好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

本格世界の謎に酔う。

2024-11-03 | その他ミステリ
『スイス時計の謎』(by有栖川有栖)、読了。

作家アリスの国名シリーズ。
全4話収録の短編集。

起こった事件に呼ばれた探偵が謎を解く。
完成された様式美。

『あるYの悲劇』は既読だったが、他は恐らく未読(のはず)。

本命は表題作。
ミステリ好きなら必読というレビューのおかげで手に取った。
カバー見返しの作者いわく、ぜひ謎解きに挑戦してとの事だったので、誰が犯人か、うんうん唸りながら読んでいった。

これは私論だが、読者の誰でも真相に気づけたら、それはミステリではない。
が、最後の最後に探偵が明かすまで見当もつかないのはフェアじゃない。
私のようなへっぽこ読者でも「こうかな?」くらいの予想は出来て、けれどその予想を裏切って、更なる期待に応えてくれるのが最高のさじ加減。
まぁ要するに、そういう絶妙な話でした『スイス時計の謎』。
細かい事は敢えて書かずに、オススメします。

それでは。また次回。

動物好きには読めない本。

2024-10-23 | その他ミステリ
※猫好きはマジで読まない方が良いです

『動物好きに捧げる殺人読本』(byパトリシア・ハイスミス)、読了。
全13話収録の短編集。1975年初出。

表紙の可愛いイラストと、第1話の象さんによる一人称に惹かれて、図書館で借りた。
そうしたら、特大のいわゆる地雷作品だった。
一人称の話、象編とゴキブリ編しかなくて、他は全部三人称だったし。

この本にあるのは、人間に追いつめられた動物たちの生存本能であり、その結果、人が無惨に死んでいる物語である。
虐待から逃げるのは「怨恨」じゃない。お腹を満たしたいのは「物欲」じゃない。安心できる飼い主を求めるのは「痴情」じゃない。この本の端書きに異議を唱えたい。

それに、全部読んで振り返れば、表紙のワニや羊の話なんて無かった。
逆に、ラクダとか馬とか山羊とかの話があるのに、表紙にいない。
文章担当とイラスト担当で、編集が連携できてないんじゃなかろうか。

それでは。また次回。

続・給仕は安楽椅子探偵。

2024-10-15 | その他ミステリ
『黒後家蜘蛛の会2』(byアイザック・アシモフ)、読了。

全12話収録の連作短編集。
会のゲストが相談を持ちかけて、皆して意見を出し尽くして、最後に給仕のヘンリーが最適解を上げる、いつもの形式。

本命は『終局的犯罪』。
当面はこの本自体、読む予定なかったのだが、シャーロキアンネタだと知ったら読まないわけにいかない。

シャーロキアンとして、モリアーティが残した論文の内容を考察するのがお題。
CANONに書かれた冠詞一つから、モリアーティの地球破壊計画論へ至る壮大な話だった。

他に注目すべきは『殺しの噂』。
初出は1974年。
この前年に亡くなった“人気作家”を使った時事ネタ。
令和の現在では、やや古典の大御所が最新作として扱われている時代性にしみじみ感じ入ってしまった。

それでは。また次回。

如何にして足跡は消え失せたのか?

2024-09-18 | その他ミステリ
『テニスコートの謎』(byディクスン・カー)、読了。

「コートに死す」という語が、突如として頭に浮かんだ先日。
何かそういうタイトルの推理小説なかったっけ?
調べた結果、一番近そうなタイトルが、今回読んだ本。

内容は、トリック最重視、ガチガチの本格ミステリ。
読者に提示されるのは、いわゆる「足跡のない殺人」。

現場は、雨上がりのテニスコート。
コートネットのそばに倒れる男性の絞殺体。首にはスカーフ。
足跡は、被害者と第一発見者の2種類だけ。
しかも第一発見者は被害者に触れてしまった。

終盤に明かされた答えは、なるほど確かに見事な手際。
言葉巧みに被害者を誘導しきった犯人には、驚嘆するしかない。

ただ、実を言うと、読んでる途中は、少なからず退屈だった。
登場人物が誰も腹に思惑抱えてて、男女の三角関係が何重にも重なってる状況には少々頭痛がした。
探偵役であるフェル博士の印象が弱いのも、個人的に残念な点。
やっぱり私は、探偵役にヒーロー性を求めちゃうんだよなあ。
淡々と謎を解く姿も格好いいんだけどね。

