好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

詩人の綴るショートショート。

2024-07-10 | 物語全般
『ぺ』(by谷川俊太郎)、読了。
全23話収録の短編集。

詩や童話や翻訳で楽しませてもらってる谷川作品に小説があったと先日知った。
それもショートショートなら読みやすかろうと図書館で借りた。
玉砕した。

一言でいえば、実に「詩人らしい小説」である。
独特の言い回しが、良くも悪くも印象づけられる。
ややもすると、小説というより散文詩と見なした方が良い作品も少なくない。
そして全体的に、悲壮感が著しい。
未来が絶望に染まっている。
人類も地球も滅びかけ、または滅びた後だ

ところで、表題作はひらがなの『ぺ』か。それともカタカナの『ペ』か、どっちだろう。
当記事では、ひらがなを掲げたが……。

それでは。また次回。

仕舞い込んでた過去の記憶、の話。

2024-07-04 | 物語全般
『鍵』(by筒井康隆)、読了。

角川ホラー文庫の自選恐怖短編集との事。全16話収録。

再読の話がさすがに多い。
『佇む人』『無限効果』『池猫』『怪段』『くさり』『母子像』『二度死んだ少年の記録』は確実に覚えている。
もしかしたら、記事がブログに無いだけで、全部既読かもしれない。
けれど安定して面白いから助かる。
いっそ癒し。

本命は表題作。
主人公は、手にしたどこかの鍵をきっかけに、忘れていた記憶をひもといていく。
ただし、それは美しい思い出でなく。ためこんだ挙げ句に封印してしまった過去だ。
実際、私含め、主に子供時代に、あれやらこれやら、やらかした代物を仕舞い込んで忘れてしまった経験は大抵あるだろう。
食べずに残した給食を机の奥に隠して腐らせるとか、やっちまったもんだ。

私の場合だと、読んで怖すぎた本をどうにも出来ずに、何年も廊下の物陰に隠してた。
捨てるとか、まして売るとかいった発想も手段もなかったんですね。
歳とって処分できた時はホッとしたなぁ、なんて事も思い出したり。

それでは。また次回。

固定電話時代のサスペンス劇。

2024-06-23 | 物語全般
『袋小路』(by都筑道夫)、読了。

全12話収録の短編集。
気軽に読むなら短編集だ、と図書館で目に留まったのを反射的に借りる。

ところがどっこい、いざ読んだら逆に、状況のつかめない作品が続いて多いに混乱。

自己と他者、生と死、現実と虚構、そういった諸々の境界線が曖昧に溶けて消えていく話が非常に多かった。
『動物ビスケット』『顔の見える男』『指のしずく』など、バッドエンドを通り越して、私には顛末の意味さえ分からない。
これで終わり?

中でも『風の知らせ』の分からなさ加減は飛び抜けていた。

作者があとがきで賛否両論だった旨を述べているが、時代を経た今はますます分かりにくくなっている。
基本的に固定電話のみ、そして電話番号非表示が前提でないと、全くま成立しない話だから。
今時の特殊詐欺などを思うと、本作発表当時は何とおおらかだったんだろうと、感慨に耽った私である。

それでは。また次回。

リハビリ的・映画感想メモ。

2024-06-18 | 物語全般
やっぱり劇場で映画を見るのが好きだ。
今後のリハビリ兼ねて、少しだけ感想を書く。

★『告白 コンフェッション』
生田斗真氏なら演技力あるからいいかなと、予備知識ほぼゼロで鑑賞。
雪山描写が違和感だらけで、一切合切全部メタネタに落ちるのではと思った私。
物語の8割くらいが、激しいホラー的なフィジカルバトルに終始してた。
気まずい状況を誤魔化す会話劇、から過去の真相が少しずつ明かされる、なんてのを想像してたんだが。
後日ちょっと調べたら、原作漫画だとオチが大きく異なるようで、寧ろ私はそっちの方が好み。
ところでタイトルの単語、日本語でも英語でも別作品と重複してしまう。
将来、調べるのに苦労しそうだ。



★『ラーメン赤猫』
TVアニメの先行上映。2週間限定。
特典の色紙もらいました。
ジャンプルーキー枠から駆け上がった、ジャンププラスの傑作の一つ。
水曜日のカンパネラがOP担当。
猫さん達はベテラン勢、珠子さんのみ新人と、声優陣が役柄とかさなってる構図は興味深い。
文蔵さんが意外に渋くて、でも似合ってる。
珠子さんが涙を流して前職を語る場面には引き込まれて少し泣けた。

それでは。また次回。

映画感想小ネタの供養。

2024-06-09 | 物語全般
下書きのまま仕上がらなかった、データの消えた感想たちの供養。

★『イエスタデイ』
ビートルズのいない異世界で無双するギタリストの話。
SFと思ってたら恋愛映画に終始してたのが、私の中で不完全燃焼。

★『明日に向かって撃て!』
図書館で借りたDVD。
有名すぎるタイトルと、既に聞き慣れてた挿入歌。

★『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
図書館で借りたDVD。
1942年前イタリア版。
予備知識ゼロで見たため、郵便屋さんがいつ出るか待ってしまった。

★『カンフーパンダ』
それぞれ親子関係に悩む、パンダさんの弟子とレッサーパンダの師匠。
筋の通った分かりやすい展開。

★『ユー・ガット・メール』
1988年作。
ダイヤルアップ接続音が懐かしかったのがピークだった。
前半はまだしも、後半はあらゆる意味で男性側が優位すぎて納得しかねた。
消えた初稿の文章、今思うとかなり憤慨してた自分。

