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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

岸田政権が4月28日の閣議で、新型コロナウイルスを5類に引き下げる5月8日に、政府の新型コロナ感染症対策本部を廃止することを決定。65歳未満で基礎疾患のない人は8月末までワクチンも打てなくなります。

2023年04月28日 | 自公政権の拙劣なコロナ対策

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 岸田内閣が本日2023年4月28日、3年あまりにわたって設置されていた政府内の新型コロナ対策本部を廃止することを決めました。

 新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行されるのに伴う決定だというのですが、コロナ第9波が拡大する中、別にコロナの変異株が季節性インフルエンザ並みに感染力が弱まったわけでもないのに、どうして政府の対策本部を失くしてしまう理由があるのでしょうか。

 幸いにも専門家による新型コロナ感染症対策分科会(尾身茂会長)は当面存続させるということですが、専門家の提言を受けて新型コロナ対策を機敏に行なう受け皿がなくなってしまっては、そうでなくてもコロナ対策緩和の一辺倒になっている岸田政権がますます何もしなくなりそうで恐ろしいです。

 岸田政権は、コロナ対策本部の廃止後に、新型コロナの感染が再拡大したり、新たな変異株が発生した場合には「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」を開いて対応を検討する方針ですが、とても機敏に会議を開く期待は持てません。

こういう日々刻々と変わるデータの集積も行なわれず、季節性インフルエンザと同じですべてが推計になり、実態が全く分からなくなる。

岸田政権は5月8日に新型コロナを感染症法5類扱いにした後、コロナ死者の発表を速報で2か月後、正式には5か月後にしか公表しない予定だ。政府と大阪維新のコロナ失政を覆い隠すためのコロナ5類移行は絶対反対。

 

 

 ゴールデンウィーク明けからコロナ第9波がいよいよ本格化して感染者が増大する危険性が指摘されています。

 しかし、そのGW明けの5月8日に新型コロナは感染症法の5類に移行し、感染者数の報告数は週ごとの、しかも特定病院での定点報告になります。

 1週間ごとに決まった病院から報告されるのですが、どうしても報告には遅れが出ますし、全国の感染者数は推計になります。

 また、これまでは入院患者数のモニタリングはこれまで都道府県がコロナ患者を受け入れる病院に補助金を出してベッドを確保してきたため、感染者の報告としても医療機関から全数報告されるので集計できてきました。

 しかし、これもコロナの5類移行で止まります。

 入院患者数や重症者数のモニタリングは継続されず、よくわからなくなります。

安倍政権での厚労大臣時代からろくなことをしない加藤大臣。

【#天下の愚策】厚生労働省が5月8日に新型コロナを感染症法5類に格下げすることを正式決定。コロナ対応の医療機関は増えるどころか減る。感染者数も死者数も増える危険性。しかし実態は公表されなくなる。

 

 

 コロナへの対策を緩和するのならば、だからこそ、それで大丈夫なのか、むしろコロナ感染の動向は注意深い観察の必要があるはずです。

 日本よりも新型コロナの流行がいつも1年近く先行するイギリスでは、統計局とオックスフォード大学が協力し、ボランティアの国民に1カ月に1回PCR検査を受けてもらって、人口の中でどれぐらいの割合の人が感染しているのかを追いかけている調査(ONSサーベイ)を規制緩和後1年間続けました。

 しかし、日本ではいきなり唐突に対策緩和と同時に、感染者数・入院患者数・重症者数のモニタリングを止めてしまいます。なぜこんな危ない橋を渡るのでしょうか。

 さらに、コロナ死者数ときたら、岸田政権はこれも4月12日都道府県ごとの死者数の収集・公表を原則終了することを決めました。

 そして、5月8日以降は一部自治体から死者数のデータを先に集め、死者が例年と比べてどれほど増えたかをみる「超過死亡」を1カ月以内に把握するだけになります。

 しかし、その数は速報値でも2か月後、「正確」な数字は5か月後にならないと公表されません。

 

