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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍内閣の消費税還元セール禁止特措法の広告規制は憲法違反 目的と手段の間に合理性なし

2013年05月11日 | 消費税増税反対!

 2013年5月10日、森消費者担当大臣は衆議院経済産業委員会で、消費税還元セールの禁止を盛り込んだ「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」について

「これまでの国会における事務方の答弁はあやふやだったと私も感じている。今回、取りまと めた見解は、国会審議を踏まえ、これまでの答弁の言い方を分かりやすく修正したものだ」

「『3%還元セール』、『全商 品3%値下げ』、『価格据え置きセール』といった宣伝は、消費税という文言を用いておらず、この文言だけが表示されている場合には禁止されない」

と述べ、 消費税を意味していることが客観的に明らかでなければ禁止の対象とならないことを改めて説明しました。


 この消費税還元セールの禁止を盛り込んだ法案を巡っては、消費者庁の担当者が国会での答弁で、「消費税という文言がなくても禁止となる場合がある」という認識 を示したあと、「消費税に言及しない場合には禁止されない」と事実上修正するなど見解が混乱し、政府は8日、正式な見解を取りまとめています。

 問題の還元セール禁止に関する事項は、第3章に記載されています。この章で禁じている行為は次の3つです。

(1)取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
(2)取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示
(3)消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示として内閣府令で定めるもの

 セールの打ち方という問題は、広告規制の問題ですから、基本的人権制約の合憲性判定基準の問題としては、まず経済的自由権の問題になります。この経済的自由の規制という観点で検証する場合、判定の基準になるポイントは判例上次の3点にまとめられます(中小企業という弱者救済目的なので最も緩やかな基準)。

(1)規制の目的が正当性を持つのかどうか
(2)目的と手段との合理性があるか(手段が目的のために役に立つか=合理的関連性があるか)

 さて、あてはめてみると、規制の目的は言うまでもなく大手流通による下請けいじめの阻止・中小企業の保護で、形式的にはこれは誰が考えても正当性があるといえるでしょう。

 しかし、次に手段と目的に合理性があるのかどうかについては、中小企業いじめを禁じた2章は手段と目的がストレートに関連性があります。けれども、3章の広告規制のほうはないのです。


 当然のことながら、広告は消費者に向けて打つものであって、仕入れ先の中小企業向けに打つものではありません。条文の「取引の相手方」は消費者のことです。

 ですから、消費者向けに消費税分をサービスしますという 広告が、直接下請けいじめを意味するわけではないのです。下請けからは消費税分を乗せて仕入れていじめず、スケールメリットや他のコストの削減などによって消費者に提示する売値を引き下げる可能性はあります。

 つまり、消費税を還元と銘打っても中小企業をいじめるとは限らず、消費税還元セールを禁止するという手段をとっても下請けいじめを止めさせるという目的につながらず、目的と手段の間に関連性がないのです。手段が目的の役に立たないのです。

 従って手段と目的に合理性はないのです。したがって、経済的自由の問題としてとらえても違憲です。まして、セールを表現の自由ととらえれば、さらに厳格な違憲審査基準で判断されるので、裁判所ではなおさら違憲ということになるでしょう。

 さらにさかのぼって考えると、さきほど、規制の目的について、「規制の目的は言うまでもなく大手流通による下請けいじめの阻止・中小企業の保護で、形式的にはこれは誰が考えても正当性があるといえるでしょう」と書きました。

 しかし、実際には、消費税を増税するために邪魔をさせないというのが目的でしょう?つまり、消費税増税のイメージを悪くするような「消費税が増税されて大変だから、生活応援のために還元します」等と言わせないというのが真の目的です。この目的に関して、裁判所は形式的に判断しますが、実際には目的にも正当性がないと言えるでしょう。こすからいやり口です。

 そもそも、下請けには消費税を上乗せさせない下請けいじめは今でもあり、全く対策が取られていません。それが輸出戻し税で大企業が大儲けという結果にもなっているのです。安倍内閣はこの問題に関して最悪だった野田民主党以上の消費税増税内閣になってしまいました。

