
大阪市が解体されて、5つの特別区になると、各区では処理しきれない事務を担う一部事務組合が設置されることになります。
事務組合とは聞きなれない言葉ですが、これは主に山間部の町村に見られる組織で、ごみ処理や消防など小さな自治体単独では担えない仕事を担う仕組みです。
これまでの大阪市は広く大きいので大阪市役所はそれに対応する機能を持っていましたが、大阪「都」構想では大阪市を廃止して無理にバラバラにするので、一部事務組合という組織を作らざるを得なくなってしまいました。
実はへんてこな名前ですが、この事務組合も地方自治体でして、二重行政解消をうたい文句にしている大阪「都」構想なのに、実際には大阪府、一部事務組合、5つの特別区という3重行政になります。
しかも、一部事務組合にも議会が作られますし、5つの特別区のうち3つは区議会をこれから立てないといけませんし、職員も雇わないといけません。その初期費用は650億円、毎年かかるランニングコストは20億円で、大阪「都」構想は完全な赤字です。
これのどこが行政の無駄をなくす、なんでしょうか。
橋下維新の会が二重行政でかぶってると言っているのは、両方とも必要なものばかり。
さて、一部事務組合は各特別区には担えない、大阪市役所の多くの仕事を担わされることになります。
この記事の最後に列挙したように、一部事務組合が担当する事業数は120を超え、日本最大の事務組合になります。
ちなみに、東京都にも事務組合はありますが、こちらが請け負っている事業数はたったの5つですから、大阪「都」構想で生まれる一部事務組合がいかに巨大な組織かがわかります。
また、一部事務組合は独自の自治体になりますが、こちらの議会の議員や「管理者」は各特別区の議員や区長が互選して兼任するので選挙もなく、大阪市役所とは違い特別区民の民意は非常に届きにくいものとなります。
一部事務組合が担当する事務の主なものは、国民健康保険や介護保険、水道、住民情報システム、障がい者や社会的弱者のためのセンター、体育館、学習センター、救急診療所など、市民生活にとって重要なものばかりです。
橋下市長は大阪「都」構想で住民自治が促進されるなどと言っていますが、実際には住民が間接的にしか意思を反映しえない大組織が大切な住民サービスを行うことになってしまい、住民自治に真っ向から逆行するシステムになっているのです。
毎度毎度すみませんが、これでも大阪「都」構想に賛成しますか?
関連記事
「大阪都構想」の嘘1 住民投票可決でも大阪は「都」になれない。大阪「都」構想とはずばり大阪市の解体だ
大阪「都」構想の嘘2 二重行政解消の嘘1 大阪市を解体・廃止しても「財政効果なんて意味ない」程度
大阪市を解体→5つの特別区にすると、議員数・財源・権限が減って住民自治は村以下に! 「都」構想の嘘3
大阪「都」構想の嘘4 神奈川県と「かぶる」(二重行政)から横浜市を解体する横浜市民おんのかいな?
