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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

白井邦彦青山学院大学経済学部教授 特別寄稿 『新自由主義においてはなぜ政府による日の丸君が代の強制は批判されないのか? -新自由主義への疑問の序として-』

2023年10月06日 | 白井邦彦教授シリーズ

記事をアップした後、白井先生から以下のようなメールをいただきました。

『なお最初の画像「金持ちを貧乏人にしても・・・」についてですが、経済学では、金持ちから多く税をとることで、社会全体の富を増やし雇用を増やす、と考えます。

「金持ちの所得を減らせば、貧困は減少する」となります。

理由は下記の次第です。

1、有効需要の原理を説明する45度線分析から、総需要曲線の角度向き「限界消費性向」となり、限界消費性向は高所得層ほど小さい、よって高所得層の所得を下げることで社会全体の限界消費性向をたかめられ、総需要曲線の傾きが急になり、均衡国民所得すなわち経済規模は拡大し、社会全体としては豊かになる。

2、投資乗数、政府支出乗数とも、1/限界貯蓄性向、で、限界貯蓄性向は高所得層が高い。よって高所得層の所得を下げれば社会全体の限界貯蓄性向は下がり、投資乗数・政府支出乗数は大きくなり、同じだけの投資、政府支出の増加でより高い経済成長・雇用拡大が達成できる。

「金持ちの所得を下げることで、社会の貧困は減少する」は経済学的には言えることだと思いますから、あの画像の二人はそうした経済メカニズムを知らない、ないし意図的に無視している、と思います。』

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 新自由主義を唱える論者は新型コロナを軽視する傾向が著しい。

 その筆頭格が政治家では菅義偉前首相であり、日本維新の会であり、評論家・コメンテーターでは橋下徹氏と三浦瑠麗氏でした。

コロナが暴いた無責任コメンテーターの実力。

コロナ軽視派の橋下徹氏が「インフルエンザで医療ひっ迫なんてことはない」「全医療機関でコロナに対応すべき」(呆)。三浦瑠麗氏が「日本だけやはり医療の側の努力が足りないっていうのは明らか」(阿呆)。

自称政治学者の三浦瑠麗氏「新型コロナの被害の度合いは政策とは関係なく、地域差・人口密度・平均寿命で説明できる」「過剰なコロナ対策を取らず経済優先主義でいけ」とまだ言ってるでっち上げが半端ない。

 

 

 ちなみに、新自由主義とは、市場(経済活動)への国家の介入を最小限にするべきと考える思想で、小さな政府、民営化、規制緩和といった政策を目指す経済思想のことです。

 これは、1980年代以降に世界で大きな影響力を持つようになった思想で、イギリスのマーガレット・サッチャー首相、アメリカのロナルド・レーガン大統領、そして日本の中曽根康弘政権が行った臨調と国鉄分割民営化などの政策に、新自由主義の影響が特に色濃く見られると言われています。

 そして、2000年代以降では、小泉純一郎政権で行われた小泉・竹中路線での郵政民営化などの一連の政策が、新自由主義的政策として知られています。

 上に挙げたゴリゴリの新自由主義政党である維新の会のブレーンに竹中平蔵氏がいることは偶然ではないのです。

日銀の保有するETFを国民に配る。それが“新しい資本主義”ではないか」竹中平蔵氏&橋下氏が経済活性化の大胆提言 | 経済・IT | ABEMA  TIMES | アベマタイムズ

橋下徹大阪府知事が日本維新の会の候補選考委員長に選んだ竹中平蔵氏。彼が会長だったパソナの再委託先が、新型コロナワクチンの電話対応をすべきなのに業務時間内に高麗人参茶などの電話応対をしていた(呆)。

 

 

 そんな中、社会経済学・社会経済学視点からの労働経済論、つまり労働者の立場から経済学を再構築されようとしている、ご存じ白井邦彦青山学院大学教授に特にお願いして書いていただいたのが、

白井邦彦青山学院大学教授教授 特別寄稿「大竹文雄氏のコロナ対策論への批判-市民の健康に責任をもてるのか?ー」

でした。

 この中で、白井先生は

『本記事は大竹文雄大阪大学特任教授のコロナ対策論の検討批判をおこなおうとするものです。

 大竹氏を対象とするのは、大竹氏が新型コロナ感染症対策分科会メンバーであるととともに、大竹氏の主張は政府の現在、ないしこれから予想されるきわめて問題のあるコロナ対策を先取りするものであり、さらにその主張の背景には新自由主義・市場原理主義があると考える、からです。』