財界が消費税増税押しをした理由 消費税の輸出還付制度=戻し税を使った犯罪発覚

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 以上、論証終わり。この法律を強行突破で成立させたら、いくら修正しても憲法訴訟となっていずれ違憲判決が出ると予言しておきます。もっとも、その時自民党の改憲案が通っていたら「公の秩序または公益」目的の人権制約だから合憲となるかもしれませんが。

 


安倍政権の消費税増税シフトは異様です。

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 政府は8日、消費税増税時の小売業のセールで、禁止される広告や宣伝の表現についての統一見解をまとめた。「消費税 還元」という表現は認めないが、「3%値下げ」や「春の新生活応援セール」など消費税との関連を明示しない宣伝については容認する。規制の線引きを定めた 指針は今秋に示す予定だったが、通常のセールとの線引きが曖昧なままでは、流通業界に混乱が広がりかねないと判断し、統一見解づくりを前倒しした。

 政府は、消費税還元セールの禁止を盛り込んだ消費税率引き上げ時の転嫁特別措置法案を衆院で審議している。今回、法案で還元セールを禁じたのは、スーパーなどが還元分の負担を仕入れ先の中小企業に押しつけるのを防ぎ、増税分の価格転嫁を促す狙いからだ。

 ただ、法案では「消費税」を含まないセールをどこまで禁じるかを明示しておらず、「3%値下げ」などの表示はグレーゾーンとなっていた。このため政府内でも、どこまで許容すべきかの解釈をめぐり混乱が生じた。

発端は、4月24日の衆院経済産業委員会。消費者庁の菅久修一審議官が「消費税という文言を用いていなくても、消費者 が消費税に関連した安売りと認識するものは禁止」と答弁したためだ。指針をとりまとめるはずの消費者庁が、消費増税を連想するセールも制限する考えを示し た波紋は大きく、野党や流通業界から「自由な価格競争を阻む」との反発の声が噴出した。

 流通業界の厳しい批判を受け、消費者庁は「消費税という表記を含まなければ禁止に当たらない」と方針転換した。さらに、還元セール規制の線引きを早期に提示しなければ混乱に拍車をかけかねないと判断し、具体的な禁止事例を早期に統一見解として明示することにした。

 今回、政府がまとめた統一見解に対し、ダイエーの桑原道夫社長は「より現実に即した形で修正されたことは一定の評価ができるが、自由競争であるべきセールを規制する法案には違和感がある」と話している。

消費増税時のセール表現の可否

 宣伝せずに価格据え置き  ○

 3%値下げ           ○

 春の新生活応援セール   ○

 消費税は当店が負担    ×

 消費税率分値引き      ×

 増税相当分をポイント還元 ×

 

消費税還元セール 過度の表示規制は問題だ

2013.5.10 03:13  産経新聞 主張

 的外れで過剰な関与だといえないか。消費税増税時の小売業による広告などの表示をめぐり、政府が統一見解をまとめた。「消費税還元セール」などの直接的な表現は禁じるが、「消費税」という文言を使わなければ容認するという。

 政府は一時、「消費税と明記しなくても、関連した安売り表示は禁止対象となり得る」とし、スーパーなど小売業界が反発していた。規制が実質緩和されたのは一歩前進だが、民間の創意工夫を阻害しないような対策を講じる必要がある。

 重要なのは、消費増税分の転嫁を円滑に進めるため、大手企業による「下請けいじめ」の防止を徹底することだ。こちらにもきちんと監視の目を光らせてほしい。

 来年4月に消費税率が5%から8%にアップし、増税分は仕入れ価格に転嫁されて最終的には消費者が負担する。しかし、大手スーパーなどが立場の弱い中小の納入業者に増税分の価格転嫁を認めない動きも懸念されている。

 国会で審議中の特別措置法案では、こうした大手による中小事業者への買いたたきなど下請けいじめを禁じている。公正取引委員会は違反企業名を公表し、中小の「価格転嫁カルテル」も一時的に容認するという。そのこと自体は妥当な判断だろう。

問題は、法案に「消費税還元」などの広告表示の禁止も盛り込まれたことだ。政府は「納入業者への不当な値下げ圧力を防ぐため」とするが、行政が個別の広告表示を指導するのは行き過ぎだ。厳しい規制で小売り現場がかえって混乱する事態も招きかねない。

