「ザ・ロード アメリカ放浪記」ジャック・
ロンドン/川本三郎[訳](ちくま文庫)
翻訳系ノンフィクションは、翻訳の価値のあ
るものという前提を信頼しているので、著者
については全く無知であるが購入。
アメリカの短編の名手(らしい)であるジャ
ック・ロンドンの、主に列車放浪の旅を振り
返ったノンフィクション。
1900年直前の、ホーボー(放浪者)とし
て(無銭で)列車を乗り継ぎ旅をした思い出
が、全編にわたり続く。
基本はお金を持た(て)ずに、食料や衣服を
一般家庭にもらい、乗務員と駆け引きをしな
がら列車を乗り継いでいく。
まだ地上に冒険があふれていた時代、放浪せ
ずにはいられない、生命エネルギーに満ちた
若者たち。
マイルドな表現をしているが、まあまあダー
ティというか、やっていることは結構なワル
である。
読みようによっては、若者の、若者に特有の
ただの武勇伝ひとり語りであるが、今の時代
に、ここから何を読むか。
今の時代に照らせば、犯罪だらけでどこを読
んでも同じような、変わり映えのない違法な
ワルさ自慢である。
しかし、同じ時代を生きた、時代を共有した
世代には、当事者としての共感に満ちた文学
かもしれない。
それが100年の後であれば、それは貴重な
歴史の文学かもしれない。
自分たちが現代の旅文学から憧れを覚えるよ
うに、当時の若者は、やはりここから憧れを
感じたのだろうか。
地上から冒険のにおいが消え、特にこの国で
はダーティな旅など憧れもなく、どちらかと
言えば悪感情ですらある。
だから恐らく、ここから当時の「熱」を本当
の意味で感じることは、残念ながらできない
のだろう。
それでも確かに、間違いなく、この国ではあ
り得ない「アメリカ」は、ここにある。
ロンドン/川本三郎[訳](ちくま文庫)
翻訳系ノンフィクションは、翻訳の価値のあ
るものという前提を信頼しているので、著者
については全く無知であるが購入。
アメリカの短編の名手(らしい)であるジャ
ック・ロンドンの、主に列車放浪の旅を振り
返ったノンフィクション。
1900年直前の、ホーボー(放浪者)とし
て(無銭で)列車を乗り継ぎ旅をした思い出
が、全編にわたり続く。
基本はお金を持た(て)ずに、食料や衣服を
一般家庭にもらい、乗務員と駆け引きをしな
がら列車を乗り継いでいく。
まだ地上に冒険があふれていた時代、放浪せ
ずにはいられない、生命エネルギーに満ちた
若者たち。
マイルドな表現をしているが、まあまあダー
ティというか、やっていることは結構なワル
である。
読みようによっては、若者の、若者に特有の
ただの武勇伝ひとり語りであるが、今の時代
に、ここから何を読むか。
今の時代に照らせば、犯罪だらけでどこを読
んでも同じような、変わり映えのない違法な
ワルさ自慢である。
しかし、同じ時代を生きた、時代を共有した
世代には、当事者としての共感に満ちた文学
かもしれない。
それが100年の後であれば、それは貴重な
歴史の文学かもしれない。
自分たちが現代の旅文学から憧れを覚えるよ
うに、当時の若者は、やはりここから憧れを
感じたのだろうか。
地上から冒険のにおいが消え、特にこの国で
はダーティな旅など憧れもなく、どちらかと
言えば悪感情ですらある。
だから恐らく、ここから当時の「熱」を本当
の意味で感じることは、残念ながらできない
のだろう。
それでも確かに、間違いなく、この国ではあ
り得ない「アメリカ」は、ここにある。