それでは。また次回。

ミステリ×リレー小説。

2024-08-05 | その他ミステリ
『誘拐作戦』(by都筑道夫)、読了。

いずれ読まねばという気持ちから、図書館で借りた。
度肝を抜かれた。

ただでさえヤヤコシイ展開の物語を、更にいっそうヤヤコシイ構造で、そして面白く書ける作者の頭の中はどうなっているのだろう。

実を言うと、読んだ私の方は、細かいところをあまり分かってなかったりする。
説明しようにも、考えてしまう。

とある路上で男たちが、瀕死の女性を発見。
間もなく亡くなった彼女の財産を狙い、男たちは彼女のそっくりさんを用いての誘拐事件を企てる。
その事件を巡り、彼女の家族や、警察や、私立探偵が、めまぐるしく動く。

……という実録を、登場人物の誰かと誰かの二人が匿名で交互にリレー小説形式で綴っていく。
おかげで、二人の好みで登場人物の名前の設定が食い違ったりする。

さて、この実録を書いているのは誰か。
事件は解決するのか。
そして全ての真相は。
モチロン全部読めば何もかも明かされる。
書かれた時代ならではの言葉づかいなど、読んで引っ掛かる部分もあったが、エピローグまでぎっしり詰まった仕掛けに驚かされた。
こうなると、『やぶにらみの時計』も読みたい。

それでは。また次回。

私が『ウソツキ!ゴクオーくん』を読めない理由。

2024-08-04 | その他ミステリ
『ウソツキ!ゴクオーくん』を無料期間につき読了した。
振り返ればざっと10年前、当ブログでも触れており、以後、飛び飛びに
「コロコロオンライン」で読んでいた時期もある。
この度はじめて、一続きの形で読んで、今は世間の皆様の解説考察を読みふけっている。
実は自分、本作を繰り返して読めないのだ。
以下、理由の説明。

1.細かすぎる「ミステリとしての高品質」
主人公のゴクオーと“犯人”のコンゲームは毎回「読者への挑戦状」を挟めるほどのフェアプレイを極めている。
小さな1コマの隅まで伏線が仕込まれていると知る度に、いっそ戦慄した。
説明するだけでネタバレになるのが激しいジレンマ。

2.鋭すぎる「道徳論」
トラブル当事者は基本的に小学生。
身につまされるという表現では足りないくらい、生々しい状況が繰り出される。
事件解決メデタシメデタシで終わる事は寧ろ少なく、本作を読む人によっては、心の傷をえぐられるダメージを負う一面もある事は述べておきたい。

3.熱すぎる「登場人物たちの成長」
第1話から最後まで、いわゆる「箸休め」のエピソードは無い。
一見独立している事件たちは、実は密接につながっている。
登場人物たちは、ある事件で加害者だったのが、後に別件で被害者になるなど、一人格として非常に丁寧に描かれる。
ゴクオーたち異界の者も、その心の持ちようを変えていく。
季節や行事も着実に進み、不可逆。ループ的現象は基本的に起こらない。

4.眩しすぎる「人間賛歌」
異界の者たちは、永遠に在る超常の存在。
命の限りある私たち人間とは、根本的に価値観が異なる。
本来なら人間と関わらない立場の彼らは、(主にヒロインの天子を巡って)対立し、そのバトルが物語の縦糸として機能する。
そして導かれる答えはいつも、「人間の可能性」。
善とは?悪とは?自分とは?といった哲学的なテーマに挑む作者の度量に圧倒されてしまった。

……と色々と書いてみたが。
つまりは私が気軽に読めないというだけなので、未読の方は一読してみてほしい。
ウソ偽りなく傑作ですから。

それでは。また次回。

殺意の階層を踏破する。

2024-07-24 | その他ミステリ
『殺意の階層』をクリアした。

何せ、あまりにフラグ立てが難しく、攻略サイトの流れを1つでも漏らせば、即刻バッドエンド。
コマンド1回で作中時間が3分過ぎるという、事実上の時限イベントのため、全項目をしらみ潰しの総当たりする作戦も使えない。
決定がB、キャンセルがAてあるという何故か海外仕様になっており、操作ミスを呼ぶ。

更に、ハードウェア面でのトラブルも重なる。
携帯型ファミコン互換機との接触不良から、とうとうフリーズ。
エタノール染ませた綿棒で端子を吹いて再起動。

それでクライマックスを迎えた、最終セーブ地点で、まさか作者が画面に登場。
読者ならぬプレイヤーへの挑戦状めいた宣言をされる。

トリックはある程度察する事が出来ていたが、犯人への決め手には恐れ入った。
この解像度低いファミコン画面で、登場人物の作業デスクの様子を注視せよとは。無茶するなぁ。

と、ここまでなら普通に良作という感想だった。
真骨頂はこの先。
真の真犯人、つまり黒幕にあたる人物とのやり取りに総毛立った。
しかもこの作品、マルチエンド式。
前述したトゥルーの他、バットやノーマルが存在する。
しかもしかも、トゥルーだと音楽集モードまで起動する。

コレは是非、現行機で復刻してほしい。
くれぐれも時代設定とかを変えずにね。
Bravo!