 まず、これでは市民がコロナウイルスから自衛するための情報が足りなさすぎます。

 そして、

『新型コロナの感染が再拡大したり、新たな変異株が発生した場合には「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」を開いて対応を検討する』

といいますが、コロナの感染がどの程度拡大しているかのモニタリングがごく大雑把になるのに、そんな閣僚会議が必要な時に素早く開かれるとはとても思えません。

 新型コロナの感染と被害をただ見えないようにしてないことにしてしまう、そんな非科学的なやり方は感染症対策とは言えず、自暴自棄で投げやりな棄民政策というべきです。

じりじりと感染者数が増えているコロナ第9波。左側のコロナ第8波のようになるのはコロナが感染症法5類に格下げになるゴールデンウィーク明け以降で、もう実態はわからなくなる。

新型コロナの感染者数が下げ止まって反転上昇。全国も東京も3日連続で前週を上回る。脱マスクなどコロナ対策の緩和ばかりでコロナ第9波を迎えたらひとたまりもない。感染症法5類移行は延期すべきだ。

 

 

参考記事

白井邦彦のnoteさんより

コロナ「5月8日、5類引き下げ」最終決定、それで本当に得をするのは?

 

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3年以上苦しめられたコロナですから、もうないことにしてしまいたい、見たくないという市民感情もわかります。

コロナに警鐘を鳴らす方向での発言は専門家でもずいぶんしにくくなっているようです。

しかし、コロナの変異株が去年よりも安全なものになったわけでは全くありません。

5月8日から8月末までは、65歳以上か基礎疾患がある人、医療や福祉の従事者の人しかワクチンも打てないのをご存じですか?

政府は5月8日からは、①高齢者(65歳以上)②基礎疾患のある人③医療や高齢者施設の従事者はワクチン接種可能だが、それ以外の人は9月以降に接種が可能となる予定と発表しました。

8000万回分以上も値段の高いワクチンを廃棄しているというのに、物凄く不合理でしょう!?

せめて、2022年までと同じ対策をするのが当たり前で、それに反して対策を緩和し、マスクは外せと言わんばかりで、感染者数も入院者数も重症者数も死者数も見えなくしてしまってコロナを「ないない」するなんて、反知性主義・反科学主義というべきです。

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コロナ対策本部の廃止、閣議決定…入国者への水際対策はきょうで終了

首相官邸
首相官邸

 政府は28日午前の閣議で、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を5類に引き下げる5月8日に、政府の新型コロナ感染症対策本部を廃止することを決定した。ただ、今後の感染動向が不透明なこともあり、専門家による新型コロナ感染症対策分科会(尾身茂会長)は当面存続させる。

 後藤経済再生相は28日の記者会見で、「新型コロナ対策は新たな局面を迎える。感染対策は今後、個人の選択を尊重して国民の自主的な取り組みを基本とする対応に転換する」と述べた。

 政府対策本部は新型インフルエンザ対策特別措置法に基づいて2020年に設置された。コロナを5類に引き下げれば、廃止する必要がある。

 一方、政府は危険性の高い変異株が出現した場合などは、再び感染対策を強化することも検討する。今後も必要に応じて、分科会で専門家の意見を聞く方針だ。

 また、松野官房長官は28日の記者会見で、全ての入国者に出国前72時間以内の陰性証明かワクチン接種証明の提示を求めている新型コロナの水際対策について、28日をもって終了すると発表した。29日午前0時から、提示は不要となる。

 当初は5月8日の前日までで終了する予定だったが、大型連休中の海外旅行者の帰国を円滑化するため、前倒しした。発熱などの症状がある人に対する検査は続ける。

 文部科学省は28日、コロナに感染した小中高校などの児童・生徒の出席停止期間について、5月8日からは「発症後5日」が過ぎ、かつ「軽快した後1日を経過するまで」に変更すると都道府県などに通知した。現在は原則「発症後7日間」となっている。

 

 

政府は28日の閣議で、新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行されるのに伴い、3年あまりにわたって設置されていた対策本部を廃止することを決めました。

