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脳科学者が語る、何歳になっても脳は変えられる

2022-02-04 15:30:00 | 日記
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

脳の仕組みは非常に複雑だが、実のところ、脳を変えるのはとても簡単だ。私は、治療を実行する前と後の患者の脳画像を何千枚も見てきた。そして、ライフスタイルを少し変えると、ほんの数カ月で目覚ましい変化が起きることを知り、驚き、感動した。
2009年、私が主導して、アメリカンフットボールの選手の臨床研究を行った。アメフトは、選手同士が激しくぶつかり合うコンタクト・スポーツの典型で、頭部に強い衝撃を受ける。私たちは、ヘルメットの中で何が起きているかを理解するため、選手の脳画像を撮影し、分析した。前例のない大規模な研究だった。
まず、選手たちに神経心理学的検査と神経認知学的検査を受けてもらい、続いて、脳の奥深くを観察し、どの分野がうまく機能し、どの部分があまり機能していないかを知るため、脳の画像を撮影した。
アメフト選手を対象にした研究により、生活習慣を変えることで脳の機能が向上することがわかった(写真:JoeSAPhotos/Shutterstock.com)
アメフト選手の衝撃的な脳画像
選手や元選手たちの脳画像を見て、私たちは非常に驚いた。彼らの大半は、脳に必要な血液が行き渡っておらず、特に、記憶と基本的な認知機能を司(つかさど)る領域で血液が不足していたからだ。
それでも私たちは落胆しなかった。彼らの認知機能は回復し、フィールドでも日常生活でも、再び脳がきびきびと働くようになると信じていたからだ。しかしそのためには、彼らは日々の生活習慣を変える必要があり、私たちは、彼らの信頼を得る必要があった。
それから半年にわたって選手たちと話し合い、脳の機能を説明し、各自の認知機能データに基づいて生活習慣や食生活を見直すよう指導した。各選手に合わせた治療計画には、いつ、どのくらい眠り、何を食べ、どのサプリメントをとり、どれを避けるべきかといったことを盛り込んだ。
半年後、選手たちの脳を再びスキャンし、最初のときと同じ検査をした。その結果は、最初の検査で見た脳画像よりさらに衝撃的だった。わずか180日で、脳内の血流が最も悪かった選手たちの脳機能が回復したのだ。脳の血流が改善し、不摂生や度重なる衝撃のせいでダメージを受けていた認知領域の機能が回復しているのがはっきりわかった。
100キロ超の男たちから何度も体当たりされているプロのアメフト選手が脳を変えられるのなら、一般の人々はアメフト選手よりもっと楽に、脳を変えることができるだろう。
脳細胞は何歳になっても生み出せる
初めに少し悲しい真実をお知らせしよう。私たちは自然な老化現象として、毎日数千個のニューロンを失っている。過剰なストレス、環境や水や食べ物に含まれる重金属や薬剤といった有害物質のせいで、さらに多くのニューロンを失う場合もある。もちろん、薬物やアルコールの問題、中程度の脳損傷、脳卒中、パーキンソン病やアルツハイマーなどの認知機能障害も、ニューロンを失う原因になる。
次に、少々良いニュースをお知らせしよう。脳には約1000億個のニューロンがあり、これらは体内で最も寿命の長い細胞の部類に入る。大半のニューロンは私たちとともに生まれ、ともに成長し、私たちが死ぬまで生き続ける。したがって、認知機能を長く維持するには、ニューロンの健康を維持することが大切だ。
最後に、素晴らしいニュースをお知らせする。以前は、大人になると新たなニューロンは生まれないと考えられていたが、それが間違いだとわかった。60代でも、70代でも、80代でも、新しいニューロンを生み出すことができる。
新しいニューロンを発生させるプロセスは「ニューロン新生」と呼ばれ、脳の海馬という部位で起きる。脳の奥深くにあるタツノオトシゴのような形をした海馬は、記憶と学習に大きな役割を果たしている。
ニューロン新生は、脳の働きを良くしたいと願うアスリートや若い人たちだけが目指すべきものではない。最近の研究によって、70代、80代、そして90代の人でも、運動、食事、ストレス、睡眠、サプリメントの摂取など、生活習慣を少し変えることで、ニューロン新生を促せることがわかった。アルツハイマー症の患者を含む高齢者でも、若い人と同じくらい新たなニューロンを増やすことができるという研究結果もある。
健康なニューロンが増えれば増えるほど賢明な判断をより早く下せるようになり、集中力と記憶力が向上し、「実行機能」と呼ばれる、行動を制御する高次の認知スキルを維持しやすくなる。脳の老化とはニューロンが死ぬことなので、新たなニューロンを生み出してその欠落を補えば、脳を若返らせることができるはずだ。
脳の性能を上げるには血のめぐりが肝心
認知機能をベストの状態に保つには、脳への「血のめぐりが肝心」であることを、研究が示している。とても単純な話のように思えるが、実行できている人は少ない。実のところ、ほとんどの人は、脳内の血のめぐりがベストの状態ではない。
したがってあなたは、脳の健康に関して二つのことを理解する必要がある。一つは、脳が適切に機能するには、豊かで安定した血流が欠かせないこと。もう一つは、現代の生活習慣の多くが脳内の血流に悪影響を与え、諸々の症状や問題に気づいた頃には手遅れになっていることだ。
人間の脳は、重さは体重の2%しかないが、体内の血液の15~20%を必要とする。酸素と栄養を含む血液を脳の司令塔に送り続けるために、他の臓器への血流がストップすることさえある。
また、脳は筋肉の3倍、酸素を使う。血液は、その酸素をニューロンに送り届けて、ニューロンが効率よく働き、発火し、信号を送れるようにしている。血流が十分でないと、ニューロンは死に始める。
