、嘘までついて。そう言わざるを得ない人生で今まで来たわけなんです」
県外在住ゆえに・・・同窓会で水俣病の症状と知ったケースも
熊本・鹿児島の県外に居住していたことなどから、症状は自覚していても、水俣病だと知るまでに時間を要したケース、同窓会で初めて水俣病の可能性を認識したケース、家族内で水俣病の話題が“タブー”とされ、救済措置について教えてもらえなかったケースなどがあるという。
原告らは、「八代海一円での居住歴や魚介類の摂取歴、症状などから、水俣病に罹患しているのは明らか」とした上で、「原因企業のチッソに損賠責任があるのは当然の上、被害を防ぐために規制権限を行使しなかった国や熊本県も責任を負う」「特措法は対象地域などの不当な線引きにより被害者を切り捨てている」と主張して、慰謝料など1人あたり450万円の賠償を求めていた。
国や熊本県「除斥期間の適用を」など主張
一方、国や熊本県は「原告らが依拠する『慢性水俣病』という概念は、医学的な知見としてコンセンサスが得られていないので、水俣病の認定判断に用いられるべきではない」「そもそも原告らの主張や立証では、水俣病発症に至るメチル水銀曝露があったとも認められない(居住歴だけでは不十分である)」として、「いずれの原告も水俣病に罹患しているとは言えない」と主張。
また、仮に罹患しているとしても、不法行為から20年が経てば賠償請求権が消滅する法規定(いわゆる除斥期間)が適用されるべきと訴えた。
裁判は、提訴から約8年を経て去年12月に結審。原告側が提出した最終準備書面は、全部で2000ページを超えた。結審前には裁判官らが貸切の船で八代海を視察する異例の「現地進行協議」が行われた。
大阪地裁「128人全員を水俣病と認める」
9月27日の判決で、大阪地裁はまず、「特措法の対象地域に含まれていないエリアでも、八代海で摂れた魚介類を継続的に多食したと認められる場合には、水俣病を発症し得る程度にメチル水銀を摂取したと推認したのが合理的」などとし、特措法の線引きの不当性を認めた。
そして「慢性水俣病」という概念を認めた上で、原告らの症状の原因はメチル水銀摂取以外では説明できないため、「原告全員が水俣病に罹患している」と認定した。また、国や熊本県が一部の規制権限を行使せず、賠償責任があることも指摘。
その上で、国側が除斥期間の適用を求めていた点については、メチル水銀曝露から長期間が経過してから、典型的な症状が現れるケースも少なくない点などを踏まえれば、「除斥期間の起算点は、原告らが神経学的検査で水俣病と診断された時点」であり、「原告らに除斥期間が経過した人=賠償請求権が消滅した人はいない」と判断した。
そして大阪地裁は、原告128人全員に慰謝料など275万円を支払うよう命じた(※122人は国・熊本県・チッソが賠償責任/6人はチッソのみが賠償責任を負う)
判決を受け、言い渡し後には傍聴席からは拍手が起きた。そして大阪地裁の外で待つ原告らのもとに「勝訴」の旗が掲げられた。同様の訴訟は、熊本地裁と東京地裁、新潟地裁でも起こされている。初の司法判断が全国的に注目される中で、大阪地裁は原告全員の訴えを認める判決を言い渡した。
弁護団「判決は、患者切り捨てを厳しく断罪したもの」
判決を受けて弁護団らは会見を開いて、「正直かなり厳しい訴訟で、これほど認められるのは初めて、非常に画期的な判決だと思っている」と話した。同時に声明を発表し、「患者切り捨てを厳しく断罪したものであり、全国で闘われているノーモア・ミナマタ第2次訴訟の先陣をきる判決として、未救済原告を励まし、全ての被害者の救済に向けて大きな一歩を踏み出すもの」と評価した。
原告の一人、前田芳枝さん(74)は、「9年余りできる限りのことをしてきた。本当に嬉しくて嬉しくて…」と涙ぐみ、現地を訪れた裁判所関係者にも感謝の言葉を述べた。
一方の被告側。環境省は「判決の詳細は把握していませんが、国の主張が認められなかったものと承知しております。今後判決の内容について精査し、関係者と協議しつつ対応を検討してまいります。」
熊本県は「判決の詳細は把握していませんが、これまでの国、県の主張 が認められなかったものと承知しています。判決内容を精査した上で、対応について検討して参ります。」