新型コロナの感染症法上の位置づけについて、厚生労働省は27日、感染状況などを踏まえ、予定どおり5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行することを正式に決めました。

これに伴い、政府は28日の閣議で、新型コロナの対策本部を廃止することを決めました。

政府の対策本部は、国内で感染が確認されたあとの令和2年1月30日に、総理大臣を本部長にすべての閣僚をメンバーとして設置されました。

これまで持ち回りも含めてあわせて104回開かれ、感染拡大時に緊急事態宣言を発出するかどうかといった判断など、3年あまりにわたって感染対策の司令塔となってきましたが、役割を終えることになりました。

政府は、対策本部の廃止後に、新型コロナの感染が再拡大したり、新たな変異株が発生した場合には「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」を開いて対応を検討する方針です。

 

 

 

流行状況を把握するデータを手放して迎える第9波 どんな対策が必要?

新型コロナの第9波が始まりましたが、対策緩和の流れで感染状況を把握するためのデータが次々となくなっていきます。 無防備な状態で迎えるこの流行でどんな対策が打てるのか、西浦博さんと考えます。

新型コロナウイルスの対策緩和が進む中、日本は第9波に突入した。

健康被害を最小限に抑え、医療の逼迫を防ぐため、私たちは今何ができるのだろうか。

引き続き京都大学大学院医学研究科教授の理論疫学者、西浦博さんに聞いた。

※インタビューは4月1日に行い、その時点の情報に基づいている。

マスク着用の効果を手放しつつある日本

——9波がなかなか大変になりそうだということは、前編、中編でわかりました。日本が対策緩和に向かう中、私たちは何ができるでしょう?

まず、これまでとは違う流行状況であることに気づく必要があります。

この左のグラフは人口レベルでのマスク着用の効果を示していて、PNASという雑誌に出た論文の推定値です。世界各国の着用率と実効再生産数(※)を元に、横軸は着用率、縦軸は着用率によって実効再生産数を何%下げていたか、3つのモデルで見ています。

※一人の感染者あたりの二次感染者数の平均値。1を超えると感染拡大し始める。

100%着用していると、何もしていない時よりも3割ぐらい実効再生産数が落ちることが示されています。

日本では85%ぐらいの着用率だったので、2割強落ちてきたと考えられています。

政府が「マスクを外していいよ」と言っても日本の人は全員はずすわけではない。それでも屋内空間で外す人が若い人を中心に増えています。

着用率が4〜5割仮に落ちるとすると、実効再生産数は少なく見積もっても10%は下がります。これまで2割下げていた効果の約半分を日本では手放しつつあるのです。

日本の緩和のやり方、間違っている

右側のグラフはプラスアルファの対策の効果を見た論文を元に作成した図です。こちらだけ拡大してみましょう。

イベントの人数制限や外出自粛をしたり、感染者が増えてきた時に職場の業務を停止したりしたことで、実効再生産数が何%下がるか見ています。

声を出すイベントが再開されるのは喜ばしいことでしょう。僕だってそうです。一方、再開することでこれまで2割以上下がっていた実効再生産数がドンと上がることにつながります。

ドンと上がった再生産数で接触・社会活動をしながら流行が起こるのは、日本では初めての経験です。その状態でこの第9波に突っ込んでいかなければならない。

そもそも緩和のやり方が、日本はリスクに必ずしも基づいて細部を決定していないのです。

これまでのリスクを低く抑えて流行を走り抜けてきたわけですので、緩和は急にやったらその反動がかなり大きくなるのです。緩和が頓挫しないためにも、緩めるのは感染リスクの観点から言えば徐々にやるべきものです。

対策の仕分けをしたり、緩和したりすることには反対しませんが、じわじわ緩和していないのは問題です。

マスクをしたからといって、経済活動は影響を受けません。マスク着用で経済が傷むということはないのにこれをやっているわけですよね。

雰囲気で本来止めなくても良い対策を止めてしまうと、その緩和をすることで再生産数は上がります。

再生産数が上がる方向に一気に舵を切っていることでどんな影響があるでしょう。現在主体となっているオミクロンの組換え体「XBB」への置き換えで感染者は増加し、実効再生産数は1.4倍になります。今、0.9だとしたら1.26になる。

