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心臓の機能落ちる「心不全」、平均寿命延びて増えた理由とは?どうすれば予防できる?

2022-02-25 15:30:00 | 日記
下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。

最近、心不全が増えている。心不全とはどういう病気なのか、なぜ増えているのか。また、心不全にならないためには、どうしたらよいのか。また、心臓や脳などの血管系の病気「循環器病」は、心不全、心筋梗塞、脳卒中など様々あり、よく違いが分からないという人も少なくないだろう。2021年12月16日に実施された日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーでの東京大学大学院医学系研究科循環器内科特任准教授原田睦生さんの講演を基に、心臓病などの現状と、心不全の予防法について紹介しよう。
写真はイメージ=123RF
脳卒中が減って平均寿命が延びた
1965年に男性で67.74歳だった平均寿命が、2020年には81.64歳まで延びてきた。平均寿命が劇的に延びた理由の一つは、脳卒中の減少だ(下図)。1965年に脳卒中は日本人の死亡原因のトップだったが、時代とともに大きく減っている。
令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況「主な死因別にみた死亡率(人口 10 万対)の年次推移」
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脳卒中が減った大きな要因に、フラミンガム研究の成果がある。フラミンガム研究とは、アメリカのフラミンガム市の住民5209人を対象に1948年に始まった大規模な疫学調査だ。登録した住民の健康状態を長期にわたって追跡することで、様々な病気の原因が解明されてきた。
1960年代には高血圧が脳卒中や狭心症の原因になると分かり、高血圧を治療するようになった。塩分摂取量が多いと高血圧になることも分かり、塩分摂取量を減らすようにした。
「1960年代の日本人(70歳以上)の収縮期血圧は平均166mmHgだったのが、最近では141mmHgに下がっています。また、1960年代には日本人の塩分摂取量は1日約17gでしたが、今は約10gまで減りました」と原田さんは説明する。
喫煙も脳卒中の原因になることが、フラミンガム研究で分かった。心筋梗塞は2.95倍、脳卒中は1.61倍など、喫煙は循環器病のリスクを増やす。
「1965年ごろには、喫煙はかっこいいというイメージがありました。40代男性の87%が喫煙者でしたが、いまは36%に減っています。塩分摂取を控えて日本人の血圧が下がり、喫煙者も減ったことで、脳卒中が減ったわけです」(原田さん)
平均寿命が延びると心臓病とがんが増える
脳卒中の代わりに増えているのが、がんと心臓病だ。
「がんや心臓病は、65歳以上の高齢者に多い病気です。1965年には平均寿命が男性で約68歳だったので、多くの人が、がんや心臓病になる前に脳卒中で亡くなっていました。つまり、長生きする人が増えた結果、がんや心臓病が増えたわけです。特に75歳以上では、死亡原因の1位は心臓病をはじめとする循環器病です」と原田さんは説明する。
長生きする人が増えたのは素晴らしいが、そのために新たな問題が発生してきた。
ひとつは、健康寿命と平均寿命の差が大きく開いていることだ。2016年のデータでは、男性で8.84年、女性で12.35年と約10年の開きがある。せっかく長生きをしても、人生の最終段階で介護が必要になるなど、健康とは言えない期間が存在するのだ。
その原因の一つが、心不全や脳卒中などの循環器病だ。心不全は、心臓がくたびれてしまって機能不全になった状態をいう(詳しくは「後編」で説明)。心不全は悪くなったあと治療である程度回復するが、その後悪化と回復を繰り返し、だんだん弱っていく(下図)。
厚生労働省「循環器病対策の現状等について」などを基に編集部で作成
もう一つ問題なのは、入退院を繰り返したりすると、医療費が大幅に増えることだ。本人や家族がつらいだけでなく、多額の医療費が社会的な負担になる。
これらの問題を解決するには、多くの人ができるだけ健康長寿でいられるようにするしかない。
循環器病と脳卒中の関係は?
ここで、循環器病について少し説明しておこう。循環器は全身に血液などを循環させる臓器で、代表例は心臓と血管だ。循環器病とは、この循環器の病気を指す。
循環器病には、弁膜症、心筋症、先天性心疾患、不整脈など心臓の病気、心臓へ血液を送る冠動脈が詰まる虚血性心疾患、肺塞栓症、肺高血圧症、大動脈瘤、大動脈解離、末梢動脈疾患などの血管の病気、脳の血管に問題が起こる脳卒中などがある。
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりするもので、循環器病の一種だ。血管が詰まる脳梗塞、脳の内部の血管が破れる脳出血、脳の表面のくも膜下腔に出血が起こるくも膜下出血がある。
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ただ、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科で扱うため、循環器内科の守備範囲は心臓と、それから脳を除いた血管となる。そのため、循環器内科の専門医が循環器病の話をするときは、脳卒中を除いていることが多い。紛らわしいが、循環器病について統計データなどを見るときには、脳卒中を含むかどうかを確認しよう。
同じ血管の病気なので、脳卒中と他の循環器病は深く関わっている。例えば、血管の病気の原因は主に動脈硬化だから、動脈硬化を防げば脳卒中も他の循環器病も予防できる。
心臓の病気が原因で脳梗塞が起こることもある。不整脈の一種の心房細動は、心房が正常に拍動しないで、けいれんするように細かく震えるものだ。心房細動が起こると、心房の中で血液の流れが悪くなり、血の塊ができる。この塊が血管を通って移動し、脳の血管に詰まると脳梗塞になる。脳卒中の約4分の3は脳梗塞で、脳梗塞の約3割はこの心房細動など心臓の疾患が原因だ。

