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現在開会されている臨時国会の冒頭、第2自民党のネコババ伸幸代表が
「今の国会で緊急事態条項の創設を軸に改正案を取りまとめ、来年の通常国会で国会発議すると約束してもらえるか。
この自民党総裁としての任期中に憲法改正を果たせなかったら次期総裁選挙への出馬はしないと退路を断ち、改憲に立ち向かう覚悟はあるか」
と岸田首相に質問したんです。
内閣総理大臣に対する代表質問なのに自民党総裁としての回答を求めるのがもう異常。
しかも、現代の戒厳令である市民の基本的人権を侵害する緊急事態条項を憲法に入れろ、それができなかったら次の自民党総裁選に出るなと岸田首相の政治生命を賭けろというのですから、こんな異様な極右質問は初めて見ました。
参考記事 kojitakenの日記さんより
維新代表・馬場伸幸にとっては「岸田文雄に政治生命を賭けさせるのが緊急事態条項」らしい(呆)/「減税と社会保障の削減ははっきりと結びつくからね。つまり夜警国家ってやつだ」(赤木智弘)
これに対して岸田首相が無理だと断るどころか、むしろ渡りに船と喜んじゃって
「自民党総裁としてあえて申し上げれば、総裁任期中に憲法改正を実現したいという思いに、いささかの変わりもない。
党内の議論を加速させるなど、憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意だ」
と答えたのですが、内閣総理大臣として国会に出席して代表質問に答えているのに
「自民党総裁としてあえて申し上げ」
たらそもそもダメなんですよ。
ところがこのことを取り上げた上記記事で、わたくし、憲法99条の憲法尊重擁護義務については一言も触れなかったんです。
これについて、村野瀬玲奈代表からはさっそく記事にコメントもいただき、ブログ記事も書いていただいたんですね。
『憲法99条では、憲法擁護義務が首相をはじめとする公務員に課せられています。
日本国憲法第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
(引用ここまで)
つまり、首相が自民党の改憲案のような憲法の基本原理に反する改憲を主張するのは憲法違反であり、民主主義的言動ではないのです。
上のエブリワンブログの記事では実は筆者の宮武嶺さんはうっかりと維新の質問と岸田首相の返事が憲法99条違反であることを書き忘れています。宮武嶺さんは別の記事ではその点に何度も触れていますので、今回はたまたま書き落としただけです。そのことはコメント欄で宮武嶺さんが次のように書いていることからもわかります。』
第2自民党からの代表質問だと居住まいを正して聞き入る岸田文雄内閣総理大臣。
『首相が憲法を守らず改憲を唱えるのは憲法99条違反であることを指摘しない報道業者は有害である。 #マスメディアへの不信 #マスメディアへの不満』
寛大な村野瀬代表は力一杯弁護してくださっているのですが、実はうちが憲法尊重擁護義務に関して書き落したのには、わたくしの潜在意識の中で、憲法改正の96条と憲法尊重擁護義務の99条との関係について前々から疑問があったということがあるんです。
(憲法改正)
日本国憲法第96条
1 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
つまり、内閣総理大臣も国務大臣も国会議員も現行の憲法を尊重し擁護する義務が99条で規定されているのと同時に、96条では国会議員が各議院の3分の2以上で憲法改正を発議できることになっているわけです。
そうすると国会議員としては憲法改正について国会で議論する権限は当然あるけれども、そのことと公務員の憲法尊重擁護義務は緊張関係にあるわけで、これっていったいどうなるんだろうと前から疑問だったんですね。
というわけで今回は村野瀬代表の問題提起でわたくし、一念発起して勉強し直しまして、その結果を村野瀬代表と読者の皆様へのお詫びも兼ねてご報告したいという次第ですm(__)m。
所信表明演説でも憲法「改正」への意欲を示した岸田首相。
上記のように憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。
この条文は97条以下の憲法の最高法規性の章の最後に置かれています。
97条はこの憲法が市民の基本的人権を保障するがゆえに最高法規なのだということを改めて確認し、98条はその憲法に違反するすべての法律や行政行為は無効だと規定することで「法の支配」を貫徹しています。