これまではマスクで2割下げられ、イベントで1割下げた上での1.26だったのですが、それぞれの対策をなくしてしまうと、それによって抑えていた再生産数がドンと一気にのしかかってきます。

それによって、感染者数が増えるスピードも上がります。それだけでなく、流行曲線が急激に上がるので、ピークが高くなります。流行のピークが高くなると、入院患者数のピークも高くなります。

——そうすると重症者や死者も増える可能性がありますか?

そうなんです。供給としてのベッド数は減るけど、受容としての患者数ピークが高くなる要素があるわけですから、相当の危機感を持って分析しています。

5類移行で状況を把握するためのデータもなしに

ただ一方で、法制度の移行とともにデータは失われていっています。リアルタイムで状況を知るための観察データの収集がそろそろ終わりを迎えつつあります。

5類移行で感染者数の報告数は週ごとの定点報告になります。週ごとに決まった病院から報告されるのですが、どうしても報告には遅れが出てきます。

入院患者数のモニタリングはこれまで都道府県がコロナ患者を受け入れる病院に補助金を出してベッドを確保してきたのですが、感染者の報告としても医療機関から全数報告されるので集計できてきました。

しかし、これが5類移行で止まります。「この方式の入院患者数や重症者数のモニタリングだけは何らかの形で継続してくれないか」と会議で懇願するように発言したのですが、そうなってはいません。

入院患者は一部の病院で報告しているデータについて別システムを使って厚労省が把握しています。でも僕らや国立感染症研究所は現状でアクセスできないデータです。

——ということは、第9波は流行状況がリアルタイムではわからないまま戦わなければいけなくなりそうなのですね?

その通りです。5類移行というのはそういう判断である、ということですね。死亡者数の把握のリアルタイム性はもっと酷い。人口動態統計を待たなければいけないのですから。速報値でさえ2ヶ月遅れでしか把握できません。

対策緩和による情報不足の問題は深刻です。日本では何をなくすかは、鍵となる対策さえ雰囲気で決められていることも否定できないわけですから

感染した時の欠席期間をどうするかも議論する対象になりそうですよね。学校保健法の規定に基づいて企業も感染者の欠席日数を決めるのですが、学校では発病後7日間としても、仕事ではそれだけ休めないとなったらどうするでしょうか。

そこで雰囲気の問題が露呈するのです。あくまで例えばの話ですが、本当は脱マスクをしていなければ、5日間の欠勤の後で検査陰性となり、その方がマスク着用の上で人混みを避けるなら、などと議論できたのかも知れません。

しかし、先にマスク着用が十分に科学的な議論なしで削がれています。情報分析による決定というものが日本では必ずしも十分でないことには危機感を持っています。

「こういう風にしたら上手く緩和できるよ」という知恵出しも専門家からできなかったのも良くなかったですよね。ただ、ロードマップどころではない状態で決定はなされてきたわけで、なかなか厳しいです。

ワクチンをうち、コミュニティレベルで対策を

——対策緩和の中で迎える9波はなかなか難しい流行になりそうですが、では私たちは何ができるでしょう?

一番大事なのは予防接種をきちんとうつことです。当面据え置きになっている臨時接種(公費で接種)の枠組みの中で、自分の順番が回ってきたら接種することがまず第一にできることです。

その次に、あまりにも感染状況が悪くなった時の措置なのですが、残念ながら5類になり、特措法が適用されなくなれば原則として一切なくなります。

これまでのように科学に基づいてリアルタイムで戦うことはできなくなります。日本はそういう政治決断をしたわけです。

それを知った上で、コミュニティレベルで対策を考えることになります。

これまでは公の機関、特に国がある程度責任を持って感染制御をしてきました。それが個々人の判断に移ったと言われる中で、都道府県や市町村も色々な対策をやめていっています。それでいいのか、と僕は疑問に思っています。