血流は、脳にグルコース(ブドウ糖)も運んでいる。グルコースはニューロンのエネルギー源だ。脳は筋肉と違って、グルコースを蓄えることができないので、血流が十分でないと、脳の組織はエネルギー不足に陥る。しかも、脳は大食いで、体内のグルコースの40~60%を消費する。また、血流はグルコースのほかに、ビタミン、ミネラル、脂肪、アミノ酸、電解質など、脳にとって欠かせない栄養素も運んでいる。脳への栄養と酸素の供給が少しでも減ると、集中力、記憶力、創造力、判断力、マルチタスク能力などの認知機能と気分を司る脳領域がうまく働かなくなる。
脳内の血流には、もう一つ重要な役割がある。それは、脳内に蓄積する老廃物を洗い流すことだ。蓄積すると脳を破壊し、アルツハイマー病の発症に深く関係していると言われているアミロイドベータと呼ばれるタンパク質もその一つだ。
あなたは、頭がぼんやりしたり、集中力や記憶力の衰えを感じたりしても、たいていは、睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、甲状腺の機能低下のせいにして、脳内の血流が悪いせいだとは考えないだろう。しかし、なぜ、脳内の血のめぐりが悪い人が多いのだろうか。その原因は、食事、飲酒、睡眠、運動、ストレスへの対処など、現代の生活習慣にあると考えられる。悪い生活習慣はたくさんあるが、そのうちの二つか三つを改めるだけで、脳の健康状態は改善する。
慢性的ストレスは脳の大敵
メイヨー・クリニックによると、ストレスは「生きていく上での様々な要求に対する正常な心理的・身体的反応」である。言い換えれば、ストレスは自然な反応であり、悪影響だけでなく健康上の利点もあるということだ。体の闘争・逃走反応(ストレスに満ちた状況や、生命を脅かすような状況に不意に陥ったときに起きる一連の反応)は、例えば、捕食動物に追いかけられたときに素早く逃げるためや、暴漢に追いつめられたときに戦うため、大切な人を下敷きにした2トンの車を持ち上げるためなどに、必要なホルモンと化学物質の産生を促し、脳を活性化する。
ストレスは、生きるか死ぬかといった状況で役立つだけでなく、健康にとって有益な働きもする。適度なストレスは、行動を起こすモチベーションになり、仕事を達成するために必要な集中力を高める。また、ストレスの多い状況が終わると、私たちは満足感や達成感を覚える。
だがこの最後の文章で重要なのは、「ストレスの多い状況が終わる」という一節だ。ストレスの多い状況が終わらず延々と続くと、脳に悪影響が及ぶ。動脈の内壁にプラークが蓄積して動脈が狭まり長期的なダメージをもたらす上、ストレスのせいで首の筋肉が緊張するため、脳への血流がさらに減る。
慢性的なストレスがニューロンに恐ろしい影響を及ぼすこともある。強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、それどころか、既存のニューロンが死に始めてしまう。慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮める。
ストレスの強い時期を生き延びたニューロンも、健康というわけではない。ストレスはニューロンを過剰に活性化する。この状態が続くと、新たなニューロンの経路が形成されて脳の働きが変わることもある。
環境ストレスにも注意が必要
ストレスについて語るのであれば、その影響に大きく関わるホルモンのコルチゾールに触れないわけにはいかない。私たちがストレスを受けると、コルチゾールが生成される。少量のコルチゾールは必ずしも有害ではなく、むしろいくらかメリットがある。しかし、多すぎるコルチゾールは、体重増加から睡眠障害、海馬の萎縮、集中力や記憶力の低下まで、様々な害を及ぼす。また、コルチゾールは、扁桃体を太らせ、その働きを強化する。扁桃体は脳の深部にあるアーモンド形の器官で、記憶に情動的な意味づけをする。扁桃体が大きくなり活発に働くようになると、人は恐怖と不安に対して敏感になる。
慢性的なストレスは、もう一つの悪影響を脳にもたらす。それは白質が増えることだ。白質は、脳の組織の半分を占める脂質の多い組織で、ニューロンの軸索(神経線維)が走行している。白質が増えると、灰白質のスペースが狭くなる。灰白質は、ニューロンの細胞体が集まっている領域で、体、情動、行動、感覚の情報はすべてそこで処理されている。白質と灰白質のバランスが崩れると、情動と認知の問題が生じることがあり、それらはストレスが消えた後も続く可能性がある。
多くの人はストレスの原因を、精神的に苦しい出来事や仕事上のプレッシャー、お金のやり繰り、子どもや家族の世話といった日常の問題と結びつける。だが、ストレスは別の形でも生じる。身体的なストレスは、関節炎、糖尿病、認知症などの病気がきっかけで生じることがあり、高血圧、食生活の乱れ、睡眠不足、慢性的な脱水によっても生じる。働きすぎや、逆に体を動かさないことも、慢性ストレスの原因になる。
さらに私たちは、精神的、情動的、身体的なストレスに加え、環境ストレスにもさらされている。環境ストレスの問題は、現代社会でますます大きくなっている。食べる物、飲む物、着る物、肌につける物、家庭やオフィスで使う物など、あらゆる物に化学物質が使われているからだ。呼吸する大気に含まれる汚染物質もストレスを増大させ、脳に害を及ぼし、認知機能の低下や認知障害のリスクを高めている。
クリステン・ウィルミア
脳神経科学者(Ph.D.)
神経内分泌学、神経生理学、神経遺伝学の研究に取り組む。ボストンカレッジで心理学の学位を、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で生理学の修士号を、UCLAデビッド・ゲフィン医科大学院で神経生物学の修士号と博士号を取得。また、ロサンゼルスのシダーズ・サイナイ・メディカル・センターで神経学の博士課程を修了。脳機能の研究や治療で全米に広く知られるエイメン・クリニックで脳機能イメージングの研究部長を務め、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)選手の脳損傷の解明と治療に関する画期的な研究を行った。

