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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

イギリスの裁判所が「表参道ヒルズ」強盗事件の容疑者を日本に引き渡すことを拒否。「日本へ引き渡された場合、容疑者の人権が侵害されるおそれがある」。国際的に悪名高い日本の刑事司法制度改革は待ったなしだ。

2023年08月14日 | 刑事司法のありかた

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  2015年の11月に東京の表参道の宝石店で1億円相当の貴金属が奪われた事件、いわゆる「表参道ヒルズ」強盗事件について、イギリス・ロンドンの裁判所は国際手配されたイギリス国籍の男の日本への引き渡しを認めないとする判決を言い渡しました。

 警視庁はイギリス国籍の男3人について、強盗傷害などの疑いで逮捕状を取り国際手配していました。

 その後、3人はそれぞれ別の件でイギリスで拘束されましたが、日本はイギリスとの間で犯罪人引渡し条約を結んでいないため、日本政府は身柄の引き渡しを求めていました。

 ところが、ロンドンの裁判所は2023年8月11日、3人のうちの1人、ジョー・チャペル容疑者(37)について、引き渡しを認めないとする判決を言い渡したのです。

 この判決で裁判所は

「日本政府のチャペル容疑者への人権の保証は不十分だ」

「日本へ引き渡された場合、チャペル容疑者の人権が侵害されるおそれがある」

などとして、日本側の求めを退けたというのです。

英、身柄引き渡し認めず 表参道の宝石店強盗事件 - 産経ニュース

盗聴拡大、司法取引導入のみならず、取り調べの一部「可視化」もえん罪につながる刑事司法「改革」。
刑事司法関連法案の通信傍受法=盗聴法拡大、司法取引はもちろん、中途半端な取調べ可視化にも反対する。
 

 

 この衝撃的なニュースを受けた我々日本の普通の弁護士の反応は

「そりゃそうだろな」

「おっしゃる通り」

というものです(悲)。

元死刑囚袴田巌さんに東京高裁が無罪の可能性を開く再審決定。「有罪の決め手」の衣類5点は「捜査機関の者による可能性が極めて高い」。再審のルール整備と死刑廃止の議論を進めるべきだ。

袴田さん再審、証拠捏造を指摘された検察が意地になって再審公判での有罪立証の方針。検察の悪あがきで審理の長期化避けられず。検察はいつまで人権侵害を続ける気だ。

 

 

 なにしろ、被疑者から無理やり自白を採取するために、23日間もの長期間起訴をしないで取り調べができる、国際的にみて異様に長い身柄拘束期間。

 起訴があってやっと保釈ができるという保釈制度なのですが、保釈率は国際的にみて非常に低く、特に事件を否認していると保釈率がぐっと下がり、事実上自白が強要される「人質司法」と呼ばれています。

 そして、何より捜査機関による取り調べの間、弁護士の立会権が認められず、弁護人は被疑者と短時間接見できるだけで、一般市民に過ぎない被疑者はたった一人で密室での捜査官による取り調べに耐えなければいけません。

 郵政不正事件で村木さんに対して大阪地検が証拠を捏造した事案が発覚するなどして進んだはずの捜査改革でも、一部取り調べが録音・録画されただけで、根本的な問題には何も手が付けられていません。

証拠をねつ造されて起訴され、無罪となった、郵政不正事件の村木元被告人

上司 被告人本人 部下 業者全員否定 郵便不正事件

 

 

 これが世界で悪名高い日本の「暗黒司法」と呼ばれる刑事司法制度であり、かのカルロス・ゴーン容疑者も自分の逃亡を正当化するためにこの日本の刑事司法制度を理由にしましたが、その指摘自体は当たっていたのです。

 ロンドンではチャペル容疑者以外の2人の容疑者についても9月以降、審理が行われる予定です。それもどうなることか。

 世の中には右翼がよく使う言葉として「国辱」という言葉がありますが、日本の刑事司法では被疑者の人権侵害が行なわれるかもしれないから強盗容疑の被疑者をイギリスが日本に引き渡してくれない、というほど恥ずかしい話はありません。

 ほとんどの冤罪事件では無実の被疑者が身に覚えのない事実について自白を取られています。

 この自白強要と、袴田事件や郵政不正事件で明らかになった捜査機関が証拠のでっち上げさえしてしまう「密室捜査」。

 まず、弁護人の立会権を皮切りに、徹底的に日本の刑事司法を改革しなければなりません。

ゴーン is  gone!! されど、ゴーン氏がやった日産労働者への人権侵害を忘れない。

ゴーン is gone2 カルロス・ゴーン氏による日本の「暗黒」刑事司法制度批判は全面的に正しい。

森雅子法相「ゴーン氏は無罪を証明すべきだ」と言ってしまい、ゴーン氏のフランス人弁護士に皮肉られて大恥をかく。ゴーン is  gone3

 

