八幡さまの七変化

2020-06-06 15:58:58 | イベント
全国各地にいらっしゃる八幡さま。
ご利益はいろいろとあるようですが、本来は弓矢八幡、武運の神。
ちょっと意外ではありませんか。

それでも、多くの武士が八幡神を氏神、守護神としたのは、ちゃんとご利益があったから。

八幡神の数ある奇跡(!?)のひとつが、
平安時代後期、現在の東北を舞台にした前九年の役での源氏方の勝利。
官軍を率いた源頼義の祈りにこたえて「大風」を巻き起こし、
堅固な敵陣を炎でつつみ、長い戦に終止符を打ったとも。
はたまた、別の場面では「鳩」の姿で頼義を導いた(!?)とも。

そうなんです。八幡神の使いは「鳩」なのです。
新型コロナウイルスで話題になった「ヨゲンノトリ」は「烏」のようですが・・・

とにもかくにも、八幡神という武神の使いは「鳩」であり・・・
「鳩」と言えば、現代では平和の象徴。そのイメージと「戦」は結び付きにくいのですが、
八幡宮の総本宮、大分の宇佐八幡宮が571年に創建された時の物語に、
「鳩」は神の化身としてすでに登場しています。

伝承によると、569年、宇佐神宮境内のひし形の池のほとりに、
ひとつの身体に8つの頭をもつ鍛冶をする翁が現れた。それを見たものは病気になったり、死んだりした。
大神比義(おおがのひぎ)なる人物が見に行くと、翁の代わりに鷹がおり、そして金の「鳩」になった。
「神が人を救うために変身されている」と悟った比義は、3年間断食をし祈り続けたところ、
光輝く3歳の童子があらわれ、自分が応神天皇であることを告げます。
そして、再び鷹となって松にとどまり・・・宇佐八幡宮に鎮座された。
つまり、八幡神は、神になられた応神天皇。

この第15代天皇は、実在したとすれば4世紀後半。
生まれは九州。そこから大和に入ったと言われています。
また、この時代は、朝鮮半島から多くの技術が導入され、文化的に発展したとも。
八幡は、もとは「やはた」と読み、いつの頃からか「はちまん」と読むようになったようですが、
諸々の状況から、応神天皇と朝鮮半島との密な関係も指摘されるところ。

ともかくも、宇佐八幡宮は皇祖神をお祀りしているともいえますが、
その神さまがなぜ武神なのでしょう。
応神天皇の大和入りに関係するのかもしれませんが、
逆転の発想で、八幡神を守護神とした源氏が、戦で神威を発揮したことで、
「弓矢八幡」と崇められた(!)という説もあるようです。

八幡神の使いは鷹なの?鳩なの?
いずれにせよ、各地に八幡宮を分祀したとき、道案内をしたのは「鳩」だそう。

そして、道案内したそれぞれの土地に、「鳩」は留まったようなのです。
あの境内にたくさんいる鳩が、どこまで関係するのかはわかりませんが、
「えさちょうだい♪」と足元に近づいてくる鳩に気を取られず、
目線を上に、神社のどこかに掲げられている大きな額をご覧ください。



こちらは、甲府市の「府中八幡宮」の扁額(へんがく)です。
「鳩」、見つかりましたか?


甲府の金手駅そばの「山八幡宮」にも、ちゃんといらっしゃいます。
金色の「鳩」ですね。


「山八幡宮」のお賽銭箱にも😊 

つがいのような「鳩」がつくる八幡さまの「八」の字。
「八」は古来より「聖数」とされ、「たくさんある」という意味で「八」百万の神々などにも使われてきました。
しかし、詳しくは触れませんが、「八」には「数が多い」以上の概念が潜んでいるようです。
また、「鳩」には「九」の字が含まれますが、「九」は数字の最後。そして最初の転換点。
そのイメージが転じて、究極、最高、そして神の鳥!?

八幡さまがなぜ武神で、そのお使いが「鳩」である訳、残念ながらはっきりしません。
それでも、八幡信仰には、たくさんの物語が織りこまれている、ということは言えそうです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八幡さまがいっぱい! | トップ | 八幡さまはお忙しい! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

イベント」カテゴリの最新記事