「怒りが収まらない人」が気づいてない"裏の感情"

2022-02-04 13:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

自分にとって怒りとは、悲しみとは何か――。感情の1つひとつを認知し、解像度をどれだけ高められるかによって、あらゆるインプットやアウトプットが変わってくる。
佐渡島庸平氏、石川善樹氏の共著『感情は、すぐに脳をジャックする』から一部抜粋して紹介する。
「ひとつの感情に長くとらわれない」
僕にとって感情への理解を深めることはライフワークでもあり、その根底には「観察力を磨き、インプットの質を高め、さらに質の高いアウトプットへとつなげる」という意識が働いています。とはいえ誇れるほどの域に達しているとはとても言えず、探究と考察を続けているわけですが、そんな中でも特に意識しているのが、「ひとつの感情に長くとらわれない」という点です。これはネガティブ感情にかぎらず、ポジティブ感情においても同様に考えています。
僕たちは日々、感情というフィルターをとおして世界とつながっていて、まったく同じ事象でもフィルターとなる感情の種類が異なるだけで見え方が変わってきます。「悲しみ」に長くとらわれていると思考そのものが悲観的になるように、特定の感情に固執するということは、世界の見え方や情報の受け止め方といったインプットに偏りが起こる可能性があるということ。結果としてアウトプットにもゆがみが生じます。
ではどうすれば、僕たちはひとつの感情にとらわれずに生きていけるのでしょうか。僕が実践しているのは、3つの思考ステップを踏みながら回していく、感情の理解を深めるサイクルです。
ステップ1【認知】……自分がどのような感情を抱いているのかを、分解・認識する
ステップ2【受容】……認知の過程で見えてきた感情を受け入れる
ステップ3【選択】……そのうえで、どのような選択肢があるかを考え、採用する
中でも僕は【認知】がとても重要だと感じていて、感情を理解するには「認知」がすべてと言っても過言ではありません。本書でこれまで述べてきたことは、ほとんどがこの部分に該当します。日常の中で見過ごしがちな無自覚の感情やバイアス、クセを理解し、いかにして自分をメタ認知できるかに尽きると思います。
「自分は今、何を感じているのか? それはどんな感情か?」
すべてはこの問いからはじまりますが、認知とは表層的感情の自覚はもちろん、それを掘り下げて分解していくことで、奥に隠れている別の感情や自分の価値観を認知するという意味も含まれています。「感情の解像度を上げる」作業なので、簡単なようで実はかなり難しく、僕もいまだ試行錯誤しながら糸口を探っています。
自覚している感情以外にも注目する
まず僕がプルチックの「感情の輪」を利用して認知を行うときは、自覚している感情だけでなく、その両側と対極にある感情にも注目します。基本感情の組み合わせから生まれる混合感情との関係性からもわかるように、ひとつの感情がそれだけでシンプルに成り立っているはずはない、と考えているからです。
たとえば職場の上司から「そんなやり方をしていると成功しないよ」と指摘されたことに「怒り」を感じたのであれば、「怒り」と両隣にある「期待」や「嫌悪」、対極の「恐れ」までも視野に入れて、次のような問いを立ててみます。
・自分は相手に何を「期待」していたのか
・自分は何に対して「嫌悪」しているのか
・自分は何を「恐れて」いるのか
こうした1つひとつの問いに思考を巡らせて仮説を立てていきます。その結果、自分の中に「成功できない人」と評価されることへの「不安」や「恐れ」があり、それが「怒り」へとつながっていたことに気づくかもしれません。
僕の場合、多くは「期待」の影響を受けていて、それが他者の行動によって「怒り」に変わっただけなのだという認識を持つようになりました。これにより、「相手が悪い」や「相手が変わらないと問題は解決しない」という思考停止の状態から、自分自身の問題として考え直せるようになり、思考がほぐれていったのです。
具体的なシーンに置き換えると、イベントの準備をしていて、事前に頼んでおいたものが、当日用意されていなかったとします。そのことを担当者に指摘したものの対応してもらえず、怒りを感じながらも諦めることに……。
ここで「担当者の能力に問題がある/相手のミスだ」で終わらせるのは簡単ですが、見方を変えれば、「勝手に期待をしておいて、それに応えてもらえなかったから怒っている」とも言えるでしょう。
僕は、期待とはある意味で「他者を都合よく動かそうとする、自分への甘え」だと思っています。自分に対する甘えを排除していくと、自分がやるべきこと・できることも明確になってきます。「相手に期待しない」と言うとまるで人を信じていないように聞こえますが、「信頼」と「期待」は別の感情です。
このようなシチュエーションに遭遇した場合、かつての僕は相手を責めるのではなく、どんな点に期待していたのかを伝えるようにしていました。今ではさらに認知そのものが変わり、「相手がちゃんと用意してくれるように、うまく頼める自分」に対して期待をしています。もしもそれができなかった場合でも、期待に応えられなかったのは相手ではなく僕自身なので、自分事として解決方法を模索することが自然とできるようになりました。
さらに別の視点から考えるならば、そもそも感じていたのは「怒り」ではなく、用意されていないことへの「驚き」と、要望を汲んでもらえない「悲しみ」から生まれた混合感情の「拒絶(失望)」である可能性も出てきます。
「期待」と「怒り」が結びつくと「攻撃」になる
ちなみに「怒り」と「期待」の関係性は、恋愛でもトラブルのきっかけになりがちですね。自分が望んでいる行動を相手がしてくれるはず、察してくれるはずと期待しつつ、それが叶わなかったときに不機嫌になり、相手を責めてしまう……。「期待」と「怒り」が結びつくと「攻撃」になるので、相手に感情をぶつけやすい心理になっているとも言えそうです。もしあなたがパートナーから責められたのなら「自分に何を期待していたのだろう」と観察してみると、解決の糸口が見えるかもしれません。
『感情は、すぐに脳をジャックする』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
このように【認知】は、さまざまな視点からアプローチを試みることが大切です。
入口は「怒り」でも、その背景にある「期待」の存在に気づき、さらに解像度を上げていくことで「期待とは、自分に対する甘えではないか?」「他者ではなく自分に期待すると何ができるか?」という新たな問いや視点が生まれます。ただこれはあくまで暫定解であり、問いに向き合うことでまた別の気づきがあるかもしれません。
まずは自覚しやすい基本感情を足掛かりにして、そこに紐づいている別の感情を丁寧に探っていくうちに、これまで表層化することのなかった感情や価値観を認知できるようになると思います。
POINT
認知とは、表層的な感情だけでなくそこに紐づく別の感情や価値観を理解すること
佐渡島 庸平 : 株式会社コルク代表取締役社長 編集者

「なぜ女性天皇を検討しないのか」今の「皇室典範」が抱える構造的な"欠陥"