というのも、これからの期間は、都道府県や市町村、あるいはそれより小さなコミュニティでこれまで以上の責任を持って対応することが求められる段階に入ってきていると思うのです。資金が国から出ることはないのですが。

例えば、高齢者施設を考えてみましょう。日本では、大きなマンションを何棟か建てて村のようにしている巨大施設があります。そういうところでも9波ではこれまで以上に感染者が発生し、クラスターが起こるリスクがあります。

9波の流行は規模が大きくなるので、ヘルパーやナース、事務職員など職員が感染を避けて持ち込まないのは難しい状況に変わってきたと言えます。

そういう時はコミュニティレベルで行動規範を作って、みんなで弱者をできる範囲で守っていくことが望ましいと思います。

流行が大きくなれば高齢の軽症患者のベッドはおそらく非常に不足すると思います。今どこの医療機関なら頼み込めば確保できるのかなど、「自分たちの地域は自分たちで守るんだ」という意識変革がないとこの流行を乗り越えられないのではないか。今準備すればまだ間に合います。

地域レベルでコロナ影響をモニタリングする必要性も

——今のうちに準備をということですが、陽性者が目に見えて増えてくるのは4月半ばぐらいでしょうか。

週ごとにこれからは警戒感が上がってくるはずです。数が増えれば、流行拡大のレベルもわかりやすくなると思います。

今、どれぐらいベッドが不足しているかを中央で測るシステムもなくなるので(一部だけが見える状態になるので)、これも地域レベルで把握しなければいけません。

自分たちの県ではこれだけのベッドを持っていると把握した上で、「もう限界だから誰か助けてください」と呼びかけるためにも、現状がわからなければどうしようもありません。

例えばそれぞれの医療機関に電話をかけることも地域レベルなら可能でしょう。モニタリングを独自に行うことも考えなければいけません。

頼りになるデータは限られています。下水データはモニタリングに使えると言いますが、現状までに様々な理由があって下水のデータは一部の例外を除いてオープンデータではなく、広くリスク評価に使われているわけではありません。

現時点で継続的に観察できて一番頼りになるのは、総務省消防庁のデータです。救急搬送困難事例の統計はこれまで通り続くでしょう。あれが高くなった地域が限界を迎えていると考えられます。循環器疾患の人が亡くなるボーダーラインでもあります。

でもそのデータだけに頼るわけにもいかないので、別途、地域でモニタリングをしていただきたい。必要だったら僕ら専門家も手伝います。

データでなく、雰囲気で決める日本

また、僕らは感染者情報収集サイト「メタコビ」という、人に自分で感染情報を登録してもらう仕組みを作ってもいます。リアルタイムで感染状況が把握できて、嬉しいことに第9波の始まりもちゃんと捉えられていました。

もっと登録者が増えればより精密なトレンドを捉えられます。皆さんメールアドレス登録だけでも結構ですのでメタコビのアカウントを作成して下さい。

他の研究者と協力して健康観察アプリのデータを分析する仕組み作りも今、早急に進めています。

東京都は一定レベルのデータを維持しようと専門家と相談しながら移行期間を設けています。そういうのが全くない自治体もあります。流行は一気に拡大するのに、感染動向がある日突然わからなくなる時期がすぐ目の前にあるのです。

日本の流行状況は英国の10〜11ヶ月遅れですが、英国は緩和してエンデミックに向かう中で、ボランティアにPCR検査を受けてもらって人口の中でどれぐらい感染者がいるか把握する「ONSサーベイ」を実施していました。それもこの3月で終了しました。

しかし、それは裏をかえせば、英国では政治的な緩和の決断後1年以上のデータをかなり正確に把握する仕組みを作ってモニタリングし続けたということです。

そこは政府がしっかり責任を持ったということを意味しており、緩和後の動向を理解する上でもインテリジェンス(情報分析に基づく意思決定)を求め続けたということです。科学的な情報分析に基づいて政策決定をする仕組みがあるからなのでしょう。