と冒頭でおっしゃっています。

 そして、オミクロン株が重症化しにくいことを唯一の論拠に経済優先を唱える大竹氏のコロナ軽視論について

『全数把握の見直し・5類引き下げ全額公費負担の見直し・行動制限は行わず各市民まかせとし、自発的対策で充分とする、は明らかに政府による救済のための規制を排除し自己責任とする主張です。同時に、行動規制による各種弊害の主張は、一見その弊害を受けるとみられる人たちもコロナ感染のリスクを同じく負っており、表面的な対立を強調して、本来の対立軸をあいまい化している、という特徴をもちます。

 なお、行動制限、社会経済活動の制限に関しては、「専門家の見解に基づき政治が判断すべき」つまり「判断するのは専門家、市民は専門家判断の政府決定に従うべき」としている点も実は新自由主義・市場原理主義の思考を示しています。経済的に小さい政府は同時に政治的に強い政府を必要とします。

 経済的に小さい政府を実現するために各種保護・規制措置を削減していくためには、「民主的に話し合って合意形成して」では実現しがたいものがあります。それを実現していくためには「上から強権的に決めていく」、つまり政治的に強い政府が必要となります。また経済的に小さい政府は、各種格差・市民間の分断を生みがちです。

 それを克服するためには強い政府による上からの市民統合が不可欠となります。こうした理由から、「経済的に小さい政府は政治的に強い政府を必要とする」となります。

 上記の「専門家の見解に基づき政府が判断すべき」という言葉の中には、新自由主義における「政治的に強い政府」志向、もっというと「市民の意見に基づき民主的に決定していくというプロセスの軽視」を感じてなりません。

 全数把握見直しは、民主的なプロセスを経て決められたことでしょうか?さらに5類引き下げ問題も民主的な議論がなされるでしょうか?

  こうした点にも新自由主義的な側面が色濃くでているのではないでしょうか。』

と分析していただいたのでした。

 詳しい内容は上の記事をお読みください。

 

 

 さて、今回、白井先生にお願いしたのは、竹中平蔵氏らの新自由主義論全般に対する批判的検討です。

 お忙しい中、白井先生にはご快諾いただき、大変恐縮なことに何回かの連載になります。

 なお、冒頭に出てくる「思想の自由市場」論とは、古典派経済学から発想を借用した憲法学の用語で、悪質な思想や言論も統制することなく、反対意見による自然の淘汰に任せておけば、自ずとより良質の言論が生き残る、という表現の自由に対する国家権力な介入を排除する考え方です。

 では、さっそくお読みください。

『新自由主義においてはなぜ政府による日の丸君が代の強制は批判されないのか?-新自由主義への疑問の序として-』

 「政府による日の丸君が代の強制はおかしいそもそも必要もないこと、それは『思想の自由市場』にまかせるべき問題である。

 『思想の自由市場』にまかせておけば日の丸君が代に対する適切な対応策が実現するはずである。日の丸君が代が好ましいものであれば、『思想の自由市場』にまかせておけば、それに反対する意見は市場メカニズムにより自然に淘汰されるのであるから、政府が強制するまでもないはずである。

 よって政府による日の丸君が代の強制はおかしいし、そもそも必要のないことで、政府による日の丸君が代の強制には反対である」。

 新自由主義の立場からこのような議論は聞いたことがあるでしょうか?

 私は知り得る限り聞いたことは全くありません(もし新自由主義の立場からこうした意見があったらぜひご教示ください)。

 しかし解雇規制・その他労働者保護制度などについては新自由主義の立場からこうした意見は強く主張されています。それはなぜでしょうか?

 

  新自由主義は「小さな政府論」と言われていますが、単なる「小さな政府論」ではありません。

 政府の機能のうち、「所得分配機能」を中心に各種経済的社会的規制機能について問題にしている(もっとはっきりいうと、それらの機能を選別し「切り捨てる」)というものです。

 実は新自由主義においては「政治的」には「強い」、もっとはっきりいうと、「強権主義的政治体制」が志向されることになります。

 その理由として以下の点があげられます。

 第一に、その政策実現にあたっては、政府が上から強権的に行うことが、つまり「強権的政治体制」が不可欠であるから、です。政府の「所得分配機能」その他各種経済的社会的規制を「整理」するにあたって、「当事者間の各種利害を調整しつつ合意形成を行って」ではなかなか合意形成が進みませんし、結局「整理」することが不可能になることが多々あります。

