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商店街につるされた安全保障関連法案などを批判した垂れ幕。既に自主撤去された=長野市の権堂アーケード
言論の自由、萎縮の3題です。
まず、冒頭の画像はすでに降ろされた垂れ幕です。
長野市中心部の商店街「権堂アーケード」で、ある商店主が、安全保障関連法案などを批判する垂れ幕の付いた七夕飾りを設置したところ、「祭りにふさわしくない」との意見が市などに寄せられ、自主的に撤去したものです。
500メートルの権堂アーケードでは、商店街協同組合主催の七夕祭りが開催され、2015年8月7日まで協賛企業などが作った約100種の飾りがつるされています。
各お店が思い思いの垂れ幕を出すみたい。
この商店主の男性は7月21日、
「戦と書きアンポと読ます」
「わが子も孫も人を殺(あや)める」
などの安保法案への異議など、自ら考えた14種の標語を垂れ幕7本の裏表に書き、つり下げました。
ところが、垂れ幕がツイッターなどで写真付きで拡散したこともあり、
「七夕にふさわしくない政治宣伝。事実をねじまげ宣伝している」
といった批判が長野市に数件寄せられ、市担当者は24日批判があったことを伝え、商店主は同日垂れ幕を撤去しました。
商店主は
「今声を上げなければと思ったが、周囲に迷惑がかかるので撤去した」
と話しているそうです。
長野市は撤去を要請したわけではないと言っていますが、商店街主催の祭りですから、そもそも市がこの商店主に批判がありますよと伝えること自体が余計なお世話であり、事実上の圧力となったことは否定できません。
七夕祭りの短冊としてはかなり思い切っていますが、安倍政権がやろうとしていることが戦争法案ですから、これくらいの反対の意思表示だってあっていいはず。
次は、東京都現代美術館が7月18日から夏休み向けに開催している企画展の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展に出展された作品を改変するよう、美術館と東京都が求めているという問題。
美術家の会田誠さんと妻で美術家の岡田裕子さん、中学2年生の長男の3人は「会田家」としてこの企画展に参加し、白い布に
「文部科学省に物申す」
と毛筆で大きく描かれ、3人が学校生活で感じた不満を訴える「檄文」という作品に対して市民からクレームが寄せられたとしています。
これに対して東京都生活文化局の担当者は
「会田さんの展示全体として小さい子どもにはどうなのかという声が美術館と都側から上がり、展示内容の見直しを要請した」
と説明しています。
また、この作品に加えて会田誠さんが日本国首相に扮し、たどたどしい英語で演説し、日本語字幕が付けられる映像作品「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」も問題視され、音声を消し字幕を外すことが検討されているというのです。
「おとなもこどもも考える」という作品展なのに、安倍政権や文科省の批判をしているからと言って、小さな子供にどうなのかって意味が分かりません。芸術って、時の権力に物申す作品だって当然ありますよ。
まさに、「ここはだれの場所?」って感じ。現代美術館もひどいですが、地方公共団体である東京都が展示内容の変更を求めたら完全に表現の自由侵害で違憲です。
天井からつるされた作品が「檄文」。背後は映像作品「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」=7月24日午後、東京都江東区の東京都現代美術
最後はすでにお伝えしていた、女性自衛官のブログがやっぱり削除されてしまったという話です。
次は、北大西洋条約機構(NATO)に派遣している女性自衛官が在ベルギー日本大使館のホームページ上で公開していたブログの一部が、私の予想とおり削除されました。
この自衛官はブログで、慰安婦を「性奴隷」とする国連報告書をまとめたクマラスワミ氏との会談を
「光栄なこと」
「とても穏やかで徳が感じられる方」
と表現していたのが、自民党国防部会で「軽率だ」と問題にされ、防衛白書まで承認しないという事態に発展していたのです。
中谷防衛相は7月17日、削除理由について、
「クマラスワミ報告書に関する政府の立場との関係で誤解を招く恐れがある」
と説明し、本人の同意を得て、クマラスワミ氏に関するコメントをブログから削除したことを明らかにしました。