『チッソ』は、「判決内容を精査して いるところなので、現時点でコメントはできない」とそれぞれコメントしている。
ノーモア・ミナマタ2次訴訟、国に初めての賠償命令 大阪地裁判決
水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済を受けられなかった近畿地方の住民ら128人が、国と熊本県、原因企業のチッソ(東京都)を相手取り1人当たり450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は、原告全員に各275万円を支払うよう国などに命じた。
特措法の対象外の人たちが国や原因企業などに直接賠償を求めた「ノーモア・ミナマタ」2次訴訟で初めての判決。同様の訴訟は東京・新潟・熊本の3地裁でも係争中で、最初の司法判断が注目されていた。
水俣病患者は公害健康被害補償法に基づく認定を受ければ、一定の補償が受けられる。だが国の認定基準は原則、複数の症状の組み合わせを求めるなど厳格で、未認定患者が多い。最高裁が2004年、認定基準を事実上緩和する判決を出したことをきっかけに、国は09年に特措法を施行。未認定患者向けの救済策として、感覚障害があれば一時金210万円を支給することにした。
一方、対象は①チッソ水俣工場がメチル水銀を含む排水をした水俣湾周辺に1年以上居住②排水が止まった翌年の1969年11月末までの生まれ――とし、「居住歴」と「出生時期」を限定した。一時金の申請時期も施行から3年以内に区切った。一時金などを4万8012人が申請して3万8320人に支給されたが、9692人は認められなかった。
大阪訴訟の原告は熊本、鹿児島両県出身で50~80代の男女とその遺族。水俣湾が面する不知火(しらぬい)海の沿岸や山間部に住んでいた。128人のうち71人は対象地域外で、4人は出生時期の要件を満たさなかった。救済策を知らずに期限までに申請できなかった人もいる。いずれも幼少期、メチル水銀を蓄積した魚介類を食べて手足のしびれなどを発症したとして提訴した。
原告側は、チッソの排水で汚染された魚は水俣湾やその周辺だけでなく、不知火海全体にも広がっていたと主張。日常的に食べていれば水俣病を発症する可能性が高いと訴えていた。一方、国側は「水銀の汚染濃度は距離とともに減退する」と反論。水俣湾周辺以外の魚は水俣病を発症するほど汚染されておらず、原告らの症状は水俣病とは認められないとしていた。水俣病の公式確認(56年)から半世紀以上が経過し、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用も争点になった。【鈴木拓也】
有機水銀中毒による神経疾患。手足のしびれや言語障害、視覚障害といった症状を起こす。チッソ水俣工場(熊本県水俣市)の排水に含まれたメチル水銀が魚介類に蓄積し、それを人が食べたことが原因で集団発生した。1956年に公式確認され、65年に新潟県でも確認された。国は68年に公害病と認定し、認定患者は全国で3000人(2022年11月末時点、うち生存者357人)。
水俣病と認定されておらず、救済策の対象にもならなかった関西などに住む熊本と鹿児島出身の120人余りが、国と熊本県、それに原因企業に賠償を求めた裁判の判決で、大阪地方裁判所は、国などに賠償を命じました。裁判では、住んでいた「地域」や「年代」で救済対象を区切った特別措置法の基準の妥当性などが争われ、全国4か所で起こされている集団訴訟で判決が言い渡されたのは初めてです。
特措法対象外の人の集団訴訟で賠償命令
訴えを起こしていたのは、昭和30年代から40年代にかけて水俣病が発生した熊本県や鹿児島県に住み、その後、大阪や兵庫などに移り住んだ50代から80代の128人です。
水俣病特有の手足のしびれなどの症状があるにもかかわらず、平成21年(2009年)に施行された水俣病に認定されていない人を救済する特別措置法で、住んでいた「地域」や、「年代」によって救済の対象外とされたため、不当だとして、国と熊本県、それに原因企業のチッソに1人あたり450万円の賠償を求めていました。
27日の判決で、大阪地方裁判所の達野ゆき裁判長は、国などに賠償を命じました。
国の救済策の基準の妥当性などが争われた集団訴訟は、熊本と新潟、それに東京でも起こされていて、判決が言い渡されたのは初めてです。