心不全どうすれば予防できる? リスク高める食べ物、最適な運動は

負荷の蓄積が、心不全を招く
循環器病の中で、心臓がくたびれてしまって機能不全になった状態を心不全という。
現在は医療が進歩し、腎機能を補う人工透析のように臓器の機能を補えるケースもあるものの、心臓と脳は取り替えがきかない。人工心臓は一応あるが、高齢者につけることは難しい。
健康に寿命をまっとうするには、心臓と脳が機能不全に陥らないように予防することが何よりも大切だ。
心不全の原因としては、心筋梗塞、狭心症、心筋症、弁膜症、高血圧、先天性心疾患、不整脈などがある。つまり心不全は、それ単独で起こる病気ではない。様々な循環器病にかかり、それらが進行してしまった結果の行き着く先が心不全なのだ。
心臓に継続した負荷がかかり続けることで、心不全は起こる。例えば、高血圧を放置していると、10年以上かけて心不全になっていく。ということは、高血圧を治療して心臓に負荷がかからないようにすれば、心不全を予防できる。
心不全になる前の予防が大切
2017年に「急性・慢性心不全診療ガイドライン」が改訂された。
改訂ガイドラインで注目したいのは、心不全のステージ分類だ。ステージAからステージDまでの4段階の分類のうち、「心不全の発症」はステージBとステージCの間にある。つまり、高血圧など前段階の症状はあっても心不全がまだ発症していない段階を、心不全ステージAとして、心不全の範囲に含めたのだ。
「心不全では予防がいかに大切かを多くの人に伝えるために、このような分類ができました。それぞれのステージに入らないように努力すれば、心不全を予防できます。心不全への道は一方通行で後戻りはできませんが、立ち止まることはできます。特に重要なのは、まだ高血圧、糖尿病、動脈硬化などの疾患が出ていなくて、ステージAにも達していない健康な状態での予防です。服薬も検査も手術も一切必要ないこの時期を逃してしまうのは、とてももったいないことです」と原田さんは強調する。
では、どうすれば心不全を予防できるのだろうか。
どうすれば心不全を予防できる?
「心不全を予防するには、まず食事に注意しましょう。循環器病の予防によいものを食べるようにして、リスクが高くなるものはできるだけ避けましょう」と原田さんは言う。
循環器病を予防するために食べた方がよいものと、減らした方がよいものは、次の通りだ。
「食事内容に配慮しながら、摂取カロリーと消費カロリーの帳尻を合わせて体重管理を心がけてください。塩分摂取量は1日6g以下が目標です。現在、日本人はだいたい10gくらいはとっているので、6gはけっこう難しいのですが」と原田さんは説明する。
お酒を飲み過ぎないことも、循環器病の予防には大切だ。飲酒の適量は、男性では純アルコールに換算して1日20g、女性はその半量10gだ。
循環器病の予防には、適度な運動も効果がある。
ウォーキングなど中くらいの強度の運動なら1週間に150分、ジョギングなど高強度の運動なら、75分以上体を動かそう。
循環器病予防に最適な運動
・中くらいの強度の運動(150分/週)
…速歩のウォーキング、自転車こぎ、動きのあるヨガ、水泳など
・高強度の運動(75分/週)
…ジョギング/ランニング、速いスピードの自転車こぎ、テニスのシングルス、競泳など
ジョギングなら、1日15分を週休2日で行えば、循環器病の予防には十分だ。
「運動すればするほどいいのかというと、残念ながら、これ以上運動しても循環器病のリスクは変わりません。でも、運動は循環器病予防のためだけにやるものではないので、やりたい人はもっとやっていただいてかまいません」と原田さん。「ただし、もし隠れた心臓病などがあったとき、運動の負荷が強すぎると死亡リスクが上がってしまうかもしれません。自分がどの程度運動してもよいかは、主治医と相談してください」
循環器病のリスクを下げるには、睡眠も重要だ。睡眠不足は、肥満から生活習慣病の原因になるなどして、循環器病の原因になる。
もし血圧が高ければ、下げる努力をしよう。血圧を上げないことは、循環器病の予防にはとても重要だ。
高血圧治療ガイドラインでは2019年の改訂から、正常高値血圧(収縮期120~129mmHgかつ拡張期80mmHg未満)と高値血圧(収縮期130~139mmHgかつ/または拡張期80~89mmHg)という領域が加わった。「いままでは収縮期血圧が140mmHg以上になると治療を開始していましたが、130mmHg台の人は、ほとんどが140mmHg台へと移行していきます。そのため、130mmHg台の人を重点的に治療して、それ以上上がらないようにしようということです」と原田さんは説明する。
ちなみに脳梗塞の原因となる心房細動の原因は、加齢、高血圧、飲酒、喫煙、睡眠不足であることが分かっている。循環器病の一般的な予防法は、心房細動の予防にもなる。
これからの循環器病対策は変わる
いま、循環器病対策のために、国の制度が大きく変わろうとしている。
2018年に循環器病対策基本法が成立し、翌年施行された。現在は、国の循環器病対策推進基本計画に基づいて、都道府県循環器病対策推進計画の作成が進められているところだ。脳卒中を含む循環器病について、国が率先して予防や治療の対策を進めていこうというのだ。
「2007年にがん対策基本法が施行されてから、がんの診療が大きく変わりました。法の施行により、循環器病の診療がこれから大きく変わっていくはずです」と原田さんは言う。
循環器病対策基本法の成立に合わせて、2021年5月に日本循環器協会が設立された。循環器病患者、医療者、企業の三者を連携し、医師の関与が難しい健康な人への予防・啓発などの活動が期待される。
「脳卒中や心不全はがんと同じくらい危険ですが、予防ができる病気です。ぜひこのチャンスを逃さずに、予防を心がけてください」と原田さんは強調する。
将来の健康長寿を満喫するためには、まだ高血圧などの症状が出ていない健康な人こそ、対策が重要になる。今日から、心不全の予防を始めよう。
(図版制作:増田真一)
原田睦生(はらだ むつお)さん
東京大学大学院医学系研究科循環器内科講座 先端臨床医学開発講座 特任准教授。循環器内科専門医。日本循環器協会 評議員
大学医学部卒業。山形大学医学部附属病院第一内科、石巻赤十字病院循環器内科、千葉大学医学部循環病態医科学などを経て、心臓幹細胞の研究のため2009年に英国インペリアルカレッジロンドンに留学。2018年より現職。

