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2022年9月16日、何十年も統一教会の人権侵害問題に取り組んできた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が声明を発表し、
「文部科学大臣は、旧統一協会に対し、宗教法人法第78条の2に定める報告質問権を行使するとともに、同法第81条1項に基づき解散命令を請求されたい。」
として、永岡桂子文科相に対し、宗教法人法に基づいて旧統一教会の解散命令を東京地方裁判所に請求するよう求める声明を採択しました。
集会では、弁護士が統一教会「信者」に対して、こんな呼びかけさえしなければいけなかった。
これを受けて、立憲民主党・日本共産党・社民党などが行なった合同ヒアリングで同連絡会の弁護士も出席して、解散命令を請求するように求めたのに対して、文化庁宗務課の担当者は
「安易に解散命令の請求をするわけにはいかない。裁判所が確実に命令を出すだろうという状況がなければ請求すべきでなく、文化庁として無責任な対応はできない」
と述べ、その理由として、
「教会の幹部らが刑事罰を受けていない中で、裁判所が解散命令を出すのは難しいと考えている」
と説明しました。
まず、長年この問題に取り組んでいる法律家集団が「安易」に解散命令請求を求めたりするわけがないのですから、この担当者の言い分はそもそも失礼千万です。
これまで人権派という印象はなかった本村弁護士でさえ、解散命令はできるとミヤネ屋で断言して大きな反響を呼んだ。
そして、宗教法人法の解散命令は、もちろん幹部が刑事罰を受けていることなど要件になっていません。
同法第81条は
「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。」
と定め、その第1項第1号は
となっていて、刑事法に違反しなければいけないことにはなっていませんので、民法の不法行為や消費者契約法などに違反した行為を重ねていれば、裁判所は解散命令は出せるのです。
この点、上記連絡会の声明でも
『解散命令は、犯罪行為がないと請求できないなどということはない。第81条1項1号にいう「法令」とは、「宗教法人法はもちろん、あらゆる法律、命令・条例などを指す」とされている(逐条解説宗教法人法第4次改訂版378頁)。解散事由は、条文上、法令違反行為ないし目的逸脱行為と規定されているのであって、刑罰法規違反に限定されていない。』
と指摘しているところです。
ただし確かに、宗教法人を強制的に解散することは、憲法20条1項が保障する信教の自由のうち、宗教的結社の自由を制限することは間違いありません。
法人格を持たない任意団体は作れても、宗教法人は解散させられてしまうわけだからです。
この点、宗教法人法が、「著しく」公共の福祉を害すると「明らかに」に認められる行為をしたこと、を解散命令の要件としているのは、その宗教法人が争いの余地がないくらいの重大な違法行為をしていることを求めているので、これまで解散命令が出された事例は皆幹部が検察庁に起訴され、裁判所で有罪判決を受けたものばかりでした。
しかし、この点について、同声明はこう言っています。
『旧統一協会は、①その伝道・教化活動、②献金・物品購入に対する勧誘活動、③そしてその教義において救いの中核となる、原罪を脱ぐための祝福式(合同結婚式)のいずれについても違法(③については違法ないし無効)とする判決が確定している宗教法人である。
旧統一協会は、①なぜ信じるのか、②なぜ献金するのか、③なぜ結婚するのかという、その中心的活動の全てについて司法によって繰り返し問題があると判断された、極めて稀有な宗教法人ということができる。
当連絡会のホームページには旧統一協会の責任を認めた約30件の民事裁判情報を掲載しているが、その中には旧統一協会の組織的不法行為を認定して民法第709条に基づく法人の不法行為責任を認めた事例も存在する(民事裁判情報No27、東京地判平成28年1月13日、東京高判平成28年6月28日)。
また、2007年から2010年にかけて特定商取引法や薬事法違反による全国的な刑事摘発が続いたが、その手口は同様であり、とりわけ新世事件では「役員も販売員も全員が統一教会信者」「手法が信仰と渾然一体となっているマニュアルや講義」「統一教会の信者を増やすことをも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」などと認定されている。