 各種利害・社会的必要性などを超越した、「強い政府」による上からの強権的実施によるしか、そうした「整理」はできません。その意味でも新自由主義は実は「強い政府」志向となります。

 第二に新自由主義がもたらす政治的社会的亀裂とその克服方法、という点からです。

 新自由主義的政策は、経済社会において格差拡大、経済的利害対立の先鋭化、という問題を必然的に引き起こします。

 それらは政治的経済的に考えれば社会の安定にとって好ましくないことであり、それらは何とかして克服する必要があります。その克服の手段として動員されるのがナショナリズム、各種政治的統合手段です。

 それは当然「政治的強権主義」と不可欠な関係となります。

 

 最初に述べた「政府による日の丸君が代強制問題」に即していえば、新自由主義的政策によって生じた経済的格差拡大、鋭い経済的利害対立、による社会における亀裂分断を、「日の丸君が代」というナショナリズム装置により、統合へと導き、それによって亀裂分断を克服する、ということになります。

 新自由主義の立場から「政府による日の丸君が代強制はおかしいしそもそも必要ない、『思想の自由市場』に任せるべき問題だ、政府による強制には反対」という議論が出てこないことは、ある意味当然です。

 出てこないどころか、新自由主義がもたらす経済的格差拡大・経済的利害対立、の克服の手段として、むしろ「必要不可欠なもの」という位置づけとなります。

 新自由主義は単なる「小さな政府」論ではない、「強い政府」「政治的強権主義」と必然的に連動している、という点をまず序として確認しておきたく思います。

 そのうえで、各論としてこれから各種新自由主義的政策を取り上げていきたく思います。

 

 最初にとりあげたいのは、竹中氏が主張しているベーシックインカム(BI)論です。

 ただBI論=新自由主義的政策、というわけではありません。BI論はさまざまな政治的経済的潮流から主張されています。

 そして私自身はどのような立場からのものであれ、そもそもBI論自体に大きな疑問を有しています。

 そのうえで竹中氏のBI論をなぜとりあげるかといえば、第一にBI論そのものの問題点が氏のBI論において実に明確に示されている、第二に氏の政治的経済的影響力、そして第三に氏のBI論において新自由主義的政策の問題的が顕在化されている、ということからです。

 次回はBI論とともに、竹中氏のBI論について検討批判していきたく思います。

                                (以下 次回に続く)

菅政権の新自由主義とは「弱肉強食」。コロナ禍で弱った中小企業の淘汰を狙い、選りによって今、中小企業基本法の見直しに着手!

 

全国民ご存じの政商納言、竹中平蔵氏。

菅総理がいきなり「政商納言」竹中平蔵パソナ会長と会食。この二人は、小泉「国民生活破壊」内閣で竹中氏が総務大臣、菅氏が副大臣だったという力関係。「中抜き」パソナと堂々と懇談とは世も末だ。

 

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白井 邦彦  (著),本間 照光  (著), 松尾 孝一  (著), 石畑 良太郎 (著),  加藤 光一 (著)

 

 

画像

大阪市交通局の職員が勤務時間中に労働組合活動をしていた問題で、市労働組合連合会(市労連)の中村義男執行委員長が2012年1月4日、橋下徹市長を訪問。橋下市長は中村氏に最敬礼で謝罪させた。

その2年半後の2014年8月6日、大阪市が職員約3万人に実施したアンケートを「不当労働行為」と認定した中央労働委員会の命令確定を受け、橋下徹市長は大阪市労働組合連合会(市労連)を訪ね、「職員、組合員の皆さんに大変ご迷惑をおかけしました」と述べ、謝罪する羽目になった。

また裁判の被告になる橋下市長 大阪市職員の思想調査アンケートは憲法違反 住民訴訟提起は必至 続報あり

 

中島岳志 (著), 上野千鶴子 (著),ほか

 

 

今回の白井先生の序論の中で、なぜいきなり「思想の自由市場」の話から入るのか面食らったのですが、

『新自由主義の立場から「政府による日の丸君が代強制はおかしいしそもそも必要ない、『思想の自由市場』に任せるべき問題だ、政府による強制には反対」という議論が出てこないことは、ある意味当然です。