友達がナンパされたときのもう一人の選ばれなかったほうの女の心理

2022-02-25 13:30:00 | 日記
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する。

テレビの突撃取材を受ける二人組
「あの~すいません、〇〇テレビですけど」
最近、テレビをよく見る。
一時期テレビを見ない生活をしていた反動なのか、とくに面白く感じるのだ。バラエティからニュースまで、髪を乾かしているときやご飯を食べるときに見ているのだけれど、一際目につくのは、ワイドショーなんかでよくやっている街頭インタビューだ。面白いというか、なんか、何かが気になるんだよな。
「ちょっとお話いいですか?」
いつも見かけるたびに何かがひっかかって、街頭インタビューのコーナーになるとついじっと観察してしまうのだ。
テレビ番組の突撃インタビューというのは、だいたい二人組に声をかける。カップルのときもあれば、親子のときもあるし、友達同士のときもある。その中でも私がつい見入ってしまうのは、女友達二人組に声をかけている場合だ。
「どうしてこの店に来たんですか?」
「今日のファッションのポイントは?」
「この辺で面白い店知りませんか?」
「お仕事何されてるんですか?」
街頭インタビューというのは実にありとあらゆる質問をするものだけれど、やはり女二人組にはそれらしいことを聞いたりもする。彼氏いるんですか? 今日は何しに来たんですか? これからどこに行くんですか? 云々。
そういうのを見るたび、私は何か変な違和感を覚えてしまうのだ。なんだろう。何かがひっかかっているような……納得いかないような。自分の過去にも、抱いたことがあるような、何か、変な感じ。
それが何なんだろうと、ずっともやもやしていたのだけれど、その正体に気がついたのは深夜にやっていたとある街頭インタビューを見たときのことだ。ブランドショップに買い物に来ている若い女の子二人組に声をかけていた。たぶん、高校生か、卒業して大学に入ったばかりくらいだろうか。
「え~どうだろうわかんないきゃははは」
楽しそうに笑う画面の向こうの女の子。それを見て笑うワイプの人たち。
かわいい。かわいらしい。とてもかわいい。かわいい……。
あっ! そうだ! これだ!
そうなのだ。気がついてしまった。とても残酷な現実。気がつきたくはなかったけれど、どうしても目を向けざるを得ない現実……。
そう、二人並んでいる女子のうちの、インタビューを受けている方がかわいいという現実である!
「え~と、今日は買い物にきました」
「彼氏ですかぁ~? いないです~」
「え~もうちょっとどうしようっ」
そう言って照れくさそうに笑いながら、隣にいる友達の肩を軽く叩く女の子は、かわいい。とてもかわいい。別の言い方をすれば、華があるのだ。目がキラキラしていて、ちょっと恥ずかしそうにして、「テレビに話しかけられて困っている女の子」として完璧な振る舞いをする。でも少し自信があるそぶり。きっと今までにもそういう経験をしたことがあるのだろう。ああいう子たちというのはだいたい、人に話しかけられることに慣れている。きっと街を歩いていてナンパされたりすることもよくあるのだろう。その照れくさそうにしている受け答えの仕方もなんだかとてもこなれている。
でも、隣にいるインタビューされていない友達のほうはどうだ。私は画面の端っこに半分見切れている女の子を見やる。うーん、たしかにインタビューされている子のほうが華がある。うん。これは現実だ。彼女はどんな思いで隣に立っているのだろうか。私はさらによく彼女の気持ちを読み取ろうと、インタビューされていない子の顔を凝視した。傷ついているのだろうか? 若干笑顔が引きつっている? 悲しそう? 切なそう? どうだ? この顔はどんな気持ちだ?
声をかけられるのはいつも彼女のほうだった
彼女の顔が一瞬、大きく映った。その顔を見て私はハッとした。いや、違う。これは違う。彼女は悲しいわけでも怒っているわけでもない。これは……この顔は……。
走馬灯のように、その顔を見たときのことが蘇ってくる。そうだ。あれは中学生の頃だったか。当時一番親しかった友人は、とても華がある子だった。目立つ。学年の人気者。明るくて、ちょっと気分屋なところがあるけれど、それでも愛される。先生からもよくいじられる存在。見た目もかわいい。男にもモテる。そういう子だった。
私はその子ととても仲が良くて、学校帰りにも休みの日にもよく渋谷に遊びに行った。カラオケや買い物をしたり、ゲーセンでプリクラを撮ったりして遊んだ。彼女は本当に魅力的な子だった。小悪魔的、と言ってもいいのかもしれない。ちょっとわがままで、無意識に人を振り回すようなところがある。でもそんなところも、人を惹きつける要素の一つに過ぎなかった。
