Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

被災者生活保護費打ち切り相次ぐ 被災地の生活保護費の全額国庫負担と生活保護制度改革の民主的な議論を!

2011年06月16日 | 生活保護と生存権

冒頭の写真

震災から3カ月。行方不明になった児童の捜索が続く大川小で、地震発生時刻の2時46分に花を供えに来た遺族=宮城県石巻市で2011年6月11日午後2時46分、毎日新聞 梅田麻衣子撮影

 


東電に対して超甘い救済策が検討されている一方で、もともと生活が困窮していたからこそ生活保護を受けていて、さらに津波・地震・原発事故のトリプルパンチを受けた被災者の方々へのむごい仕打ちが始まっています。


 福島県の南相馬市で生活保護を受けていた世帯のうち、合わせておよそ150世帯が震災の義援金や、原発事故の仮払い補償金を収入と見なされて、生活保護を打ち切られていたことが分かりました。

 

厚生労働省は、一時的配分金については一括して柔軟に収入認定除外することを求める通知を自ら出しておきながら、今回の生活保護受給打ち切りを問題なしとしていますが、これは全国での生活保護受給水準の劣化を意図した物でしょう。

 

日弁連は、昨日、「被災地の生活保護費の全額国庫負担と、生活保護制度改革の民主的な議論を求める会長声明」を発表しました。
保護の急増による財政負担を嫌い、国と地方はわずか2ヶ月間の密室協議で8月には生活保護制度の抜本改革案を提案しています。

 
全国の生活保護生活者の意見も、被災地の意見も聞かず、生活保護制度への抜本的改悪が密室で短期間のうちに行われる一方で、被災地の現場では、すでに生活保護打ち切りの動きが拡大しています。

今や「最初で最後のセーフティネット」となった生活保護制度を切り、縮めようとする、こうした動きを押しとどめる必要があります。
みなさん、情報が入り次第お教えください。
 

大槌中央公民館では震災から3カ月が経っても多くの被災者が暮らしている=岩手県大槌町で2011年6月11日午後6時46分、毎日新聞小出洋平撮影

 



よろしかったらクリックお願いいたします

http://blog.with2.net/link.php?1197203

人気ブログランキングへ

 


 

 

仮設住宅の近くの道路沿いで作業する被災者ら=宮城県岩沼市で2011年6月11日午前10時2分、小林洋子撮影

 

 


被災地の生活保護費の全額国庫負担と、生活保護制度改革の民主的な議論を求める会長声明

厳しい雇用情勢の影響で生活保護受給者が急増している中、厚生労働省は、保護費の抑制を目的として生活保護制度の本格的な見直しに着手したと報道されている。本年5月30日には、厚生労働省政務三役と地方団体(知事会、市長会、町村会)の代表者が出席して、「生活保護制度に関する国と地方の協議」が開催された。

報道によれば、平松大阪市長が生活保護費の全額国庫負担を強く求めたのに対し、細川厚生労働大臣が、東日本大震災の被災地では仕事も家も失った人たちが生活保護を申請するケースが相次ぐという見通しを示したうえで、①就労・自立支援の強化、②医療・住宅扶助の適正化、③不正受給防止、④「第2のセーフティネット」と生活保護との関係整理の4つの検討課題を提示したとされており、保護費の全額国庫負担を検討課題に挙げていない。

ところで、被災地の福島県や宮城県においては、本年5月2日付け厚生労働省社会・援護局保護課長通知「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」に反する独自運用で義援金等を収入認定するなどして生活保護を打ち切る例が相次いでおり、今後同様の動きが他の被災地にも広がることが懸念されている。被災者支援を言うのであれば、保護費を削減するための制度改革ではなく、前記のような通知に反する運用の是正指導を徹底するとともに、被災地の財政負担を軽減するため、国家責任の原理(憲法25条、生活保護法1条)を貫徹し、当面、被災地に限定した保護費の全額国庫負担を緊急に実現することこそが求められている。

また、
同「協議」の開催はわずか1週間前に明らかにされ、非公開で実施されており、その法的位置づけや開催方法などの手続が極めて不透明であるという重大な問題がある。生活保護制度は、最後のセーフティネットとして市民の生存を支える極めて重要な制度であり、その抜本改革に向けた議論は、生活保護利用者、その支援者や弁護士、学識経験者の参加のもと、公開の場で民主的に行われるべきである。

