好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

事件237『漆黒の特急(ミステリートレイン)』(第78巻)考察。

2014-12-30 | 『名探偵コナン』原作考察
サンデー連載当時、大上段に予告や広告を銘打って、
鳴り物入りで始まったのを覚えている。
その後、7週も費やされた末に残ったのは、悲しい茶番。

大勢の登場人物が出てくるものの、実質的に機能しているのは少数。
本来なら肝心だろうFBIやCIAは蚊帳の外。
それで中心となるのは、よりによって他作品の主人公――
怪盗キッドときたもんだ。

しかも、数十秒~数分程度だろう動画のみで
「カンペキな変装」が成されるという
チートぶりに泣きたくなった、サンデー連載当時。
こんな事をされたら、少なくとも私は、
この作品の描写そのものを一切信用できなくなってしまった。

それから、灰原が聞いたカセットテープの内容。
『コンビニの落とし穴』から、100以上の事件、30巻以上の単行本、
ざっと10年を超えてもまだ、その風呂敷は畳まれるどころか逆に広がる始末。
これで、私は完全に諦めた。
伏線はもう、永遠に回収されないと。
あるいは、『黒の組織との接触』の「高飛車な女」のように、
唐突に答えが出されて終わると。

そして。この事件でも、青山の藤原宰太郎化現象が発動する。
仮にも子供が読む作品で、『オリエント急行の殺人』の
トリックや動機のネタバレするな作者。

以上、『コナン』原作考察は一旦ストップ。
再開の目処は不明ですが、原作がある程度進行したら考えます。

それでは。また次回。

事件236『灰原の秘密に迫る影』(第77巻)考察。

2014-12-08 | 『名探偵コナン』原作考察
後の事件への露骨かつ杜撰なお膳立てが、どたばたと連続する。

大人灰原こと宮野志保を作中に出すために、
灰原は脈絡なく解毒薬を持ち歩く。
それも風邪薬と混ぜこぜに。
(↑『殺人犯、工藤新一』の時から何も学んでない)

安室&世良&沖矢も突如行動を起こす。
特に世良は、この話から唐突に、
口から謎の物体がはみ出している。

トドメは光彦。
燃える小屋で命の危険にさらされてる最中に、
見知らぬ人をケータイで盗み撮り、それも動画で。
しかも、その動画が手ぶれもなく実に鮮明に。

……ここまで作為的な展開だと、彼ら登場人物は、
上位メタ世界から操られる駒そのものになっていまいか。

因みに今回の話は、またキャンプである。(8回目)
殺人事件の事情は、添え物に過ぎないため割愛する。

それでは。また次回。

事件235『工藤優作の未解決事件』(第77巻)考察。

2014-11-10 | 『名探偵コナン』原作考察
とうとうコナンもスマホを使う時代。

これで完全に、「七つの子」の伏線は滅びたと見なして良いだろう。

まるで異なる二つの事件に、ただ一つの共通項。
この、路上に「死」の字が残されるトリックは、
作意的ではあるが、なかなか秀逸である。

なお、この事件の推理はほぼ全編、工藤家にて展開する。
世良と沖矢、二人はそれぞれ、例によって怪しい言動をほのめかす。

そんな二人に対して、やっぱりコナンは警戒してるのか違うのか分からない。
『プロサッカー選手脅迫事件』の頃は、
トイレでももっと慎重に話していたはずなのに。
わざわざ廊下へのドアを開けながら
一人二役を演ってたら、気づかれても仕方ない。
かと言って、敢えて気づかせようとしてるようにも見えない。

そして事件解決後、何故か唐突に世良が涙を浮かべて終わる。
私としては、考えさせられる前に呆気に取られてしまった。
答えは一体どこにある?

それでは。また次回。

事件234『泡と湯気と煙』(第77巻)考察。

2014-11-03 | 『名探偵コナン』原作考察
タイトルそのままの話である。

殺して下さいと言わんばかりの被害者。
死んだ直後に居合わせる登場人物全員。
三択問題のように機械的に並ぶ容疑者。

そして推理の論点は、泡を湯気を煙を出せるか出せないか、という一点に終始する。
現場には現代の警察官たちが揃っているにも関わらず。
肝心の被害者の部屋は一切調べられないまま。
三人の容疑者以外の可能性は最初から排除されて。

まだ科学捜査のない時代か、あるいは警察自体が入れないクローズドサークルならともかく。
鑑識などの具体的な捜査すら一切描かないのは、さすがに不自然に感じてしまう。
そのじつ、終盤ではまさに、被害者の部屋での鑑識結果が決め手になってるし。