私も彼女に惹かれていた人間の一人で、話していてとても楽しかったし、人として大好きだった。彼女といつも一緒にいた。人気者の彼女と一番仲が良いという事実がなんだか誇らしかった面もあった。
彼女と私のペアは最強なんじゃないかと思っていた。街を二人で歩いているとよく声をかけられたし、「どっかみんなで遊ぼうよ」と男二人組に声をかけられるなんてこともあった。私は彼女と仲良くなったことによって自分も華のある人間になれたような気がして、嬉しかった。
でも、あるとき突然気がついた。
話しかけてくる人たちがいつも、私のことを見ていないことに。
私一人だと、誰にも声をかけられないことに。
「ねえねえ、これからどこに行くんですか?」
そうやって声をかけられるのはあくまでも私ではなく彼女のほうだった。いつも人が来るのは彼女の側だった。それは私がツンとした顔立ちで、声をかけづらいからなのだと言い聞かせていたけれど、違うのだ。彼らの視界に、私ははじめから入っていなかったのだ。
彼らが声をかけたかったのは「彼女」であって、その隣にいるのは誰でもよかったのだ。私でも、別に他の友達でもよかった。私は、「女二人組」でいることによって話しかけやすくするという要素の一つに過ぎなかった。
話しかけられているのは、「私たち二人」ではなく、「彼女一人」なのだ。
もちろん、そのことに気がついてから、私は動揺した。なんで彼女ばかりが声をかけられるのだと思った。理不尽じゃないか。失礼じゃないか。女二人いるのなら、両方に話しかけるべきだ。一方を無視するなんておかしい。平等に接するべきだと思って憤慨した。
でも、そんなことが繰り返し繰り返し起こるうちに、私の中に諦めの感情が芽生え始めていた。
これは、仕方のないことなのだ、と。
世の中には華がある人間と、華がない人間がいて、そのどちらかに一度分類されてしまったら、もう一つのカテゴリーに移ることはできないんだと、気がついたのだ。
でも、理解してからは、早かった。「そういうもの」だとわかっていれば、「目立たない存在」として落ち着いていられる。彼女のように目立つわけではないけれど、実はきちんと状況を把握できている人間。そう、叶姉妹で言えば叶美香さん的存在。彼女がエキセントリックな恭子さんだとすれば、私は落ち着いて姉を支える堅実な美香なのよ。そう自分に言い聞かせていた。それで精神を保っていた。
そして、テレビ画面の向こうの彼女も、そんな顔をしていた。
「大丈夫、いつものことよ」と、彼女は自分自身に、言い聞かせているような気がした。悟った顔をしていたのだ。何かに焦っていたり、イライラしていたり、動揺していたりする様子はない。「別に大丈夫」、そんな落ち着いた顔。そう、まさに叶美香さん的顔だ。
ああ、きっとこの子も、いつもこの目立つ女の子と一緒にいて、こういう現象には慣れきっているのだろうなと私は思った。なんということだ。この子は健気じゃないか。私はあの頃の自分を思い出し、彼女と重ね合わせて涙が出そうになった。
「選ばれない人間」にこそ真の魅力があると、思いたい
ねえ、どう思いますか。
この現象、どう思いますか。
いや、華がある人間は羨ましいし、私はそうなりたいと、今でも思う。黙っていても目立って、何もしなくてもなぜか人がよってくるような、そういう人間に私はなりたい。
でもこうやって自分の立場をきちんとわきまえて、「私は大丈夫」と本当は目立ちたい気持ちをこらえつつ、それでも大人な対応をしている、おそらく弱冠十八歳程度の女の子のことを、とても愛おしいと思うんです。ねえ、そうは思いませんか。
どう見てもたったの十七とか、十八とかそこらだ。まだまだ目立ちたくて、何か素晴らしい存在になりたいとか思っている年齢だ。それなのに、自然と「自分は目立たない」と理解して、それで振る舞い方をきちんと考えている若い女の子。ああ、切ない。なんて切ないんだろう。私はその子のその表情にいたく共感してしまったのだ。
私は言いたい。街頭インタビューで声をかけられない女の子にこそ、真の魅力があるのだと。目立たず、立場をわきまえ、じっと息をひそめる賢さを持っているのだと。ぱっとしないどころか地味だし、一見普通の女の子にしか見えないけれど、そういう「選ばれないほうの人間」として苦労してきた人間だからこそ醸し出すことのできる、その人独特の魅力があるのだと、私は言いたい。
だから、声をかけてほしい。華がないほうの人間にこそ、声をかけてほしい。華があるほうの子は、何もしなくても声をかけられるのだから。陰でひっそりと咲く選ばれない女の存在を、知ってほしい。知ってほしい。
たのむ。どうか気がついてくれ。
じゃないとなんだか私が報われないんだと、よくわからない不特定多数の誰かに主張したくなった、夜だった。

