皆さんのお役に立てば幸いです

色々の無料ホームページからお役に立て様な記事を探して掲載します。主に健康・くらしです。

阿川佐和子「コロナ下で認知症の母を看取る。面会はLINE、葬儀はリモートに」

2022-02-22 15:30:00 | 日記
下記の記事は婦人公論.jp様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

今年5月半ば、新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、母・みよさん(享年92)が逝去。緊急事態宣言が出され、さまざまな制限があるなかでの“お別れ”でした。しかしそこには、思いがけず大きな気づきがあったといいます(構成=福永妙子 撮影=清水朝子)
母のそばにいることも叶わず
母をショートステイのつもりで高齢者専門病院に預けたのは、今年1月半ばのことでした。5年前に亡くなった父が、最後の3年半を過ごしたよみうりランド慶友病院です。
母は10年ほど前から認知症の兆しが表れ、ゆるゆるとしたペースで症状は進んでいました。父の入院以降ひとり暮らしになった母でしたが、昔、うちに住み込みでお手伝いをしてくれていた女性の「何か手伝えることがあれば」との申し出をありがたく受け、助けを借りることに。週末はきょうだいで泊まりのシフトを組み、加えてデイサービスを利用するなど、いろいろな手立てでやりくりしつつ、母の自宅での暮らしを支えてきました。
けれど、この家での母の生活はそろそろ難しくなるかもしれない。そんな思いもあり、今年のお正月は親戚を集め、母との時間を過ごしながら新年を迎えることにしたのです。後で考えれば、これが母と迎える最後のお正月になったわけで、いいタイミングだったのかもしれません。

母は、子ども時代の自分、つまり5人きょうだいの「末っ子みよちゃん」に戻っているようで、娘の私は母の「お姉ちゃん」、あるときは「おばあちゃん」に。私の弟たちは母の「お兄ちゃん」になったりするのですが、みんなに囲まれて機嫌よく、元気な顔を見せていました。
母は昨年末から足元がおぼつかなくなっていたので、転倒など家の中での事故が心配でした。冷え込む冬は、血圧も気がかり。そこで「寒い時期だけでも」と、お正月ムードが落ち着いた頃にショートステイを利用することにしたのです。
コロナ問題が深刻化したのはその後のこと。母を自宅に戻すタイミングを失っていた2月末、軽い脳梗塞を起こし、それを機に体が少しずつ弱っていきました。そんな母のそばについていてやりたいと思いましたが、コロナ感染対策で面会禁止に。ついに母を見舞うことさえできなくなりました。
今だからこそ、新しい試みを
私には兄が1人、弟が2人います。上の弟はアメリカのロサンゼルス在住。彼は母が脳梗塞で倒れた直後にロスから駆けつけましたが、しばらくして母の状態が落ち着いたのでアメリカに戻りました。けれどその後すぐに、アメリカでコロナの感染が拡大して。日本も海外からの入国を制限し、弟の再度の帰国は難しくなっていました。
日本にいる私にしても、母の状態を知るすべは、病院との電話でのやり取りだけ。会えないというのは何とも不安なもので、担当医や看護師長さんから話をうかがっても、「とりあえず大丈夫そうだ」といった感じで、常にモヤモヤしたものを抱えていたんです。
そんななか、病院に“リモート面会”を提案したのは、ロスの弟でした。モバイル端末をオンラインでつなぎ、画面を通して母に面会することはできないか、と。

その報告を弟から聞いて慌てましたね。今、病院は院内感染対策でピリピリムード。目の前のことだけでも手いっぱいの時期に、そんなワガママな申し出は迷惑極まりないはず。対する弟の言い分は「今だからこそ、やるべきじゃないか」。ここで姉と弟のバトルが勃発しました。
けれど、ありがたいことに病院側は弟の提案を院内で検討し、実現してくださったのです。LINEのグループビデオ通話機能を使って病室とつなぎ、ベッドで寝ている母とリモート面会が実現しました。
私のスマホ画面に映った母の反応は鈍いけれど、ちゃんと生きている。動いている。その姿を実際にこの目で見るのと見ないのとでは、何と大きな違いがあることよ。「母さ~ん、佐和子だよ」と呼びかけながら、心から安堵しました。
驚いたことに、病院からは「こんな時だからこそ、新しい試みに取り組むことが必要でした」と言っていただいて。後日、同じ病院にご両親を預けている友だちからも、「私もリモート面会をさせていただいたの。嬉しかった」と連絡があり、実行してよかったと思いました。
生命が失われる過程を最期の瞬間まで
その後、母の容体は徐々に悪くなり、ついに病院から「すぐに来てください」との知らせが。すぐさま東京に住む下の弟が駆けつけ、続いて私が行きました。このときは家族が病室へ入ることを許されたのです。酸素マスクの中で激しい呼吸をする母。お医者さまによれば、「心臓が生命維持のために必死になって働いている。体の反応なので、お母さまにつらいという感覚はないはず」とのこと。
意識はなくとも耳は聞こえているといいます。「父ちゃんのところに行くとまた大変だから、逝くのはゆっくりでいいよ」などと声をかけました。ロスの弟もスマホのビデオ電話で「母さ~ん」と呼びかけます。返事はありませんが。
激しい呼吸が次第に静かなものに変わり、間遠になり、「これで最後か」と思ったら、また小さな呼吸が……。息をひきとるまでの7時間あまり、初めの激しい呼吸から、最後のひと呼吸に至るまで、私と下の弟2人で看取ることができました。