今回注目すべきは寧ろ、事件自体でなく、沖矢の襟元に秘密があるという点だろう。
ただ、今までの描写では、
「口を隠さなくても常時使える変声機」
という物も一切登場していないはずなのだが……。

それでは。また次回。

事件233『命を賭けた恋愛中継』(第76・77巻)考察。

2014-09-21 | 『名探偵コナン』原作考察
タブレット端末を早々にミステリに取り入れた事や、囚われた高木の奮闘などは評価したい。
が、それ以外の点では粗が目立つ。

今更になって、高木にも過去の設定が後付けされた事がまず一つ。
簡単に言えば、佐藤にとっての松田のように、高木もまた亡くした人がいたという話。
ただ、佐藤の時より更に回想シーンが少ないというか、ほぼ皆無。
更に言えば、この亡くなった刑事自体、「同名の取り違い」「名字の読み違い」
というトリックありきで(&安室の友人として?)創られた
新キャラのため、少なくとも私は感情移入の仕様がない。

事件捜査については、捜査一課全員が集っていながら、
一貫して場を仕切るのは、事実上コナンただ一人。
この世界の日本警察は最早、小学1年生の傀儡と化している。
まさにコドモ警察だ。
特にカラスの鑑定の下りは、トンデモの域に達している。
こうも何でもかんでもアレもコレも全部コナンだけに解かせるのは無茶が過ぎる。
こういう時こそ、生物関係のプロを描くチャンスなのに。

それに佐藤。
目の前で犯人を自殺させるという、あらゆる意味での大失態。
高木のピンチに取り乱したからとしても、プロとしてどうかと思う。

そして。2日以上拘束&放置され、衰弱死寸前まで追い込まれたはずの
高木が案外無事という違和感。
『推理対決 新一VS沖矢昴』ではあれほど丁寧に救命活動が描かれたのに。
『本庁の刑事恋物語2』『似た者プリンセス』では尾籠な生理現象も描かれたのに。
何故この差が出た。

それでは。また次回。

事件232『1ミリも許さない』(第76巻)考察。

2014-09-07 | 『名探偵コナン』原作考察
この事件も、何から何まで全部オカシイ
主に倫理的な面で。

まず犯人を含む夫婦の思考回路。
一人は、配偶者を殺す証人に仕立てるべく、
赤の他人である子供の集団を自宅へ招く。
一人は、その殺人トリックの前提として、
「相手に本物のナイフを突きつける」のが日常と化している。

で、そんな犯人へ、傲然と説教するコナンと灰原。
本来、この事件の探偵役は、「子を育てた親」でなければ務まらない。
なのに、まだ婚姻すらしてない高校生、
客観的な見た目に至っては小1の幼児が、
よりによって妊娠が云々などと、生々しい話をぺらぺらと。

因みにタイトルの「1ミリも許さない」とは灰原の弁だが。
自分が殺人組織に属してた事をすっかり棚に上げて忘れてるとしか……。

そして、そんな謎の小1たちに怒られて、粛々とうなだれる犯人。
遅かれ早かれ、別の形で残虐な殺人事件が起こるんだろうと思ってしまった私である。

それでは。また次回。

事件231『探偵たちの夜想曲』(第76巻)考察。

2014-08-29 | 『名探偵コナン』原作考察
「バーボン」の名前が初出してから15巻目、約50事件、約200週を挟んで、
つまり単純計算で約4年を経て、ようやっと事態が動き始めた。

よりによって探偵事務所のトイレで殺人事件発生である。
普通の神経だったらもう住めないだろうこの家。

だがこの事件、第一印象こそ強いが、後はただひたすらコナン一人だけが一方的に、
犯人のゲストキャラにぺらぺらぺらぺらしゃべり続け、
ふと気づいたら終わってる、という感じ。

で、そのコナンは相変わらず今回も、カケラ一つも警戒してない。
即ち安室について。
明らかに小五郎より上手(うわて)に描かれているのに、
その小五郎の弟子になりたがるというのは、
ネーミングのメタ根拠以前の問題で、怪しさ大爆発のフルスロットル全開なわけで。

「ベルモット編」や「キール編」では、身近に迫った人たちを片っ端から警戒していたのに。
こうなると、コナンは恐らく「キール編」を境に、何らかの絶対的な後ろ盾を得たのだろうと、
脳内保管するしかないのは、特にミステリではルール違反に感じてしまう。
納得できる根拠を示してくれるのは、果たしていつか……。