このような団体に国が法人格を認め、税制上の優遇措置を享受させているのは明らかにおかしいのではないか。このことは、国民の皆様にも、広くご賛同頂けるのではないかと考える。』
これだけ統一教会という宗教法人自体の不法行為責任が認められた民事判決が集積していて、長期間にわたる甚大な被害が継続していることが立証されているのですから、統一教会の存在と活動が、
「著しく公共の福祉を害する」と「明らかに認められる」
という要件は優に満たすと言えるでしょう。
さらに、刑事事件である新世事件では、統一教会による
「相当高度な組織性が認める継続的犯行の一環」
という認定もされて有罪判決が出ていることからすれば、教団幹部が刑事罰を受けているかどうかにかかわらず、統一教会を解散すべきは明らかです。
統一教会の解散命令請求を渋る文化庁担当者に対して、社民党の福島瑞穂党首が
「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高いので解散命令を出すことが被害者の救済、これ以上被害を生まないために文化庁、今やらないとダメです」
と言ったそうですが、まさにその通り。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、統一教会に関する相談は、2021年までの5年間で約590件で、被害総額は約55億円にのぼるそうです。
さらに、この合同ヒアリングで、法務省は設置した「合同電話相談窓口」で受け付けた相談件数が、9月5日から14日までのわずか10日間で、なんと1415件に及んだという速報値を報告しました。
統一教会の悪業は昔の話ではなく、市民社会に今現在進行中で被害を生んでいるのです。
統一教会への解散命令は待ったなし。
これに抵抗して怠慢を続けようとしている岸田政権は、統一教会と手を切る気持ちが実は全くないことが明らかです。
改訂新版 統一教会とは何か
宗教法人法の解散命令というのは、裁判所が判断するものです。
政府は裁判所に解散命令を請求するだけの権限しかありません。
確かに行政権が司法に解散命令を請求することの、信教の自由に対する影響は大きいのですが、文科省が恣意的に判断できるものではなく裁判所が解散命令の要件具備について判断し、命令を出す以上、政府は積極的に解散命令を請求することこそ、市民の権利救済につながるのです。
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2022年9月16日
◆旧統一教会の解散請求等を求める声明
全国霊感商法対策弁護士連絡会
代表世話人 弁護士 郷路征記(札幌)
代表世話人 弁護士 中村周而(新潟)
代表世話人 弁護士 河田英正(岡山)
代表世話人 弁護士 平岩敬一(横浜)
代表世話人 弁護士 山口 広(東京)
事務局長 弁護士 川井康雄
本年7月8日に発生した安倍元首相銃撃事件を契機として、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、以下「旧統一協会」という。)に関する諸問題について、政治家との関係に留まらず、その行ってきた違法行為の内容や被害の深刻さについても報道等を通じて社会に周知されつつある。今必要なのは、そうした実態を踏まえ、旧統一協会により発生した被害を救済し、また新たな被害を生み出さないためにはどうすべきか、ということである。
旧統一協会の最大の問題点は、その伝道活動において、勧誘主体が宗教団体であることや当該活動の目的が宗教勧誘であること、入信後の宗教的実践活動を一切秘匿することによって、当初からそれらが明らかにされれば絶対に入信することのない者であっても信者にしてしまう、これにより被勧誘者の信教の自由や自己決定権を侵害する、という点にある。もちろん、全財産を投げ出すような献金をさせたり、ほぼ無報酬で苛酷な労働に従事させたり、その被害者に正体を隠した伝道活動をさせて新たな被害者を生み出させたりすることも重大な問題であるが、そもそもそうした活動を行う信者が生み出されるのは、上記のいわゆる「正体隠し伝道」がなされるからである。
当連絡会は、この最大の問題点、そしてそれにより発生する様々な問題を解決するための種々の方策について、関係各所に対し、この機を逃さずに実施されるよう、以下のとおり求める。
第1 声明の趣旨
1 旧統一協会に求めること
旧統一協会は、
