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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍首相の「お子ちゃまバラマキ外交」を手玉に取ったフィリピンのドゥテルテ大統領の「日中両天秤外交」。

2016年10月27日 | #安倍晋三が諸悪の根源

 

 フィリピンドゥテルテ大統領は、経済支援を得るために中国との関係の強化を掲げ、先週の中国訪問では習近平国家主席と会談し、民間からの投資も含め総額およそ2兆5000億円の支援を取りつけました。

 そのうえで、南シナ海の問題については、習主席との首脳会談で、アメリカや日本などの関与を排除したい中国の意向を反映し、当事国どうしの話し合いで解決することで合意しています。

 また、

「米国との決別」

を言い出し、米軍の国内からの撤退を表明。米軍基地を2年以内に排除するとまで言い出しました。

 これは、日本・フィリピン・アメリカの協力による南シナ海での中国包囲網を完成しようと考えていた安倍政権にとっては青天の霹靂。



 それなのに、今回のドゥテルテ大統領の訪日で、同大統領が言ったこと、どう思われました?

 2016年10月26日、安倍首相との首脳会談で、ドゥテルテ大統領は冒頭から南シナ海の問題について触れ、

われわれは平和を求め、法の支配に基づいて平和的に問題を解決したい。常に日本の側に立つつもりだ」

と述べ、この問題で引き続き日本と連携していく考えを示しました。

 そして、およそ50億円に上る円借款や大型巡視船の供与などを取り付け、中国に続き、日本からも支援を引き出すことに成功した形です。

 ところが、同大統領はその前日の25日の東京での講演ではやはり

「2年以内に外国軍部隊は(フィリピンから)出て行ってほしい」

と発言。米軍部隊の撤退期限に初めて言及しました。

 どうしてもコントロールできませんねえ。

 これは中国に対抗したい日本の思惑がドゥテルテ大統領に見透かされているからで、つい先日大統領になったばかりの同氏に安倍外交が手玉に取られている様相を呈しています。

 まあ、バラマキしか外交手段を知らない安倍首相では無理もないところですが(したたかさが違う)。

 

現実にはフィリピンと中国が南シナ海の領有権問題を棚上げし、共同して開発するのは、同地域の平和のために望ましいことです。

日本が茶々を入れるべきことではなく、むしろ、東シナ海・尖閣諸島付近でも同じことを目指すべき位のことです。

下手な外交交渉で決定的にフィリピンを失うことだけはしないようにしてほしいものです。 

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南シナ海「解決に協力」

 
会談前に握手するフィリピンのドゥテルテ大統領(左)と安倍晋三首相=首相官邸で2016年10月26日午後5時50分、宮武祐希撮影
 
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 安倍晋三首相は26日、フィリピンのドゥテルテ大統領と首相官邸で会談し、南シナ海問題の平和的解決に向けて連携することで一致した。米比同盟も念頭に同盟関係が地域の平和と安定をもたらすことを確認し、自制や非軍事化の重要性に言及した共同声明も発表。ドゥテルテ氏は「(日比が)共有する価値観は民主主義であり法の支配だ」と日本重視を打ち出した。

 首相は会談後の共同記者発表で、南シナ海での中国の権益主張を退けた仲裁判決について「国連海洋法条約などに従い平和的に解決することの重要性を確認した」と述べた。ドゥテルテ氏は「紛争があれば、平和裏に解決する価値観を基に緊密に協力する」とした。ドゥテルテ氏は20日の中比首脳会談で仲裁判決を事実上棚上げしており、日本は南シナ海問題でのフィリピンとの連携確認で巻き返しを図った格好だ。ドゥテルテ氏は会談で仲裁判決について、当事国に対して拘束力を持つとの認識を示した。

 両首脳は会談で、日本が大型巡視船2隻を供与する約165億円の円借款を正式決定。日比防衛装備品・技術移転協定に基づく海上自衛隊練習機の有償貸与に向け、条件を定めた取り決めも結んだ。ドゥテルテ氏が最重視する麻薬対策で首相は、麻薬常習者の更生支援策を年内にフィリピン側に示す考えを伝えた。

 ドゥテルテ氏は東京都内での講演で、「2年以内に外国軍部隊は(フィリピンから)出て行ってほしい」と発言。米軍部隊の撤退期限に初めて言及した。首相は会談で、アジア太平洋地域での米国の存在の重要性を説明して理解を求め、ドゥテルテ氏は「米国と外交関係を断ち切るわけではない」と釈明した。【小田中大】

 

 

2016年 10月 27日 11:18 JST

南シナ海問題「日本の側に立つ」、ドゥテルテ氏が安倍首相と会談

[東京 26日 ロイター] - 安倍晋三首相とフィリピンのドゥテルテ大統領は26日に会談し、中国がほぼ全域の領有権を主張する南シナ海問題について、平和的解決に向けて協力することで一致した。同大統領は、国際仲裁裁判所の判断は拘束力があるとの認識を示し、「日本の側に立つ」と語った。

