被災者の方々だけでなく、一般市民も、そして、それどころか現に生活保護を受給している世帯にも、本当にはすとんと落ちていないことですが。
生活保護は権利です。
そういうと、そんなことはわかっていると思われるかも知れませんが、では、ご自身が生活に困ったら、権利を行使するのだという気持ちで、福祉事務所に生活保護申請の相談に行けるでしょうか?そもそも、生活保護は福祉事務所にいって申請するものだとご存じでしたか?
考えてください。
行きますか?
権利の行使という気持ちで。
今の日本では、どんな気持ちであろうが、生活保護の相談に行くのは、要りますよね。私でも要ります。
憲法25条
1項 すべて、国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生活保護受給権は、この憲法25条1項の生存権に最も具体的な現れです。
市民は、健康で文化的な最低限度未満の生活になったら、健康で文化的な最低限度の生活にさせるように、国家に請求することが出来るのです。
これは、もちろん、生物としてぎりぎり生きられる最低の生活ではありませんよ。
健康的でないといけませんし、文化的でないといけません。
ですから、健康的であるために、冷蔵庫やクーラーは当然認められますし、文化的であるためにテレビも認められます。車も必要な地域では認められます。
もう一回言いますが、生存権の行使である生活保護の申請は、権利です。
お病気とか、失業とか、なんらかのご事情で健康で文化的な生活を営めなくなったら、国に営めるように求めていくのは、当然の権利です。
生存権は請求権です。請求していく権利なんです。
自分で黙っていたら、国が支給するというものではありませんからね。
行動しましょう。
ところで。
厚生労働省が、5月の東日本大震災被災者の方々からの生活保護申請状況を公表しました。
驚きの結果が冒頭の表です(東日本大震災に伴う被災者からの保護の相談等の状況把握について(5月))
生活保護の申請数が215世帯なのに、153世帯しか生活保護が開始していないことではありません。
私が何に驚いたかわかりますか?
全国で602件も相談があったのに、215件しか申請させていないことです!
3~5月の3ヶ月間では、相談が2671件もあったのに申請させたのは972件に過ぎないそうです。
ずっと相談3件に1件さえさせていないのです(日本経済新聞 生活保護、3カ月で702世帯 厚労省まとめ)
我慢強い東北出身の方々がですよ、福祉事務所に生活保護の相談にいらっしゃるということは、相当苦しい状況に置かれているはずなんです。
そんな方々が相談だけでいいと思っておられると思いますか?
これは、厚労省・福祉事務所お得意の「水際作戦」が行われているに決まっています。
相談しに来た被災者の方々に、無理ですよ、と説得して、生活保護申請さえさせないのです。215件しか申請がないということにすれば、153世帯に支給したと言うことであれば、形にはなりますからね。
たとえば、津波被害が一番酷かった岩手県では、保護の相談件数が25件で、開始世帯がわずか5件。5分の1でしかありません。
被災していなくてもどんどん職を失うこの不況下に、東日本大震災の津波・地震・原発事故に襲われたら、一気に普通の生活を出来なくなるのは当たり前じゃないですか。
それを福祉事務所の窓口で追い返すとは何事か!
それにしても何万人もの被災者の方々が、避難所や仮設で苦しんでおられる岩手県で、生活保護の相談でさえ、25件、盛岡市9件とはあまりにも少ない!
上の表からは被災者の方が全国にちらばっているのがわかります。
全国の被災者の皆さん、生活がどん底にならないうちに、思い切って弁護士に相談しましょう!そして、一緒に福祉事務所に行きましょう!!
弁護士が一緒なら福祉事務所も窓口の相談のみで返すようなことは出来ません。
私がいくら生存権は基本的人権だと申し上げても、お一人で福祉事務所に生活保護を申請するのは気が引けるでしょう?弁護士と一緒ならおろそかな扱いはされません。
しかも、生活保護を受けることで、法テラスの活用で弁護士費用はかかりません!医療費も原則無料になります。
日本弁護士連合会では全都道府県に無料相談窓口を用意しています。
どの弁護士会でも手ぐすね引いて被災者の方のご相談をお待ちしているのに、相談者が少ないと嘆いています。
是非、ご遠慮なさらずに、弁護士会にご相談ください!