(1) 今後の伝道活動においては、被勧誘者に対し、予め、勧誘の主体が旧統一協会であること、及び、勧誘目的が宗教団体への伝道であることを明らかにし、また、文鮮明をメシアと信じさせるまでに、入信後の献金及び伝道など宗教的実践活動の中核部分を明らかにし、被勧誘者の信教の自由、信仰選択の自由を侵害しないようにせよ。
(2)信者や信者であった者への勧誘経緯、従前の献金及び物品購入代金名下に支払わせた金額を全て調査し、当該信者を正体隠しの伝道により信者とした場合、及び先祖の因縁等で不安を殊更煽って献金をさせたり、当該信者の経済状態や生活状況からして過大な支出をさせたりしたことが明らかになった場合には、当該信者または信者であった者に真摯に謝罪し、損害の一切を賠償せよ。
(3)今後、信者から献金その他名目を問わず金銭を受領する場合には、出捐者、及び、金員の受領主体、目的、金額を明記した領収書を交付し、併せて、その一切を記録して会計・財務資料として保管し、献金をした者からの要求があった場合にはその記録を開示せよ。
(4)信者に対し、こどもへの信仰継承を行う際は、我が国が批准している子どもの権利条約第14条2項に基づき、「児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法」によるよう指導せよ。
2 解散請求
文部科学大臣は、旧統一協会に対し、宗教法人法第78条の2に定める報告質問権を行使するとともに、同法第81条1項に基づき解散命令を請求されたい。
3 カルト対策
(1)内閣総理大臣は、フランスなどカルト対策に先進的な諸外国の法制度・諸施策を参考に、基本法の制定も視野に入れた上で、被害抑止・救済のための法制度を整備し諸施策を講じられたい。
(2)文部科学大臣は、旧統一協会による過去の諸々の被害(金銭被害、家族破壊、労働力収奪、その他被害)に関し調査の上で、その結果を総括的な報告書をまとめられたい。
4 二世問題
厚生労働大臣、こども政策担当大臣及び各都道府県知事は、
(1)いわゆる「二世」と呼ばれるこどもが抱える問題について児童虐待と位置づけて、適切なこども施策を策定・実施されたい。
(2)その前提として、担当職員(特に児童相談所職員)に対し、専門家を招致して研修などを実施し、カルト団体の問題点及び「二世」が抱える問題点等についての知見を周知されたい。
5 学校における対策及び教育
(1)文部科学大臣は、大学生、高校生、中学生がカルト団体から被害を受けることを防ぐため、また、学校等に在籍する二世について適切に対応するため、学校等の関係各所に対し、必要な措置を講じるよう通知されたい。
(2)法務大臣は、こどもがカルト団体による被害を受けることを防ぐため、学校教育における法教育においてカルト団体及び二世問題を取り上げるよう関係各所に通知されたい。
6 サポート体制
内閣府特命担当大臣(消費者庁)は、カルト問題に苦しむ者やその家族へのサポートを行う宗教者や社会学者、心理学者ないしカウンセラーに対し、持続的、効果的な活動が可能となるようなあらゆる支援をされたい。
第2 声明の理由
1 声明の趣旨1項「旧統一協会に求めること」について
(1)伝道に当たっての勧誘主体・勧誘目的の明示
旧統一協会は、長年に亘って、正体を隠した印鑑販売や家系図講演会への勧誘等を通じてビデオセンターに誘導し、家系図を用いて霊界の恐怖や先祖の因縁等の話をし、被勧誘者の不安を巧みに利用して旧統一協会の教えを刷り込み、献金や物品販売代金名下に、被勧誘者本人のみならず、被勧誘者が管理する家族の財産等からも多額の金銭を支払わせ、被勧誘者とその家族を経済的破綻に追い込んで来た。旧統一協会は、2009年のコンプライアンス宣言以降はこのような行為を行っていないと主張するが、当連絡会のもとには、2009年以降も正体を隠した勧誘を受け、家系図を用いて先祖の因縁を説かれて多額の献金をさせられた事案の相談が寄せられており、全くコンプライアンスが貫徹されていないことが明らかとなっている。
旧統一協会の上記のような伝道は単に経済的被害をもたらすものではなく、被勧誘者の生き方そのものに関わる信教の自由、信仰選択の自由を侵害するものである。今後二度とこのような人権侵害が繰り返されないようにするには、その伝道活動において予め「世界平和統一家庭連合」の名称と、勧誘目的が宗教団体への伝道であることを明らかにし、さらに、伝道教化の過程で、被勧誘者に宗教的回心を起こさせ、文鮮明をメシアとして信じさせる前に、救われるためには多額の献金をしなければならないこと、また、違法な伝道や献金勧誘活動に従事するよう求められること等その宗教的実践活動の中核部分を明らかにすることが必要である。