父が亡くなったとき、臨終に間に合わなかった私はずいぶん泣いたものです。ところが、もっと悲嘆にくれてもおかしくないと想像していた母の最期に、私はさほど涙を流しませんでした。母の死を受け入れられない、というほどの激しいショックは、このときも、今もありません。
なぜなのか……。母の生命が刻一刻と失われていく過程を最期の瞬間まで見届けたことで、時間をかけてその「死」を自分に納得させていく作用が働いたのではないでしょうか。大切な人の死に立ち会えなかった人はたくさんいます。それを思えば心苦しいのですが、「最期を看取る」ことの意味を実感したのも、確かです。
母が亡くなった5月は移動や人の集まりに制限がかかった緊急事態宣言下でしたから、私たちきょうだいとその家族など、本当に近しい9人が参列するごく小規模な葬儀を執り行いました。
ロスの弟はなんとしても参列したいと言いましたが、成田空港に到着したとしても、PCR検査と2週間の自主隔離が必須。それだけ長い時間足止めを食らうとなれば、葬儀への参列は不可能です。
そこで、ご住職に頼んでお寺の本堂にパソコンを持ち込み、葬儀を中継することにしたのです。弟はリモートで参列。ロス側を映し出すパソコンの画面には、喪服を着て数珠を握り正座した弟とその妻、息子の姿が。弟一家ははるか遠く離れた場所から、ご住職の読経に手を合わせ、出棺までしっかり見届けることができました。
高齢化時代の葬儀では、大切な人を見送りたくとも、参列するのが体力的に難しいという人は多いはず。しかも、暑かったり寒かったりで、これも体にこたえる。その意味でも、無理をせずにお別れができるのはありがたいことです。前例のない新しいことに対し、私のようなアナログ人間はつい腰が引けてしまうけど、一度やってみれば「あら簡単、これいいわ」となるわけで。「新しい生活様式」のひとつとして、ネットを活用した葬儀もあり、ではないでしょうか。
常に父とともにあった母の得難い人生
母のこれまでを振り返れば、すべてが父中心に進む家のなかで、父のワガママを常に「はいはい」と受け止めてきました。父と別個の人生なんて、母にはありません。私が母と2人でどこかに出かけた記憶もごくわずか。「お母さんを借りて出かけるから」と言えば、「困る」と父。「借りる」という感覚がそもそもおかしいのですが。
見かねた知り合いが、父抜きの食事に母を誘ってくれたときのこと。父がすんなり許すはずはなく、実現のために画策しました。弟が父を誘って食事に連れ出す。その間、私は母を連れて知人の待つレストランへ、という算段。ところが食事のさなか、父がやってきたのです。「迎えに来た。どうせ同じところに帰るのなら、タクシーを2台使うのはもったいない」。知人とおしゃべりする余裕もなく、食事もそこそこに、母は父に拉致されるように帰宅したのでした。
ただ、絶対君主の父に振り回されて母の人生が不遇だったかといえば、それは違う気がします。父は母がいないと機嫌が悪いぶん、どこへでも母を連れていきました。海外旅行では珍しい場所に行き、面白い人たちにもたくさん会った。なかなかできない得難い体験もいろいろあったはずです。

また、自己中心な父のそばにいたおかげで、はたから見た母の点数は高かった。「かわいそうなみよちゃん」「耐えてよく頑張っている奥さま」というわけで、みんなから可愛がられていました。母にも欠点はあったはずだけど、父の毒の前に、すべて消えて見えない。黒の隣にいればグレーが明るい色に見える、というような(笑)。そうした役得もあって、父以外の人たちからは本当に優しくされた母の人生でありました。
その母が認知症に……。父が高齢者専門病院に入院した段階で、母は自由な時間を手に入れたはずでした。私は前々から、いつか母と旅行しよう、温泉にも連れていこう、一緒に買い物もしよう、と考えていた。けれど、そのときすでに母の認知症は始まっていて、父が亡くなったら実行しようと思い描いていたことは、すべてできなくなっていたのです。それが何より切なくて……。私自身も、初めて訪れるはずだった母と娘の時間を奪われた気がして悔しかった。ただ、なったものはしょうがない。
それまでの抑圧の反動で、認知症になった母が攻撃的な性格になるのではと危惧しましたが、そういうことはなく、パッパラパ~と突き抜けた感じに。もう父のごはんを作らなくていい、面倒を見なくていい。自由はきかなくとも縛られていたものから解放され、のびのびした時間を手に入れたのでしょう。
そうなると、私が「母さん、たまにはごはんを作ってよ」と頼んでも、「エッ、私が?」。そして「お手洗いに行ってくる」と言って戻ってくると、「ふふふ~ん」と鼻歌まじりのすまし顔でソファに座ったまま動かない。再び、私「ごはん作って」、母「エッ、私が? お手洗いに行ってくる」……その繰り返し。こりゃ、ダメだ。(笑)
変わりゆく母を受け入れられず、イライラした時期もありました。それは、まだ「頼れるちゃんとした母親」として見ていたから。やがて症状が進み、「これに着替えて」と服を差し出すと、パッと取って、「ぷうっ」と言って私に投げつけたり、セーターを脱ぐのに顔のところで引っかかった格好のまま動かず、ずっと立っていたり。そんな母を、自分がケアする側なんだと自覚すれば、幼子に対する母親のような気持ちになりました。
母は明るくボケていき、こっちが笑っちゃうようなことをしてくれる。親のことをこう言うのもなんですが、実にチャーミング。その可愛らしさが介護の大変さを救ってくれました。
死を知らせる作業にも意味がある
父の死の前に認知症になってしまった母からは、「自分が死んだときはこうしてほしい」といった話を聞いたことはありませんでした。
父のほうは生前、「俺が死んでも通夜、葬式はするな。香典や花も受け取るな」と口すっぱく言っていましたね。とはいえ現実にはそうもいかず、その死はマスコミを通してみなさんに知られるところとなり、小さな葬儀を執り行いました。次々と届く花、差し出される香典を突き返すことはできないし、受け取ったからにはお返しをするのが礼儀。香典返し、お悔やみの言葉を寄せてくださった方々へのお礼状の発送など、父の意に反してるなあと思いつつも、こなしたのでした。
母が亡くなったときは、コロナ禍での葬儀であり、可能な限り小規模なものにするということはすんなり決まったものの、問題は母の死を親戚以外の誰に知らせるかということでした。父が亡くなってから、母を心配して「お母さま、お元気?」と電話をくださる方、季節の果物を送ってくださる方などが大勢いらっしゃったのです。