川代紗生(かわしろ・さき)
1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。
2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。
「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。


「食こそ最強のコロナ対策」納豆に"あるもの"を入れると免疫力がアップする

2022-02-25 12:00:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

食事で免疫力を上げるにはどうすればいいのか。管理栄養士の森由香子氏は、「納豆には砂糖を加えるといい。血液をサラサラにする納豆キナーゼが増え、免疫細胞が体内に行き届きやすくなる」という——。
※本稿は、森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)の一部を再編集したものです。
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ごはんのたんぱく質をしっかり摂取する方法
新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている今、私たちは自身で免疫力低下を防止し、健康を維持していかなければなりません。
私たちは、呼吸をして酸素を使ってエネルギーをつくり、食べ物から栄養を吸収してからだの材料としたり、機能調整を行ったりしています。からだを構成する細胞は日々生まれ変わっているので、毎日、食べ物から必要なすべての栄養素を補給しなければなりません。
近年の研究により、食事からのたんぱく質補給が不足すると免疫細胞の働きが悪くなることや、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが免疫細胞を活性化することなど、食品に含まれる特定の成分が、感染防止にかかわる免疫系と深くかかわっていることが明らかになってきました。食こそ最強の感染症対策といえるでしょう。
さて、日本人の食卓に欠かせない主食といえば、やっぱりごはん。
ごはんには、私たちのエネルギー源となる炭水化物だけではなく、たんぱく質をはじめ、亜鉛、鉄、カルシウムといったミネラル、ビタミンB6、食物繊維なども含まれています。「ごはんは太るから」と敬遠する人が増えていますが、免疫力アップに欠かせないたんぱく質も含まれているので、ぜひ食べていただきたいと思います。
そもそもたんぱく質は、私たちの筋肉や臓器を構成するとても重要な栄養素です。
しかも、免疫系の細胞や酵素の構成材料であり、免疫機能の基盤をつくるために欠かせません。体内のたんぱく質が減ると、風邪などの感染症にかかりやすくなり、さらに不足すると免疫機能に障害が起き、最悪の場合は死に至ることがわかっています。
そこで、せっかくなら、ごはんに含まれているたんぱく質をしっかり摂取したいわけですが、そのためにはちょっとした工夫が必要です。
ごはんを炊くとき、豆乳を加えるのです。
その理由を、順を追って説明しておきましょう。
たんぱく質のはたらきのレベルは「第一制限アミノ酸」にかかっている
たんぱく質は、20種類のアミノ酸で構成されています。そのうち、バリン、ロイシンなど9種類のアミノ酸は、体内でつくることができないため、私たちは食事からとる必要があります。これが、「必須アミノ酸」です。
そして、食品に含まれる必須アミノ酸の含有比率を評価する数値に、「アミノ酸スコア」というものがあります。これは、食材に含まれているたんぱく質の“質”を評価するもので、その食材に、9つの必須アミノ酸がそれぞれどれくらいずつ含まれているかを数値で表しています。
このとき、数値が100以下のものを「制限アミノ酸」といい、中でももっとも量が低いアミノ酸を「第一制限アミノ酸」といいます。
少し難しい話になってしまいましたが、食事でたんぱく質をしっかりとるためには、第一制限アミノ酸のことを意識しておくことが、とても重要です。
なぜなら、たんぱく質のはたらきのレベルは、第一制限アミノ酸によって決まってくるからです。
たとえば、9つの必須アミノ酸のうち8つが100以上あったとしても、1つでも50のものがあれば、そのアミノ酸は50のはたらきしかできないのです。
ごはん(精白米)に関していうと、9つの必須アミノ酸のうち、8つは100を超えているのですが、リジンだけが61で、100を切っています。リジンが足りていないおかげで、普通に炊いた場合、ごはんのたんぱく質は61のレベルまでしかはたらいてくれないのです。