当連合会は、国に対し、被災自治体の通知に反する運用の是正指導の徹底と被災地に限定した保護費の全額国庫負担を緊急に実現することを求める。また、前記「協議」の開催に強い懸念を表明し、生活保護制度の改革に関する議論は、市民参加のもと、公開の場において慎重に行うよう強く求めるものである。


2011年(平成23年)6月15日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

 


 

 

義援金などで生活保護打ち切り

6月16日9時14分 NHK

福島県の南相馬市で生活保護を受けていた世帯のうち、合わせておよそ150世帯が震災の義援金や、原発事故の仮払い補償金を収入と見なされて、生活保護を打ち切られていたことが分かりました。

生活保護は、受給者に収入があれば減額されたり打ち切られたりします。厚生労働省では、震災の義援金や東京電力福島第一原子力発電所の事故の仮払い補償金を受け取った場合、その世帯の自立のために生活用品などの購入にあてる金額などは収入としないものの、総額が自立のためにかかる費用を上回った場合は、それ以上の金額を収入と見なすことを先月、各地の自治体に通知していました。この通知に従って南相馬市では、市内で生活保護を受けている400世帯余りのうち、これまでにおよそ150世帯について、今月から生活保護費の支給を打ち切ったということです。また、いわき市でも、東京電力から仮払い金を受け取った2世帯について、今月から支給を打ち切ったということです。南相馬市やいわき市では「手持ちのお金がなくなった場合は申し出てほしい」と話しています。

 

 

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、生活保護を受給していた福島県南相馬市といわき市の約150世帯が、同社から受け取った仮払い補償金を「収入」とみなされ、生活保護を打ち切られたことがわかった。

 厚生労働省の指針に基づいて両市が判断した。補償金を受け取ることができる生活保護受給世帯は同県内で約620世帯あるとみられ、補償金の申請は現在も受け付けていることから、今後も同様のケースが出る可能性がある。関係者からは制度の改善が必要との指摘も聞かれる。

 福島県の被災者の場合、日本赤十字社などの義援金のほかに、福島第一原発から30キロ圏内と計画的避難区域の世帯は一律に、東電の仮払い補償金(1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円)を受け取ることができる。

 南相馬市の生活保護受給世帯のうち、同圏内にあって補償金を受け取ることができるのは約320世帯。同市は、「自立更生に充てられる額」を計算した書類を提出するよう受給世帯に要請。各世帯が通常の生活を送るのに必要な金額を考慮し、被災状況や家族構成なども加味して審査した結果、補償金を受け取った約150世帯の生活保護を打ち切ることを今月1日に決めた。ほかは審査中。市は「『補償金は見舞金と思っていた。なぜ収入とされるのか』との声もあったが、『手持ち金がなくなれば生活保護を再申請できる』と説明し、納得してもらった」としている。

 いわき市も今月1日、20世帯のうち、審査中を除く2世帯について打ち切りを決め、今月分から支給されなくなった。

2011年6月16日03時04分 読売新聞)
 
 

 生活保護受給者が増え続け、二百万人を超える中、制度の見直しに向け、厚生労働省と地方自治体の協議が始まった。働く能力がある受給者への就労支援強化を中心に検討される見通し。膨らみ続ける保護費の負担を圧縮したい地方の思惑も浮かび上がる。貧困問題に取り組む団体は給付の制限につながることを懸念、「当事者の意見を聴くべきだ」と批判の声を上げている。 (稲田雅文)

 「(働ける人については)本来、雇用・労働施策で対応すべきだ。稼働可能層まで生活保護で支えていることが問題だ」。五月三十日に厚労省で開いた国と地方の協議の初会合。全国最多の十五万人の受給者を抱える大阪市の平松邦夫市長はこう強調した。

 稼働可能層とは、主に失業した現役世代の受給者を指す。ここ数年で急増し、三月には二十四万四千世帯と、二〇〇八年のリーマン・ショック前の二倍に増えた。保護費の25%は地方が負担。受給者増は自治体財政を圧迫している。