クマラスワミ報告の歴史認識が日本政府と相いれないから、その人と会食したことを光栄と書いたら削除させるなんて異常です。
女性自衛官がクマラスワミ氏と昼食に同席できて「光栄なこと」と書いたブログを圧殺する自民党と日テレ。
![]() |
女性に対する暴力をめぐる10年 |
ラディカ・クマラスワミ 著 | |
明石書店 |
国連人権委員会の「女性に対する暴力、その原因と結果に関する特別報告者」であるラディカ・クマラスワミの最終報告書、及び各国を調査した付属文書を収録。国際的、地域的、国家的なレベルでの主要な発展を記録する。
どの問題も、「当局」に告げ口をする人がいて、「当局」が表現した本人に「自主的」に削除・変更を求めるという、実にいやらしい構造の嫌な話になっています。
しかも3つ目のブログの話なんて、政権批判のかけらもないのですが削除させられてしまっています。
社会の至る所で、「お上」の顔色をうかがい、少しでも目立つことをすると叩いて潰すという風潮がまかり通っています。
それが、異論を許さない安倍政権のもとでますます酷くなっていませんか。
こういう言論の自由の萎縮が、戦争さえ可能にしてしまいます。
日本の様な同調圧力の強い社会では、まず、「空気を読まずに異論をはさむ」自由を徹底して擁護していかないといけないと思います。
しかし、実に窮屈な社会だ。
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2015.7.17 14:22 産経新聞
女性自衛官ブログ削除 慰安婦を「性奴隷」と定義のクマラスワミ氏との面会を「光栄」
中谷元(げん)防衛相は17日午前の記者会見で、北大西洋条約機構(NATO)に派遣している女性自衛官が在ベルギー日本大使館のホームページ上で公開していたブログの一部を削除したことを明かした。自衛官はブログで、慰安婦を「性奴隷」とする国連報告書をまとめたクマラスワミ氏との会談を「光栄」とし、「とても穏やかで徳が感じられる方」と表現していた。
中谷氏は削除理由について、「クマラスワミ報告書に関する政府の立場との関係で誤解を招く恐れがある」と説明。本人の同意を得て、クマラスワミ氏に関するコメントをブログから削除したことを明らかにした。
クマラスワミ氏に関するコメントは今年3月12日に公開。歴史認識をめぐり日本政府と相いれない立場を取るクマラスワミ氏をたたえる内容のため、自民党国防部会で「軽率だ」などとする声が挙がっていた。
中谷氏は、女性自衛官に関して「政府として活動を高く評価しており、今後も本人の活動に制約をかける考えはない」と述べた。女性自衛官は今後もブログでの発信を継続する。
クマラスワミ氏が平成8年に国連人権委員会に提出した報告書は、朝鮮半島で女性を強制連行したとする吉田清治氏の虚偽の証言を引用しながら慰安婦を「性奴隷」と定義し、日本政府に法的責任の受け入れや元慰安婦への補償などを勧告している。
朝日新聞が吉田氏の証言を引用した記事の誤報を認めたことを受け、政府は昨年10月、クマラスワミ氏に報告書の一部を修正するよう求めた。クマラスワミ氏は拒否している。
安倍政権が女性自衛官のブログを強制削除! 慰安婦問題報告者のクマラスワミ氏と会食しただけで「反日」と…言論取締りの異常
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防衛省・自衛隊HPより
思わず目を疑うようなニュースが報じられた。政府が北大西洋条約機構(NATO)に派遣されている女性自衛官のブログの一部を削除したのだ。
さらにこの女性自衛官は今年度の防衛白書原案で「活躍する女性自衛官」のひとりとして紹介されていたのだが、これもこのブログが原因で問題になっているらしい。
そのブログとは、在ベルギー日本大使館のホームページで公開していたもの。政府が問題としたのは、この女性自衛官がラディカ・クマラスワミ氏と会食したことを記述したことだった。
すでにお気づきの方も多いと思うが、ラディカ・クマラスワミ氏は、1996年に国連に報告された「クマラスワミ報告」を書いた法律家。この報告書のなかでクマラスワミ氏は、昨年「朝日新聞」問題で焦点となった故・吉田清治氏の著作を引用していることから、政府はクマラスワミ氏に修正を要請している。ようするに政府は、自分たちに都合の悪い人物をブログで取り上げたことに怒っているのである。