<南シナ海、「いずれ語る」>

フィリピンは南シナ海のスカボロ―礁の領有権をめぐって中国と対立。国際仲裁裁判所が7月に中国の主張を退ける判断を下したが、ドゥテルテ大統領は日本に先立ち訪問した中国で、この問題を取り上げなかった。

首相官邸で安倍首相と会談したドゥテルテ大統領は、「いずれ語らなければならない問題だが、いまそれを語るべきときではない」と説明。中国と領有権を争う日本とフィリピンの類似点を指摘し、「ときが来たときには日本の側に立つ。安心してほしい」と語った。

これに対し安倍首相は、「日本の立場に常に寄り添うことを明言したことに感謝する」と発言。両首脳は「法の支配」の重要性を確認するとともに、南シナ海問題を国連海洋条約などにもとづいて平和的に解決することで一致した。

 
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 10月26日、安倍晋三首相とフィリピンのドゥテルテ大統領は会談し、中国がほぼ全域の領有権を主張する南シナ海問題について、平和的解決に向けて協力することで一致した。(2016年 ロイター/Issei Kat
 
 
 

<対米関係も意見交わす>

安倍首相とドゥテルテ大統領は、ぎくしゃくしている米比関係についても意見を交わした。安倍首相は米国との同盟の重要性を説明し、ドゥテルテ大統領は「米国との外交関係を断ち切るわけではない」などと回答した。

自身が始めた麻薬犯罪取り締まりを米国から批判されている同大統領は、米オバマ政権をたびたび非難。26日午後に都内で講演した際も、「おそらく2年以内に外国の軍隊はフィリピンからいなくなる」と述べ、米国との軍事同盟解消を示唆していた。

 

 

ドゥテルテ氏、ご都合主義

首相、対中にらみ厚遇

 会談の冒頭、首相が「大統領の訪日を通じ両国関係を飛躍的に発展させたい」と呼びかけると、ドゥテルテ氏は「日本との絆を強化するためにやって来た」と応じた。「他国訪問は経済的な目的のため。私どもは時が来れば常に皆さん方に立つ。安心してください」とも述べ、日本に先立つ18~21日の訪中は経済連携が目的と強調した。

 フィリピンとの関係強化を巡る日本の中国への対抗姿勢は鮮明だ。中比が今月20日の首脳会談を受けて協力文書をまとめたことを踏まえ、日本は当初予定していなかった共同声明の文書化をフィリピン側に呼びかけ、26日に発表した。日本はドゥテルテ氏が最重視する麻薬対策でも中国と同様に協力姿勢を示し、麻薬常習者の更生支援を表明した。

 南シナ海問題を巡っても、首相は会談後の共同記者発表で同氏の訪中に触れ、「比中関係の改善、発展への尽力を歓迎する」と表明したが、15項目からなる共同声明では大半で海洋安全保障や南シナ海での連携に言及。比中間で仲裁判決の事実上の棚上げに合意したことを「上書き」(外務省幹部)する狙いだ。

 首相自ら夕食会の献立を確認し、同氏の好物の和食やワインを指示するなど、日本の異例の厚遇ぶりに対し、同氏は首相主催の夕食会で「日本は兄弟より近い関係にある真の友人」と持ち上げるなど日本重視発言を連発。日本側の懸念は一定程度払拭(ふっしょく)された形だ。外務省幹部は「フィリピンが外交の多角化を目指している」と述べ、フィリピンが中国一辺倒でなく、日米と中国の間で「バランス外交」を取っていると指摘する。【小田中大、村尾哲】

大統領の真意見えず

 「(中国とは)仲裁判決に基づく協議しかできない」。ドゥテルテ大統領は26日、安倍首相との会談であっさりそう語った。仲裁判決を棚上げし、中国との2国間協議の再開で一致した習近平・中国国家主席との会談からわずか6日。ドゥテルテ氏は今度は日本で、仲裁判決重視と受け取れる姿勢を示したのだ。だが、相変わらずの反米的な発言は、米国を軸とした日本の安全保障政策と矛盾する。ドゥテルテ氏の真意は何か。

 ヤサイ外相は26日の記者会見で対中外交政策について「今は紛争については横に置いて、やがて時期が来たときに2国間で協議し、解決策を探す」と説明した。この説明を踏まえると、実際には中比両国は仲裁判決は棚上げしているものの、最大の貿易相手国であり、投資国でもある日本との協調をアピールするため、ドゥテルテ氏が日本に「リップサービス」した可能性も否定できず、今後再び「中国寄り」に転じるのではという疑念はぬぐえない。

 真意が捉えにくいドゥテルテ氏だが、はっきりしているのは、根深い反米感情だ。「今後2年間で外国の軍の支配から自由になる。必要があれば合意をやり直す」。ドゥテルテ氏は26日午後、東京都内の講演会で、国内に巡回駐留する米部隊の撤退や米軍の本格的な再駐留を可能にする新軍事協定(2014年締結)の見直しを示唆した。アキノ前政権時代、日米比は中国への警戒感で一致し、「中国包囲網」形成を狙っていた。だが、ドゥテルテ氏就任以降、米比関係は冷え込んだ。ドゥテルテ氏は「親日家」を強調するが、米比関係が揺らげば、日本の海洋安保政策も成り立たず、アジア太平洋地域の安全保障体制も揺るぎかねない。