 平松市長は、働ける人には期間を定めて就労支援を集中的に実施し、就労できない場合は、自立支援の一環として、ボランティアへの参加を義務付けるなど、方策を提案。石川県の谷本正憲知事も、期限付きの就労支援プログラムの重点実施を促した。

 こうした協議が開かれるのは〇五年、〇九年に次いで三回目。地方側の要望で開催が決まったのは今回が初めてだ。

 早期に自立できるような就労支援施策の充実が議論の中心になる見込み。三・四兆円の保護費のうち一・五兆円を占める医療扶助については、自己負担の導入による適正化を検討するなど、給付抑制に主眼が置かれそうだ。今後は事務レベルでの検討が進められ、八月に具体案がまとまる。

      ◇

 「(期限が設けられた場合)もしかしたら自分は路上に出なければならないのかと絶望を感じます」。埼玉県で生活保護を受ける男性(56)は、支援者が同日に省内で開いた記者会見で不安な胸の内を語った。

 男性は、二日に一度はハローワークで職探しをするが、仕事は見つからない。三、四時間探して、やっと企業に一本電話ができるかどうか。面接にすらたどり着けないという。

 生活保護受給者の増加は、非正規労働者の増加と景気の悪化などが主な原因。再就職したくてもできない現実があるのに、財源論で給付の制限を議論する国や地方自治体の姿勢を批判する声が上がる。

 受給者を支援する全国の五十三団体は、今回の協議に抗議し、当事者の声を聴くよう求める申し入れ書を同省に提出した。協議が一般には非公開で実施されることに対しても、日弁連が十五日、民主的な議論を求める会長声明を出している。

 申し入れ団体の一つ、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の稲葉剛理事長は「生活保護制度を見直すのは、受給者の生活に直結する重大な問題。生存権の保障という制度の理念を守り、当事者の声を聴くべきだ」と訴える。

 生活保護問題対策全国会議の事務局長を務める小久保哲郎弁護士は「東日本大震災が雇用情勢悪化に追い打ちをかける中、生活保護を制限するような不合理な改革をしたら、受給者の中から死人が出かねない」と警鐘を鳴らす。

 

 

生活保護「廃止」相次ぐ 義援金・補償金は“収入”

2011.6.16 20:52 産経新聞

 東日本大震災の義援金や東京電力福島第1原発事故による仮払い補償金を受け取った福島県南相馬市などの約150世帯が生活保護を打ち切られていたことが16日、分かった。自治体側は厚生労働省の通知に従って補償金などを「収入」とみなし、減額や廃止を決めたという。

 生活保護は受給者に収入があれば減額や廃止の対象になる。厚労省は5月、補償金や義援金の受け取った総額が、生活用品などの生活再建費用などを上回った場合、その分を「収入」とみなす-などとする通知を各自治体に送った。

 南相馬市では、義援金や補償金が支給された世帯の対象者と面談。再建費用を差し引いた補償金・義援金の額が、6カ月分の生活保護費を上回るなどした約150世帯について、生活保護を打ち切った。

 対象者の了解を得たうえで、同時に補償金などが底をついた際の生活保護の再開についても説明したという。このほか、楢葉町の5世帯と、いわき市でも2世帯で支給が打ち切られた。

 ただ、補償金や義援金を「収入」と位置づけ、生活保護を打ち切ることに、被災者からは不安や不満の声も上がっている。南相馬市のNPO法人「あさがお」では、施設に入居する障害者数人が生活保護を打ち切られた。入居者は生活保護から家賃や通院費、生活費を工面しており、施設職員は「震災や原発事故で通っている病院も遠くなった。入居者の精神的、金銭的な負担も増しており、義援金などが収入にあたるのか疑問だ」と話す。

 厚労省は事務手続きが被災者の負担にならないように求めており、南相馬市では「手持ち金がなくなれば生活保護を再申請できると説明している。その際の手続きの簡略化も含め、元受給者には納得してもらっている」と説明している。

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Let's try again 司法試験現... | トップ | 内部被曝の恐怖29 放射性... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

生活保護と生存権」カテゴリの最新記事