2022-02-04 12:00:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

現在、天皇陛下の次の世代で、皇位継承権を持っているのは、秋篠宮家の長男、悠仁さまだけだ。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは「現在の皇位継承にかかわる制度は、“構造的”な欠陥を抱えている。それをそのまま放置すれば、やがて皇位継承者が不在になるのは避けられない」と説く――。
※本稿は、高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
写真=時事通信フォト
「立皇嗣宣明の儀」でお言葉を述べられる天皇陛下=2020年11月8日、皇居・宮殿「松の間」
全ての画像を見る(3枚)
「女性・女系天皇、議論せず」
令和2年(2020年)2月16日付「読売新聞」の1面トップに「女性・女系天皇 議論せず/政府方針 皇位継承順位 維持/立皇嗣
りつこうし
の礼後に確認」というスクープ記事が載って、皇位継承の行方に不安を抱く人たちを驚かせた。この記事の一部を紹介すると、次の通り。
「政府は、皇位継承のあり方をめぐる議論で女性・女系天皇を対象としない方針を固めた。男系男子が皇位を継ぐ皇室制度を維持する。秋篠宮さまが継承順位一位の皇嗣となられたことを広く示す『立皇嗣の礼』が行われる4月下旬以降、こうした考えを確認する見通しだ」
「政府はこれまで、非公式に学識経験者らに接触し、それぞれの意見を聞き取ってきた。これを踏まえ、女性・女系天皇を実現するための法整備は見送ることにした。公の場で議論を行うための有識者懇談会も設けない方向だ」
「性別にかかわらず天皇の直系子孫の長子(第一子)を優先した場合……秋篠宮さまの皇嗣(皇位継承順位が第1位)としての地位見直しにつながるだけでなく、悠仁
ひさひと
さまが天皇につけない可能性も出てくる。そうなれば、『皇室の安定性を損ないかねない』(政府関係者)と判断した」
なぜこのタイミングで新聞に出たのか
この記事のポイントは3点。
その1は、政府の方針として、皇位継承をめぐる制度改正を検討する際に、“女性天皇・女系天皇”の可能性はあらかじめ排除するということ。
その2は、この問題をオープンに討議する諮問機関(有識者懇談会?)を設けないということ。
その3は、今の制度のもとでの皇位継承の順位(第1位=秋篠宮殿下、第2位=悠仁親王殿下、第3位=常陸宮
ひたちのみや
殿下)は変更しないということ。
こうした方針を「立皇嗣の礼」挙行後に「確認する見通し」なのに、何故このタイミングで(いわば未確認のはずの)情報が早々と新聞に流れたのか。おそらく、政界や世論の反応を探ろうとする政府サイドの意図的なリークと考えるのが、自然だろう。
政府が「非公式に学識経験者らに接触し」ていた事実は、この報道が出る前から私はつかんでいた。と言うのは、“接触”を受けた「学識経験者」の当事者(複数)から、婉曲にその事実を伝えられていたからだ。ちなみに私自身への接触はなかったが。
明治の皇室典範にあって今の皇室典範にないもの
この記事が、皇位継承のあり方に関心をもつ人々を驚かせたのは何故か。
政府は、上皇陛下のご譲位を可能にした皇室典範特例法の附帯決議によって、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」について検討することを“約束”させられていた。にもかかわらず、そのためには決して避けて通ることができないはずの「女性・女系天皇」という“課題”を、議論の対象から外してしまった。これはすなわち、附帯決議への“ゼロ回答”以外の何ものでもないからだ。
皇位継承の行方を不安定なものにしてしまっている原因とは何か。現在の皇室典範がかかえる「構造的」な欠陥が原因だ。
では、その構造的欠陥とは何か。それは、明治の皇室典範では“セット”で制度化されていた、①正妻以外の女性(側室)のお子様(非嫡出子)やその子孫(非嫡系)であっても、皇位継承資格を認めることと、②皇位継承資格を「男系の男子」というかつて例を見ない極めて“窮屈”な条件に縛ること、という2つのルールのうち、①を除外しながら、②“だけ”を採用していることだ。

「男系の男子」をどう確保するのか
たったお一方だけの天皇の正妻(皇后)から代々、必ずお一方以上の男子がお生まれになることを期待するのは、無理だ。
そこで以前、「男尊女卑」(男性を尊重し、女性は男性に従うものとして見下すこと)の考え方が社会に広く行き渡っていた時代には、「男系の男子」を確保するために側室の存在が公然と認められ、制度化さえされていた。
側室のお子様も、継承順位の点で嫡出子の後ろに回されていたものの、継承資格が与えられていた事実がある。これは当時の価値観に照らして、特に非難されるべきことではなかった。
しかし、現代においてそのようなルールが許されるはずはない。現に、昭和22年(1947年)に制定された今の皇室典範では、非嫡出子(および非嫡系)には継承資格を認めていない(第6条)。ならば、側室の存在と非嫡出子の継承可能性を前提としてこそ可能だった、「男系の男子」という継承資格の“縛り”も一緒に解除するのが当然だった。しかし、それは見送られていた。
これこそが今の典範の「構造的」欠陥だ。
従って、附帯決議で約束した通り皇位の安定継承を本気で目指すのであれば、「男系の男子」という縛りの見直し、つまり「女性・女系天皇」の可能性を視野に入れた議論が欠かせないはずだ。しかし、それを「対象としない方針」であれば、まさにゼロ回答と言わざるをえない。
国民の代表機関である国会との約束であり、しかも極めて重要な皇位継承にかかわる課題に対し、あまりにも不誠実な政府の対応ぶりだった。
「立皇嗣の礼」の2つの不審点
先の記事に「『立皇嗣の礼』が行われる4月下旬以降、こうした考えを確認する見通し」とあった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により儀式の挙行が延期され、実際に行われたのは同年11月8日だったことは周知の通り。
改めて振り返ると、この「立皇嗣の礼」については2つの不審点が残っている。
1つは、そもそもこのような前代未聞の儀式を行うべき必然性があったのか、ということ。
もう1つは、この儀式が天皇陛下のご即位に伴う“一連の儀式”と位置づけられたことだ。
これらについては、一般にその奇妙さがほとんど気づかれていないと思うので、少し触れてみたい。
まず「立皇嗣の礼」それ自体の不可解さについて。
これについて考える場合、「皇嗣」と「皇太子」の違いをきちんと整理しておく必要がある。