日本最大の政令指定都市大阪市を解体・廃止すると、権限と財源がこんなに奪われる 大阪「都」構想の嘘5
最近、橋下維新支持者の方がとんとコメントなさいませんが、上の記事のどれでもいいので、遠慮なく反論にいらしてください。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
以下が、大阪市から一部事務組合にわたってしまう仕事です(特別区設置協定書のp232~233より)。
①事業
国民健康保険事業、介護保険事業、水道及び 工業用水道事業②システム管理
住民情報系7システム〔 住民情報系7システム〔 住民基本台帳等システム、戸籍情報税務事 住民基本台帳等システム、戸籍情報税務事 住民基本台帳等システム、戸籍情報税務事 務システム、総合福祉国民健康保険等介護統合基盤・ネットワークシステム 〕等
③施設管理
<福祉施設>
・児童自立支援施設(大阪市阿武山学園)
・情緒障がい 児短期治療施設(大阪市立童院・弘済のぞみ園)
・児童養護施設
(大阪市立入舟寮・弘済みらい園 ・大阪市立長谷川羽曳野学園 )
・母子生活支援施設
(大阪市立北さくら園・東南)
・母子福祉施設(大阪市立愛光会館)
・保護施設
(大阪市立淀寮 ・大阪市立淀川寮 ・大阪市立港晴寮 ・大阪市立第2港晴寮)
・大阪市立心身障がい者リハビテー
ションセタ(身体障がい者更生相談所・知的に係る部分を除く。) (身体障がい者更生相談所・知的に係る部分を除く。)
・福祉型障がい児入所施設(大阪市立敷津浦学園)
・福祉型児童発達支援センター
(大阪市立都島こども園 ・大阪市立姫島こども園 ・大阪市立淡路こども園)
・ホームレス自立支援センタ・障がい者就労支援施設(大阪市立千里作業指導所)
・特別養護老人ホーム(大阪市立畑山苑)
・医療保護施設・養老人ホーム特別(大阪市立弘済院)
<市民利用施設>
・青少年野外活動施設(大阪市立信太山センター)
・ユースホテル(大阪市立長居)
・青少年文化創造ステーション(大阪市立セタ)
・児童文化会館(大阪市立こどもセンター)
・障がい者スポーツセンター(大阪市舞洲障がい者スポー ツセンタ・
大阪市長居障がい者スポーツセンタ)
・市民学習センター
(大阪市立総合生涯学習センター・
阿倍野民大阪市立難波民学習センター)
・大阪市中央体育館
・大阪市立プール
・靱庭球場
・女性いきセンター
(大阪市立男女共同参画センター中央館・北部 館・大阪市立男女共同参画センター西部南部館・大阪市立男女共同参画センター東)
<その他>
・急病診療所( 中央急病診療所 ・都島休日急病診療所 ・西九条休日急病診療所 ・ 十三休日急病診療所 ・今里休日急病診療所 ・沢之町休日急病診療所 ・中野休日 急病診療所 )
・大阪市動物管理センター
・キッズプラザ大阪(運営補助)
・斎場( 斎場( 大阪市立北斎場 ・大阪市立小林斎場 ・大阪市立佃斎場 ・大阪市立鶴見斎 大阪市立鶴見斎 場・大阪市立瓜破斎場 ・大阪市立葬祭場 )
・霊園( 泉南メモリアルパーク ・瓜破霊園 ・服部霊園 ・北霊園 ・南霊園 )
④財産管理
・「大阪市未利用地活方針」に基づき処分検討とされた土等の管理
及び処分
・オーク 200 事業の終了に伴い大阪市が引渡しを受けた財産管理及び処分
・大阪市の土地先行取得事業会計に属していた財産管理及び処分
・大阪市が環境施設組合に貸し付けていた財産の管理
議論の優劣はすでに決着してるのに、いつまでこの連載やらないといけないんだろ。はい、住民投票までですよね。わかってます。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
![]() |
大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020) |
藤井聡 | |
文藝春秋 |
ご存知、橋下徹大阪市長の天敵、藤井聡京大教授による大阪市解体反対の最新刊。
![]() |
どうなる大阪: 「都」になれない都構想 |
平松邦夫 | |
せせらぎ出版 |
これもご存じ、橋下維新の会の宿敵、平松邦夫前大阪市長による大阪市解体反対の最新刊。
冨田 宏治、 森 裕之。関西学院大教授らによる大阪解体分析、最新刊。自治体研究社刊。
![]() |
橋下徹 改革者か壊し屋か―大阪都構想のゆくえ (中公新書ラクレ) |
吉富有治 | |
中央公論新社 |
大谷昭宏事務所所属の気鋭のジャーナリストによる橋下ウォッチング最新刊。
2015.5.4 16:59
【大阪都構想】