(2)既に発生した被害に関する調査と救済の必要性
上記の違法な伝道や献金勧誘・物品販売勧誘については多数の裁判において違法性と旧統一協会の責任が認められている。こうした、旧統一協会による違法な物品販売や献金勧誘は1980年頃から数十年に亘って全国津々浦々で行われてきており、そのうち裁判や交渉を通じて回復された被害はその一部に過ぎない。
前記のとおり、旧統一協会は、2009年以来、コンプライアンスを徹底し、正体を隠した勧誘や家系図を用いた献金勧誘を行わないよう、また、信者の経済状態や生活状況からして過大な献金をさせることのないよう指導してきたと主張するが、この主張は、少なくとも2009年までの間は、正体を隠した伝道や不相当な方法での献金勧誘をし、信者に過大な献金をさせてきたことを事実上認めるものに他ならない。
旧統一協会において、その被害の全容を調査し、被害について真摯に謝罪して弁償することは、公益性を認められた宗教法人としての当然の責務といえる。
(3)献金の際の書面交付
旧統一協会は、献金を受領するにあたって領収書等の書面を作成しないため、信者において献金の受け取り主体や内容や金額を客観的に把握することが困難な状態にある。金員を受領する以上、本来、その裏付けとなる書面を交付することは当然のことであり、公益性を認められた宗教法人であればなおさらのことである。
2 声明の趣旨2項「解散請求」について
(1)はじめに
旧統一協会は、①その伝道・教化活動、②献金・物品購入に対する勧誘活動、③そしてその教義において救いの中核となる、原罪を脱ぐための祝福式(合同結婚式)のいずれについても違法(③については違法ないし無効)とする判決が確定している宗教法人である。旧統一協会は、①なぜ信じるのか、②なぜ献金するのか、③なぜ結婚するのかという、その中心的活動の全てについて司法によって繰り返し問題があると判断された、極めて稀有な宗教法人ということができる。当連絡会のホームページには旧統一協会の責任を認めた約30件の民事裁判情報を掲載しているが、その中には旧統一協会の組織的不法行為を認定して民法第709条に基づく法人の不法行為責任を認めた事例も存在する(民事裁判情報No27、東京地判平成28年1月13日、東京高判平成28年6月28日)。また、2007年から2010年にかけて特定商取引法や薬事法違反による全国的な刑事摘発が続いたが、その手口は同様であり、とりわけ新世事件では「役員も販売員も全員が統一教会信者」「手法が信仰と渾然一体となっているマニュアルや講義」「統一教会の信者を増やすことをも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」などと認定されている。
このような団体に国が法人格を認め、税制上の優遇措置を享受させているのは明らかにおかしいのではないか。このことは、国民の皆様にも、広くご賛同頂けるのではないかと考える。
(2)解散命令請求、報告質問権の定め
宗教法人法には、解散命令請求や報告質問権の定めが置かれている。具体的には下記のとおりである。このような定めが置かれているのは、宗教法人の設立について認証主義をとったことに伴い、生じやすい弊害の是正を図る趣旨とされており(逐条解説宗教法人法第4次改訂版375頁)、公益の確保の要請による。法が所轄庁に権限を与えているということは、裏を返せば、所轄庁には、公益に適うように権限を適切に行使する責務があるということに他ならない。
なお、報告質問権の定めは、オウム真理教事件を契機として、平成7年改正にて新設された規定である。所轄庁において、解散命令事由などに該当する疑いがあると考えていても、これを確認する手段がなかったことから、所轄庁の権限を適切に行使するための判断の基礎となる客観的な資料が得られるようにしようという理由で設けられたものである。
記
(解散命令)第81条1項
「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたってその目的のための行為をしないこと。
三(以下略)」
(報告及び質問)第78条の2
「所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。(略)
一 当該宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があること。(※公益事業以外の事業の停止命令)