豆乳がごはんの第一制限アミノ酸を補う
そこで登場する頼もしい助っ人が、リジンが豊富な、豆乳です。
豆乳を加えることでごはんに不足している部分を補えば、第一制限アミノ酸の足かせがはずれて、たんぱく質のはたらきがぐんと上がるわけです。
炊き方は、お米2合に対して、水100㎖、成分無調整豆乳を260~270㎖くらいを加えて水加減を調整し、お好みでほんの少し塩を加えて普通に炊くだけです。
水加減と火加減の具合によって、ほんのりおこげができ、うまみもアップするので味の面からもおすすめです。
同じ理由で、リジンを豊富に含んでいる枝豆をお米に加えて炊き上げた枝豆ごはんにするのもよいでしょう。
おつまみに用意した枝豆が余っていれば、炊き上がったごはんに混ぜるだけでもOKです。
いつものごはんにひと工夫することでたんぱく質のはたらきをアップさせて、病気にかかりにくいからだをつくっていきましょう。
納豆は常温で20分おいてから食べる
「からだに良い食品」といって、多くの人が思い浮かべる食材といえば、納豆ではないでしょうか。
確かに納豆には、免疫機能を正常に保つのに欠かせないビタミンB群やビタミンK、強い抗酸化力を持つビタミンE、カルシウム、亜鉛、鉄、銅など、からだに良い成分が豊富に含まれています。免疫力を上げるためにはもちろんのこと、若さを保ち、病気になりにくいからだを保つためにも、毎日でも食べたい食品といえるでしょう。
写真=iStock.com/taa22
※写真はイメージです
そんな納豆を食べるときに気を付けたいのが、冷蔵庫から出すタイミングです。
栄養成分に影響があるとはとても思えないかもしれませんが、実は、納豆を食べるときは、常温になっているかどうかが、意外と重要なのです。
納豆には、先に上げたビタミンなどの栄養素のほかにも、納豆キナーゼという特有の酵素が含まれています。納豆キナーゼは納豆菌が納豆を発酵させるときにできるもので、血栓を分解し、血液をサラサラにする成分として知られています。
体中の血流が良くなると、免疫細胞が体内のすみずみにいきわたり、免疫力アップにつながります。もちろん、動脈硬化をはじめ、脳梗塞や心臓血管系の疾患も予防します。
実は、この納豆キナーゼのはたらきがもっとも高まる温度が、40度くらいといわれています。
冷蔵されている間に納豆は5度くらいになり冬眠状態に陥っているので、冷蔵庫から出してすぐだと、酵素がしっかりはたらくことができません。冷蔵庫から出して常温に戻しておくことで、ようやく納豆キナーゼが本来の力を発揮できるわけです。
ちなみに、納豆キナーゼは比較的熱に弱いので、炊き立ての熱々のごはんにのせてしまうと、はたらきも落ちてしまいます。ごはんの粗熱がとれてから納豆をのせるか、納豆はそのまま口に運ぶとよいでしょう。