しかし、これは異常な話だ。たしかに、この女性自衛官はクマラスワミ氏のことを書いていたが、たんに会食をしたときの様子を書いているだけ。NATOの活動を紹介するブログなのだから、その本部を仕事で訪問したクマラスワミ氏について書くことはいたって普通の話だろう。
政府は、この自衛官がクマラスワミ氏と会食したことを「光栄」と書いたことが問題だと言っているらしいが、クマラスワミ氏は、国連事務次長や国連事務総長特別代表なども歴任してきた要人。そんな相手と会食したことを「光栄」と表現するのは、通常の外交儀礼だろう。
しかも、ブログの文章を読むと、この女性自衛官は「もてなしの気持ちだけでもお伝えしたいとテーブルに星や季節の花の折り紙を置」くと、クマラスワミ氏は「ちゃんと日本の物だと気づ」き、さらには「自分もアジア出身(スリランカ出身)だから、NATOで日本人が勤務していることに親近感を持った。日本にはジェンダー分野で将来アジアを引っ張る立場を期待している」という言葉をかけられたという。そうしたふれあいをもって、女性自衛官は「とても穏やかで徳が感じられる方」と、素直な感想を述べているだけである。このブログの文章に、政治的な記述など見当たらないのだ。
、政府が目の敵にしている「クマラスワミ報告」にしたって、例の吉田証言を取り上げているのはたった300字。多くの証言のうちのひとつにすぎず、吉田証言を疑問視する秦郁彦氏の話も合わせて紹介している。
そうした国連報告にムキになって修正を求めるだけでなく、「彼女と会った」というだけのブログにまで口を出して削除させるとは、これは「検閲」以外の何物でもない。自民党内部で「大使館ホームページで公開する以上、国際社会からは政府の公式文書とみられる」などという批判があったというが、公式であればなおさら安倍政権の偏執的な歴史修正主義体質を国際社会に印象づけることになるだけだ。国内向けのネトウヨ思考が国際社会でも通用すると本気で思っているのか。NATOの本部も、さぞ、日本はクレイジーだと思っていることだろう。国際的にそういう悪い印象を与えるという想像力も働かないほど、いまの政府はネジが外れているのだ。
だが、政府による“検閲”は、これだけではない。一昨日行われた衆院平和安全法制特別委員会でも、野党は今月始めに防衛省に「イラク復興支援活動」活動状況についての内部文章の開示請求を行ったが、渡されたのは文章のほぼすべてが黒く塗りつぶされたシロモノだったことを訴え、正しい情報開示を求めた。しかし、自民党はこうした追及を「特定秘密保護法」を盾にうやむやにし、強行採決に突入したのだ。
言論弾圧に検閲……。安倍政権の異常性は、今後さらに増幅していくのだろう。
会田誠の展示作品、東京都現代美術館が改変要請 市民からクレーム
会田誠さん作品に改変要請 美術館、子ども向け企画展で
東京都現代美術館(東京都江東区)で開催中の子ども向けの企画展で、現代美術家・会田誠さん一家による文部科学省への批判を書いた作品について、館側が会田さんに改変などを要請していたことが24日、わかった。関係者の話では、子どもにふさわしくないなどとする館側に対し、会田さん側からは現状のまま展示できない場合、撤去もありえるとの考えも示されたという。
天井からつるされた作品が「檄文」。背後は映像作品「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」=24日午後、東京都江東区の東京都現代美術館
企画展は18日に始まった「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展。夏休み向けに館が企画、4組の作家が参加している。
会田さんは、妻の現代美術家岡田裕子さん、中学生の長男と「会田家」として参加。3人が学校生活で感じた不満などを、白い布に毛筆で「文部科学省に物申す」と大書し、「もっと教師を増やせ」「教科書検定意味あんのかよ」などと訴える「檄文(げきぶん)」という作品を展示していた。これに対して、市民からクレームが寄せられたという。
都生活文化局の担当者は「会田さんの展示全体として小さい子どもにはどうなのかという声が美術館と都側から上がり、展示内容の見直しを要請した」としている。
また、会田さん自身が首相に扮し、たどたどしい英語で演説する映像作品「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」も、問題視され、日本語字幕を外すことも検討されているという。(丸山ひかり)
(朝日新聞デジタル 2015年7月25日05時30分)