市の廃止・分割構想は大阪だけ 全国19政令市長回答
大阪都構想を考える民間イベントに出席した、大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事(左)と、自民党の柳本顕大阪市議(左から2人目)。登壇時間はずらしており、入れ替わり時には並んで握手したが討論はしなかった=平成27年5月3日、大阪市北区(今村義丈撮影)
大阪市を廃止して五つの特別区に分割する「大阪都構想」の住民投票(17日実施)に先立ち、共同通信社が同市以外の19政令指定都市の市長を対象に4日までに実施したアンケートで、市の廃止・分割の意向があったり検討したりしているとの回答はゼロだった。二重行政の最も有効な解消策を聞いた質問でも、政令市の権限を強化する「特別自治市」と答えた市長15人に対し、廃止・分割はゼロで、市の権限強化を目指す動きが主流であることが浮き彫りになった。
市の廃止・分割への意向を聞いた質問で、「やりたい」「やりたいが、難しい」を選んだ人はともにゼロ。「やりたくはない」が10人だった。
毎日新聞 2014年10月24日 大阪夕刊
土岐恭生・大阪市議(公明)「(大阪都構想で大阪市を)無理に五つの特別区に分けようとするから、わざわざ一部事務組合を設置する必要がある」
橋下徹市長(大阪維新の会代表)「円滑に行政を実行できる。東京の一部事務組合も、もめていることは聞いたことがない」
(22日、市議会本会議)
一部事務組合は2012年度で全国1546団体あり、中小規模の市町村の事務を補完する例が多い。大阪都構想では、大阪府による広域大型事業、特別区が担う身近な住民サービスの他、国民健康保険や介護保険、水道事業などは、特別区が共同運営する一部事務組合が担当する。
松井一郎知事(維新幹事長)は1日の府議会で「自治体単体より経費削減できる」と設置理由を説明した。都構想でできる一部事務組合の歳出規模は約6400億円で、国保事業が約3300億円と半分を占める。今年度の堺市当初予算(全会計約6884億円)に相当し、全国最大規模の一部事務組合になる。
しかし、総務省が「機動的な意思決定ができない」「住民から見えにくい」と指摘するように、一部事務組合自体に課題もある。協定書では、トップである管理者は特別区長の互選、議員の選出は「各区の協議」とされている。全国の一部事務組合の多くもほぼ同様だが、市民の直接選出でないうえ、リコール(解職請求)の制度もない。
「今は市議会だけで決まるのに、(一部事務組合で)意見が一致するのか」(9日の市議会、佐々木哲夫・公明市議)などの疑問に、橋下市長は「一部事務組合の議会は政治的な争いが持ちこまれない」(22日の市議会)と話す。
22日の市議会。土岐市議は「特別区、一部事務組合、大阪府の三重の行政」とも指摘したが、橋下市長は「役割分担できている。事実誤認」と反論した。
「今の府市よりはるかにまし」と将来像を語る橋下市長と松井知事、権限や財政効果など具体的課題を追及する野党、9月議会の論戦は平行線をたどり、27日に協定書議案の採決を迎える。(連載は山下貴史と重石岳史が担当しました)
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
○要するに大阪府が大阪市から財源と権限を奪う事が目的なんだから、もっともらしく特別区の区役所やら区議会の建物なんか作らずに、全て今の大阪市役所の建物の中に収まるようにすりゃいいんですよ。
○そしてこれまでの区役所はその「全部事務組合」の支所ということにすればいい訳でしょう。
○そうすりゃ全然お金掛りませんよ。せいぜい名称の変更だけで済みますからね。
大阪市→大阪府下特別区事務組合
大阪市長→組合長
区役所→特別区
市会で採決しなおしたら、できますな(笑)
でも、予算が無いんじゃなあ~。
●-自治総研通巻415号 2013年5月号-●
廃棄物行政のあり方に関する考察
― 廃棄物関連一部事務組合を中心に ―
鄭 智 允
http://jichisoken.jp/publicatio●n/monthly/JILGO/2013/05/jjung1305.pdf
千葉県議のあみなか肇さんも厳しく追求しています。
http://ameblo.jp/hajime-am●inka/entry-11894031920.html
最近では大田区議の奈須りえさんも来阪され、様々な訴えをして下さるそうです。
https://twi●tter.com/nasurie
(何故かURL貼れないので、お手数ですが、●を外してお読み下さい)