「納豆に砂糖」で免疫力がアップする
納豆は、商品に付いているタレやからし、もしくはしょうゆを入れ、好みでネギを少々加えて食べるのがもっともポピュラーな食べ方でしょう。
でも、納豆に砂糖を入れて食べる地域があるのをご存じでしょうか。
実は、新潟や北海道など、比較的北の地域では、納豆にしょうゆと砂糖を入れて普通に食べる人がいるのです。
食べたことがない人からすると、ちょっと味の想像がつかないかもしれませんが、実はなかなかおいしいもので、ごはんのおかずとしても違和感なくいただけます。
しかも驚くことに、この食べ方は、免疫力アップの観点からも、おすすめできる食べ方なのです。
砂糖は納豆菌の活動を活発にさせる
実は、納豆に砂糖を加えて混ぜると、納豆キナーゼが増えることがわかっています。理由は、砂糖が納豆菌のエサになるから。
森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)
砂糖を加えることで納豆菌の活動が活発になり、結果的に納豆キナーゼが増えるのです。
実際の食べ方としては、新潟では、納豆1パックに砂糖を小さじ2~3杯入れるようですが、量は好みで加減してください。続いてしょうゆを少し入れ、箸でよく混ぜます。
砂糖を加えて混ぜると、納豆のネバネバがいっそう増え、独特の匂いも抑えられます。食べてみると、思ったほど甘みが強いわけではありません。
この食べ方が北海道や東北地方など、寒い地域を中心に広まっているのには、理由があります。納豆菌はあまり温度が低いと活動が鈍くなるため、発酵が進みづらい上に、混ぜてもネバネバが出づらくなります。砂糖を加えるとしっかり粘りが出るので、自然と寒い地域でこの食べ方が広まっていったのでしょう。


  • 森 由香子(もり・ゆかこ)
  • 管理栄養士
  • 日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。


秋篠宮家と学習院 関係修復不可能を決定付けた“断絶宣言”

2022-02-25 11:00:00 | 日記
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秋篠宮家の長男・悠仁さまが、4月から国立の筑波大学附属高校(筑附高)に進学されると宮内庁が発表した。悠仁さまは現在通われているお水女子大学附属中学校と筑附高との間の提携校進学制度に出願し、2月13日に同校で行われた学力検査を受けた結果、合格したという。
皇室といえば学習院に通うもの──そういった印象が強かったが、秋篠宮家では眞子さまと佳子さまがいずれも国際基督教大学(ICU)に進学。悠仁さまも学習院には通っていない。
2006年、悠仁さまが誕生されたことで、秋篠宮さまは自身も皇位継承者でありながら、同時に「将来の天皇の父」という重責を担われることになる。
「幼い頃から将来の天皇として育てられた天皇陛下とは異なり、弟宮の秋篠宮さまは、比較的奔放に育てられてきました。その秋篠宮さまが、どのような方針で悠仁さまの教育を考えられているのか。その試金石が、2010年の幼稚園選びでした」(宮内庁関係者)
注目を集める中で秋篠宮ご夫妻が選ばれたのは、学習院ではなくお茶の水幼稚園だった。
「紀子さまがお茶の水女子大を拠点として研究活動を行っていたことから、女性研究者を支援するために同大学が作った特別入園制度を使ったとされています。悠仁さまが“適用第一号”でした」(前出・宮内庁関係者)
前述したように、眞子さんは2010年にICUへ。佳子さまも、2015年に姉の後を追われた。お子さま方が全員、別の学校へ──秋篠宮家の「学習院離脱」が成った瞬間だった。学習院関係者は、秋篠宮家と学習院の同窓生の交流についてこう証言する。
「秋篠宮ご夫妻に向けて同窓会などの案内を差し上げても、返事をいただけなくて……。最近はもう案内を送ることさえしていません。学習院女子高等科OGの会員誌にも、折に触れて黒田清子さん(紀宮さま)や三笠宮家の彬子さまといった女性皇族が寄稿されてきましたが、紀子さま、眞子さん、佳子さまは申し訳程度に短いお歌を寄せられることはあっても、寄稿という形は実現せず……。こちらからお伺いを立てることも徐々になくなりました」
2018年には、関係を修復不可能にする出来事が起こる。
「当時の学習院の院長は、悠仁さまが中学進学を控えられていたということもあり、折に触れて近況報告のために秋篠宮邸を訪れていました。ところが、秋篠宮家の最側近から、“今後、報告は控えてほしい”と告げられたというのです。当然、ご夫妻の意向が反映されたものでしょう。秋篠宮家は学習院をないがしろにしたといっても過言ではない。言うなれば“断絶宣言”だったわけです」(別の宮内庁関係者)
悠仁さまは、戦後初の、生涯学習院で学ばれたことのない天皇となるかもしれない。前出の別の宮内庁関係者は懸念を示す。
「学習院に子供を通わせる家庭の多くは、“皇族がいるもの”という認識をしています。子供たちも特に特別扱いはせず、分け隔てなく接する。そんな環境で幼い頃から学習院に通い続けられたことで、上皇陛下も天皇陛下も、生涯のご学友を得られました。時に励まし合い、時に厳しい言葉で諭してくれる存在こそが、真のご学友というものでしょう。信頼関係は、長い時間を共有することで醸成される場合もあります。
筑附高は自由な校風で、優秀な生徒が多く集まると聞いていますが、はたして悠仁さまが本心を打ち明けられる相手が見つかるかどうか……。秋篠宮さまが悠仁さまから学習院を遠ざけたことが、思わぬ形で皇室の将来に影響しなければいいのですが」
悠仁さまは、間もなく義務教育の課程を終えられる。ご夫妻は、暗闘によって作り上げた“脱・学習院”という教育方針の成果をどう捉えられているのだろうか。