せめてその方たちには知らせなければと作業を始めたところ、これがとにかく大変。連絡先がわからない人もいて、古い年賀状や手紙の類、品物の送り状などから探偵のごとく調べるわけです。電話で知らせるにも、相手はご高齢の方が多い。「まあ、佐和子ちゃん、ご無沙汰してます。お元気?」から始まり「コロナ、どうしてらっしゃる?」と続き、そのまま話していると1時間近くかかることも。1日に4件もこなすと、もうクタクタ。それが何日も続きました。
ただ、回数を重ねるにつれ、これはすごく大事なことだと思うようになったのです。「いつも送っていただいたチョコレート、母は喜んで食べていたんですよ」とこちらが言えば、「そうそう、昔、こういうことがあったのよ」と話をしてくださる。ある方からは、「主人が亡くなってから世間とは無縁な生活をしておりましたけど、私のことを思い出し、知らせてくださって、本当にありがとう」と言われました。
親の人間関係なんて、知っているようで知らないもの。私には「誰? この人」という人も、過去をたどることで「母とはそんなに古くからのつき合いなのか」などと知ることができ、母にとっていかに大事な人かがわかる。母の人生における人とのかかわりの一端を知ることになるのです。
年をとるにつれて、世間とのコンタクトは少なくなりがちです。高齢者は社会からのリタイア者という見方をされてしまい、その人自ら、これまで巡り合った人々との交わりをキッパリ断ってしまうこともある。それを今さら復活させようというのではありません。ただ、放っておけば忘れるにまかせて終わってしまう人と人との関係を、母の死の報告により「つなぐ」ことができたのではないかと思うのです。
葬儀にしても、参列することで久しぶりの顔に会える。みんなをつないでくれているのは、葬儀の主人公である故人なんですね。
亡くなったことの知らせも、香典返しやお礼状も、面倒くさいけれど、そこには意味がある。死んでなおの母の教えですね。そこに気づいたのも、私自身、歳をとって、人生の残り時間が見えてきたからかもしれません。
父を送り、母を看取り、では私の場合は……。そんなのわかりません。これまで目の前の危機をどう処理するかしか考えてこなかった私。どう倒れるか、どうボケるかも予測がつかないのですから。あっ、片づいていない部屋はどうしよう。それを考えると息苦しくなりますが。
構成: 福永妙子

出典=『婦人公論』2020年8月25日号

エッセイスト、作家
1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞。


中性脂肪・コレステロール対策の食事

2022-02-22 13:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

誰もが気になる健康診断の指標といえば、血圧、血糖値、そして「脂質」。その脂質の2大要素と言えば、「中性脂肪」と「コレステロール」です。
血液中の中性脂肪やコレステロールなどの脂質のバランスが崩れる「脂質異常症」で治療を受ける人は、約220万人以上(厚生労働省「患者調査」2017年)ですが、その予備軍の人を含むと10倍の2200万人にも上ると推計されています。
脂質異常症のリスクが高まっても自覚症状はないため、放置しがちですが、その間に動脈硬化は確実に進み、やがて心臓や血管の病気へとつながる恐れがあります。そこで今回は、日経Goodayのこれまでの記事から、新年に改めて取り組みたい、中性脂肪・コレステロール値を改善する食事のポイントを解説していきましょう。
中性脂肪を下げる食事のポイントは3つ!
中性脂肪を下げるために控えるべきは、脂質? それとも糖質?