二 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていること。(※認証の取消し)
三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。(※解散命令)」
解散命令は、犯罪行為がないと請求できないなどということはない。第81条1項1号にいう「法令」とは、「宗教法人法はもちろん、あらゆる法律、命令・条例などを指す」とされている(逐条解説宗教法人法第4次改訂版378頁)。解散事由は、条文上、法令違反行為ないし目的逸脱行為と規定されているのであって、刑罰法規違反に限定されていない。とりわけ認証主義により緩やかに宗教法人格を認める建付けを採っていることとのバランスを考えても、解散命令について過度に厳格に解することは妥当ではない。さらに、現行制度上、宗教法人格の取得と税制上の優遇措置とがリンクする建付けとなっているため、解散請求の要件が厳しすぎると、問題のある宗教法人に不当な利益を享受させ続ける結果を容認してしまうという問題もある。
(3)介入消極論とその妥当範囲
ア 介入消極論
しかしながら、所轄庁は、宗教法人法第1条の解釈、端的にいえば信教の自由の保障を理由として、国家が宗教法人に対して介入することについて、極めて消極的な姿勢をとってきた。これは過去の宗教弾圧の歴史、とりわけ我が国における戦前の国家神道の弊害を踏まえたものと考えられる。
記
(この法律の目的)第1条
「この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。
2 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従って、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。」
イ 妥当範囲
しかしながら、旧統一協会については、そのような消極的な姿勢は妥当ではない。
信教の自由が重要な人権であるとしても、その行為が他人の権利・自由に対して何らかの害悪を及ぼす場合などにおいては、他の基本的人権と同じように、公共の福祉による制約を受けることもまた、憲法の定めるところである。現に、宗教法人法は、その解釈規定において、この理を確認する規定を置いている。
記
(宗教法人法・解釈規定)第86条
「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。」
信教の自由は、宗教団体のためにだけ保障されているのではない。他人に対する積極的な働きかけを伴う伝道・教化活動には、自ずから内在的制約がある。伝道の対象となる国民個人の利益がまず最大限に保障されるべきであり、宗教法人法第1条はそのように解釈されるべきである。
そもそも宗教法人法による規制は、専ら宗教団体の世俗的側面だけを対象とし、その精神的・宗教的側面を対象外としているのであって、宗教団体の信教の自由に介入しようとするものではない。解散命令は、宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わず、解散命令に伴う影響は間接的で事実上のものに留まることは最高裁判所も述べるところである(最高裁決定平成8年1月30日)。
(4)当連絡会の意見
旧統一協会の問題は、国によって法人格を付与された宗教団体が、伝道の対象となる国民の信教の自由を侵害する違法な伝道・教化活動を長年にわたり継続的に遂行し、それによっておびただしい経済的・精神的被害を生じさせていることにある。旧統一協会は、国民の信教の自由を侵害することにより、教団を維持拡大してきた。このような行為が社会的に許容されるはずはなく、被勧誘者となった多数の方の信教の自由や財産権を侵害することで、公共の福祉が著しく害されている事実は明らかであって、所轄庁は、旧統一協会に対し、法に基づいて与えられた権限を積極的に行使するべきである。
(以下略)
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は16日、東京都内で集会を開き、文部科学相に対し、旧統一教会の解散命令を裁判所に請求することなどを求める声明を採択した。
宗教法人法では、法令に違反する行為などがあった場合、裁判所は所轄庁などの請求を受け、解散を命じることができると規定されている。声明では旧統一教会について「信教の自由を侵害する違法な伝道を長年にわたり遂行し、おびただしい経済的・精神的被害を生じさせている」と指摘した。
