もし、弱いものの気持ちがわからない裁判官、検察官、弁護士ばかりになったら、この世は闇だと思われませんか?
そんな危機が目の前に迫っています。
司法修習生の給費制維持のための若手ネットワーク ビギナーズネット
多様な人材が司法修習生になれますように
司法修習生の給料がゼロになり、最高裁からお金を借りて勉強する制度になろうとしているのです。
司法試験に合格した受験生は司法研修所に入所し、1年余りの修習期間を経た後、裁判官・検察官・弁護士になっていきます。
貸与制なら高卒のHEROはもう生まれない
この司法修習生に対する経済的な支援の在り方を検討している政府の有識者会議「法曹フォーラム」は、国が修習生に一律に給与を支給するという、これまでの「給費制」を廃止 し、経済的な支援が必要な修習生には無利子で資金を貸し出す「貸与制」に改めるべきだとする提言をまとめました。
庶民派の弁護士求む
司法試験に合格した司法修習生に国が給与を支給する制度について、政府は、司法制度改革の一環として、いったんは2010年10月の廃止を決めましたが、日本弁護士連合会などを中心に制度の存続を求める意見が強まったため、来月10月までを期限に暫定的に継続されています。
酸いも甘いも噛み分けて、市民に寄り添う法律家が求められています
こうした中、この問題を検討している政府の有識者会議の会合が、8月31日に開かれ、国が一律に給与を支給するこれまでの制度を廃止したうえで、経済的な支援が必要な修習生には無利子で資金を貸し出し、司法修習が終了したのちの5年間、返済を猶予する制度に移行すべきだという第一次提言をまとめたのです。
日弁連が行った2009年11月19日のアンケート結果によると、司法修習生1528名のうち、奨学金などの債務を負担する者が半数以上(約53%)おり、平均負担額は約318万円!で、最高負担額は1200万円!!であるという実態が明らかになりました。
また、法科大学院入学のための適性試験志願者数は、2004年度の約6万人から2011年度には約8000人に減少しています。
法科大学院への社会人入学者の割合も、2004年度のおよそ半数から2011年度にはおよそ4分の1に半減しています。
司法修習生になっても、1年半近くバイトも出来ず、給与も支払われないのでは、弁護士二世などお金持ちの子弟しか法曹になれない状況が進行します。
それでは、法律家を目指す人がさらに減少し、経済的事情から法曹への道を断念する人が続出する事態となっていきます。
司法修習「生」というと学生のイメージがして、「どうして給与を払わなければいけないのか?」と感じられるかもしれません。
しかし、司法修習生は裁判修習中には判決を起案して、指導裁判官はそれを参考に本物の判決を作ることもありますし、検察修習中には司法修習生は被疑者を取り調べして調書を作り、それを元に検察庁は被疑者を起訴して裁判をします。
司法修習生の勉強は同時に国民のために役立つ仕事にもなっているのです。
裁判官にこそ人の情がわかる人材を
また、医師については、2004年以降、国家試験に合格した医師に2年間の臨床研修及び研修専念義務が課される一方、研修医が研修に専念することができるよう、相応の予算措置がなされています。
司法修習生も修習専念義務を負っており、バイトは許されません。もし給与が支払われなければ修習生は貸与という名の借金がさらに膨らむことになります。
司法修習生についても、医師と同様に給費制を存続すべきなのです。
裁判所は「人権擁護最後の砦」と言われますが、裁判所は裁判官だけで成り立っているのではなく、検察官、弁護士も司法権の一翼を担っています。
むしろ、市民生活の土壇場に寄り添うのは弁護士の仕事だと思われませんか?
これら法律家は、社会的正義を実現し、市民の命・健康・財産・安全を守るという意味において、医師に匹敵する社会的役割を果たしていることは論を待たないでしょう。
使命感を持った市民のための法律家を育てるため、税金を使うことは国民の福利に役立つのです。
弱者の立場に立つ法曹は、お金持ちばかりの修習生からは生まれません(いや、お金持ちもいていいのですが 笑)。
ごく普通の市民感覚を持つ、多様なバックグラウンドを持つ法律家を育てるため、皆さんの税金を投資してください。
お金はなくとも法律家になって欲しいと思われたら
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日本弁護士会会長声明
法曹の養成に関する制度の在り方を検討するために内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、財務大臣、文部科学大臣及び経済産業大臣の申合せにより開催されている 「法曹の養成に関するフォーラム」は、本年8月31日、司法修習生の給費制問題について貸与制への移行を基本とする第一次取りまとめを行った。
同 フォーラムは、法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(平成22年7月6日)と司法修習給費制の1年間の延 長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議(同年11月24日)に基づき、①給費制の存廃問題を含む法曹養成過程への経済的支援の在り方、② 法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方を検討するため開催されたものである。特に、上記裁判所法一部改正の趣旨説明においては、法曹志望者が経済的 理由により法曹になることを断念することがないよう法曹養成制度に対する財政支援の在り方について見直しを行うことが緊要な課題であるとされていた。
し かるに、同フォーラムは東日本大震災の発生等の事情により開催が遅れ、5月25日から8月31日までの短期間に5回、給費制問題についてはわずか2回の実 質審議により本取りまとめを行ったものであり、平成22年頃には司法試験合格者数を3000人程度とすることを目指すとされた法曹人口に関する目標の妥当 性や法科大学院の在り方等の法曹養成制度全体にかかわる重要課題については今後の審議に委ねられている。