文科省や安倍首相に批判的な会田誠一家の作品を東京都現代美術館が改変要請、市民からのクレームを理由に
Photo by tedxtokyo
美術家の会田誠さん一家が東京都現代美術館の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展に出展した作品に美術館と東京都が改変を要請し、大炎上しています。
問題となっているのは東京都現代美術館が7月18日から夏休み向けに開催している企画展の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展に出展された作品。
美術家の会田誠さんと妻で美術家の岡田裕子さん、中学2年生の長男の3人は「会田家」としてこの企画展に参加。白い布に「文部科学省に物申す」と毛筆で大きく描かれ、3人が学校生活で感じた不満を訴える「檄文」という作品に対して市民からクレームが寄せられたとしています。
これに対して都生活文化局の担当者は「会田さんの展示全体として小さい子どもにはどうなのかという声が美術館と都側から上がり、展示内容の見直しを要請した」と説明。
また、この作品に加えて会田誠さんが日本国首相に扮し、たどたどしい英語で演説し、日本語字幕が付けられる映像作品「国際会議で演説をする日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」も問題視され、音声を消し字幕を外すことが検討されているとのこと。
せっかくの「おとなもこどもも考える」ための展覧会であるにも関わらず、東京都と美術館で勝手に考えた挙句、芸術作品に対して「内容の見直しを要請」したことには唖然とせざるを得ません。「ここはだれの場所?」なのか、見直しを要請した都と美術館には明確に回答していただきたいもの。
芸術作品が政府や官僚組織に対して批判的であることは古来全く不思議ではありません。地方自治体のみならず美術館からも改変を要請されているという状況はまさに異常。美術館の自殺であると言われてもおかしくありません。
この対応についてネット上では各方面から激しい批判が噴出しており大炎上中。
会田誠さん側は現状のままでの展示ができなければ撤去もあり得るとして修正には応じない構えを見せています。
毎日新聞 2015年07月25日 11時03分(最終更新 07月25日 12時46分)
長野市中心部の商店街「権堂アーケード」で、商店主が、安全保障関連法案などを批判する垂れ幕の付いた七夕飾りを設置したところ、「祭りにふさわしくない」との意見が市などに寄せられ、自主的に撤去したことが分かった。商店主の50代男性は「今声を上げなければと思ったが、周囲に迷惑がかかるので撤去した」と話している。
500メートルの権堂アーケードでは、商店街協同組合主催の七夕祭りが開催され、8月7日まで協賛企業などが作った約100種の飾りがつるされている。
商店主の男性は21日、「戦と書きアンポと読ます」「わが子も孫も人を殺(あや)める」と安保法案への異議など、自ら考えた14種の標語を垂れ幕7本の裏表に書き、つり下げた。垂れ幕がツイッターなどで写真付きで拡散したこともあり、「七夕にふさわしくない政治宣伝。事実をねじまげ宣伝している」といった批判が市に数件寄せられた。市担当者は24日、批判があったことを伝え、商店主は同日、垂れ幕を撤去。市産業政策課は「市として撤去を要望したことはなく報告しただけ」と説明している。【巽賢司】
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右派による表現規制も、左派による表現規制(ヘイトスピーチ)も、ダメなものはダメだと。
「あぁ、いつもの宮武節が戻ってきたな」と安心すると同時に、この前の運動論(個別は良いけど、集団はダメ)は何だったのかと自問自答しながら考えています。
僕も店主の立場なら、間違いなく、もっと過激に表現してたと思います。
比較の問題ではないのですよ。北朝鮮よりはましだからいいとか、中国よりは自由だからいいとか、そういう問題ではないのですよ。自分他D地に物申す権利がきちんとあるかどうかの問題であって、そこをあやふやにして「まあいいじゃん、どこどこの国よりはまだましだ」と言ってるうちに手遅れになるのです。
確かに、安倍政権批判さえしなければ自由ですね。
まるでサウジアラビアだ。
だんまりを決め込むんだから
市井からあげるしかないだろ
成る程、茹で蛙理論のこともご存知ないのですね。