国には、フランスなどカルト対策に先進的な諸外国を参考にした法整備や、親が教団の信者である「2世」に対する支援の拡充も要望した。旧統一教会には、これまでの献金や物品販売などによる被害の全容を調査し、謝罪と弁償をすることなどを要求した。
集会では、全国弁連に寄せられた教団に関する相談が、安倍晋三元首相の銃撃事件までは今年に入って数件だったのが、事件後は461件と大幅に増えていることや、韓国に施設を建設するため、来年創始者の文鮮明氏が生きていれば103歳、妻の韓鶴子総裁が80歳となることに絡めて信者1家族当たり183万円の献金を求められていることも報告された。
集会には元信者の女性も同席。2013~15年に「統一教会であることを隠した勧誘活動に携わった。家系図や運勢の鑑定、と声を掛けた」と明かした。山口広弁護士は「教団は『献金はもういいよ』とは決して言わない。これ以上被害を拡大させないために政治家には教団との絶縁をお願いしたい」と話した。【堀智行、春増翔太】
旧統一教会の解散命令「安易な請求はできない」文化庁宗務担当者が見解 福島氏「十分要件ある」
[2022年9月20日16時6分] 日刊スポーツ
野党合同ヒアリングで全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士が出席し、旧統一教会に対する解散命令請求について説明した(撮影・大上悟)
野党合同ヒアリングで全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士が出席し、旧統一教会に対する解散命令請求について説明した(撮影・大上悟)
立憲民主党、共産党などは20日、国会内で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡って関係省庁に対し、合同ヒアリングを行った。全国霊感商法対策弁護士連絡会が16日、永岡桂子文科相に対し、宗教法人法に基づいて旧統一教会の解散命令を裁判所に請求するよう求める声明を採択したが、文化庁宗務担当者は「安易な解散命令請求することはできない。確実に(裁判で)勝てるだろうという状況がなければ解散命令請求すべきでない」との見解を示した。
これに対し、社民党の福島瑞穂党首は「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高いので解散命令を出すことが被害者の救済、これ以上被害を生まないために文化庁、今やらないとダメです」と指摘した。
教団の2世信者(現在は脱会)で出席した30代女性の安藤さん(仮名)は「今まで被害者が誰にも救済されなかった。それがなぜ現行法でできなかったのか。これから、その被害をどうやって救済していくのか。それとも今まで通り放置するのか。統一教会だけでなく新たに生まれる宗教、新たに日本に入って来る宗教も統一教会と同じやり方をしてしまえば、法から逃げられるという側面もある」などと訴えた。
また野党側から消費者庁が把握している旧統一教会による被害相談件数について回答を求めたが、同庁担当者は「個別の事業者、団体にかかわる相談件数についてはお答えを控えさせていただいている」とした。法務省は設置した「合同電話相談窓口」で受け付けた相談件数は5日から14日までに1415件(速報値)と公表した。
旧統一教会をめぐる立憲民主党や共産党などのヒアリングで、政府の担当者は教会の解散命令を出すよう裁判所に請求することは難しいという認識を示しました。
ヒアリングには元信者などの支援活動をしている弁護士も出席し、いわゆる霊感商法の問題などを踏まえ、文化庁が宗教法人法に基づき、旧統一教会の解散命令を出すよう裁判所に請求すべきだとして、政府側の見解をただしました。
これに対し、文化庁の担当者は「安易に解散命令の請求をするわけにはいかない。裁判所が確実に命令を出すだろうという状況がなければ請求すべきでなく、文化庁として無責任な対応はできない」と述べました。
その理由として、「教会の幹部らが刑事罰を受けていない中で、裁判所が解散命令を出すのは難しいと考えている」と説明しました。
これに対し出席者からは、解散を請求したうえで判断は裁判所に委ねるべきだといった意見が相次ぎました。
「統一教会をコンビニ的に使っていた政治家が今とまどっている」萩生田政調会長の釈明打ち砕いた鈴木エイト氏の"3年前インタビュー"
22/08/23 18:58 MBS
2022年08月23日(火)放送
