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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

野田・オバマ日米首脳会談はわずか35分の儀式 普天間基地移設問題に中途半端な「結果」は必要ない

2011年09月22日 | 沖縄差別の解消と基地問題


 

 日米首脳会談はたった35分間。

 オバマ大統領は冒頭、「日本は最も緊密な友好国、同盟国の一つだ。同盟を21世紀にふさわしいものに近代化していきたい」と言ってくれたのだそうですが、これがリップサービスなのは会談時間の短さが物語っています。

 通訳の翻訳時間を除けば10数分というこの短い間に、野田首相がトモダチ作戦に感謝し、オバマ大統領に普天間基地問題に釘を刺されたほか

世界経済、北朝鮮核開発問題・拉致問題、牛肉輸入問題、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題、国際結婚が破綻した場合の親権問題に関するハーグ条約

について「話した」というのですから、本当かなあと言うか、話し合ったというよりも、アメリカの要求項目の目次を並べただけに過ぎません。


 これは、日米恒例の首相襲名披露の儀式ですね。

 まあ、野田さんだけの罪ではなくて、5年で6人も総理大臣が替わったのですから無理もないのですが、はっきり言って、アメリカに全く期待されていない感じがします。


 普天間問題について、首相は「日米合意にのっとり、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の理解を得られるよう全力を尽くしていく」と強調しましたが、オバマ大統領は

 「結果を見いだすべき時期に近づいている。これからの進展に期待している」

と踏み込んだと言うことです。

 これを、大統領が「結果」を求めたことで日本政府は厳しい立場に立たされた、日本は自民党時代から民主党に引き継がれた日米合意に基づいて、普天間基地の辺野古移設を進めなければならないと報道しているマスコミが多いようです。

 さらには、「辺野古移設が実現しなければ普天間が固定化する」ぞと脅しをかけている社さえあります。



  しかし、オバマさんが大統領再選に向けて焦っているのはわかりますが、はっきり言って無理なものは無理です。

  同じく渡米している仲井間沖縄県知事は

「(米軍は)銃剣と ブルドーザーで基地をつくった。(日本政府も)銃剣とブルドーザーでやりますかということになってしまう」

とまで述べ、移転手続きを進めようとする日米両政府を批判しているのですから。


 辺野古移設に地元沖縄県の理解が得られる見通しがなく不可能であり、県外移設はなおさら不可能である以上、野田首相が責任を持って言えることは、

「普天間基地はグアムに持っていってもらうしかない。そうでなければ基地は閉鎖して、廃絶してもらいたい」

ということだけです。

 それとも、沖縄県の人々を天安門事件の中国の人々のように押しつぶして基地を作ろうとでも言うのでしょうか。

 美しい辺野古の海を埋め立てて基地にするというのがもともと間違っていたのです。


 そもそも、国土の0・6%にすぎない沖縄に在日米軍専用施設の74%(面積)が集中している現状は「沖縄差別」としかいいようがありません。

 また、普天間基地は市街地のど真ん中にあって事故が多発しており、「世界で一番危険な基地」と言われています。

 日本にいる海兵隊は侵略部隊である上に若い兵士が多くてあらっぽく、沖縄県民を苦しめる事件を多数起こしています。

 

普天間基地撤去・廃絶を 辺野古移設の現行案は達成不可能 米国上院軍事委員会 米海兵隊は日本に要らない!


 普天間基地を使っているのは「米国緊急展開部」=侵略部隊の海兵隊です。日米安保を日本の防衛のために維持するとしても、海兵隊はアメリカの都合で日本にいるだけであって、日本国民の安全保障のためにはいらないのです。

玄葉外相「沖縄に向き合う」なら普天間基地は辺野古移設でなく廃絶を!

 他方、普天間飛行場の面積はわずか480ヘクタールにすぎません。アメリカ政府はグアムに十分受け入れることが出来るのです。日本政府がその気になれば県内移設抜きの返還はきっと実現できるのです。

玄葉外相 クリントン国務長官に普天間基地の辺野古移設を早くも約束 もう沖縄差別はやめよう


 これで野田首相がまともな成果も上げずに、国連総会で、「来年の夏には原発再稼働!」などと演説してきた日には、沖縄の県民だけではなく、日本国民は踏んだり蹴ったりです。

 ある意味、ドキドキしています。


 

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オバマ米大統領(右)と会談する野田佳彦首相=ニューヨークの国連本部で2011年9月21日、AP
オバマ米大統領(右)と会談する野田佳彦首相=ニューヨークの国連本部で2011年9月21日、AP

 【ニューヨーク高塚保】野田佳彦首相は21日午後(日本時間22日未明)、ニューヨークの国連本部でオバマ米大統領と初めて会談した。米軍普天間 飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、首相は同県名護市辺野古に移す昨年5月の日米合意の履行に全力を尽くすと表明したが、大統領は「結果を求め る時期が近い」と述べ、進展に向けて日本側の努力を強く求めた。両首脳は日米同盟をより深化させることで合意。世界経済の安定に向け、両国が連携すること でも一致した。

 会談は約35分間。オバマ大統領は冒頭、「日本は最も緊密な友好国、同盟国の一つだ。同盟を21世紀にふさわしいものに近代化していきたい」と訴えた。

首相は「日米同盟は日本外交の基軸だとの信念を持っているが、(東日本大震災への支援で)その信念が改めて揺るぎない信念になった」と応じた。

 普天間問題について、首相は「日米合意にのっとり、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の理解を得られるよう全力を尽くしていく」と強調。大統領は 「これからの進展に期待している」と述べ、事態の打開を促した。辺野古移設に地元の理解が得られる見通しがない中、大統領が「結果」を求めたことで日本政 府は厳しい立場に立たされた。