それに対し、日本は緩和とともにほぼ全てなくしてしまいます。何とかならないのかと、英国のような調査を日本でやることも昨年早くに提案したのですが、無理でした。大変厳しい状況です。リスク評価の面で、国は誰も皆さんの面倒を見てくれない状況になります。

ここで怒ってももう遅い。皆さんで決めたことですから。だからこれからはコミュニティレベルでやるしかないのです。

マスク、リモートワークなどの予防策も

——コミュニティレベルでできることを伝えていただきましたが、予防接種以外に個人でやった方がいい対策は何があるでしょうか?屋内でのマスクでしょうか?

流行状況に応じて個人で判断する時代だと多くの人が言っていますが難しいですよね。

1つ重要なのは流行状況によってタイミングをはかる、ということです。第8波が終わった後のレベルまで感染者数が減ったなら、確かにリスクが相対的に低い状態へ移ったとも言えるでしょう。

でもここからまた感染リスクが高い状態に入ってきます。高くなったところで、専門家としては特に屋内の公共の場所でのマスクの着用はお勧めしたい。それを市町村など地域レベルで呼び掛けられたらと思います。

もちろん同調圧力など、日本社会の悪い部分が出ないようにケアしながらです。

——リモートワークはどうでしょうか?

感染状況が悪化したら、リモートワークはやると良いと思います。緩和期では白黒はっきり決められないと思うので、例えば以下のように整理しておけば良いのではないでしょうか。

  • 流行中にコミュニティで感染リスクを下げて過ごそうと呼び掛けがある場合→リモートワークをできるなら、やると良い。
  • コミュニティで呼び掛けがない場合→会社と個人によって決めると良く、感染を避けたい意志があってできる場合はやると良い。

対面を重んじる人の気持ちや価値観も無視せずに話し合って決めたらいいのではないかと思います。

戦い方が変わる変異は今後も起き得る

——4月の末からはゴールデンウィークもあります。長期の休みの後は必ず感染者が増えることをこの3年間ずっと経験してきたわけですが、今回、どう行動するかが読めませんね。

今回は本当にわかりません。「もう動いていいでしょう?」という気持ちも理解できます。それだけのリスクを含んだ判断をしたわけですから、人々が長期の休みに移動すること自体は受け入れざるを得ないのでしょう。

ただ、今後日本にも広がるであろう亜系統「XBB1.16」などもありますし、これまでのオミクロン株の亜系統登場とは違って強毒性の変異株の登場など感染状況が非常に悪化した場合は、これまでやってきたことが台無しにならざるを得ない。それぐらいの規模の流行が起こる恐れもまだまだあります。

本来、緩和する時は事前に「致死率あるいは全死亡者数の予測値がこの数値だとしたら、緩和も考え直す。この対策を打つ」という基準を出しておかなければいけません。

日本では、そういうことが起きた場合の取り決めとしては、「専門家と協議の上で指定感染症に指定するか考えなおす」、そうして特措法も使えるようにすることを言い訳であるかのように1枚紙に書いてあるだけです。

2021年後半にオミクロン株が登場したように、戦い方が変わる全く違う変異が出てくる可能性はまだまだあります。オミクロンは運良く強毒化はしていませんでしたが、強毒化した変異が起きるリスクも残っています。

そういうゲームチェンジが今後も起こり得る可能性を考えながら次のステップに進まなければいけないのに、緩和のペース配分も、危機管理上の設定も日本ではうまくできていません。

僕はなんだかんだと日本人が好きだから、今回の流行も放っておけなくて色々やることになりました。これまでの流行の制御でも日本人のお人よしの部分が色々なところで貢献していて、そんな日本のことを僕は嫌いになれません。

そのお人よしの良い部分をみんなで力を合わせて発揮しないと、9波は危ない状態にあるということを皆さんに知ってもらいたいと思っています。

(終わり)