認知症の主犯の1つ「酸化」 50歳からの対策でリスクを減らす

2022-02-25 08:30:00 | 日記
下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。

食べ物が変色したり、金属がサビたりするのは、大気中の酸素に触れて起こる「酸化」が原因だ。この酸化が体に与える負荷、「酸化ストレス」は、老化やさまざまな病気の原因となり、脳では認知症の一因となることが明らかになっている。つまり、脳内の酸化ストレスを減らせば、認知症を予防できる可能性があるということだ。本特集では、酸化ストレスが認知症発症の重要なファクターであると説く国立精神・神経医療研究センター病院長の阿部康二さんに、認知症予防に役立つ「脳の抗酸化対策」について聞いていく。
『「脳の酸化ストレス」を抑え、認知症を遠ざける』 特集の内容

アルツハイマー病の発症に、脳内の「酸化ストレス」が関わっている
超高齢社会を迎えた今、いかに健康寿命を延ばすかが多くの人の一大テーマとなっている。そのために「できれば避けたい」と願う病気の1つが、アルツハイマー病をはじめとする「認知症」だろう。高齢化が進むにつれて認知症患者は急増しており、2025年にはその数は700万人になると推定されている。
アルツハイマー病は、「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質が脳に蓄積して発症する。近年はアミロイドβを除去する薬も開発され話題を集めているが(この薬については後述します)、アミロイドβの蓄積を抑える予防薬はまだ存在しない。
だが、近年の研究から、運動や食生活、睡眠などの生活習慣が認知症の発症リスクに影響することが明らかになっている。後で詳しく解説するが、認知症は高齢になって突然発症する病気ではなく、それ以前の20~30年という長いスパンで進むことも分かってきた。当然、そこには生活習慣が大きく関係してくる。そこで、いま注目を集めているのが本特集のテーマである「酸化」だ。
国立精神・神経医療研究センター病院長の阿部康二さんは、「いま注目されている認知症対策の1つが、過度な『酸化』によって脳の細胞の炎症を起こす『酸化ストレス』を抑えることです」と話す。
酸化とは、身近な例でいえば釘がサビたり、リンゴが茶色く変色したりする現象のこと。そして酸化を引き起こす活性酸素という物質が増えすぎ、体に悪影響を及ぼすことを「酸化ストレス」と呼ぶ。阿部さんの研究グループは、脳が酸化ストレスを受けることでアミロイドβの蓄積が活発化し、アルツハイマー病が進むことを解明。逆に、酸化ストレスを抑えればアミロイドβが減る可能性があり、アルツハイマー病を抑制することも不可能ではないと説く。
釘がサビたり、リンゴが変色したり…。この酸化と同じような現象が脳で起こると、認知症発症の一因となる。(写真はイメージ=123RF)
脳は多くのエネルギーを必要とする「小さな巨人」
そもそも「酸化」とは何か。「酸化」がなぜアルツハイマー病につながるのか。気になる脳と酸化の関係を知るために、まず脳の特徴について見ておこう。
阿部さん曰く、脳には酸化が起こりやすい性質があるという。
脳は重さ約1.3~1.5kgと、体重が60kgならその重量の約2%にすぎない小さな臓器だ。それほど小さいにもかかわらず、脳は多くのエネルギーを必要としている。
「脳には心臓が拍出する血流量の15%が流れていて、体全体の酸素消費量の20%に当たる酸素を使っています。エネルギーのもとになるブドウ糖に関しては、肝臓が産生するうちの80~90%も消費します(下図)。脳は小さな体で莫大なエネルギーを必要とする、『小さな巨人』なのです」(阿部さん)
脳は小さい割に多くのエネルギーを必要としている
(阿部さん作成の図を一部改変)
脳は全身に指令を出すという重責を担うため、多くのエネルギーを使うというのはうなずける。中でも今回注目したいのが、脳は大量の酸素を消費することだ。「脳ではたくさんの酸素が使われるために酸化が起こりやすく、それが認知症発症の一因であることが明らかになっています。かといって脳への酸素供給量が減れば酸欠状態になってしまうので、酸素は“もろ刃の剣” なのです」と阿部さんは話す。
認知症を疑わせる症状が出るころには、すでに後戻りできないところまで進んでいることもある。だが、阿部さんによると、そこまで進行する前なら予防するチャンスは十分あるという。
「アルツハイマー病は脳内で何らかの変化が生じてから発症するまでに25年かかり、発症後は10年ほどで亡くなると考えられています(詳しくは後述します)。言い換えれば、発症するまでの25年間、認知症予防のチャンスがあるわけです。その25年の間に、脳の『サビ』の原因であり、アミロイドβの蓄積などとも大きな関係のある『酸化ストレス』を少しでも抑えれば、認知症の発症リスクを低減し、健康寿命を延ばすことにつながると考えられます」(阿部さん)