飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

他は是れ吾に非らず

2024年10月05日 07時05分13秒 | 人生論
年齢を重ねると自分より年下の若者に指示をしたり、頼み事をしたりすることが多くなる。
自分がすれば速いと思っても、仕事を覚えてもらうためにも意図的にふったりする。
自分が中堅だったときにも、先輩の先生からアドバイスを頂いた。
「先生、何でも全部自分でやってはだめだよ。
 若手が育たない。
 今までは、自分ひとりでやってきたことも若手に仕事をふることも先生の仕事だよ。」
確かにそのとおりだと思った。
ミドルリーダーとして学校運営に携わるようになって、若手育成ということも少し意識するようになった。
適材適所を意識しながら、負担過重にならないように仕事を割り当てた。
自分でする仕事もわざと別の先生に頼んで一緒にするようにした。

しかし、今振り返ってみると、本当に若手の育成にために仕事を頼んだのだろうか思うこともある。
自分が面倒だとか、忙しいからという理由で押し付けるようになことはなかっただろうか。
自分はいつも成長して、人間として、教師として高みを目指したいと思っている。
そのためには自分が修行しなければだめなことはわかっている。
いくら目で見て、人に聞いて学んでも自分が動かなければ本当の学びはない。

「他は是れ吾に非らず」道元禅師
これは他人にやらせたら、その人の修行にはなっても自分の修行にはならないということを言っている。
自分が修行する以外に進歩はないのだ。
苦労の多いことや面倒なことは他人に頼み、自分は楽をしようとするのが人間だ。
しかし、楽な方へ回った分だけ、徳を損じたのだと気づく必要がある。

人は常に一人だ。
孤独が当たり前になっている。
人は一人で生まれる。
そして、死ぬときも一人。
たとえどんなに親しい友人や肉親でもあの世には一緒にはいけない。
勉強も同じ。
自分を高めるための読書。
自分を磨くための勉強。
だれも、かわりにやってはくれない。

これから「他は是れ吾に非らず」このことを忘れずにいたい。

saitani