被災者のお知り合いをお持ちの皆さんも、是非、情報を教えて差し上げてくださいね。
宮武講師の「生活保護は権利だ!」
生存権や教育権など、福祉主義が憲法に規定されるようになったのは、1919年、ワイマールで開かれた国民議会で制定されたドイツ共和国憲法、通称、ワイマール憲法以降のことです。
第一次大戦でのドイツ敗戦を受けて制定されたこの憲法は、国民主権、男女平等の普通選挙の承認に加えて、新たに所有権の義務性、生存権の保障などを規定し、初めて社会権保障について定めました。20世紀の現代立憲主義憲法の典型とされるますが、1933年のナチス党の政権掌握によって事実上消滅しました。
日本国憲法も、ワイマール憲法に始まる現代立憲主義憲法の最も美しい結晶の一つです。
このような社会権規定が常識になったのは、近代立憲主義憲法の「自由、平等」では、社会不安が増大して、1917年にロシアで起きたような社会主義革命が、ヨーロッパ各地でも起こりかねなかったからなんですね。
絶対王制や貴族社会を打破して近代市民革命が起きた頃は、理性的市民が自由かつ平等に競争すれば社会は上手く行くと考えれてきましたが、それでは、格差は拡大し、産業資本家など持てる者はより豊かに、貧しい者はより貧しくなるだけでした。貧しい者には「飢える自由」があるだけだといわれる所以です。
貴族と庶民では生まれながらにして差別がある。それを打破するべく市民革命が起きたのに、身分がなくなっても今度は市民の中で生まれながらにして財力の差があり、教育の程度に差がついてしまって結局一生の間に取り戻せない。
というわけで、労働者の権利を守るための労働基本権や、自由競争の土俵からいったん落ちてしまった人を保護する失業手当や生活扶助などの社会権が規定されました。
もちろん、人権思想の深化もありました。
それに加えて、市民間の実質的平等を図る権利規定がないと社会不安が増大して、資本主義社会が転覆されてしまう。
つまり、資本家達も元も子もなくならないように、妥協したのです。
社会福祉の財源は、彼らが儲けすぎた所得に対する累進課税です。
だから、今の日本のように、累進課税が働かず、格差社会がますます深刻化するのに、福祉の財源は消費税などといいつのる世の中を変えるには、お金持ちの心胆を寒からしめ、妥協させるような、庶民の反乱が必要なのでしょう。
皆さん。
「権利の上に眠る者は保護されない」
という法格言をお忘れなく。
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厚生労働省は8日、東日本大震災で被災するなどして震災後から5月末までに生活保護を受けることが決まった世帯は702世帯になったと発表した。
5月に受給が決まったのは153世帯で、3月(218世帯)、4月(331世帯)と比べると増加のペースは緩やかになっているが、相談件数は1か月で600件を超えており、同省では「受給者はさらに増える可能性もある」としている。
5月中に受給が決まった153世帯の県別の内訳は、宮城が最も多く64世帯で、福島の56世帯、茨城の20世帯、岩手の12世帯と続いた。自治体が受けた相談の件数は602件、申請数は215件だった。
地震発生直後からの受給では、福島県が最も多く391世帯と5割以上を占める。次いで宮城180世帯、茨城78世帯、岩手43世帯だった。ただ、3、4月は通常の手続きを簡略化し緊急に支給を決めたケースもあり、その後の審査で支給が打ち切られた世帯も含まれているという。同省では、「今後、仮設住宅への入居が進めば生活費がかさむことが予想されるほか、失業手当などがなくなる人もおり、新たな受給者は増えるかもしれない」としている。
(2011年7月9日03時04分 読売新聞)
殴られる前に、申請を。
保護してもらうのではなく、保障させるんです。権利なんだから。
そうか。宮武語録はもう37もあったのか。
右のほほを殴られたら。。。が私の生き方。
文句言うだけです(爆)
詳細な説明恐れ入ります。
天下りを無くしただけでどれだけの方々が救われるか政治かも勉強してほしいです。
生きる権利を主張していきましょう。