中性脂肪は脂質の仲間だから、脂っこいものを控えればいいと考えるのは早計だ。(c)YUTTADANAI MONGKONPUN-123RF/PaylessImages-123RF
年末年始の食べ過ぎ・飲み過ぎで体が重い…という人も多いでしょう。新型コロナの感染拡大で外出も減り、例年以上に、体を動かさずに家の中で過ごすことになったかもしれません。
そうした生活の“乱れ”が数値として顕著に表れるのが「中性脂肪」です。基準値を超えている場合は、そのままにしておくと動脈硬化を進めることは、数々の研究から明らかになっています。
過剰になるとさまざまな病気のもととなる中性脂肪ですが、体の中で分解されないコレステロールに比べると、「減らしやすい」という特徴があります。中性脂肪は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動によって下げられるほか、食事による対策ももちろん有効です。ただ、中性脂肪と食事の関係について、多くの人が誤解していることがあります。
例えば、「中性脂肪は、『脂肪』というだけに、肉類などの脂っこい料理を避ければ下がるはず」、そう思う人もいるかもしれません。しかし、脂質対策の専門家で数々の著書も手掛ける帝京大学名誉教授の寺本民生さんによると、それは誤解なのです。
「血液中の中性脂肪の数値は、150mg/dLをボーダーとして、上回ると高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)と診断されます。150mg/dLを超えると動脈硬化を起こす恐れがありますが、特に200~300mg/dLくらい、中等度まで中性脂肪が上がるとそのリスクがさらに高まります。しかし、その場合、動脈硬化になりやすいものの、脂質の摂取を制限してもほとんど効果はありません」(寺本さん)
では、脂質の代わりに何に注意すればいいのか。寺本さんが勧める中性脂肪を下げる食事のポイントは、脂肪よりも糖質を減らすこと。さらに、お酒をよく飲む人は、お酒を減らすことも大事なのです。そして、意識して摂取を増やしてほしいのが魚、特に青魚を食べることを勧めています。

中性脂肪を下げるために「脂っこいものを避ければいい」は誤解
なぜ脂質よりも糖質を減らしたほうがいいのでしょうか。「糖質は小腸で吸収・分解された後、肝臓に運ばれます。そして肝臓では、その糖質からグリセロール(グリセリン)を合成し、血液中の脂肪酸を原料にして、中性脂肪が合成されています。つまり、糖質をとればとるほど、合成される中性脂肪が増えていくのです」(寺本さん)
一方、食事で摂取する脂肪(油)は、「体の中で燃焼し、エネルギーとして使われます。食べた脂肪の多くは燃焼し、一部は速やかに肝臓に運ばれるので、血液に影響を及ぼさないうちに運命を終えていきます」と寺本さんは解説します。
食事からの糖質摂取を控えるといっても、どれぐらい減らせばいいのでしょうか。寺本さんは「むやみに糖質を減らしてはいけません」と注意を促します。
「1日のエネルギーの半分くらいは糖質からとらないと、ほかの栄養とのバランスが悪くなります。糖質が減ったぶん、肉類などの動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂取が多くなると、悪玉のLDLコレステロールを増やすことにつながるからです。また、糖質は体の中でアミノ酸を作るプロセスにも関与しています。アミノ酸の中には生きていくうえで欠かせないものがあり、それが不足すると、うつ傾向になるなどの悪影響が出ることも考えられます」(寺本さん)
寺本さんが勧めるのは、1日の摂取カロリーのうち、50%程度を目標に糖質をとること。一般に、糖質の比率は6割程度なので、それを2割程度、「ちょっと減らす」イメージと考えればいいでしょう。もちろん、いつもごはんを大盛りにしている人のように、もともと糖質をとり過ぎの人は、2割と言わずガッツリ減らしましょう。
スイーツ好きの人も要注意です。体にゆっくり吸収される穀類と異なり、砂糖(ショ糖)は吸収されるスピードが速く、中性脂肪へと合成されるのも速いのが特徴です。ケーキなどの菓子類、ジュースなどのとり過ぎには注意しましょう。
アルコールは中性脂肪の分解を邪魔してしまう!
寺本さんは、中性脂肪が高い人の傾向として、「女性は甘いものの食べ過ぎ、男性はお酒の飲み過ぎの人が多い」と指摘します。
通常、お酒をよく飲む人が気にするのは、γ-GTPなど肝臓の機能を表す数値でしょう。しかし、アルコールには肝臓で中性脂肪が分解されるのを抑え込む働きもあるのです。
アルコールには、肝臓で中性脂肪が分解されるのを抑える働きがある。(c)wnaoki-123RF
寺本さんは、個人差はあるものの、アルコールをやめると、中性脂肪の値は顕著に変わってくると言います。
「中性脂肪が高い患者さんに、『1週間、お酒をまったく飲まないようにしてください』とお願いすることがあります。その後で、今度はいつも通りにお酒を飲んで1週間過ごしてもらいます。その2パターンの血液中の中性脂肪値を比較すると、ものすごく差が出ることがあります」(寺本さん)
一方で、お酒には良い効果もあるといいます。「少量のお酒であれば、善玉のHDLコレステロールを増やす働きもありますから、必ずしも禁酒が必要というわけではありません。しかし、酒量が多くなれば、中性脂肪が高まる問題のほうが大きくなってしまいます」と寺本さん。
つまりは「適量の飲酒」がいいということ。日本動脈硬化学会の「脂質異常症診療ガイド2018年版」では、お酒の摂取の目安として、「アルコール摂取を1日25g以下に抑える」ことを推奨していまず(*1)。アルコール25gとは、ビールなら大瓶1本に相当する量だ。もちろん、お酒に弱い人(顔が赤くなる人)や女性、シニアの人などはより少ない量にするのが望ましいでしょう。
*1 厚生労働省の「健康日本21」で推奨する量は、1日のアルコール摂取量で20g(ビール中瓶程度)以下と、少し少ない。
青魚のアブラ、EPA・DHAは積極的にとろう
寺本さんが、中性脂肪を下げるために意識してとってほしいと話すのが「魚」。特に、青魚を積極的に食べるのが良いそうです。
魚に含まれる、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などのn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)が体にいいことは広く知られている通り。それは中性脂肪に関しても例外ではありません。高中性脂肪血症の治療薬、つまり中性脂肪を下げる薬の中には、EPAを含む薬(EPA製剤)もあります。
「中性脂肪を下げる薬として存在しているように、オメガ3には中性脂肪を下げる効果があります。食事由来のオメガ3の摂取によって大きく下がるとまでは言えませんが、ある程度の効果が期待できます」(寺本さん)
そして、「魚をたくさん食べた人は心筋梗塞の発症率が低いというデータも出ています(下図)。やはり魚が体に良いのは間違いありません。積極的にとるようにしてください」(寺本さん)
魚を週8回程度食べる人は、週1回の人と比べると、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)のリスクが4割、さらに心筋梗塞と診断が確定された場合に限ると6割もリスクが低かった。(Iso H, et al. Circulation. 2006 Jan 17;113(2):195-202.)
運動に励んでも、悪玉のLDLコレステロールを減らす効果は少ない
悪玉コレステロールを下げるのは運動? それとも食事?