 統一見解では、「消費税」と明示しなければ、増税分にあたる「3%値引き」の表現などは認めるとした。これを踏まえて政府は具体的なガイドラインをまとめることにしているが、民間の販売促進行為を必要以上に邪魔しないような柔軟性も持たせるべきだ。

 法案が目指すのは、大手による不正行為を監視し、中小事業者の泣き寝入りを防止することだ。国会答弁では足並みの乱れも見えたが、関係する消費者庁や財務省、経済産業省、公取委などは連携を深めてほしい。

 増税分の価格転嫁では、公取委などに違反行為の通報窓口が設置される。取り締まりの徹底は当然だが、行政組織の肥大化につながらぬよう監視も必要だ。

 

 

消費税還元セール規制

増税分転嫁拒否を防止

 来年4月に消費税率が5%から8%に、2015年10月に10%に引き上げられるのに合わせ、政府は「消費税還元セール」などの宣伝・広告を禁止することを盛り込んだ特別措置法案を国会に提出した。

 流通業界などからは規制強化になるとの批判が強い。このため政府は8日、過剰な規制にならないように広告・宣伝についての統一見解をまとめた。(木引美穂)

  なぜ広告・宣伝を規制するのか。

  消費増税後も商品が値上がりしなければ消費者には喜ばしい。しかし、大手スーパーなどが、立場の弱い中小企業などから買う商品などに増税分の転嫁を拒めば、納入業者には深刻な問題になる。

 実際に1997年4月に消費税率が3%から5%に上がった時には、スーパーなどが「消費税還元セール」を相次いで実施した。その際には増税分を事 実上、納入業者に負担させた例もあったとされる。政府は同様のケースが起きないように注視している。立場の強い企業をけん制する狙いもある。

  規制は価格競争を妨げるのでは。

  政府は規制強化になりかねないとの懸念を踏まえ、統一見解を示した。「消費税還元セール」「消費税は転嫁しない」「消費税率上昇分を値引きする」などの表現は禁止する。一方で、「春の生活応援セール」「3%値下げ」は許容される。

 ただ、いずれも消費増税と関連したセールではないことが前提だ。 

  消費増税に触れない「3%還元セール」は構わないのか。

  「統一見解」では問題かどうか示していない。個別の広告などを踏まえ、消費増税と関連があるかどうかを判断する。また、特措法成立後には消費者庁などが指針を作る。指針でどこまで具体的な基準を示すかも注目される。

(2013年5月9日  読売新聞)

 

消費税還元セール禁止特措法は憲法違反?小売業界の猛反発で早くも政府が譲歩

2013.05.10

「Thinkstock」より
 4月12日に内閣が「消費税還元セール禁止特措法」を国会に提出、イオンの岡田元也社長やユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長から猛反発が出た。それからほぼ2週間後の4月25日、山口俊一財務副大臣が、「単なる『春の応援セール』『3%値下げ』は該当しない」とコメントしたことが全国紙で報じられた。

 この消費税還元セール禁止特措法、正式名称を「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」という。

 国会に提出された法案本文は、全部で7章立てになっていて、第1章には目的とこの法律で使用されている用語の定義などが書かれている。目的はもちろん「消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保すること」である。

 以下、第2章は下請けいじめを禁止する内容になっており、例えば大手スーパーや百貨店が、納入業者に対し、消費税分を上乗せしない金額の仕入価格を強要することはアウトだ。

 問題の還元セール禁止に関する事項は、第3章に記載されている。この章で禁じている行為は次の3つだ。

(1)取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
(2)取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示
(3)消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示として内閣府令で定めるもの

(1)と(2)は、ストレートに消費税分を乗せていない、もしくは消費税分を割り引く、という表現はダメだと言ってる。その上に(3)もあるということは、「ストレートに消費税という言葉を使わない場合でもダメなケースがある」と言っているように読める。