「皇嗣」と「皇太子」の決定的な違い
「皇嗣」は“(その時点で)皇位継承順位が第一位の皇族”を一般的に意味する。これに対して、その皇嗣が“天皇のお子様(皇子)”である場合、特に「皇太子」という称号をもたれることになる(皇室典範第8条。お孫様なら「皇太孫
こうたいそん
」)。
具体例をあげて説明しよう。今の天皇陛下の場合、平成時代は「皇太子」でいらっしゃった。上皇陛下(当時は天皇)のお子様で、もちろん皇位継承順位は第1位。だから「皇太子」。皇太子は“次の天皇になられることが確定したお立場”だ。その事実を内外に広く宣明するために行われるのが、近代以降の「立太子
りつたいし
の礼」である(前近代の場合は、この儀式によって皇太子のお立場が固まった)。ちなみに、天皇陛下の立太子の礼は平成3年(1992年)2月23日、満31歳のお誕生日当日に行われている。上皇陛下の時は昭和27年(1952年)11月10日、「成年式」(加冠
かかん
の儀
)に引き続いて挙行された。
誤解してはならないのは、皇太子の場合、お生まれになった瞬間、又は父宮が即位された瞬間に、次の天皇になられることが「確定」する。儀式はただ、その既定の事実を“宣明”するまでのこと。前近代とは儀式の意味合いが異なっている。
ところが、皇太子・皇太孫つまり「直系の皇嗣」ではない、「傍系の皇嗣」の場合はどうか。儀式の“前”に、すでに皇嗣のお立場になっておられる点では、皇太子と事情は変わらない。しかし、次の天皇になられることが必ずしも“確定していない”という点で、大きく異なっている。これはどういうことか。
「立皇嗣の礼」がなかった秩父宮
これも実例で説明しよう。昭和天皇の弟宮だった秩父
ちちぶ
の宮
みや
の例を取り上げる。
高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)
秩父宮は大正天皇の第2皇子として明治35年(1902年)6月25日にお生まれになった。お名前は雍仁
やすひと
親王。「大正」から「昭和」への改元当時、昭和天皇には皇位継承資格をもたない女子(照宮
てるのみや
成子
しげこ
内親王)しかおられなかった。そこで、昭和天皇のご即位に伴い「皇嗣」になられた。現在の秋篠宮殿下とちょうど同じパターンだ。
その後も、昭和天皇のお子様は女子が続いた(第2皇女・久宮
ひさのみや
祐子
さちこ
内親王、第3皇女・孝宮
たかのみや
和子
かずこ
内親王、第4皇女・順宮
よりのみや
厚子
あつこ
内親王)。この間、ほぼ8年間、秩父宮は皇嗣であり続けておられた。しかし、「立皇嗣の礼」などは行っておられない。それは何故か。傍系の皇嗣の場合、皇太子(皇太孫)と違って、次の天皇であることが“確定”したお立場ではないからだ。
実際、昭和8年(1933年)12月23日に昭和天皇の第1皇子(つまり「皇太子」)として上皇陛下がお生まれになった瞬間に、その時まで皇嗣であられた秩父宮の皇位継承順位は、皇太子の次の“第2位”に変更された。そのため、もはや「皇嗣」ではなくなられたのであった。

非礼で不敬な儀式だった
このように、傍系の皇嗣は継承順位の変動がありうるお立場だ。その点で皇太子とはまるで違う。ならば、「立太子の礼」を挙行する理由はあっても、「立皇嗣の礼」を行わなければならない必然性はないだろう。従来、このような儀式が行われなかったのは、その意味ではごく当たり前のことだった。むしろ、令和の時代に前代未聞の立皇嗣の礼が行われたことの方が不可解なのである。
なお、映像をご覧になった人であればすぐ理解できるように、この儀式の主役はもちろん天皇陛下ご自身だ。陛下が、秋篠宮殿下が皇嗣であられる事実を内外に宣明されることが、この儀式の主眼だ。秋篠宮殿下が主役の行事と勘違いしている人もいたようなので、念のために付言しておく。
ただし、これは憲法上の“国事行為”。なので、「内閣の助言と承認」によって行われ、「内閣が、その責任を負ふ」(第3条)べきものだ。内閣の意思によって行われ、天皇陛下や秋篠宮殿下ご自身のお考えとは直接、関係がない。
そこで少し立ち止まって考えてみると、立皇嗣の礼というのは、単に前代未聞というだけでなく、客観的には天皇・皇后両陛下が今後、決して「直系の皇嗣」には恵まれられない、という見立てを前提にしなければ行えないはずの行事であることに思い至る。実はかなり非礼で不敬な儀式だったことになろう。