【西浦博(にしうら・ひろし)】京都大学大学院医学研究科教授

2002年、宮崎医科大学医学部卒業。ロンドン大学、チュービンゲン大学、ユトレヒト大学博士研究員、香港大学助理教授、東京大学准教授、北海道大学教授などを経て、2020年8月から現職。

専門は、理論疫学。厚生労働省新型コロナウイルスクラスター対策班で流行データ分析に取り組み、現在も新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードなどでデータ分析をしている。

 

 

5月8日から“コロナワクチン”打てなくなる? オミクロン対応「GW前に検討を」ー静岡県

2023年4月25日(火) 21:04 SBS静岡テレビ

静岡県内では4月25日、新たに152人が新型コロナウイルスに感染したことが分かりました。県内の感染者数は増加傾向ですが、5月8日から多くの人が新型コロナのワクチンを打てなくなることをご存じですか?人流が増えるゴールデンウイーク前が最後のチャンスです。

<静岡県新型コロナ対策推進課 山本祥充ワクチン推進室長>
「5月8日から8月の末までは、高齢者、基礎疾患を持っている人、医療や福祉の従事者の人以外は、オミクロン対応ワクチンが接種できなくなる」

以前は、感染対策の切り札などと言われ行列ができていたワクチン接種ですが、実は5月8日から多くの人が打てなくなるんです。

政府は5月8日からは、①高齢者(65歳以上)②基礎疾患のある人③医療や高齢者施設の従事者が接種可能に。それ以外の人は9月以降に接種が可能となる予定と発表しました。街の人たちはこの情報を知っているのでしょうか?

<10代>「知らなかったです」
Qワクチンへの意識は?
「低いですね。インフルエンザと同じ扱いになると言われているので、そんなに対策しなくてもいいんじゃないかと思っている」

<20代>
「知らないですね」
Qコロナのワクチンは何回接種した?
「4回打ちました」
Q5回目以降は打ちますか?
「もう5類にもなるし、(打たなくて)いいかなと」

<30代>
「ワクチンについて、良くない話を最近、特に聞いたりするので、もういいかなと思っている」


静岡市内にある内科・消化器内科の「東静岡クリニック」です。こちらのクリニックでは新型コロナのワクチン接種が可能ですが、2023年に入り、ワクチン接種の予約が減っているといいます。

<東静岡クリニック 白川京佐院長>
「多い時では、月に200〜300人ワクチン接種をしていたが、きょうも今のところは1人」

ワクチンを接種する人は2022年のピーク時と比べると、2割ほどになっています。県全体の1日あたりのワクチン接種回数は、2022年12月には1日約3万6000回接種されていましたが、現在は約100回程度まで接種の回数が減っています。

ただ医療現場では、ワクチン接種は必要だと言います。

<東静岡クリニック白川京佐院長>「高齢者や免疫力が落ちている体力がない方とか、そういう人たちに移させないようにできるだけ接種してもらった方が配慮としてはいいのかなと」

県の新型コロナの感染者は増加傾向にあります。県の担当課はワクチン接種についてはあくまでも自己判断としていますが、人流が増加するゴールデンウイーク前までの接種を呼び掛けています。

<県新型コロナ対策推進課 山本祥充ワクチン推進室長>
「重症化を予防するためには、ワクチンは有効だと言われているので、副反応を心配される方もいると思うが、ぜひ接種をご検討いただきたい」

 

 

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後遺症続いてます。 (時々拝見)
2023-04-28 18:00:09
私の場合は睡眠障害です。知人の知人にはもっと大変な睡眠障害に悩んでいる若者もいるとのことです。
重症の方もまた増加傾向にあるようですし、最低でも、相当大変な、重症化するインフルエンザの扱いは継続すべきだと思います。

普段、中国の言うことは~と言ってる人々が、中国では新型コロナがすっかり収まった、という中国政府の話はしっかり信じているという不思議というか怪現象。

少し、明るい話題。
ブログランキング「政治評論」で村野瀬さんのブログが2位になっていました。以下略。
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