時事通信社は27日付で、中国(中華人民共和国)が1950年、「尖閣諸島は琉球(沖縄)に含まれるとする外交関連文書を作成していたと報じた。同日、 北京市内で行われた中国政府・外交部の定例記者会見では同件についての質問が出たが、華春瑩報道官は「よく分からない」などとして直接の回答を避けた。
外交部はホームページに掲載した定例記者会見の記録で、関連部分を削除した。
これまでも、中国が1971年に初めて「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)は中国領」と主張する以前に、共産党機関紙の人民日報や、中国国営・地 図出版社(当時)が「尖閣諸島は日本領」と解釈できる文章や図を掲載したことがあったが、政府文書において「尖閣諸島は日本領」との記述が見つかったのは 初めて。
「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」と題する文書で、中国政府は、「台湾は中国の一部」、「釣魚島は台湾の一部」、「日本は第二次世界大戦の敗戦の結果、台湾本島などと同様に釣魚島も中国に返還して当然」と主張している。中国政府の公的文書に「尖閣諸島は琉球の一部」との記述があれば、中国側の論法が崩れたことになる。
中国外交部が27日に行った定例記者会見では、同公文書の問題について質問が出た。華春瑩報道官は「報道の状況がよく分からない」と述べた上で、尖閣諸島について「中国の主権は歴史的にも法的にも十分な根拠がある」と主張した。