それでは。また次回。

幻想短編集・備忘録。

2024-04-05 | 物語全般
『十月の旅人』(byレイ・ブラッドベリ)、読了。

全10話収録の短編集。
1940~1950年代の幻想小説。
物語のジャンルが未分化の時代。

『十月のゲーム』:この本の初出時(1974年)の日本にはハロウィンが普及してないため注釈がある。

『休日』:『火星年代記』の系列。
火星に先住民がフツーに生活してる。

『対象』:本来は何物でもないが、他者に規定されると、定型の概念に固着してしまうナニカ。

『永遠と地球』:1938年の病死寸前の作家トマス・ウルフを遠い未来へ連れてきて、新作を書いてもらうというムチャぶり。

『昼下がりの死』:二人称で一貫しているため恐怖倍増。

『灰の怒り』:死体視点の一人称。乙一氏にこういう作品あったな。

『過ぎ去りし日々』:時系列が混線しまくってる主人公の一生。求む解説。

『ドゥーダッド』:何にでもなれる道具の話。一番好き。でも人は死ぬ。

『夢魔』:眠ると精神体に殺されてしまう異星。

『すると岩が叫んだ』:1963年で欧米全滅。植民されていたメキシコが代わって天下をとる。
アジアがん無視なのが時代を感じる。

それでは。また次回。

「時系列シャッフル」の祖。

2024-04-03 | 物語全般
映画『パルプ・フィクション』を配信で見る。

1994年作。
映画好きなら必ず見るべしという世評を、幾度となく見かけてきた。
いわゆる「時系列シャッフル」を効果的に用いているなど。

配信元のPC画面には、R18指定と表示されていたから、見る前、大いに不安だった。
実際のところ、私が恐れていたほどの残酷描写はなかったが、扱われているモチーフは確かに過激。
薬物のOD、銃の虐殺、そして強姦。
こうした内容をフィクションとして割りきれるタイプなら、興味深い構造を堪能できると思う。
私はちょっと無理だった。

時系列シャッフルについても、私はあまり入り込めず、混乱する方が先に立った。
小説やTVドラマ(&アニメ)なら慣れてるが、そういう媒体の時も毎度こまめにさかのぼって確かめてるからなあ、私。

それでは。また次回。

異世界探索SFの祖。

2024-03-29 | 物語全般
『猿の惑星』(byピエール・ブール)、読了。

1963年初出。
1968年作の映画(と、そのオチの場面)があまりにも有名な作品の原作小説。

映画版は何作も続いているシリーズもののため敬遠していたが、小説なら読みやすいと思って手に取った。

そんな私だから、映画と小説の比較は基本的にできないが、「映画版のオチの場面は、小説版にはない」という点は挙げておこう。

以下、小説版の感想。
全体的に展開が早くテンポが良く、読んでいて飽きさせない。
宇宙旅行者が星の海から拾い上げたボトルメールに記された物語。

異星に着陸!→
野蛮な住人に襲われる!→
服を着た猿たちに捕まる!→
生態実験を繰り返される!→
自我と意志のある事を証明する!→
猿たちと意志疎通!→
演説で世論を味方に!

……ここから先もどんどんハイスピードで、話は終幕まで盛り上がり続ける。

かつて通し読みした『ガリバー旅行記』を思い出させる雰囲気だった。

それでは。また次回。

「自由の国」での不自由。

2024-03-20 | 物語全般
映画『イージーライダー』を配信で見る。

以前「午前10時の映画祭」でタイトルを見かけてから気にかかっていた。

いざ見た結果。
確かに、知らないままでいるべき作品ではなかった。
使われている楽曲はテレビなどで何度も聞き親しんでいる物だった。

一方、ストーリーの方は、語るのが難しい。
そもそも筋書きってあるんだろうかコレ。
風来坊のバイク乗り達が何となく旅をしている。
(当時は合法だった)マリファナを使いまくって。

が、旅が進むにつれ、地域の閉鎖性がどんどん強くなるのか、余所者というだけで襲われる。
三人の内の一人が闇討ちされた後は、半ば義務感で眺めた。
ラスト数分になっても話が終わる気配はなかった。
そうしたら、現地人に撃ち殺されて終わった。
後で調べると、この映画は「アメリカは自由の国というわけでもない」というようなテーマを描いているそうだが。
いきなり死ぬオチは、考えさせる気持ちすら持てなくなるから好みじゃない。残念だった。

それでは。また次回。

男と女と、破滅への旅路。

2024-02-18 | 物語全般
映画『俺たちに明日はない』を配信で見る。

古典名作を100円で見られるのが今の時代。
因みに1967年作。

かつて、悪さする男女コンビは、ほぼ必ず、この映画の名前で呼ばれていたはずだ。
故に私としては、てっきり映画では、さぞ狡猾でスマートな完全犯罪をこなしているのだろうと思っていた。

実際に見た映画は非情だった。
ボニーとクライドの二人は、そもそも旅の最初の時点から関係が破綻している。

女は男と二人きりでロマンチックに過ごして(セックスして)いたい。
退屈すぎる生活に刺激が欲しい。

男はいつも大勢でにぎやかに過ごしていたい。
働かずに楽して金が欲しい。

この通り価値観が食い違いすぎている。
そんな彼らは出会った勢いに任せて強盗を始め、少年院帰りの少年を仲間に入れた辺りからますます事態は袋小路。
そこに更に、男の兄とその妻まで混ざり、兄嫁は小姑化。

銀行を襲うなどの華やかな描写よりも、追いつめられていく絶望感の方が印象に残った。
ラストシーンは呆気ない。
もし今時の映画だったら、死に際に延々と喋ったりしそうな気がする。
人生を踏み外したら、殺されるか死ぬしかないってのは、悲しい。

それでは。また次回。