 東南アジア各国などは、日本も含めた今後の動きを慎重に見守っている。インド・ジャミア大のスジート・ダッタ教授は「ドゥテルテ氏の米国離れは今後も続くだろう。そうした中、フィリピンと敵対的な関係のない日本は重要なファクターだ。安倍政権が戦略的な関係を強めれば一定の影響力を保てる」と期待を示す。【岩佐淳士、バンコク西脇真一、ニューデリー金子淳】

 

 

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5 コメント

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上手 (リベラ・メ(本物の))
2016-10-27 16:18:15
力ずくで推し進める大統領に、ボンボンが推しきられた格好になりましたね。血生臭い人生を切り抜けて来た男に、ろくに闘った事も血を吐いた事も無く、乳母日傘で邸の奥で守られて育った“3代目”には、狡猾な大統領の相手は無理ですねぇ…。
返信する
強か (kei)
2016-10-27 20:40:06
確かに外交上手。お見事です。
ただ、失礼ながらこの方がそれほど頭脳明晰であるようには見えないので、一人で考えていることではなく、世界の大きな流れの中で一つの役割を演じているように見えます。
オバマ氏を罵るのもその一環ではないでしょうか。
オバマ氏は米軍産を抑制したい。でも軍産は戦争をし続けて延命したい。フィリピンは米軍の代理を任された日本と中国の戦争に巻き込まれたくない。となれば、オバマ氏が直接命令を下すよりも、ドゥテルテ氏が嫌うことで、オバマ氏が矢面に立つこと無く米駐留軍撤退の自然な流れを作ることが可能になるという。
あくまでも推測ですが。

日本がやるべきことは、やはり中国と外交で上手に付き合って、米駐留軍に守ってもらう必要性を感じさせない状態を作り上げることでしょう。東シナ海をソフトボーダー化すればそれは実現可能なのですから。
今真逆のことをしているのは、結果的に米軍産を延命させる(それが自分達の利権の延命にもなる)、その為だけなのではないかと思います。
返信する
こういうこと? (タカニシ)
2016-10-27 22:00:31
私よく分かってないのですが、つまり「ドゥテルテは領海問題をめぐって裁判した中国からも、その中国とやはり領海問題で対立している日本からも、大きな支援をせしめた」と理解していいのでしょうか?

だとすれば、安倍に限らず日本の政治家には逆立ちしてもまねのできない芸当ですね。

もっとも、麻薬犯罪をきわめて強権的に取り締まったドゥテルテが、他のことでは民主的にフィリピンを運営するとはとても思えないので、私としては高く評価しているのではないですが。
返信する
馬鹿に外交を任せても損をして売国させられるだけ (一国民)
2016-10-27 23:05:27
他の皆様御指摘の通り、ドゥテルテ大統領の方が一枚上手だった、という事ですね。でも、ドゥテルテは大統領に最近
就任したばかりなので、本当に外交上手かどうかは正直未知数。今回は、安倍という馬鹿が相手だったので、
多少外交下手な国家元首であっても、同じように日本からお土産を持ち帰ることが出来たと思いますね。

馬鹿が総理大臣を務めると、外交で損をさせられる上に、売国をもいとわない。当方のような、野党側に投票した
日本国民が本当に可哀想(与党側に投票した中低所得者層は自業自得)。
返信する
トラックバックの恐怖 w (バードストライク)
2016-10-27 23:26:22
もすもす。
昨日、ドゥテルテの麻薬戦争を批判していたのに・・・
今日はなんかちょっと、褒めてるみたい。そりゃあ、安倍の憮然とした表情を見たら溜飲が下がるけど、主張、ブレてません?
週末あたり、ちっさい爺さん犬方面から、悪口のトラックバック攻撃が・・・
来るうぅぅっ?
www

うっそー!
しかし、このフィリピンゴリラはなかなかやりますなあ。
ネット情報によると(信憑性に不安があるが)、ドゥテルテの祖父の片方は華人で、ミドルネームの「ロア」は華人の姓の「呂」なんだとか。
その経歴から中国にもともと親しみを持っており、またフィリピン内の親しい華僑財閥を優遇してきたとかいう噂である。

容貌はとても華人系には見えないが、心はかなり華人らしい。

これもネット情報だが、フィリピンの司法試験を通っているそうである。
ということは、弁護士資格を持っているのだろうか?
とても法の支配を理解しているとは思えぬ言動だが・・・まあ日本にもいますしね、そういう方。「は」のつく人、「い」のつく人、「ま」のつく人、「わ」の人もそうかな? 安保法制の時は、たしか欠席していたような記憶があるが。
返信する

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