旧統一教会との関係で最も取りざたされている自民党の政調会長・萩生田光一氏。3年前にインタビューしたジャーナリスト鈴木エイト氏は当時、萩生田氏が『旧統一教会も世界平和女性連合も同一の組織体である』という認識だったと証言。選挙期間中に世界平和統一家庭連合の施設を訪れたものの、「施設の名前はわからない」と言葉を濁していた萩生田氏の釈明を真っ向から否定しました。
(2022年8月23日MBSテレビ「よんチャンTV」より)
統一教会を”コンビニのように”
―――連日伝えられているのが、萩生田光一政調会長と旧統一教会との関係です。当初は「協会が関係する会合で挨拶しただけ、承知の上でお付き合いをしていない」と話していました。その後、生稲晃子氏と参院選公示直前に旧統一教会の施設を訪問していたり、2009年頃、落選中のときに八王子に関連施設があり、そちらに何度も訪れているということがわかりました。どのようにご覧になりますか。
そうですね、(萩生田政調会長は)自分に関するマイナスな情報が出るために少しずつ変えてきているなって印象を持ちました。これまで政治家は、旧統一教会を主に”コンビニエンスストアのように気軽な感じ”で使っていたんです。ただ霊感商法などの問題があったため、そこと関係性があるってなると、やはりちょっと外聞が悪いということで、明確な関係性を示すことは避けていた。でもみんな使っていたし、便利な存在だった。それがいま事件が起きて、急に旧統一教会の問題がクローズアップされたことで、政治家の方も皆戸惑っているんだと思います。今まで「普通に気軽にみんな付き合って、選挙にも使っていたよね、でもなんで今こんなに騒いでるの?」っていうそういう認識なのかなって思うんです。「関連団体含め、その全てが一体である」ってことも、政治家であれば当然知っていなければいけないし、もし知らなかったとすれば政治家としての資質が問われると思います。
萩生田氏に直撃取材「あえて触れていた」
―――実際に鈴木エイトさんの取材(2019年)では、萩生田さんに直接話を聞いている。萩生田さんは「地元では世界平和女性連合とかの会合なんかで留学生のスピーチコンテストそういうのには出ていますけど、そして最近はもう壺も売ってないしね」というようなことを言っていた。これ、全部わかった上でやってるよっていうことになりませんか。
僕、最初は「国際勝共連合」について聞いたんですね。そしたら萩生田さんは国際勝共連合について「最近地元ではあんまり動いてないしね」と答え、その後になぜかこの世界平和女性連合の話で返してきた。さらに僕は勝共連合のロビー活動について質問を重ねたんですが、なぜか萩生田さんは統一教会の壺の話をしてきた。こういう点ではですね、僕、萩生田さんと全くそのときの認識は一緒なんです。世界平和連合も統一教会も国際勝共連合も、全て一つの、同一の組織体であると僕は認識のもとで質問をしたんですが、萩生田さんも全く同じ形で返してきていると。報道にあったように、あえて触れなかったっておっしゃっていましたが、このときは萩生田さん自らあえて触れてるんですよね。
日本からの資金が世界中を支える
―――続いては、旧統一教会内部で何が起きているのかというお話です。
8月18日韓国での出来事です。信者らの自発的なものということで、大規模なデモが行われました。「家庭連合に対する偏向報道を許すな」ということが書かれています。デモ前の集会では、韓鶴子総裁が「恐れるな、強く大胆に出ていけ」とメッセージを出していました。エイトさんによりますと、教会が最も恐れていることは、日本の報道が続くと、解散命令に発展し、日本からの資金の流れが止まってしまう。この解散命令と資金が止まる、ここが一番避けたいところなんですね。
まず抗議デモは「信者の自発的なもの」ってあるんですが、旧統一教会の場合、自発的に信者が何かを行うってことはまずないですね。教団からの指示だと思います。この日本からお金の流れというのがですね、全世界の摂理機関と関連機関を全て支えているのでその金額は7割以上と言われてるんですが、それが止まってしまうことをやっぱり最も恐れているんだと思います。過去の歴史的経緯からね、「日本が全て韓国なりに尽くさなければならない」という教えがあるんですよ。「償うために日本からまず韓国にお金を送る」という、それを日本の信者が正しいこと、今まで歴史的な経緯、日本がひどいことを韓国にしてきたことを償うため、というふうに刷り込まれてるんですよね。基本的に日本からのお金が世界中の関連機関を支えているという構図があります。
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