 また首相は、米軍による被災地支援「トモダチ作戦」に謝意を表明し、大統領は震災復興に今後とも全面協力する考えを示した。

 北朝鮮の核開発問題では、日米韓の連携を維持し、南北間や米朝間の対話を注視していくことを確認した。拉致問題については、首相は引き続き米側の協力を求めた。

 経済問題では、世界経済の後退懸念が強まる中、日米双方が経済成長と財政健全化を両立させる必要があるとの認識で一致した。

 米国産牛肉への日本の輸入制限に関し、大統領は「進展が必要だ」と緩和を要求。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)では、首相は「議論を積み 重ね、できるだけ早い時期に結論を出したい」と述べ、大統領は「(日本が)議論していることを歓迎している」と期待感を示した。

 首相は会談後、ニューヨーク市内のホテルで記者団に「個人的な信頼関係を築く、いいスタートが切れたと思う」と語った。

 会談には、玄葉光一郎外相、クリントン国務長官、ガイトナー財務長官らが同席した。

毎日新聞 2011年9月22日 10時46分(最終更新 9月22日 12時26分)

 

「銃剣とブルドーザーの強行と同じ」=辺野古移設に反対-沖縄知事

  【ワシントン時事】訪米中の仲井真弘多沖縄県知事は20日、ワシントン市内で記者会見し、日米両政府が進める米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名 護市辺野古への移設計画について、沖縄県全体が反対していると指摘し、「(米軍は)銃剣とブルドーザーで基地をつくった。(日本政府も)銃剣とブルドー ザーでやりますかということになってしまう」と述べ、移転手続きを進めようとする日米両政府を批判した。
 日米合意に基づく辺野古への移設を確認するとみられる日米首脳会談を前にけん制した形だ。
 知事は「沖縄の地域住民、県知事、首長を含めて反対の態度を取っているものを実行できるのか」と述べた。さらに、沖縄の人々が納得できる説明がなければ実行は非常に難しく、強行すれば住民感情を悪化させると指摘した。 
 また、「日米同盟は重要で沖縄も応分の負担はすべきだが、基地が沖縄に過剰に集中しており改善すべきだ」と主張。住宅過密地帯にある普天間飛行場について、東京でいえば日比谷公園が基地のようなものだとも語った。
 その上で、「辺野古への代替施設建設が完了するまでには恐らくものすごい時間がかかり、現実的ではない」と指摘し、「もっと早く実現するであろう他の日本の地域に移すことを強く両政府に希望している」と語った。(時事通信 2011/09/21-12:29)

 

 

沖縄タイムス社説

普天間基地問題 構造的差別を断ち切れ

2011年9月22日 09時14分  

 ニューヨークでクリントン国務長官と会談した玄葉光一郎外相は「推進」と言い、ワシントンで講演した地元沖縄の仲井真弘多知事は「反対」を主張する。実に「異様な光景」だ。

 米軍普天間飛行場の移設問題で仲井真知事は、県議会与野党、市町村長がこぞって辺野古移設に反対していることを強調した。

 県知事がわざわざ米国に出向き、「沖縄の総意」を伝えたにもかかわらず、日本の外務大臣は、同じ日に米国で、沖縄の総意に反する約束をしたのである。

 沖縄側から見ると、「どうぞ使ってください」と卑屈な態度で沖縄を米国に差し出し、ご機嫌をとっている、ように映る。

 地元沖縄の切実な声を米国に伝え、県外移設に向けて努力する。それが日本政府のとるべき当然の態度であるはずなのに、当然のことさえ主張することができない。

 沖縄の米軍基地は、憲法が適用されない米軍政下に、米軍が思うままに建設したものである。1950年代には、講和条約によって独立を回復した本土から、米海兵隊が沖縄に移駐した。

 復帰の際には、那覇空港に配備されていた米軍の対潜哨戒機の本土配備計画が時の政権の反対でつぶれ、嘉手納基地に移駐された。そして今度は、「本土には受け入れるところがない」との理由で普天間飛行場の辺野古移設を強行する。

 沖縄だけがいつまでも基地の過重な負担を背負い続ける構図は「構造的差別」そのものだ。

 負担軽減とは、基地をめぐる「構造的差別」をきっぱり断ち切ることに他ならない。

それは十分、可能である。

 それを実現することが日米関係を強固なものにするのであって、逆ではない。辺野古移設を強行すれば日米関係はずたずたになるだろう。

 残念ながら民主党政権からは、普天間問題に対する「解決意欲」も「解決能力」も、伝わってこない。全国メディアを巧妙に利用し、「辺野古移設が実現しなければ普天間が固定化するぞ」と脅しをかける。嘆かわしい限りだ。

 普天間を県外に移設しても、ハワイ、グアムを拠点にしたローテーション展開や、空軍、海軍の打撃力、即応力が維持されていれば、致命的な抑止力低下にはならない。

 「海兵隊は沖縄でなければならない」という主張に対しては、誰が、どういう背景の下で、それを主張しているかを見極める必要がある。

 居心地がいいからという理由。組織の既得権防衛や自己保存本能。問題の全国化を恐れる政権党の政治的判断。建設利権がらみの話。たいていの場合、それらがすべて絡み合っていると言っていい。

 「沖縄という特定の地域を犠牲にした安全保障」をいつまでも続けることは、著しく公平・公正さに欠ける。

 巨額の国費は、「構造的差別」を固定化するためではなく、安定した日米関係を築くために支出すべきである。国民と国会が声を上げれば、政権を動かすことは可能だ。

 

 

 

 


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