  • 高森 明勅(たかもり・あきのり)
  • 神道学者、皇室研究者
  • 1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを

ひとり暮らしで自宅療養になった場合の対処法とは?オミクロン株感染に備えよ!

2022-02-04 11:00:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

オミクロン株での感染者が急増しています。誰がいつ感染してもおかしくない状況です。もし一人暮らしで感染したらどうしたらいいのでしょうか。症状が出て自宅療養となった場合、一人で対処しなくてはなりません。感染症専門家の岡田晴恵氏が上梓した『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋・編集し、オミクロン株の状況に合わせて内容を更新して、今備えるべき知識を伝えます。(白鴎大学教育学部教授 岡田晴恵)
感染拡大で自宅療養者が激増中!

今後、2月にかけて感染者数が増多し、その多くの方が自宅で療養するということになると考えられます。 オミクロン株は主に鼻や喉、気管支などで増えやすく、軽症化の傾向がみられ、肺炎などの重症化率は下がっているとされています。一方、上気道で増えやすいため、ウイルスを外に出しやすく、ウイルス増殖が速いため感染力は強くなっています。潜伏期間も約3日と短くなっています。
感染者が増加してくると、すべての感染者を入院させることはできません。重症で入院による治療が必要な人、または重症化するリスクの高い人のための病床確保が必要になります。
家族や同居する人がいれば、何かと心強い面もありますが、ひとり暮らしの人が、自宅療養になった場合、どう対処すればいいのでしょうか?
今回は、2020年に発行した拙著『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋し、対処の一例を紹介します。
ひとり暮らしの人が自宅療養をする場合
ひとり暮らしのサラリーマンが自宅療養をする場合について考えてみます。恐らく高熱や強い倦怠感のせいで、あまり動けなくなります。
飲料水やゼリー状の栄養補助食品のようなものをできる限り枕もとに置いて、自分で取れるようにしましょう。
寝室の窓は少し開けておき、換気します。そして、もしあれば加湿器で湿度調整しましょう。