健診結果の脂質のデータが基準値を超えると「脂質異常症」と診断されます。中でも、悪玉のLDLコレステロールが140mg/dL以上だと高LDLコレステロール血症、善玉のHDLコレステロールが40mg/dL未満だと低HDLコレステロール血症となります。
コレステロール対策のポイントは以下の通り。悪玉のLDLは食事で下げ、善玉のHDLは運動で上げるのが基本。逆に、悪玉は運動ではあまり下がらず、善玉も食事ではあまり上がりません。
「LDLコレステロールが高いタイプの人に効くのは運動より食事です。LDLコレステロールを下げるカギ、『LDL受容体』の働きが良くなるような食材を選ぶことが大切です」と寺本さんは解説します。
LDL受容体とは、細胞の表面にある鍵穴(ゲート)のようなもので、多くは肝臓の細胞に存在します。体がコレステロールを必要としたときに、細胞の表面に鍵穴が出てきて、血液中のLDLコレステロールは鍵を差し込むようにして細胞内に入り込んでいきます。そうやってLDL受容体がLDLコレステロールを受け入れると、血液中にたまらずに済むというわけです。
悪玉コレステロールを下がりにくくする食材とは?
だが、困ったことに、この鍵穴、LDL受容体の作用を邪魔するものが存在します。それが動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸です。「飽和脂肪酸には、LDL受容体の合成を抑え込む性質があります」と寺本さん。鍵穴(LDL受容体)が、鍵(LDLコレステロール)と合わないように邪魔してしまうため、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪をたくさん食べれば、血液中のLDLコレステロールが過剰になってしまいます。
動物性脂肪を多く含む食材は、牛肉、豚肉などの「肉」、バターやチーズ、牛乳、ヨーグルトなどの「乳製品」などがあります。もちろん重要なたんぱく源でもあるためゼロにする必要はありませんが、とり過ぎは禁物。肉食に偏っている人は、魚や大豆製品などの比率を上げるようにしましょう。
LDLコレステロールが高い人の場合、鶏卵や魚卵、レバーなどに代表されるコレステロールが豊富な食材も控えることが必要になります。食品として摂取するコレステロールは、動物性脂肪ほどには、LDLコレステロールを上げないものの、すでにLDLコレステロールが高い人は、やはり控えなければならないのです。日本動脈硬化学会「脂質異常症診療ガイド2018年版」でも、LDLコレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」の人は、1日200mg未満を目指すよう推奨しています。
「食事から摂取したコレステロールが体に吸収されやすいかどうかは、個人差が大きく、体質によって異なります。コレステロールが多い食材として知られる卵(鶏卵)を食べても、それほど影響が出ない人がいるのも確かです。しかし、脂質異常症の中には、コレステロールの摂取量が多いために発症する人は確実にいます」(寺本さん)
コレステロールを多く含む食品例
卵全卵(鶏卵) 1個(50g)210mgレバー鶏レバー(50g)185mg牛レバー(50g)120mg魚介類うなぎ(100g)230mgシシャモ(50g)115mgイクラ(50g)240mg洋菓子カスタードプリン(100g)140mgシュークリーム(100g)230mg(「日本食品標準成分表2015年版(7訂)」より算出)
つまり、第1優先は飽和脂肪酸のとり過ぎを控えること、そして第2が食事由来のコレステロールの摂取を控えること、と考えればいいでしょう。
「飽和脂肪酸の摂取が血中コレステロール値に及ぼす影響は、食事由来のコレステロールより大きいことが明らかになっています(*2)。コレステロールが多い食材より、飽和脂肪酸の摂取を減らすことを優先するほうが現実的です」(寺本さん)
動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」はLDLコレステロールを上げますが、同じ脂肪酸の仲間、「不飽和脂肪酸」にはLDLコレステロールを下げるとされるものがあります。その1つが、先に登場したオメガ3に分類されるEPAやDHAです。サバやイワシ、サンマなどの青魚に豊富な成分で、動脈硬化を進みにくくすることで知られています。
*2 米国の生物学者アンセル・キーズ博士は1965年、血中のコレステロール値と食事由来の各脂肪酸との関連を示す式を提唱している(Metabolism. 1965;14(7):776-87.)。そこでは、飽和脂肪酸と食品由来のコレステロールが血液中のコレステロール値を増加させ、多価不飽和脂肪酸は低下させることが示されている。そして、飽和脂肪酸と食事由来のコレステロールでは、飽和脂肪酸の影響が大きい。
ここまで紹介したLDLコレステロール対策の他に、積極的にとったほうがよい食材として、寺本さんは、大豆を使った食材、そして食物繊維の摂取がお勧めだと話します。
「血中コレステロールを改善させる方向に作用する食材はいくつかあります。その1つが、豆腐や納豆など、大豆を原料とする食材です。大豆に含まれるイソフラボンには、LDL受容体の数を増やす効果があると言われています。また、野菜やきのこに多い食物繊維には、コレステロールの吸収を抑えて体外へ排出しやすくする働きがあります」(寺本さん)
善玉のHDLコレステロールを上げる、最善の手段は「運動」
続いて、善玉のHDLコレステロールの対策を紹介しましょう。善玉のHDLコレステロールを上げるには、食事を工夫してもそれほど効果がない、と寺本さんは話します。「食事より、運動が効きます」と寺本さん。
「運動によって善玉HDLコレステロールが上がる理由は諸説ありますが、まだ詳細は明らかになっていません。しかし、国内でもウォーキングの歩数が多いほどHDLコレステロール値が高い傾向があることが確認されています(下図)。HDLコレステロール値が運動によって改善することは、データの上では明らかです。また、マラソン選手のHDLコレステロールはとても高いことが知られています」(寺本さん)
(国立健康・栄養研究所「国民栄養調査」1991年を参考に作成)
いくら運動をしても、コレステロールは体の中で分解されないため、悪玉のLDLコレステロールを下げることは困難。しかし、運動すれば、中性脂肪を燃焼させて減らすことができます。中性脂肪とHDLコレステロールの間にはシーソーのような関係があり、中性脂肪が下がれば、HDLコレステロールが上がるという性質があります。現時点では、HDLコレステロールを増やすことを目的とした薬剤は存在しないため、運動はHDLコレステロールを上げる最善の手段といっていいでしょう。
HDLコレステロールに効く運動とは、ウォーキングに代表される「有酸素運動」です。少し汗ばむ程度で、軽く息が上がるくらいの運動がベストで、激しすぎる必要はありません。大切なのは、ダラダラ動かず、キビキビと体を動かすこと。欲を言えば1日30分、毎日続けるのが理想ですが、あまり気負わず、週3日以上を目標にして始めるといいでしょう。また、この1日30分の運動は、例えば、10分間の運動を、朝昼晩と3回実施しても構いません。
日経Gooday編集部