 出てこないどころか、新自由主義がもたらす経済的格差拡大・経済的利害対立、の克服の手段として、むしろ「必要不可欠なもの」という位置づけとなります。』

というところまできて、ハッと思いだしたのが、橋下徹大阪府知事が大阪にもたらした、教育基本条例や君が代・日の丸条例でした。

なるほど、橋下徹氏の強烈な個性に還元して理解していましたが、結局、人々を苦しめる新自由主義政策を強硬に推し進めるためには、市民を強権的に押さえつけ、抑え込むことが必然的に必要だったんだなとわかったんですね。

君が代斉唱のときの姿勢までチェックしている橋下大阪市長はマジで全体主義者なのか

その観点からとらえ直すと、「身を切る改革」=新自由主義政策の権化のような維新の会が、他方で極右で改憲派で大軍拡路線を取っている意味もよくわかる気がします。

次回から、いよいよ新自由主義のご本尊、竹中平蔵氏を白井先生がどう斬ってくださるのか、楽しみで仕方ありません。

生活保護や年金が不要になるのではなく、生活保護や年金制度をなくす口実が竹中氏のベーシックインカム。

菅首相のブレーン、「政商納言」竹中平蔵氏が年金も生活保護も無くして月7万円!で生活するベーシックインカムを主張し、ネット上で轟々たる非難を受ける(笑)。

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マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で「デタラメカード」が発行される問題も…役所の担当者は「上司が急かすから」

国内 社会

竹中平蔵

竹中平蔵氏(他の写真を見る

 

(前略)

 

マイナ関連業務を受注するパソナ

 肥え太るといえば、ここ20年ほど、政策の裏に必ず現れ、それを商売に利用してきた“政商”の存在もチラついている。あの竹中平蔵氏が、この一大国家事業にノータッチであるわけはもちろんない。

 竹中氏がかねてデジタル政策を推進し、かつて総務大臣―副大臣と上司―部下の関係にあった菅義偉総理(当時)にもデジタル庁設立をアドバイスしたのは知られた話。

 竹中氏自身、ここ10年で政府の「産業競争力会議」「未来投資会議」「成長戦略会議」のメンバーを歴任。岸田政権においても「デジタル田園都市国家構想実現会議」の構成員の一人であるが、これらは皆、マイナ政策を推進してきた会議体なのである。

 一方で、竹中氏は昨年8月に退任するまでの14年間、大手人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長の座に就いていたのもまた知られた事実。

 パソナのHPを見ると、事業のひとつに「官公庁・自治体向け業務委託サービス」を挙げ、「国の政策に関連して緊急的または臨時的に発生する大規模アウトソーシング」を引き受けると説明し、〈マイナンバーカード交付業務をはじめ、多数の受託実績を有しております〉と記している。要は、自治体がマイナ事業に取り組む際、人手不足を補うために外部に委託する「コールセンター」や「通知カード返戻対応」「個人番号カード交付通知書発送」などの業務を受注しているのだ。

パソナ

パソナ(他の写真を見る

3年間で2億4千万円

 ではこの事業で、彼らは一体、どれだけ潤っているのか。

 同社に聞くと、

「個別案件ごとの開示を行っていないため、回答を差し控えさせていただきます」

 と詳細は明かさないが、

「当市には六つの区役所と市民センターが一つありますが、その窓口業務の一部をパソナに委託しています」

 と言うのは、千葉市の区政推進課だ。

「現在20人の派遣を受けています。業務の内容は申請サポートや必要書類の確認など。最初の契約は一昨年で、以来3年間で計2億4千万円を支払っています」

 これは千葉市1市での額である。もちろん受託しているのは同市だけでないだろうから、やはり川上で政策を進めながら、同時に川下で関連事業を自らの関係先が受注する――竹中氏の振る舞いは「我田引水」と言われても仕方ないのだ。

(後略)

 

 

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3 コメント

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自由貿易は教科書とおりには消費者に利益をもたらさない。 (ロハスな人)
2023-10-07 13:03:03
☆ (新自由主義主義者たちの推進するTPPなどの自由貿易協定において) 少なくともメキシコでは、多国籍大企業に受益が集中する結果、消費者に利益は還元されなかったのです。 >

同様に米韓FTAに於いても『多国籍大企業に受益が集中する結果、消費者に利益は還元されない(むしろ搾取される)』状況になっていることは様々な指標が明らかです。

なお、多国籍企業を動かす人たちは『政界にも多大な影響力』を及ぼし、『格差拡大税制である消費税増税』を強く支持しているのは『経団連の主張』を見ても明らかです。

ロシアや中国では独裁的な権力者が権力を行使しているのが一目瞭然ですが、西側資本主義国では多国籍企業関係者などは『表に出ずに権力を行使している』事実が浮かび上がってきますね。

https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20111121/1321851430
☆自由貿易国メキシコの悲惨な教訓〜カーネギー国際平和財団レポートを検証する
2011-11-21 木走日記 場末の時事評論