それでは。また次回。

信用できない語り手、その極致。

2024-07-20 | その他ミステリ
『絶望』(byウラジーミル・ナボコフ)、読了。

ジャンルとしては一応ミステリにあたると思う。
知ったきっかけは「アニヲタwiki」の解説から。
よって、あらかじめ全ネタバレを知っている状態で読んでいる。
本当は予備知識ナシで読めば遥かに驚けたかもしれない。
が、予備知識なかったら、そもそも興味持てず、読んでもすぐに挫折しただろう。

というのは、そもそもその作品は一見、非常に読みにくく分かりにくく、それにまわりくどくて、言ってしまえば「面白くない」文章になっているからだ。

無論、そのつまらなさは、意図的なもの。
何たって、主人公にして語り手のヘルマンは、ある種の妄想に囚われており、いわゆる「認知の歪み」が著しい。
有り体に言えば、「“俺様以外は全部バカ”症候群」みたいな状態に陥っており、全世界の全方位にひたすら喧嘩売っているのだ。

さて、そんな人物が自らペンを取り、一人で計画した完全犯罪の殺人を、一人称で綴ったらどうなるか。
ご興味ある方は試しに読んでみてほしい。
と言いますか、こんな話を書いた作者にまず恐れ入るし、それを簡潔に解説して下さってる人もまた素晴らしいと思う。
良い物読めました。

それでは。また次回。

ミシシッピーの荒波を越えて。

2024-07-17 | その他ミステリ
『ミシシッピー殺人事件』をクリアした。

攻略サイトの力を借りても苦戦するのが私です。
落とし穴を避けられるようになって、まず歓喜。
飛ぶナイフを避けられるようになって小躍り。
(↑本筋1ミリも進んでません)

どこの何号室に誰がいて何があるのか、しらみ潰しに歩いてメモ。
大半が空き室と知った時は変な笑いが出た。

これで道に迷わないぞと、改めて攻略サイトのルートを辿る。
が、やっぱり先に進めない。
部屋扉の証拠品が見つからない。
それが見つかっても、今度はエンジンルームのフックが見つからない。

そこを突破し、事情聴取を始めて、このゲームの恐ろしさを知った。
何で、証言一度しか言ってくれないのさ。
その場で「メモを取る(記憶する)」かどうか決めないと、と言うより、ボタン操作ミスしただけで詰む。
(実際詰んだ)

何度かあきらめそうになりながらも、最終局面に至る。
が、「事情のあった真犯人をいじめるな」(←大意)と登場人物全員から糾弾されて終わって唖然。
登場人物について手書きしたメモ書きも、9割以上が意味なかった。

ともあれ、これで一応、実感込めて「トンデモナイ作品です」と語れるようになった。
ネタバレ解説サイトを読めるようになった事が収穫かな。
ただ、BGMは心地よいから、未読探してもう少しプレイするかも。

それでは。また次回。

ゲーム三昧。ミステリの。

2024-06-19 | その他ミステリ
少しずつ消化していた『逆転裁判3』と『デイグラシアの羅針盤』を止め、先日部屋から発見して思い出したファミコンソフトをプレイ中。
ついでに、パソコンを新調した事から、PCソフトもプレイ中。
都合3作のミステリ作品(かな?)を同時に進めている。

★『ミシシッピー殺人事件』
攻略サイトで、ナイフを避ける方法を調べた私です。
プレイするにつれ、即死トラップのみならず、説明不足&不親切設計ぶりを思い知っているところ。道は遠い。
同じ証言2回聞けないってヒドいね。

★『殺意の階層』
事実上、コマンド使用回数に上限があるため、テキストを全部読めないのが口惜しい。
しかも、実は今、なぜかロード機能が働かなくなっていて、毎度冒頭から読み直してる。
おかげで登場人物のデータが頭に入ってきたかも。
因みに今、4人目の被害者が出たとこ。

★『かまいたちの夜2 煉獄』
偉大なるファンアート。
正しく、原作ゲームの続編。
ペンション・シュプールでの物語を再び読めて嬉しい限り。
私のへっぽこ頭では、事件が手強く、1周目はバットエンド。クローゼットで襲われた。
犯人の見当は付いてるんだが、トリックが分からん。
ゲーマーとしては悔しいけど、ミステリ好きとしては大歓喜。

どれも最終的に、攻略メモなど、まとめられたらイイな。

それでは。また次回。