1日10分歩く時間を増やすだけで死亡リスクは28%軽減する

2022-02-22 12:00:00 | 日記
下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 糖尿病をはじめ、生活習慣病予防に運動がいいことはよく分かっているが、仕事や家事、育児で忙しくて運動をする時間がない……。自分自身に置き換えても、その気持ち、理解できます。運動する時間があれば、寝たり休んだり、家族とのだんらんや趣味の時間に使いたいですよね。

 米国心臓協会は、成人向け運動ガイドラインで、週にウオーキングなどの中強度の運動を150分以上、あるいはランニングや水泳などの高強度の運動を75分間行うことを推奨しています。

 しかし近年、日常的に使えるスマートフォンの健康アプリやウエアラブルデバイスが登場したことで、ウオーキングの歩数やさまざまな体の動きを測定できるようになり、さらに一歩踏み込んだ運動に関する研究結果が発表されています。

 参考になるのが、米ノースカロライナ大学の発表。2011年から15年にかけて、60歳以上、平均72歳の女性1万6732人にウエアラブルデバイスを身につけてもらい、週4~7日間の身体活動を追跡。
 そして短い時間での身体活動の内容を「中断の少ない10分以上のウオーキングなどの運動」「掃除や洗濯などの家事、階段の昇降、車まで歩くなどの日常での移動や運動」の2種類に分け、さらに19年まであらゆる原因による死亡について調査しました。

 すると、1日2000歩以上の人は死亡リスクが32%減少したのですが、特に運動をしていなくても1日の歩数を1000歩増やすだけで、歩数が少ない場合に比べて死亡リスクが28%減少。長生きするには1日4500歩増やすと最高とのことですが、何もそれはウオーキングのような「中断の少ない10分以上の運動」でなくてもよいとの結果でした。

■座る時間を少し減らすだけでもOK

 カリフォルニア大学の研究でも同様の結果が出ています。同大学の学生を対象にしたこの研究では、長時間座っていると、心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などのリスクを高め、1時間に1回は立ち上がって体を動かすと、そのリスクが低くなるとのこと。
 1日の歩数を1000歩増やそうと思ったら、10分くらい歩けばいいといわれています。10分=1000歩。これくらい、何てことなく稼げそうじゃありませんか? それも、10分間歩き続けなくてもいいのです。

 1回買い物に出掛ければ、家から店までの往復と、店内を見て回る時間とで、10分なんてすぐです。「1日1000歩増」は、日常生活の中ですぐに実現できてしまう目標設定なのです。