◎「自由貿易の最大の受益者は消費者である」(BYグローバル資本)

 経済学者やマスメディアはTPPに関して二言目には経済学の理論から導き出される自由貿易の意義を語るわけですが、これはあくまでも教科書の中だけの話であり、彼らは現実の自由貿易の結果を保障するものではありません。

 リーマンショックしかり、ギリシャ発端の今回のユーロ信用危機しかり、経済学者はだれひとり現実の経済危機の発生を阻止することに成功していません。

 現在の自由貿易の最大の受益者は消費者ではなく多国籍大企業なのであり、競争力のない地場産業は淘汰されるだけであり、地場産業の崩壊を通じて、経済は混乱し失業者が増加し格差は拡大していくのです。


◎ 自由貿易はメキシコにとって結果として不利なものであり、雇用、賃金、労働移動、環境負荷のいずれについても、総合的に見るとマイナスであるという、かなり衝撃的な内容になっています。

 米国からの輸入増はメキシコの農民の生産を圧迫。農民の4割にあたる250万人が離農し、その多くが職を求めて米国へ渡っていきました。

 NAFTAの効果で、移民は減少すると宣伝されていたが、実際には移民は年間20万人から60万人へと急増したのです。

 またメキシコ政府は、輸入の増加は、消費者価格を下げると宣伝しました。

 しかし、かつてはトン当たり100ドル以下で安定していたトウモロコシの国際価格は、石油価格の高騰、穀物投機、気候変動による農業への影響などによって、大きく変動しながら上昇傾向にあります。

 アメリカ産に支配されたメキシコのトウモロコシ価格はもろに穀物価格高を反映、輸入増は、トウモロコシが主食であるメキシコ人にとり、中小の生産者にも消費者にとっても利益をもたらさなかったのです。

 NAFTAによってメキシコは食料を他国に大きく依存した従属国、食料主権を失った国に変貌させてしまったのです。

『  実際の自由貿易が教科書どおり「自由貿易の最大の受益者は消費者である」ことに失敗していることを意味しています。

 少なくともメキシコでは、多国籍大企業に受益が集中する結果、消費者に利益は還元されなかったのです。

 自由貿易は教科書とおりには消費者に利益をもたらさない。』
返信する
Unknown (暗黒大将軍)
2023-10-07 20:28:30
新自由主義は競争によって社会を勝者と敗者に「分断」し、統治しやすい分断状態をもたらした点に於いて、建前の自由市場主義以上に「国家主義」に貢献したと言えるでしょうね

一見政府のミニマム化を志向し、あらゆるレントシーカーやフリーライダーの排除を訴えるこのネオリベという思想が何でムダの塊みたいな「極右」や「歴史修正主義」とこうも相性がいいのか(笑)

分断された社会では「ヒト・モノ・カネ」といったマテリアルが分断の片側でしか流通しなくなります
日米欧では分断の勝者はたいてい右派で、自由市場主義なら右派の勝率が高いってことは制度設計の段階でもうビルトインされてるんですね

負ける畏れのない「公正競争」に勝った後の右派についてくるプレミアムは政治経済の「私物化」ですよね
どんなにムダ遣いでも軍事など自分達の好きなハード面にはドボドボ傾斜配分できるとね
返信する
悪人顔とシカゴ・ボーイズ (津木野宇佐儀)
2023-10-08 02:03:06
今回の記事も「悪人」の顔がずらりと並びましたね(笑)
次の最高裁判事も大企業の犬がなりそうですね(怒)

以前『世界』で宇沢弘文さんと内橋克人さんとの対談の記事で、
宇沢さんが
「自分の研究所に竹中がいたが、共同研究の成果を竹中が勝手に単独で公表し、その盗用の被害者である共同研究者のほうが「剽窃」で相当苦しんだ」
ということをおっしゃっていました。
竹〇って根っからの盗人ですね(怒)

その宇沢さんがシカゴ大学勤務時に、チリのピノチェトのクーデターの報に「シカゴ・ボーイズ=ネオリベ狂」たちが祝杯を挙げていた姿に、こんなところでは子どもを育てられない、と考えて日本に戻ってこれらたそうです。
でも、その日本が今どっぷりとネオリベ漬け…
返信する

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