なお、憲法尊重擁護義務を定めた99条の条文の名宛人からあえて「国民」が除かれ、公務員だけが義務者となっていることや特に天皇以下の特別公務員が列挙されていることには意味があるとされています。
それは、これらの公務員こそが戦前に国民の基本的人権を侵害してきたからこそ憲法尊重擁護義務を課され、国民にはその義務はないのだというのが通説です。
このように99条は、公務にたずさわる人のすべてが、人権保障の法であり法秩序の最高規範である憲法のしめすところにしたがって、偏りや誤りのないように政治や行政を遂行する義務を、主権者である国民に対して負っていることをあらためて確認している規定です。
安倍政権から特に顕著になった、内閣総理大臣による国会での憲法「改正」発言。
この憲法尊重擁護義務の規定には、以上のように義務者として内閣総理大臣を含む国務大臣や国会議員などが特別に明示されています。
ですから、仮に改憲の立場に立つ国会議員であっても、行政や立法にたずさわるときには「憲法尊重擁護義務」が重く課せられているということです。
このような憲法99条の規定からすれば、岸田首相が内閣総理大臣としての国会での答弁において、たとえ自民党の総裁の立場からと言い訳をしても、
「憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意だ」
などと発言することは絶対に許されないことがわかります。
自民党内の会合でこのような発言をすることと、国会で内閣総理大臣として発言することはその法的意味が全く違うのです。
岸田首相も一国会議員として憲法「改正」の発議に加わることは憲法96条から当然できます。
ちなみに内閣法は当然のことながら内閣には憲法改正の発議権は認めていません。
つまり内閣を組織する内閣総理大臣と国務大臣には憲法尊重擁護義務だけがあって憲法改正の発議権はないのです。
したがって、岸田首相は内閣総理大臣としては憲法尊重擁護義務だけを負っており、国会で憲法「改正」云々について述べる権利はないのです。
また、内閣総理大臣に憲法「改正」を国会の代表質問で迫った日本維新の会の馬場代表や国民民主党の玉木雄一郎代表の発言自体が、憲法尊重擁護義務違反を促すもので、これもまた違憲行為の「教唆犯」といえるでしょう。
このように結論としては、内閣総理大臣はもとより各国務大臣、つまり行政側の人間は憲法尊重擁護義務が優先して憲法改正について言及してはならないことは明確なので、皆さま、これからはなお安心して、彼らの憲法違反行為を追及してください。
【自民党改憲案の危険性】自民党のたたき台素案(2018)の緊急事態条項は、大日本帝国憲法の天皇大権の一つ「緊急勅令」そっくりだ。狙いは一つ、市民の基本的人権の抑圧!
さて、最後に、「憲法改正の限界」について述べたいと思います。
確かに憲法96条は国会議員の多数による憲法改正の発議権を認めています。
しかし、憲法改正の権限は憲法を制定した権力が実定化されたもの、憲法に明文で規定されたものですから、憲法制定権力の範囲内の憲法改正案しか出せないというのが通説です。
すなわち、日本国憲法の三大原理はご存じのように、
1 基本的人権の保障
2 国民主権
3 平和主義
なのですが、例えば2についていうとこの憲法は国民主権原理に基づく憲法なのですから、これを憲法改正手続きで再び天皇を主権者とする憲法に変えることはできないのです。
それはもはや日本国憲法とは全く別の新憲法の制定だからです。
同じように、1について、基本的人権の保障こそがこの日本国憲法制定の目的そのものですから、基本的人権の保障について大日本帝国憲法のように「法律の留保」=法律でいかようにも制限できるようにすることはできないと考えられています。
この点、日本維新の会の馬場伸幸代表が岸田首相に求めて緊急事態条項の創設は、まさに法律によらずに内閣の緊急政令で基本的人権を制限するというものですから、「法律の留保」以上の基本的人権への全般的・網羅的な制限を憲法自体で規定することになります。
ですから、緊急事態条項の制定は憲法改正権の限界を超え、憲法改正権には限界があるという通説からは96条違反で許されないことになると思われます。
そして、いったん緊急事態条項を憲法で規定すると、憲法自体で基本的人権を制限するので、これを憲法違反だと争うことさえできなくなります。
これは法の支配の破壊であり、立憲主義の破壊です。
緊急事態条項の制定を国会質問で求めたネコ馬場議員の代表質問と、これに応じた岸田首相の答弁は、この意味でも憲法を破壊する重大な憲法違反行為であったと評価すべきだと考えます。
第1自民党と第2自民党で本当に仲睦まじい二人。
