兵庫県の斎藤知事が公職選挙法違反の疑いで告発された問題について、関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した弁護士の橋下徹氏は「法律違反の手前で止まることができなかった」斎藤知事の姿勢に問題があると指摘しました。


■「アメリカ大統領選が他人事ではない」西宮でも進む「分断」

番組コメンテーターの元プロテニスプレイヤーの沢松奈生子氏は、地元、西宮市での”お茶の話題”は「斎藤知事一色」だとしたうえで、友人の間でも意見が割れ、穏やかな日常が失われていると指摘します。

【沢松奈生子氏】「もう友人との会話もアメリカ大統領選挙みたい。兵庫県民は分断してるんです。『私は斎藤さんが正しいと思う、だまされてはる』という友達もいれば、『いや、そんなね、冷静に考えてみいや』ていう友人もいる。本当に1つ言わせてほしいのは、この1年、兵庫県民は穏やかにお茶できないんです!アメリカ大統領選みてて他人事とは思えない」

「兵庫県民はいつになったら穏やかにお茶ができるようになるの橋下さん?」


■橋下氏「政治家時代の8年間で家宅捜索なんて受けたことない」

これに対し橋下氏は斎藤知事の特徴として「法律に違反していなければ問題ないという姿勢」があると指摘します。

【橋下徹氏】「斎藤さんはね、法律に違反してなければいいって一貫してそれなんですよ。でもね、僕ら政治家やってた時に法律に違反するかどうかじゃなくて、ずっとその手前のところでやめとくんです」

「自分の不祥事関係とか、自分の行動が法律違反になるかどうかというときには、法律違反のだいぶ手前のところでやめておきます。僕なんか政治家8年間やってましたけども、関係者が家宅捜索を受けたんなんてないですから」

「公職選挙法なんていうのは、もう違反するのが怖いから斎藤さんみたいなこと絶対しません。PR会社にポスター制作代71万円払ったというけど、そのPR会社の人が自分の選挙をやったら疑われる。だから『来るな」と言っていた」

「斉藤さんは法律違反でなければ問題ないというが、公益通報と処分が一緒に見られそうだったら、処分なんてやめます」

橋下氏は、政治家として法律違反の手前で行動を止めることが「権力者としてのふるまい」だと強調しました。


■捜査は斎藤知事まで及ぶのか?

捜査の進展について、斎藤知事にも及ぶのかについて、橋下氏は次のように指摘します。

【橋下徹氏】「報道によれば、携帯電話の押収も行われたということですし、色んな見積書なんかも押収されたということなので、71万円という金額がどうなのか、何を頼んだのか、ポスター代だけじゃなくて、やっぱり選挙戦略全般について頼んだっていうことが立証されれば、いよいよ斎藤さんの方への捜査ということにもなりかねない」

ただ、橋下氏はすべては「証拠」しだいであり、「証拠がなければ斎藤知事に容疑がかかるわけではない」とも付け加えます。

■告発者側がPR会社社長に寛大な処分求める「刑事手続き上、大問題」

最近の動きとして、斎藤知事らを刑事告発した神戸学院大学の上脇教授らが、神戸地検、兵庫県警にPR会社社長の『寛大な処分』や『起訴猶予』を希望する上申書を提出していたことが明らかになりました。

これについて、橋下氏は刑事手続き上、大いに問題があると強い懸念を示します。

【橋下徹氏】「この上申書が法律違反してるわけではないが、これは刑事手続き上、ものすごい問題です。自白を取る時に利益を与えて、『寛大な処分をするから、起訴猶予にするから、だからしゃべってよっ』て、これ絶対やっちゃいけないんです」

「昔の刑事ドラマでかつ丼を提供して調書とるなんてありましたけど、あれは本当はダメ。利益を与えた見返りにしゃべってもらうことになるから、絶対に自白としてはやってはいけない」

「上申書を出した告発者とPR会社の社長が一体となって『寛大な処分になるから安心してしゃべってね』というメッセージがあったら大問題です」

加藤さゆり・関西テレビデスクの取材に対し上脇教授は「PR会社社長は経緯をしっかりコラムに書いているので告発に至っている。真実を語ってもらえれば、やり直すチャンスがあると思って上申書を提出した。公人である斎藤知事と違って情状酌量の余地はあるし、本人もしゃべりやすくなる」と答えました。

■兵庫県政の混乱はいつ収まるのか

最後に、橋下氏は兵庫県政の混乱がいつまで続くかについて、斎藤知事の態度次第だと指摘しました。

【橋下徹氏】「斎藤さんの態度次第だと思うんですよ。斎藤さんに対して賛否は色々あります。頑張ってもらいたい県政のところもあるんだけど、やっぱり法律違反だからいいって言うんじゃなくて、その手前のところで疑いがあるとか、ちょっと疑問に思われるようなところがあったんだったら、素直にそこは反省して、ここは改めますよっていう姿勢にならない限りは、こういう問題ずっと続くんじゃないかな」

いまだ収まる気配がない兵庫県政の混乱。捜査の進展によっては、「兵庫県民の分断」がますます深まる可能性もありそうです。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年2月12日放送)