 5分、いえ3分、いえいえ1分でもいい。立ったり動いたりする回数をできる限り多くする。必要なのは「体を動かそう」という気持ちだけ。

 在宅勤務で毎日通勤しないようになった人は、歩数獲得の貴重な機会がなくなってしまいました。コロナ感染拡大が言われるようになって1年半足らず、在宅勤務中心の人はその働き方が今後も変わらないでしょうから、歩数減少が将来の身体の健康へ与える影響は想像以上だと考えられます。
日常生活の中でちょっとだけ活動量を増やすことを習慣化できればベスト。座っている時間を、少し短くするだけでもいい。「1時間仕事したらトイレに行ったり洗面所で歯磨きしたりする」「昼の休憩時間で家や会社の周辺をぐるりと歩く」「駅から自宅までの帰り道、近道ではなくやや遠回りをする」など、自分ができる範囲で行ってみてください。
坂本昌也
国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長
専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。

いまの皇室の足元が揺らいでいる理由は何か

2022-02-22 11:00:00 | 日記
下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

眞子さんの結婚問題が批判されていた当初、さすがに秋篠宮さまへの批判にはならないだろうと言われていたのが、いまや現実になっている。「自由すぎた子育て」「家長としての権威失墜」など、秋篠宮さまに厳しい声が多い。それを見ていると、今後、何がきっかけで天皇批判につながるかわからない怖さを感じる。

象徴天皇制は国民に支えられていることは確かだが、国民の人気によって天皇の評価がコロコロ変わるようになれば深刻な問題だ。人気というのは群集心理のようなものである。群衆は保守的というか、多数に同調した方が安心できるから、どうしても同調圧力が強くなる。田島道治の「昭和天皇拝謁記」の中で、昭和天皇は開戦に至った経緯について、たびたび軍の「勢い」を止められなかったからと述べているが、戦前の天皇ですらどうにもできなかった「勢い」こそ、群集心理が生み出したものだろう。未来の天皇が、人気という「勢い」に右往左往するなんて、あってはならないことである。
 最近「ハイブリッド戦」といって、相手国を分断して社会に亀裂を起こさせるために偽情報を流すことが常態化しているそうだ。仮に中国が天皇の権威を失墜させるために偽情報をメディアやSNSに流したとする。国民が人気に右顧左眄していると、簡単にだまされて皇室批判の大合唱になりかねない。そうなったら象徴天皇制は維持できなくなるだろう。

 戦前は、皇族の結婚相手は同族(皇族)か勅旨により認められた華族と定められていた。天皇が認めた華族とは近衛家、九条家など五摂家のことである。五摂家なんて庶民には縁のない雲上人のような存在だから、それだけでも天皇は別世界の人だった。そのうえ明治政府は、天皇家の「万世一系」を演出するために、義務教育をはじめあらゆる手段を利用した。各地の古墳を大した根拠もなく天皇陵にしてしまったのもこの時期だ。そのおかげで国民の間に、天皇はさらに特別な存在として刷り込まれていった。

天皇、皇后両陛下と長女・愛子さま(C)共同通信社
拡大する
  
ところが日本の敗戦によって、私たちは皆平等になった。今それを疑う人はいないだろう。平等である相手に対して、「畏敬」や「敬意」を表したくなる人物といえば、よほど傑出した人物ではないと無理だ。それを、天皇だからといって、いまはかなえられる時代ではない。

■「特別な存在」や「国民に寄り添う」に続く次の天皇像がつくれない危機ともがき

「平民」から嫁いできた美智子さまは大スターとして国民の歓迎を受けたが、美智子さまの場合は「平民」といってもハードルは低かったともいえる。私たちと同じ民間人といっても、財閥系大企業の令嬢であり、聖心女子大を首席で卒業したという、一般庶民には手の届かない女性だったからだ。もちろんそれだけでなく、皇后になると天皇と共に「国民に寄り添う天皇」を試行錯誤されながら象徴天皇像を築き上げたのだから、国民はそんな両陛下に自然と頭が下がったのだろう。
時代に合わせて、これからも皇室はさらに開かれていくだろうが、それでも天皇は特別な存在でなければならない。何が「特別な存在」なのかは、その時代で変わってくるのだろうが、もし国民の人気に左右されるようなことにでもなれば、それこそ象徴天皇制を不安定にさせる。仮に「愛子天皇」が実現したとしても、国民の人気に一喜一憂しないといけないなんて、こんなバカバカしいことはない。日本国憲法下ではすべての国民は平等だが、天皇は例外なのだ。国民に人気があるかどうかに関係なく、天皇が国民から敬愛されるにはどう演出すべきか。上皇上皇后が築いた「国民に寄り添う天皇」を超える新たな天皇像が求められているのかもしれない。