医師が警鐘「ステイホームによる健康被害は深刻」

2022-02-04 08:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

1月19日、東京都および13県に対し「まん延防止等重点措置」が適用された。すでに適用されていた3県と、1月25日に新たに追加の18道府県を合わせると、対象は全国で計34都道府県に上る。
昨秋からだいぶ大人しくしていた新型コロナだが、オミクロン株の出現であっという間に勢いを盛り返した。1日あたり新規感染数は全国で6万人超(1月25日)、東京では1万人超(同22日)となり、それぞれ過去最多を更新し続けている。
五度目の「緊急事態宣言」が頭をよぎる。
だが、私はこれ以上の行動制限には、非常に懐疑的だ。感染拡大を抑え込むことができたとしても、医師として警鐘を鳴らすべき健康上の懸念が3つある。
①運動不足からくる「体力低下」と「生活習慣病」の増加
②「健診・受診控え」による病気の発見や治療の遅れ
③「こころ」の健康問題と自殺者数の増加    以下、詳しく見ていきたい。
「体力低下」と「生活習慣病」
行動制限がもたらす最初の懸念は、①運動不足からくる「体力低下」と「生活習慣病」だ。
さまざまな社会活動を自粛すれば、感染リスクは下がるかもしれない。だが、コロナ禍において私たちの体力は確実に低下してきた。
2020年のスポーツ庁「体力・運動能力調査」では、新型コロナ発生前の2019年に比べておおむね全世代(中学生~79歳)で体力低下が見られた。
自宅やその周辺で、一人でできる運動もあるが、習慣やきっかけがなければ誰もが自発的に取り組めるわけではない。
運動不足は、生活習慣病を招く。
例えば肥満と糖尿病だ。どちらも動脈硬化を助長して心血管疾患を招くうえに、新型コロナ重症化のリスク要因でもある。
日本生活習慣病予防協会が2021年3月、一般生活者3000人と医師100人を対象に実態調査を行った。その結果、一般生活者の4人に1人が「コロナ太り」と回答し、男女とも30代で多い傾向が見られた。
糖尿病に関しては、半数以上の医師が「コロナ禍で患者のHbA1c値(過去1~2カ月間の平均的な血糖レベルを示す血液検査値)が悪化している」とした。8割の医師が「コロナ禍で糖尿病のリスクが高まった」と実感している。
生活習慣病の状況をさらに深刻にしているのが、②「健診・受診控え」だ。
病気の発見が遅れたり、通院を中断したりして、適切なタイミングでの治療の機会を逃してしまう。
先の日本生活習慣病予防協会の調査でも、一般生活者の約半数が「コロナ禍に健康診断・人間ドックを受診していない」と回答した。これは、約4割の医師が「コロナ禍で健康診断・人間ドックの受診が減っている」と回答したことともおおむね一致する。
緊急事態宣言下でも、受診や健診は制限されたわけではない。だが、院内・市中感染を恐れたり、自粛ムードを肌で感じ、感覚的に「不要不急」と判断して先延ばしにした人が多いようだ。
「受診・健診控え」で起きていること
健康保険組合連合会のアンケート調査では、2020年4~5月の緊急事態宣言中、持病がありながら通院を控えた人の7割が「体調が悪くなったとは感じない」と考えていた。だが、これはあくまで1カ月という短期間の調査結果だ。
⽇本医師会総合政策研究機構による糖尿病患者の調査(「日医総研リサーチエッセイ No.96」)では、2020 年4~9月の半年間にコロナ禍で受診回数が「大きく減少した」患者は、受診頻度が「変わらない」「少し減少した」患者に比べて血糖コントロールが悪化していた。