NHKの「日曜討論」で自国維公=「地獄逝こう」が異口同音に改憲して緊急事態条項を入れろと主張。立法なしに市民の基本的人権を制限するために自分たち国会議員の任期延長を主張する自国維公は最悪だ。
第1野党と第2野党で以下同文。
「顔面凶器」と言われるネコ馬場維新代表は言っていることも狂気。
第2自民党の日本維新の会と第3自民党の国民民主党が憲法「改正」シンポジウムを開催。9条改悪だけではなく「現代の戒厳令」緊急事態条項を提案しながら「立憲主義を回復するために必要だ」と強弁(笑)。
今回勉強してそれを発表する機会を与えてくださった村野瀬代表にはあらためてお礼を申し上げたいと思います。
そして憲法改正権の限界について、平和主義についても一言。
日本国憲法の最大の特長は3の平和主義にあります。これを根こそぎ損なう憲法「改正」案もまた憲法改正権の限界を超えており96条違反で許されないと言われています。
ですから石破茂氏ら多くの改憲論者が唱えてきた9条2項削除論は論外で、これは許されないというのが憲法学会の多数説だと思います。
そして私は、9条2項は残しつつ、9条の2として自衛隊の存在について規定してしまう今の自民党の改憲案もまた、日本国憲法がせっかく世界に先駆けて唱えた自衛権の放棄を放棄してしまうもので、憲法の改正の枠をはみ出ていて許されない「改正」案だと思っています。
憲法学者の先生方には、ぜひ、緊急事態条項の制定と9条改悪について、憲法改正権の限界を超えるという観点からの論文を多数書いていただきたいと願う次第です。
自民党に続いて発表された日本維新の会の憲法9条改悪案がさらに危険すぎてお話にならない件。自民党は自衛に「必要な最小限度」、維新の会はさらに自衛に「必要」という縛りさえ外してしまった。
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東京都立大学教授(当時)の 戒能通孝氏による内閣委員会公聴会での説明。
1956年3月16日
第24回国会 衆議院 内閣委員会公聴会 第1号 昭和31年3月16日
『憲法の改正は、御承知の通り内閣の提案すべき事項ではございません。
内閣は憲法の忠実な執行者であり、また憲法のもとにおいて法規をまじめに実行するところの行政機関であります。
従って、内閣が各種の法律を審査いたしまして、憲法に違反するかどうかを調査することは十分できます。
しかし憲法を批判し、憲法を検討して、そして憲法を変えるような提案をすることは、内閣には何らの権限がないのであります。
この点は、内閣法の第五条におきましても、明確に認めているところでございます。
内閣法第五条には「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出」するというふうにありまして、どこにも憲法改正案の提出という問題は書いてございません。
「その他」というふうな言葉がございますが、「その他」という中に憲法の改正案を含むのだというふうに言うのは、あまりにも乱暴な解釈でありまして、ちょっと法律的常識では許さないというふうに考えているわけであります。内閣法のこの条文は、事の自然の結果でありまして、内閣には、憲法の批判権がないということを明らかに意味しているものだと思います。
(中略)内閣に憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関である、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨を表わしているのだと思うのであります。憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところであるというふうに私は感じております。
(中略)元来内閣に憲法の批判権がないということは、憲法そのものの立場から申しまして当然でございます。
内閣は、決して国権の最高機関ではございません。従って国権の最高機関でないものが、自分のよって立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でございます。
(中略)内閣総理大臣以下の各国務大臣は、いずれも憲法自身によって任命された行政官でありますから、従って憲法を擁護すべきところの法律上の義務が、憲法自身によって課せられているのでございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲法を非難する、あるいは批判するということは、論理から申しましてもむしろ矛盾であると言っていいと思います。”
憲法尊重擁護義務
浦部法穂の憲法時評