 時代に歩調を合わせるのはいいが、時代に流された皇室は消えてしまいかねない。 

老化のスピードには45歳の時点で大きな個人差

2022-02-22 08:30:00 | 日記
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

生物学的な老化が早い人は、認知機能、身体機能、見た目の老化も進む
2021/8/3 大西淳子=医学ジャーナリスト
世の中には、同じ年齢なのに若く見える人と老けて見える人がいますが、実際に、生物学的な老化のスピードには大きな個人差があり、この違いが体のさまざまな機能の老化にも関係していることが、ニュージーランドの住民を対象に行われた研究で示されました。45歳時点で生物学的な老化が進んでいる人は、認知機能や身体機能の老化も進んでおり、見た目も老けて見えることが分かりました。
同じ年齢でも老化のスピードには大きな差が…(写真=123RF)
同年齢の住民を20年間追跡し、生物学的老化のスピードを比較
一般に、年齢が上がるにつれて、心臓病、糖尿病、がんといった慢性疾患のリスクが上昇し、筋力、聴力、記憶力などの能力は低下していきます。高齢者に対する年金制度や福祉政策は、原則として実年齢に基づいて対象者を限定していますが、実際には、元気で自立した生活を送れている90代もいれば、60歳になっていないのにいくつもの病気や認知機能の低下に苦しんでいる人もいます。著者らは、実年齢だけを指標にする支援システムは完全とは言えないのではないかと考えました。
また、高齢になるほど発症リスクが高まる慢性疾患は、生物学的な老化を遅らせることによってまとめて予防できる可能性があります。予防効果を最大にするためには、そうした努力を中年期には開始する必要があると考えられています。
しかし、そうした努力が必要な、老化のスピードが速い人をどうやって見つけ出せばいいのでしょうか?
そこで著者らは、実年齢が同じ人々の生物学的な老化のスピードを比較することにしました。
同年齢の1000人余りの老化の進行を、45歳まで追跡
分析対象となったのは、ニュージーランドのダニーデン市に住む、1972~73年生まれの1037人です。これらの人たちの、26歳から45歳までの20年間の老化の進行を追跡しました。
具体的には、心血管系、代謝系、免疫系、腎臓、歯、肺の機能を反映する19のバイオマーカー(下囲み参照)の状態を26歳、32歳、38歳、45歳の時点で評価し、参加者1人1人について、個々のマーカーの年間変化率を合わせて老化速度としました。参加者全体の平均を参照値とし、ここに該当する人は、実年齢が1歳上昇するごとに生物学的年齢も1歳上昇する、としました。
生物学的老化の指標となる19のバイオマーカー
BMI(体格指数)、ウエスト/ヒップ比、HbA1c、血清レプチン値、血圧、心血管フィットネス(最大酸素摂取量)、肺機能(1秒量、FEV1/FVC〔1秒量/努力肺活量〕)、血中脂質量(総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール)、リポ蛋白(a)、アポリポ蛋白B100/アポリポ蛋白A1比、推算糸球体ろ過量(eGFR)、血中尿素窒素、高感度CRP(C反応性たんぱく)、白血球数、歯周組織の減少、う歯(虫歯)
個々の参加者の20年間の老化のペースはさまざまで、最も遅い人では実年齢が1歳上昇するごとに生物学的には0.4歳しか年を取っておらず、最も早い人では同じ期間に2.44歳も老化していました。
著者らは続いて、老化のペースが速い人について、45歳時点で「認知症と関連づけられる老化のサインが脳に見られるか」「認知機能の低下が進んでいるか」「感覚・運動機能に低下が見られるか」「外見が老けて見えるか」「老化についてどう考えているか」「周囲の人からどう見られているか」について検討しました。
老化のペースが速い人では、45歳時点で既に、頭部MRI画像に、大脳皮質が薄い、海馬の体積が小さいなどの変化(認知機能の低下と神経変性疾患のリスクが高い高齢者に認められるような変化)が生じていました。
老化のペースが速い人は、認知機能検査のスコアも悪く、45歳時点でもさまざまな種類の認知機能に低下が見られました。また、老化速度が遅い人に比べ、早い人では、45歳時点のIQが有意に低くなっていました。日常生活においても、記憶力が低下しており、注意に欠けることが多く、たとえば財布や鍵、眼鏡などを置き忘れる、用事をし忘れる、といったことを経験する頻度が高いことも分かりました。
フレイル(転倒リスク、介助が必要になるリスク、死亡のリスクが高い虚弱状態)の高齢者を同定するために用いられる感覚・運動機能(歩行速度、握力、視覚コントラスト感度、聴力)の評価の結果も、老化のペースが早かった人では、軒並み低くなっていました。
生物学的老化のペースが速い人は、外見も老けて見える
45歳時点で老化のペースが速かった集団では、「年を取り、ものごとが悪化している」「若いころに比べて幸せではない」「あまり健康ではない」「実年齢より老けている」「顔が同年齢の人に比べて老けている」「75歳を過ぎて生きているとは思えない」と考える人が多く、友人や周囲の人から健康状態が悪いように見られる、外見が実年齢より老けていると見られる人が多くなっていました。これまでに行われた高齢者を対象とする複数の研究でも、「自分が老人である」と感じている人はその後、比較的若いうちに加齢関連の疾患と診断されて死亡することが多いと報告されています。
得られた結果は、人間の生物学的年齢には45歳の時点で統計学的に有意な差が生じており、老化のペースが速い人には、加齢に関係する機能の低下が生じていることを示しました。著者らは、「中年期に対策を取れば加齢に関連した慢性疾患のリスクを低減できるかどうかを、無作為化試験を行って調べる必要がある」との考えを示しています。もしかしたらもっと前から、前向きな考えを持ち、健康的な生活を心がけ、健康診断を受けて、慢性疾患の危険因子を修正していく必要があるのかもしれません。
著者らはまた、「老化のペースが速い人には、実年齢ではなく、生物学的な年齢に基づく支援を行う社会の構築が必要ではないか」との提言も行っています。
論文は、2021年3月15日付のNature Aging誌電子版に掲載されています(*1)。
*1 Elliott ML, et al. Nature Aging. 2021; 1:295-308.
大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。