それでは。また次回。

事件230『ウェディングイブ』(第75巻)考察。

2014-08-03 | 『名探偵コナン』原作考察
「赤の他人のはずなのに、DNAがほぼ一致」という、謎の提示とその答えは興味深い。
だが、我々の実社会と照らし合わせるとこの事件、各所に話の都合が目立つ。

・実際のDNA鑑定で調べるのは、遺伝子情報の部分的な型(パターン)に限られる。
 なので、赤の他人でも、パターンが一致する場合は往々に考え得る。
・実際のDNA鑑定にかかる期間は、数週間から1ヶ月以上。
 少なくともミステリ世界のようなハイスピードはまだ望めない。
・X遺伝子かY遺伝子かすら分からないほど損傷していながら、
個人特定には全く問題ないという矛盾。
・DNA鑑定の結果通知は、個人情報の問題から封書でなされる。
 気軽に電話でというのはあり得ない。

特に、最後のこの行は強く訴えたい。
この部分さえ現実に沿っていたら、(他に問題が起こったとしても)
被害者は死ななかったはずなのだから。
人死にの話を創るために現実を曲げるにしても酷すぎるではと私は思う。

新キャラである安室透については、
『赤白黄色と探偵団』の沖矢や『幽霊ホテルの推理対決』の世良と同じ感想なので割愛。
行を割くのはまた別の機会に。

それでは。また次回。

事件229『初恋の共同捜査』(第75巻)考察。

2014-07-20 | 『名探偵コナン』原作考察
不自然で目に余る点が多すぎる。

まず、千葉と三池の関係。
二人が再会した『初恋のビデオレター』から、
12事件も挟んでいるのに、何と彼らは自己紹介さえしてない。
また、他の大勢と会話しているのに、
「三池」という名字が一回も出てこないのは、
特に身分が重要だろう警官同士では、常識的にあり得ないだろう。

事件自体も、不自然な描写が目立つ。
「赤い油性のシュウ事件」という二つ名からして意味不明。
(そもそも日本語として成り立ってないと思う)
テーマであるのだろう「痛車(いたしゃ)」」を、
油紙に火の勢いで説明してる小学1年生当人こそが一番に痛々しい。

それから、これは書くのも嫌なんだが、
「クソバカ野郎」なんて下劣な単語を出す必要性も全くもって感じない。
この作品は、小学生だって読んでるんだぞ!?

そして最後、コナンの盗聴行為がトドメを指す。
探偵役の一人称の世界観なら、こういう形で描かざるを得ないだろうが、この作品は三人称。
故にコナンの行動は探偵として完全に、権限の乱用でしかない

事件の発端である、リアガラスを物で塞ぐ危険については、むしろ真剣に考えるべきなのに。
その点が印象に残りにくいのもまた、無念である。

それでは。また次回。

事件228『小五郎さんはいい人』(第75巻)考察。

2014-06-22 | 『名探偵コナン』原作考察
扇風機と洗濯バサミと新聞紙で、テレビを遠隔操作する仕掛けは、まるでピタゴラスイッチのよう。
しかも、これほどの仕掛けの目的は殺人そのものでなく、知人たちにアリバイを証言してもらうためだけの物。
もしも知人たちが、すぐに被害者の部屋の扉を開けていたら、それだけでトリックは破綻する。
よくも犯人、こんな危ない橋を渡ったものだ。

しかしながら、この話の問題点は、事件自体よりもその発端にある。
簡単に言えば、ネタがきちんとオチてないのだ

そもそもこの話、「小五郎が依頼人との約束をすっぽかしてビアガーデンへ行っている」
という事の真相を探るのが、最初の目的だったはず。
なのに実際に描かれたのは小五郎自身でなく、小五郎のふりをしてる大学生だった。
そして話は、起承転結で言う、「起」に応じた「結」がないまま終わってしまう。
これじゃ小五郎は、蘭の言う「ただのダメ親父」どころか、探偵失格の愚か者だ。

穿って考えるに、恐らく作者は、元太に続いて小五郎をも、持て余してしまっているのではないか。
作者が描きたいのは、いかなるトラブルも涼しい顔で受け流す、綺麗どころのキャラだけなんじゃないか。

ならば早急に『名探偵コナン』を終わらせて、
謎の組織を追う赤井と沖矢を追う世良が活躍する新連載を描けばいいのに。
そうすれば、私のような懐古読者も、新キャラを好むファンも、作者自身も、三方まるく収まるのに。
商売の道具として、連載が引き延ばされるのは、本当に悲しい。

それでは。また次回。