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(全国商工新聞より)
消費税には逆進性があり、この格差社会の格差をさらに広げてしまう弊害があることは何度も何度も書いてきました。
下のグラフで明らかなように、同じ5%の消費税が課されても、所得のほとんどを消費せざるを得ない所得200~250万円の世帯は4・24%の消費税を払っているのに対して、1500万円以上の世帯では1・43%になっています。
これは消費税は医療費や授業料など一部を除き、国内のほぼすべての商品に一律に課税されており、その結果、消費税は低所得層ほど負担の割合が重い逆進性があるからなのです。
被災者も直撃する消費税増税は最悪の選択です。
税と社会保障の一体改革 富裕層の所得税・相続税を増税し、富裕税の創設を! 消費税増税は被災者直撃!!
さらに、消費増税が消費マインドを冷え込ませ、内需をしぼませてしまい、日本経済の首を絞めることも何度も指摘しました。
1997年に消費税を3%から5%に、たった2%増税しただけで、家計の消費はがた減りになり、法人税・所得税の税収が激減して、国家の歳入も5年間減りっぱなしになってしまいました。
今回の増税案が成立すれば、長引く不況と2008年のリーマンショックに震災が重なった日本経済が致命傷を受け、二度と立ち上がれないのは火を見るより明らかです。
財務省の操り人形になってしまっている野田政権は、財政赤字解消だけが念頭にあって、日本経済全体のことが見えていません。
大和総研が復興増税などの影響も織り込んで試算したところ、下の表のように2015年の実質可処分所得(収入から社会保険料などを差し引いた使える額)は今年に比べて4~9%減少する見通しです。
しかも、その半分程度は、消費増税の影響というのです。
消費税増税は中低所得層直撃 野田増税政権で致命傷を受ける日本 2012年早々に解散総選挙だ!
ところで、普通、税金の負担が増えるなら増税に反対するのが商売人というものでしょう。それなのに、経団連は消費税増税に諸手を挙げて賛成しています。
それは冒頭の図のように法人税の負担軽減につながるからだ、という理由もありますが、もう一つ。
格差拡大は気にしないでしょうが、内需がしぼむことは気にするはずの財界が消費税増税の推進をする、大きな理由があります。
それは「輸出戻し税」による益税が見込めることです。
消費税は流通段階で価格に転嫁され、最終的に消費者が負担することになっていますが、海外の最終消費者からは税を取れないという理由で、輸出製品には仕入れ段階で課せられ た消費税を企業に還付しているのです。
つまり、日本企業が輸出するときには消費税がかかりませんが、原材料を仕入れる場合には消費税がかかっているというのが建前です。
輸出戻し税とは、企業の売り上げの内、外国への輸出では消費税は取れないので、その分の仕入れ原価に掛かる消費税分が国から還付される仕組みのことです。
これが輸出戻し税で、還付額はなんと年間約3兆円。
冒頭の表のように、トヨタ1社で毎年2~3000億円の戻し税を受け取っており、下のグラフのように、自動車、電機など大手メーカーは、納める消費税より還付金の方がはるかに多く、輸出上位10社で8000億円以上が戻されているのです。
(全国商工会連合会 税金のページより)
(全国商工新聞より)
ということは、消費税が5%から10%に増税されれば、大企業は労せずさらに3兆円儲かるのです。これは利益が伸び悩む輸出産業にはよだれが出るほど美味しい話です。
政府は消費増税分をすべて社会保障に回すといっています。現在の5%の消費税も基礎年金、医療、介護の財源という建て前です。そうすると、輸出大企業は社会保障財源から補助金をもらっていることになるのです。
いや、大企業だって仕入れの時には消費税を上乗せした原材料を仕入れているからこその戻し税ではないかって?
ところが、大企業では、往々にして下請け企業に負担を押しつけています。消費税分の5%分は、実は最初から下請け企業が下のグラフのように転嫁できず、自腹を切っているというケースが、非常に多いのです。
(全商連 税金のページより)
消費税分の仕入れ代金切り捨てを押しつけられていても、下請け企業は文句を言えません。大企業と下請け企業では、力関係に格段の差がありますから、消費税を乗せた価格で買って欲しいなどと言えば今後の取引を打ち切られてしまいます。
輸出戻し税、ひいては消費税は大企業は労せずして儲かり、逆に中小企業は損をする、不合理かつ不平等なの制度です。
トヨタもソニーも本業で黒字が減り、苦しんでいるからこその消費税増税なのです。国民の血税で還付を受けて儲けを狙うなんて信じられません。
野田政権という財務省直轄内閣が、消費税増税に狂ったように邁進しているのは、実は消費税増税で下のグラフのように法人税の負担を下げるばかりでなく、消費税増税が大企業の不労所得に直結しているからなのです。
社会保障用のお金の上前をはねられて馬鹿にされても、国民は黙ったままでいるのでしょうか。
(全商連 税金のページより)
新聞各紙の世論調査で消費税の賛否が拮抗しているのは、庶民が騙されているだけのこと。
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先生のブログで目から鱗です!!!!
それにしても、
いつも勉強になります。先生の分析力とわかりやすい文章。事実を書き、その評価を合理的に分析し、読みやすく、かつ論理的に文章を書く。
弟子(笑)としてはとても参考になります
消費税法上、販売価格に消費税分を転嫁できるような規定がないために、結局経営体力が弱い個人事業者等は先生がおっしゃられるように自腹を切って納めることになっているのです。
安易に消費増税を唱える人はこの現状を本当に理解できているのでしょうか。また、財務省は税率が1%上げれば2.5兆円の税収増が見込めると勝手にソロバンを弾いているみたいですが、97年に税率が3%から5%に上がったにも関わらず、一般会計税収は53兆円から49兆円に下がったことを忘れたのでしょうか。それとも意図的に隠しているのでしょうか。
仮に税率を上げるにしても、その分だけ確実に税収増につながるように、また逆進性対策をしっかりと行いながら進めるべきだと思います。
それにしても、「税と社会保障の一体改革」と銘打ってるのに、先に消費増税法案だけを提出する方針を固めるとは、ついに首相は頭がおかしくなりましたね。これでは、「増税のための増税」ですよ。
給与削減特例法案により、国家公務員は給与が平均7.8%、期末勤勉手当(ボーナス)は一律10%カットされるそうですが、まあ酷な言い方かもしれませんが、自業自得というべきではないですか。ここまで国民を愚弄した増税を強行しようとするわけですから、当然の報いとしか言いようがありません。
分かりやすく読みやすい内容だったので、TVよりスッと頭に入りました。
このふざけた増税、止める術は無いものでしょうか?
原発安全神話と同じですねえ。
こんなカラクリがあったんですね。財界はイメージを傷つけることなくおいしいとこだけ持っていく・・・国を代表するような企業が国民を苦しめるとはあきれてしまいました。
野田総理もそうですが、民主党の歴代総理は皆違法献金問題を抱えてますよね。財務省に首根っこを押さえられてるから、「政治生命をかけて、命をかける」という発言なんでしょうか。
10億払って、5億を回収し、5億が還付されていたのが、
20億払って、10億を回収し、10億が還付されるだけの話。
どこに「儲かる」要素があるのか。
むしろ消費増税によって売上が落ちれば儲けは減る。