憲法第10章は「最高法規」という標題になっており、そこには、基本的人権の永久不可侵性(97条)、憲法に反する法律等は無効であること(98条)、そして公務員の憲法尊重擁護義務(99条)を定める3箇条の条文が置かれている。憲法は国の最高法規だということは、おそらく誰もが知っていることだろうが、多くの場合、それは、違憲の法律等は無効だという意味合いでのみ(つまり憲法98条の規定だけ)理解されているのではないかと思う。
しかし、97条は、永久不可侵の人権を保障することがこの憲法の中心的な目的であるとして、憲法が最高法規であることの実質的根拠を示すものであり、また、99条は、憲法が権力担当者に向けられた規範であることを明記することによって、憲法の最も重要な基本的性格を明らかにしたものである。
そういう意味で、最高法規ということの法的な意味を明らかにした98条以外に97条と99条という条文が「最高法規」の章に置かれていることには、重要な意味がある。
さて、そのうちの99条の規定についてである。99条の条文は、こうである。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。
「その他の公務員」とあるから、当然、およそすべての公務員がここでいう「憲法尊重擁護義務」を負っているわけだが、とりわけそこに名指しされている「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官」という国の中心的な権力を委ねられた者については、「その他の公務員」に率先して、この義務に忠実であることが求められているとすべきであろう。
ところが、最近の国会議員や大臣のなかには、憲法上のこの義務をまったく無視している輩がいる。それも、決して少なくない数で。これは、国家として異常な姿である。
その代表格が、「日本維新の会」代表の石原慎太郎氏である。
彼は、東京都知事時代から、「現行憲法は無効だ、憲法を破棄せよ」と公言していたが、衆議院議員として質問に立った今月12日の予算委員会でもこの持論を展開し、「総理大臣が憲法破棄を宣言したとき、これを阻む法律的な限界があるか」との発言をしたという(朝日新聞2月13日)。
要するに、内閣総理大臣が憲法破棄を宣言すればそれによって現憲法の無効が確定する、だから憲法破棄宣言をすべきだ、と首相に迫ったわけである。さすがの安倍首相もこれに直接答えることはしなかったようだが、こういう発言が国会の場で堂々と、それも相当数の議席を有する政党の代表の口からなされたこと、そしてまた、これを戒める発言は国会の場でも内閣からも出てこないということは、驚くべきことである。
こういう発言をした石原氏は、憲法99条の義務に明らかに反しており、もはや衆議院議員としての資格を有しないとされるべきである。なのに、そのような観点からこの石原質問を報じたメディアは、これまでのところ、私の目についたかぎりではまったく見当たらない。日本の報道記者のレベルも落ちたものである。
かりに石原氏が言うように、内閣総理大臣が「憲法破棄」を宣言しそれによって現行憲法の無効が確定するとしよう。さて、そのあとはいったいどうなるであろうか。
憲法が無効だということになれば、内閣総理大臣や他の大臣も、国会議員も、その地位の法的根拠を失う。彼らが大臣や国会議員でいられるのは、あくまでも日本国憲法の規定に基づいてのことであるから、憲法が無効なら大臣でいることも国会議員でいることもできないのは当然である。
つまり、内閣総理大臣が「憲法破棄」を宣言し現行憲法が無効になったら、その瞬間に、当の内閣総理大臣は内閣総理大臣でいられなくなり、また、他の大臣も国会議員もその地位を失うことになるのである。それでも彼らがなお総理大臣や大臣あるいは国会議員の地位にとどまり続けたとしたら、彼らは何ら法的根拠なく権力を奪取しているにほかならないこととなる。
何ら法的根拠なく、つまり非合法的に、権力を奪取する行為は、すなわちクーデターである。石原氏は、内閣総理大臣が「憲法破棄」を宣言しても内閣総理大臣の地位や自分の衆議院議員としての身分はそのまま維持されることを前提に前記の質問をしているようだが、そうであれば、彼のあの質問はクーデターの唱道以外のなにものでもない。
いまの憲法を破棄すべきだという考え方をもつことやそういう主張を唱えることは、国民としては自由である。だが、公職にあるものには、その自由はない。なぜなら、彼らは憲法99条によって「憲法尊重擁護義務」を課せられているからである。だから、石原氏がみずからの思想・持論を貫きたいと考えるのなら、彼は都知事にも衆議院議員にもなってはいけなかったのである。