当 連合会は、現在の法曹三者統一の修習制度は戦後の司法制度民主化の一環として実現した重要な制度であること、修習生は最高裁判所の指揮監督の下で公務員同 様の厳しい規律を課せられており、自己負担の貸与制にするのは不当であることなどを訴えてきたが、こうした主張がフォーラムでは十分考慮されることなく、 財政難と修習終了後の経済状況を中心とした議論により貸与制への移行が取りまとめられたことは誠に遺憾である。
現 在、法科大学院の入学志願者は急激に減少し、その質の低下も指摘される等、新しい法曹養成制度は危機的状況にある。法曹志願者減少の要因は司法試験の合格 率の低迷、司法試験合格後の就職状況及び法科大学院の高額な学費負担であり、このような問題点にメスを入れないまま司法修習についても給費制を廃止して貸 与制を実施することは、法曹志願者をますます減少させ、経済的理由により法曹になることを断念する事態を広範に生じさせることは明らかである。
よって、当連合会は引き続き給費制の存続を訴えるとともに、少なくともフォーラムで法曹養成制度全体の議論が結論を見るまでの間は貸与制を実施しないよう法改正を求める次第である。
2011年(平成23年)8月31日
日本弁護士連合会会長 宇都宮 健児
政府が設置した法務省や有識者でつくる「法曹の養成に関するフォーラム」(座長・佐々木毅学習院大教授)は31日、司法修習生の給与を国が支給する「給費制」について、制度終了を迎える11月で打ち切り、返済義務のある貸与制に移行することで最終合意した。
給費制では月額約20万円を国が支給してきた。貸与制は月23万円を基本に、上限は28万円で無利子。修習終了5年後から10年で返済する。9月に発表される新司法試験合格者から対象となる。
低所得の修習修了者の負担を軽減するため、政府は返済を最長5年間猶予する裁判所法の改正案を臨時国会に提出する。
2011年8月31日 共同通信
猫も杓子も給与を与えるべきではない
それとも給与制にすれば、誰かが儲かるとか
しかし、司法制度が改正(改悪)されたのはそれなりに理由があると思います。程度はいかがな物かとおもいましたが懲戒制度を行う市民への恫喝とも取れる言動、一般市民の感情とかけ離れた被疑者への弁護の内容。暴力事件や暴力団関係者の芸能人の出演する番組への出演
多くの弁護士の方が日々国家権力や不当な扱いを受ける人たちを救済するために割の悪い仕事をなさっているのは分かりますが、一部とはいえ増長して傲慢になり本来の法律家から離れて、弁護士という職域が作り上げた信用という資産をパラサイトして食いつぶしていた弁護士を自浄出来なかったからでは無いでしょうか
この問題は企業や経済強者に有利です、不公正な社会を導きます。元の給付に戻る為には今一度信頼回復と、それまでは既存の弁護士の方が協力して修習生の生活の面倒を見る金銭負担をしたらどうでしょうか
意見で国民の支持ともありましたが、その点に関しては大いに疑問があります。結論ありきで勝手に官僚がさだめ、「国民の判断」にしても、東電の原発行政の様に、問題点を知らないor隠匿されて国民が判断していると言うのが実情でしょう
司法修習生が日本の司法を担うために研修を受けていることは間違えないです。なのに給与は支給されません。両者に本質的な差異はないはずです。
国は京都の政策を見習ってほしいものです。
「受益者負担」を根拠にしているそうですが、司法修習は法的なサービスを受ける国民のために行われているものです。
また、このようなネガティブなニュースが出る事で法曹志願者は激減しています。
司法は民主主義を支える国のインフラです。
人材育成にお金をかけず「なりたいやつが勝手になればいい」という姿勢では司法が衰退していくのは明白です。
この国はどこに向かっているのか。
非常に不安です。
裁判官を育成する費用であれば、「国民の理解」は得られるのかもしれません。しかし、ブログ記事にもあるように、裁判官だけで司法制度が成り立っているのではありません。
そもそも、国民の権利、生活を左右する司法の制度は公正なものでなければなりません。裁判をはじめとする司法の制度が公正なものになるためには、民事であれば双方の代理人が十分な訴訟活動ができなければならないし、刑事であれば、検察官と弁護士が真実の発見と人権保障のために訴訟活動ができなければなりません。
法曹三者が十分な能力をもっているからこそ、司法の制度は公正なものになるし、国民に対しても裁判の結果に服することを強制できるのだと思います。
公正な裁判制度を制度的に担保するという意味で、国による法曹養成がなされなければならないのに、給費制をやめるということは、国が責任をもって法曹を育てることを放棄することだと思います。
また、法曹養成フォーラムでは、貸与制へ移行することを前提の議論がされただけです。
昨年、一年間の貸与制移行の延期がなされたのは、司法制度改革のもと、法曹養成制度は大きく変わったものの、当初の予定とは異なり、法科大学院の志願者も減り、合格者も確保できず、また、合格者の激増に法曹の活動分野の広がりが追いついていない結果、就職できない合格者が増えている、というような現状があるにもかかわらず、法曹養成制度の見直しを図らないまま貸与制への移行だけをすすめるのはやめたほうがいい。フォーラムの場をもって、十分に議論する必要がある、という認識から、一年の延長となったはずです。
しかし、フォーラムはこれまでに5回開かれましたが、貸与制への移行を前提として、移行するとして制度はどういうものにするか、という議論が中心でした。
これでは、一年延期したことの意味は無視されてしまっているといえます。
このような、「一度決めたからこのままの制度でいこうよ」という姿勢ではなく、柔軟に、不十分だったところ、失敗したところを認め、改善していくという姿勢こそ、政治には必要なのではないでしょうか。