 

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8年前、東京・表参道の宝石店でおよそ1億円分の宝石が奪われた事件をめぐり、イギリスの裁判所は、警視庁が国際手配していたイギリス国籍の男の、日本への引き渡しを認めないとする判決を言い渡しました。
日本の捜査機関による取り調べで人権侵害を被るおそれが拭えないなどとしています。

2015年11月、東京・渋谷区の高級宝石店に3人組の男が押し入り、警備員を殴って大けがをさせた上、ダイヤの指輪などおよそ1億円分を奪って逃げました。

この事件で警視庁はイギリス国籍の男3人について強盗傷害などの疑いで逮捕状を取るとともに、ICPO=国際刑事警察機構を通じて国際手配していました。

その後、3人はそれぞれ別件でイギリスで拘束され、日本政府が引き渡しを求めていましたが、ロンドンの裁判所は11日、3人のうち、ジョー・チャペル容疑者(37)について引き渡しを認めないとする判決を言い渡しました。

日本とイギリスの間に容疑者の身柄の引き渡しに関する条約は結ばれておらず、裁判で弁護側は、引き渡した場合、捜査機関による長時間の取り調べで自白を強要されるなど、人権上の懸念があると訴えていました。

これに対し日本側は、取り調べは原則として録画され、自白の信用性が疑われる場合は証拠として採用されないことなどを説明していました。

判決は、裁判所が日本政府に求めていたチャペル容疑者の人権への保証が不十分だとして引き渡した場合、人権侵害を被るおそれが拭えないなどと指摘し、日本側の求めを退けました。

ほかの2人の容疑者についても9月以降、審理が行われます。

専門家「他国の懸念を取り除く必要ある」

イギリスで容疑者の身柄の引き渡しなどを専門とするアナ・ブラッドショー弁護士はNHKの取材に対し「表参道の事件に限らず、日本が将来にわたって外国の容疑者の円滑な引き渡しを実現するためには、国際的な独立した監視機関を受け入れて捜査や拘留、それに裁判の実情を明らかにしてもらい、人権に関する他国の懸念を取り除く必要がある。この問題に向き合う用意があるのか、それとも交渉の余地がない対立点なのか、日本政府にかかっている」と指摘しました。

 

 

英、身柄引き渡し認めず 表参道の宝石店強盗事件

貴金属を奪われた高級宝石店「ハリー・ウィンストン」=平成27年11月、東京都渋谷区

日本は米国と韓国の2カ国と犯罪人引渡条約を締結しているが、英国とは締結していない。実現すれば、条約を結んでいない国から相手国民の引き渡しを受ける警察としての初のケースとなる予定だった。英国の裁判所は残る2人についても審理するが、認めない可能性が高いとみられる。

裁判で、男の弁護側は日本の捜査機関による取り調べで自白を強要されるなどの懸念があると主張。日本側は取り調べは原則録画されるなどと反論していた。

事件は15年11月20日夜、東京都渋谷区神宮前4丁目の商業施設「表参道ヒルズ」内の「ハリー・ウィンストン」で発生した。客を装った3人が警備員を殴り、ショーケースを壊して指輪など46点を奪って逃走した。(共同)

 

 

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1 コメント

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Unknown (暗黒大将軍)
2023-08-15 13:39:18
アホのヤフコメはいつもどおり「イギリスみたいな雑魚に舐められるな」とでも喚いてるのかと思ったらそうでもなさそうですね

勿論「法律を守らず人権が守られる国からの入国は見直すべき」なんていつもレベルの脳死コメントもあります

こいつら、イギリスがこのジョー・チャペルを無罪にしたがってるとでも思ってるんですかね
「法律を守らず人権が守られる国」とやらの入国をオミットしちゃうとすると将来的にはOECD脱退とかの発想になりますが

まぁイギリスも司法や報道なら流石に日本よりはマシでしょう(笑)
「時事通信、NHK、日経新聞」のほうが「ロイター、BBC、フィナンシャルタイムス」よりマシ、って言う人がいますかね
「ザ・サン」や「デイリーニュース」が夕刊フジよりマシなのは産経以外は万人が認めるでしょ

ただ堺母子殺人のブラジル代理処罰ではブラジルに死刑がないこともあり、「外国人を裁くハードルの高さ」を強調して関心や支持を集めようとするネトウヨ系インフルエンサーの台頭は避けられませんね
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