そして、くだんの質問が「日本維新の会」を代表しての質問である以上、同会としてそのような立場に立っているとみなさざるをえず、そうである以上、「日本維新の会」も在野の政治団体にとどまるべきであって公職の選挙に打って出るべきではないのである。
「国会議員が国の一番基本となる憲法のあり方を議論するのは当然ではないか、むしろ国会議員の最も重要な任務ではないのか」という反論が聞こえてきそうだが、それも「憲法尊重擁護義務」の範囲内でのことであって、「憲法破棄」などという議論は明らかに一線を越えている。
ことは、しかし、石原慎太郎氏や「日本維新の会」だけの問題ではない。「自主憲法制定」を唱える安倍首相や少なからぬ大臣・国会議員、また、それを党是とし「新憲法草案」を発表している自民党も、じつは同類である。もっとも、安倍首相も自民党も、現行憲法無効論には与しないようなので、その点では石原氏とは異なる。
しかし、「自主憲法制定論」が現憲法を廃棄して新憲法を制定すべきだとする議論である以上、それは「憲法尊重擁護義務」とは相容れない。たしかに、国会には憲法改正の発議権があるが、あくまでも「改正」の発議権であって「憲法廃棄」や「新憲法」の発議権ではない。国会議員や国会の地位・権限が憲法にもとづくものであるという、しごくあたりまえの事理を理解していれば、このことは容易に理解されるはずである。
それやこれや、どうも日本には、議員や大臣その他公職者の地位・権限が憲法に基づくものなのだという、ごくあたりまえの事理を理解していない政治家が多すぎる。平気で憲法を否定するようなことをいう政治家たちは、それが自分の地位・権限を否定することと同義なのだと気づくべきである。
一般の国家公務員は、その職に就くにあたり、次のような宣誓書の提出が義務づけられている(国家公務員法97条、職員の服務の宣誓に関する政令1条別記様式)。
「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」
国会議員や大臣等にも、この際、同じように、就任にあたって憲法尊重擁護と国民全体への奉仕といった趣旨のことがらを内容とする宣誓義務を課すこととしてはどうであろう。
憲法審査会の開催に断固反対する法律家団体の緊急声明
自由民主党及び公明党などは、「日本国憲法の改正手続きに関する法律」(以下「改憲手続法」という。)の改正案を審議するためとして、衆議院憲法審査会の開催を目指している。
改憲問題対策法律家6団体連絡会(以下、「6団体連絡会」という。)は、2018年6月4日に、上記改憲手続法改正案の国会提出に反対する緊急声明を発表した。
6団体連絡会は、改めて上記改憲手続法改正案に対して反対するとともに、以下の理由から、現時点での衆参両院の憲法審査会開催に強く反対するものである。
1 憲法改正の前提となる世論が存在しない
後述するように、原則として首相や国会議員には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、首相や国会議員には憲法を遵守する法的義務がある。憲法改正は、政府や政党、政治家の中から改正すべきとの声が上がった際に行なうものではなく、国民の中から憲法改正を求める意見が大きく発せられ、世論が成熟した場合に限り、行われるべきものである。自民党政権も、昭和55年11月17日政府統一見解(衆議院議運委理事会において宮澤内閣官房長官が読み上げたもの)において、「憲法の改正については、慎重のうえにも慎重な配慮を要するものであり、国民のなかから憲法を改正すべしという世論が大きく高まってきて、国民的なコンセンサスがそういう方向で形成されることが必要である。」と、同趣旨のことを述べている。
公権力を制約することによって国民の権利・利益を保障することが憲法の役割である以上、政府や国会といった公権力には常に憲法による制約を緩めようと目論む危険性がある。したがって、公権力の側からではなく、国民の側から憲法改正を求める世論が高まった後に、初めて憲法審査会での議論を行なうという謙抑的な姿勢が国会には求められているというべきである。
近時の世論調査において、政権に期待する政策として「憲法改正」を挙げた割合は1割程度に過ぎず(日経新聞・テレビ東京合同世論調査など)、現在、国民の中で憲法改正を求める世論が高まっているとは到底言えない状況にある。
このような状況下で憲法審査会を開き、手続法を含む憲法改正に向けた議論を進めることは、結果的に公権力が国民に対して憲法改正を「押し付ける」ことになりかねない。