 実際、消費者庁は国会答弁で、消費税との関連が疑われる場合は、消費税の言葉がなくても禁止するという趣旨の発言をしていた。具体的にどういう表 現がNGなのかは内閣府令で決める、ということだったのだが、5月8日、「消費税」の文言を含まなければOKとする、消費者庁など4省庁と公正取引委員会 の統一見解が国会に提出された。早くも政府は譲歩を余儀なくされたのだ。

●手段と目的に整合性なし

そもそもこの法案、憲法違反の疑いがあるのだ。

 憲法学者の渋谷秀樹立教大学大学院法務研究科教授によると、「今回の消費税還元セール禁止特措法が違憲かどうかは、経済的自由の規制という点と、表現の自由の規制という点のどちらから検証しても違憲の可能性が高い」のだそうだ。

 まず経済的自由の規制という観点で検証する場合、判定の基準になるポイントは次の3点だという。

(1)規制の目的が正当性を持つのかどうか
(2)手段と目的との整合性がとれているのかどうか
(3)手段に妥当性があるのかどうか

 規制の目的は言うまでもなく大手流通による下請けいじめの阻止、中小企業の保護である。これは誰が考えても正当性がある。

 次に手段と目的に整合性があるのかどうかだ。中小企業いじめを禁じた2章は手段と目的がストレートに合致する。だが、3章の広告規制のほうは合致 しない。当たり前だが、広告は消費者に向けて打つものであって、仕入れ先の中小企業向けに打つものではない。消費者向けに消費税分をサービスしますという 広告が、直接下請けいじめを意味するわけではない。下請けからは消費税分を乗せて仕入れ、スケールメリットや他のコストの削減などによって消費者に提示す る売値を引き下げる可能性はある。従って手段と目的に整合性はない。

 さらに、広告規制にどこまで効果があるのかという問題もある。直接消費税という言葉を使わなければOKなのかどうかは現段階では不明ながら、単に5%値下げします、8%値下げしますという広告をダメということは、いくらなんでも無理だ。

賢い流通業者は必ず抜け道となる表現を探し出す。従って実効性に乏しい。手段と目的に整合性がないばかりか、手段の妥当性もない」(渋谷教授)というのだ。

●法の抜け道を探す企業

「はつ~かさんじゅうにち5%おっふ」。イオンが毎月、月の後半になると大量に流しているこのテレビCM。5%と聞いて、ああ消費税分ね、とぴんと来る人は少なくないだろうが、まったく気付かない人だっているだろう。従って、この表現を「消費税還元を連想させる表現」だと言い切ることは不可能だろう。

 もう1点の表現の自由の規制という観点でも「広告上の表現は精神的自由の範疇に入るので、よほど詐欺性の高い虚偽の広告ならともかく、そうでなければ自由が原則なので憲法違反となる可能性が高い」(同)という。

 経済的弱者の保護という目的の場合は、経済的活動の自由は政府の裁量である程度規制することが許される。だが、精神的自由に関しては原則自由というのが憲法の考え方だ。

 内閣の法案提出に対し猛反発したイオンやユニクロが、この法案に対する対策を何か立てているかというと、両社とも「特に対策は考えていないし検討 しているわけでもない」という。「新聞を読んでいると憲法に違反するらしき法案の国会提出を目にすることがある」(同)というほど、憲法違反が疑われる法 律は少なからずあるようだ。

 憲法違反であってもこの法案は間違いなく成立するだろうし、法案成立後に国会の決議の無効を訴える訴訟を企業が起こすことも、ほぼあり得ない。

 国相手の訴訟はしんどい。訴訟を起こすよりは、法の抜け道を探すほうが格段に楽で、実効性も上がる。今回も企業側はこの法律がザル法であることを先刻承知していただろうが、政府の譲歩によって、抜け道を探す必要性すらなくなった。

 消費税還元セール禁止特措法は、とかくつくり込みのずさんさが指摘されがちな議員立法ではなく、まがりなりにも内閣府が提出した法案だ。にもかか わらず、この結果である。こんなずさんな法案を内閣府が安易に出してしまうところに、早くも自民党の奢りが現れているのではないだろうか。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

 

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1 コメント

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Unknown (フェイタン)
2013-05-11 07:04:18
最終目標は是が非でも物価上昇率2%→念願の消費税10%ってことですかね?
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