原告・支援者たちは
判決が言い渡されると、大阪地方裁判所の前では、弁護士2人が「勝訴」、「国・熊本県の患者切り捨てを断罪」と書かれた紙を掲げました。
裁判所の前に集まった原告や支援者などからは、「すごい」とか「やっとだ」といった喜びの声とともに拍手が起こりました。
また、中には、目に涙を浮かべながら、両手をあげて喜びをかみしめている人もいました。
国は “今後の対応を検討”
水俣病に関する補償や施策などを担当する環境省は、判決を受けて「判決の詳細は把握していないが、国の主張が認められなかったものと承知している。今後、判決の内容について精査し、関係者と協議しつつ、対応を検討したい」とコメントしています。
【速報】水俣病第2次訴訟 原告 128人全員を水俣病と認定 275万円の賠償命令 大阪地裁
9/27(水) 15:01配信
読売テレビ
水俣病第2次訴訟の原告団(27日・大阪地裁)
水俣病に罹患したにも関わらず、住んでいた地域や年齢などで水俣病特別措置法の救済対象から漏れたのは不当だとして、熊本県や鹿児島出身の128人が、国と熊本県、原因企業である「チッソ」に1人あたり450万円の損害賠償を求めた裁判の判決で、27日、大阪地裁は、原告全員を水俣病に罹患したと認定しました。その上で、賠償額については、請求の約半額となる1人あたり275万円としました。
【速報】水俣病第2次訴訟 原告団が声明「全ての水俣病被害者の救済に向けて大きな一歩」
一方で、原告のうち6人については、国と熊本県が法律上の責任を追う以前のこととして、原因企業であるチッソに対してのみ支払い義務を認めました。
同様の集団訴訟は熊本地裁、東京地裁、新潟地裁(原因企業は昭和電工)でも起こされていますが、一連の訴訟では初めての判決です。
判決後の弁護団(27日・大阪地裁)
2009年に施行した水俣病特別措置法は救済の対象を①水俣湾に近い地域に住んでいた人、②「チッソ」がメチル水銀の排水をしていた1968年までに生まれた人、③2012年7月末までに申請をした人、としていました。
裁判の中で、原告側は「メチル水銀の汚染が広い範囲にかつ、長期間にわたって影響していた。申請の受付期間が短く、特措法の内容について、期間内に情報を収集できなかった人もいる。国は不合理な線引きで多数の被害者を切り捨てた」などと主張していました。
一方、国などは「原告らに水俣病を発症するほどのメチル水銀の暴露はない。仮に暴露が認められたとしても、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するという『除斥期間』が適用される」として、訴えを退けるよう求めていました。
27日の法廷(大阪地裁)
27日の大阪地裁の判決は、原告全員を水俣病と認定し、
・低濃度の水銀であっても、長期にわたり曝露することによって水俣病を発症する可能性がある
・曝露終了から長期間経過後に発症する遅発性水俣病の存在が認められる。特定の年数をもって、その発症時期を限定することはできない
・特措法の地域対象外であっても、不知火海でとれた魚介類を断続的に多食したと認められる場合には、曝露が認められる
・除斥期間の起算点は、共通診断書検診に基づいて水俣病と診断された時である。本件患者らについて除斥期間は経過していない
などと結論づけました。
判決を受け、原告団が声明を発表し、「この判決は、被告らの患者切り捨てを厳しく断罪したものであり、全国で闘われているノーモア・ミナマタ第2次訴訟の先陣をきる判決として、未救済原告を励まし、全ての水俣病被害者の救済に向けて大きな一歩を踏み出すものである」としました。
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映画のミナマタはジョニーデップ主演でした。
法と証拠に基づいてやっておられるんでしょうから、その時はその時、今回は今回ということでしょう
この人が俄かにネトウヨのスポットを浴びたのは今年5月の「ブルーリボン訴訟棄却」によってでしょうね
今回もその達野裁判長ということでネトウヨどもがネガキャンしまくってるかと思いきや、水俣病自体に関心が低いのかヤフコメでも5コメだけ
それでも国は控訴を諦めてない気がしますね