憲法改正を求める国民世論という大前提を欠いた現在の状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
2 事実に基づく議論が期待できない
安倍首相(自民党総裁)は今年の自民党大会において、自衛隊員募集に関して「都道府県の6割以上が協力を拒否している」と述べ、9条改憲(自衛隊明記)の必要を訴えた。しかし、この発言は事実に反しており、後に訂正を余儀なくされているものの、事実に反することを改憲の理由に挙げたことについて安倍首相は未だに撤回していない。さらに、森友疑惑をめぐる公文書改ざんと公文書毀棄、証拠隠滅、加計疑惑での事実を隠す数々の答弁、自衛隊の「日報」隠し、裁量労働制をめぐる不適切データの使用、財務省事務次官のセクハラ問題等々、安倍政権下の政府与党には、事実を軽視し、あるいは事実を歪めて議論を強引に進める姿勢が顕著である。直近でも、塚田一郎前国土交通副大臣が下関北九州道路に関する「忖度発言」で辞任に追い込まれたばかりであるが、政府与党は発言内容の真実性を認めようとしない。
このような安倍首相や政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、現時点で憲法審査会を開催した場合、事実に基づく慎重な議論が行われることは期待できず、強引な議論で多数派の要望のみが実現される危険性が極めて高い。
憲法審査会の伝統たる「熟議による合意形成」を尊重するのであれば、事実に基づく議論が期待できない現在の政治状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
3 憲法尊重擁護義務に違反し、憲法を蹂躙し続ける安倍政権に改憲をリードする資格はない
安倍首相は、国会で国会議員に対して憲法改正の議論を進めるように呼びかけるのみならず、防衛大学校の卒業式で改憲を示唆する演説を行なうなど、内閣総理大臣の資格に基づいて憲法改正を推進する主張を繰り返している。
しかし、首相には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、そもそも改憲を口にすることは許されない。また、憲法96条を前提とする改憲手続法や国会法では、憲法改正の発案権は国会には認められているものの、内閣や首相には、その権限は与えられていない。内閣や国務大臣には発案権がないにもかかわらず、内閣総理大臣という資格に基づいて具体的な憲法改正を呼びかける安倍首相の行為は、憲法尊重擁護義務(憲法99条)、憲法改正手続き(憲法96条)に違反するというべきである。
安倍政権は、これまでも、秘密保護法、集団的自衛権の一部行使容認の閣議決定、安保法制、刑訴法改悪・盗聴法拡大、共謀罪など、国民の多くが反対し、法曹関係者より憲法違反と指摘される数々の立法を、十分な審議もせずに強引に数の力で成立させてきた。憲法に定められた野党議員による臨時国会の召集要求権を無視し、他方で(首相は)解散権を濫用して衆議院を解散する暴挙も繰り返してきた。
このように、憲法を無視し蹂躙し続ける安倍政権のもとで、憲法改正の議論を進めることは、自らの憲法違反は棚上げして公権力に都合のよい形で、強引に憲法改正を審議するという悪しき前例を作りかねないものであるから、憲法審査会を開催すべきではない。
4 与党が提出した改憲手続法改正案は議論に値しない
与党が提出したいわゆる「公選法並び」の改憲手続法改正案は、2007年5月の同法成立時や2014年6月の同法改正時の附帯決議で挙げられた問題点等の検討を完全に怠ったものであり、抜本的な見直しが不可欠な欠陥改正案と言うべきものである。
改憲手続法の成立時や前回改正時の与党の対応や前述のような現在の政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、もし憲法審査会を開催して改憲手続法改正案の議論に応じた場合、附帯決議で挙げられたり野党が求めたりするような問題点を与党が真摯に受け止める保障は全く無い。欠陥法である与党提出の改正案が強行採決で可決され、与党がその後具体的な改憲案の議論に突き進むことは明らかである。
なお、与党などには「提出済みの法案審議に応じないのは野党の怠慢だ」などといった批判をする者もいるが、いわゆる「原発ゼロ基本法案」や「共謀罪廃止法案」といった野党提出法案の審議に与党が全く応じていない以上、ご都合主義と言うほかない批判である。
与党が提出した改憲手続法改正案は、内容的には議論に値せず、また安倍首相の求める改憲の呼び水としての危険性を持つものであるから、その議論のために憲法審査会を開催すべきではない。
5 終わりに