血糖値の悪化は、即座に自覚症状となって表れるわけではない。知らないうちに、少しずつ健康が損なわれていくのだ。
「がん」診療への影響も明らかになってきた。がんの多くは初期には自覚症状が出にくいため、健診控えが起きやすいのだろう。
日本対がん協会によれば、2020年は主要な5種類のがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)の検査件数が合計で前年比3割減、診断件数も1割減となった。早期発見が減少し、約2100のがんが未発見となった可能性も指摘されている。
これは日本に限った現象ではない。例えばアメリカの調査でも、2020年は前年と比べてがんの検査、受診、治療、手術の件数が大幅に減少した。4月のパンデミックのピーク時には、乳がん、結腸がん、前立腺がん、肺がんの検査が、それぞれ85%、75%、74%、56%も減少したという。
そのほか、脳卒中や心筋梗塞などは、今もし発症して救急搬送となっても、オミクロン株対応で一般病床は減少している。健診等によって自分の血液検査値を定期的に把握し、適切な指導の下で服薬や食事改善等に取り組んで、予防に努めることが重要だ。
生活習慣病関連の健診・治療をおろそかにした影響は、じわじわ表れてくる。今後も数年間、さまざまな生活習慣病の罹患率と死亡率が増加する可能性がある。
「コロナうつ」の裏にある経済不安と孤独
身体的な健康問題に加え、私が危機感を持っているのは③「こころ」の健康問題だ。「コロナうつ」などとも呼ばれ、世界的に問題になっている。
OECDの報告によれば、2020年の不安神経症およびうつ病の有病率は、各国で新型コロナ流行前の2~3倍もしくはそれ以上となっている。若者、一人暮らしの人、社会・経済的地位の低い人、失業中の人は、メンタルへの打撃が高かった。
例えばアメリカでは、2万人を対象にした調査研究の結果、メンタルの不調は20歳前後の若者で最も深刻だった。
2021年5月の時点で、18~24歳の42%に中等症以上のうつ症状が認められた。以下、25~44歳では32%、45~64歳は20%と続き、65歳以上は10%にとどまった。この順位は2020年6月からの全調査期間で入れ替わっていない。
同じ研究チームは2020年に、18~24歳の若者のべ約9000人を対象に、メンタルヘルスについて調査を行っている。そこでは、新型コロナによって経済的なダメージに直面した若者が特にハイリスクなことが、強く示唆された。
経済ダメージのうち最もメンタルに悪影響だったのが、住居からの立ち退きや家賃の不払いなど「住まいの不安定性」で、中等症のうつ病が6割に上った。次いで悪影響だったのが、解雇や賃金カットなど「収入の不安定」で、同じく中等症のうつ病は5割に達した。
「在宅勤務」や「学校閉鎖」は、新型コロナが若者の生活にもたらした最大の変化だったが、メンタルへの影響はいずれも顕著ではなかった。
また、『Nature』に発表されたカナダの調査では、「孤独感」の関与が注目された。
中高年3万7000人において、新型コロナ流行の前後でうつ症状が全体として2倍になった。とりわけコロナ禍以前から「孤独」を感じていた人は、そうでない人に比べ、うつ症状が6.75倍見られた。
さらに、約2万人の分析結果からは、「孤独」を感じている人はコロナ禍においてうつ症状が深刻化しやすい傾向も示唆された。
さて、このコロナ禍で、日本人の「こころ」にも異変が起きている。引き続き「コロナうつ」について、自殺者数の気がかりな動向と併せて検証し、ポスト・コロナの医療を考えたい。