6団体連絡会はこれまで、秘密保護法・安保法制・共謀罪といった立憲主義を破壊する安倍政権の一連の施策に反対し、自民党改憲4項目の本質と危険性についても警鐘を鳴らし続けてきた。
現時点での憲法審査会の開催は、安倍首相が目指す改憲実現へと道を開くことに他ならず、これに断固として反対するものである。
2019年4月12日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 共同代表理事 宮里 邦雄
自由法曹団 団 長 船尾 徹
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議 長 北村 栄
日本国際法律家協会 会 長 大熊 政一
日本反核法律家協会 会 長 佐々木猛也
日本民主法律家協会 理 事 長 右崎 正博
憲法審査会の開催に断固反対する法律家団体の緊急声明(PDF)
憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを求める会長声明
2015年(平成27年)9月19日未明に参議院で安保法案は強行採決の末成立し、2016年(平成28年)3月29日、施行されるに至った。以後、自衛隊はこれまで経験したことのない領域に活動の範囲を拡大することとなり、戦後の防衛政策は一気にその性格を変貌することとなる。1954年(昭和29年)の自衛隊創設以来、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺していない自衛隊が、安保法制の下でその危険に晒されることとなる。
われわれ弁護士、弁護士会は再三にわたって、集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回及び安保法制反対を訴えてきた。なぜなら、まず、憲法9条のもとでは集団的自衛権は許されないとする歴代政権の解釈を、国民の意思を問うことなく一内閣の解釈で変更することは、立憲主義及び国民主権に反するからである。そして何よりも、集団的自衛権を認めることは、憲法9条及び前文で定める徹底した恒久平和主義に反するからである。したがって、昨年成立した安保法制は、明らかに憲法に反し無効な法律である。われわれ弁護士、弁護士会は、無効な法律の執行を許すことはできない。今後も、安保法制の違憲性を国民に訴え、その廃止を求める活動を国民とともに行う決意である。
ところで、安保法案が国会で審議される前の2015年(平成27年)4月頃から、安倍政権の日本国憲法軽視の姿勢が顕著になってきた。たとえば、文部科学大臣が国立大学に対し、国旗掲揚・国歌斉唱を要請すると答弁したが、これは明らかに憲法23条で保障された「学問の自由・大学の自治」を侵害する行為である。また、政権与党議員らによる放送局に対する干渉行為は、憲法21条で保障する「表現の自由・報道、放送の自由」に対する侵害である。
安保法制成立後は、さらに現憲法軽視の姿勢に拍車がかかり、放送局を所管する高市総務大臣の「電波停止発言」、立憲主義との関係で極めて問題のある緊急事態条項(国家緊急権)を、憲法上に組み込むべく憲法改正を行いたいとの発言等にみられるように、現憲法の理念や基本原則を無視あるいは軽視する言動が相次いでいる。
現憲法が占領下のもとでアメリカ合衆国に押し付けられたものであるので、憲法改正をして自主憲法を制定すべきと安倍晋三氏が個人として考える事、また、国務大臣が個人として安倍晋三氏の考えに同調するのは、それぞれに「思想・信条の自由」があるので本来自由である。しかし、憲法によってその権限行使に縛りをかけられている国家権力の中枢にいる内閣総理大臣や国務大臣には、その職責上、当然ながら憲法尊重義務が課されていることに鑑みると、上記のような現憲法を無視あるいは軽視する言動は、極めて問題であると言わざるを得ない。
よって、われわれ弁護士、弁護士会は、現憲法のもとで基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命(弁護士法1条)とされている立場から、現憲法の理念、基本原則を軽視あるいは無視するかのような言動を繰り返す安倍内閣総理大臣及び各国務大臣に対して、憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを、強く求めるものである。
2016年(平成28年)3月30日
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「スゴーイ、流石は維新」と思ったあなた、特殊詐欺の被害に合いやすいんじゃないですか?
企業の役員たちが個人で献金して、献金相当額を会社から受け取る。
パーティー券を企業に購入してもらう。
橋下徹がやったように、講演料として受け取る。
まあ、いろんな手口がありますから、はいそうですかとはいきません。
もっとも、本気で企業団体からの献金受取を禁止するということなら、
「やっと共産党の正しさがわかったのですね。共産党と同じになったのですね。」
と言ってあげましょう。
おっしゃるとおり企業献金に関しては抜け穴がありそうなうえに、なにしろ共産党が憲法違反の制度だからとして受け取りを断固拒否し続けてきた政党助成金。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-12-07/2020120705_02_0.html
維新の会はホクホクとして受け取り続けているのですから。
2023年度は維新は33億5000万円以上受け取っています。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/94563.html
元祖身を切る改革、本家身を切る改革政党は日本共産党ですよね。
憲法審査会への発議だけなら衆院100名、参院50名の賛成でできるそうです
立憲小西が馬鹿にした憲法審査会も令和4年度だけで無駄に24回も開いてるんですが
おそらく、超党派で一致できる改憲案をまとめる人材がいないんでしょうね
維新の奴らの場合「緊急事態条項」にしか関心がないんでしょうが、緊急事態は国民の財産権にも基本的人権にも少なからず影響を与えます
後から条項だけ付け足せばいいわけじゃないんですね
世論調査も議会構成も発議時には結果が決まってる国民投票法にしても、今のところ全てが改憲派に有利な筈なのに「恵まれ過ぎてて結果が出せない」のはコイツらの自己責任と言うほかないでしょう(笑)
まぁ先のことは断言できませんが、何か「捉えどころのない幽霊」みたいな今の憲法にはコイツらを含めた人知の及ばないアンタッチャブルなソフトパワーがあるのかもしれませんね(適当)
今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。
世論誘導が生んだ民主党政権、中韓を利す為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退する中、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など韓国への利益誘導の為に働きました。
メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や“身を切る改革”に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、
日本弱体と侵略に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、
日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。
今は、原子力緊急事態宣言発令中です。
2011年3月11日に発令されて未だに解除されていません。
アンダーコントロールだとかいいながら、です。
安全基準をゆるゆるにして、「安全」を強調するためでしょうか。
最近、キシダ―が原発事故の避難訓練で「原子力緊急事態宣言を発出します」と言っていました。思わず、「発令中じゃないか」と突っ込んでしまいました。
忘れてるんでしょうね。発令中であることを。
そうでなければ、原子力緊急事態宣言発令中に、原発の稼働などありえないでしょう、正気なら。
さらに情けないのは、あのド左翼の共産党ですら、自衛隊の違憲性について問われると、(違憲性自体は認めつつも)「いつの日か世界が平和になったら…自衛隊を解散…出来た…ら…良い…な…」という決めゼリフ?で逃げてしまう始末です。
その意味で言えば、そもそも尊重義務を果たそうとしている政党が日本に1つでもあるのか?という事自体が「大いなる疑問」に感じます。
そこで、
馬場臭い、胡散臭い、その他 ~臭いを、
維新馬場臭いに変えることを提案します。
政党助成金を廃止するだけで、一日一億円が浮きます。
政治献金、パーティーやめれば、どれだけ景気が上向くことか。
人の身を切る改革、う~ん、維新のお家芸。
話は飛んで、梶原一騎氏、パレスチナ支持でした。
平和憲法を抱く日本国の首相が『 輸出された武器でジェノサイドや民族浄化が起きても知ったことではありません 』だそうです。
『広島出身』で“平和都市でのサミット”を誇っていましたが、『広島の悲劇』や『平和憲法を冒涜』する活動に勤しんでおられる岸田首相は…。
https://x.com/ashitawawatashi/status/1719630261921739190?s=20
☆ふっちゃん
@ashitawawatashi
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◎『 殺傷能力のある武器輸出について 』
山添氏「輸出先の国で歯止めが掛けられるか?」
岸田首相
「その先どのような使われ方をするか議論をしていない」
殺傷能力のある武器が他国でどう使われるか議論していないって⁉️
マジ⁉️
ヘラヘラ笑いながら答弁することか⁉️
岸田首相、早く退陣して‼️💢