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低年金時代、人ごとではない「高齢貧困」 危ない単身・女性

2022-02-07 15:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

東京都内の都営住宅に住む本宮忠夫さん(仮名、79歳)は今、わずかな年金でぎりぎりの生活をしている。
現役時代の年収が低かったわけではない。大学卒業後、米系の大手ホテルチェーンに勤め、海外で長く働いた。「転勤時に現地で加入した公的年金を脱退し、清算金を受け取った」(本宮さん)ため、日本国内での年金としては国内勤務の期間分となり、月5万5000円しかない。
以前は妻の昌代さん(仮名)と2人暮らしだったため、年金は合計で月17万円を超え、生活はずっと楽だった。昌代さんは長く働いていたので年金額も高かったからだ。
妻が亡くなり半額以下に
ところが2018年6月、昌代さんが病気で亡くなると生活は一変した。昌代さんの遺族年金や、所得の低い年金受給者に国から出される年金生活者支援給付金を含めても計7万円ほどしかないからだ。
写真はイメージ(写真:PIXTA)
「海外赴任中の年金はその都度清算して、結構使ったのもいけなかったけど、単身になって急に年金が減ったのは痛かった。そうなることは分かっていたのだけどね」。本宮さんは諦めたようにつぶやく。
今は光熱費に月3万円、携帯電話など通信関連料金が同1万2000円で、介護などの保険料を払うと残りはわずか。都営住宅の家賃の軽減措置を受けているものの、食費は月に2万5000円までと決めている。「外食なんてもってのほか。スーパーの特売日に買いだめして、1日3食自炊でどうにか生きている」と話す。
私たちの老後を支える年金が今、様々な問題にぶつかっている。1つは、高齢者の貧困拡大だ。
阿部彩・東京都立大学教授の分析によると、1985年に約23%だった高齢者(65歳以上)の相対的貧困率はその後、少しずつ低下を続けたが、2012年の19%を底に反転し、18年には再び約20%に上がってきた。相対的貧困率とは、その国・地域の世帯所得で最も多い層(中央値)の半分に満たない低所得層が全体に占める比率を示すものだ。
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大きな要因は単身者の増加。高齢社会白書によると、00年に約30
8万だった単身世帯は19年には736万に急増し、40年には896万へ増えていくと予測されている。本宮さんのように低年金になると、一人暮らし世帯は貧困化しやすくなる。
単身者所得6割は公的年金
さらに、高齢の親と中高年の独身の子供が同居する「1人親未婚子世帯の貧困率も上昇している」(阿部教授)という。80代の老親が50代で引きこもりの子供の面倒を見るいわゆる「8050問題」もその一つ。高齢の親の収入の頼りは年金になるだけに、貧困化の恐れは小さくない。
高齢者貧困増加の要因の2つ目は、高齢女性の貧困化だ。
千葉県西部に住む高田美代子さん(仮名、79歳)は、60歳で離婚した。40代の息子と娘はとうに独立し、一人暮らしを長く続けている。高田さんもまた月10万円ほどの年金で細々と生活をしている。長く働いてきたことで厚生年金があり、この額になっているが、2Kの団地の家賃は月4万円。残りは6万円で、「孫にお年玉をあげたり、冠婚葬祭など何かあったりするとすぐ赤字になる」と嘆く。
働いていた頃の貯金を少しずつ取り崩してやりくりしてきたが、それもあと数百万円。「これがなくなったら生活保護を受けるかなと考えることもあるけど、(申請時に)子供や親類に言われるのも嫌だから何とか頑張るしかない」と顔を曇らせる。
阿部教授によると、高齢女性の相対的貧困率は18年で22.9%と、高齢男性より約6.6ポイントも高い。それは当然ながら、高齢者の世帯タイプ別所得にはっきりと表れている。
単身男性のうち、年収200万円未満の層は19年で50.5%なのに対し、単身女性は68.8%に上った。どちらも夫婦世帯(13.4%)よりかなり高いが、単身女性の所得の少なさは目立っている。
単身者全体の所得のうち、公的年金の占める比率は64.3%、夫婦世帯も56.7%で圧倒的に多い。ただし、公的年金額は05年から19年まで単身者の場合、ほぼ横ばいで、夫婦世帯では259.2万円から242.5万円へやや減っている。公的年金は生活を支える力を徐々に弱めており、今後、さらに公的年金が減っていけば、単身女性を中心に生活が厳しくなる恐れは大きくなるだろう。
高齢者間で大きな貯蓄格差
所得以上に大きな問題になろうとしているのが資産格差の拡大だ。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、貯蓄がゼロから300万円の低貯蓄層は、19年に男性単身者で45.7%、女性は37.9%に達し、夫婦世帯でも24%もあった。この比率は07年以降だけ見ても、女性は少し下がったが、他はほとんど変わらない。
その一方、1000万円以上の高貯蓄層は男性単身者が07年の18.5%から19年には26%に、女性単身者は同じく20.9%が25.7%へ。夫婦世帯も38.9%から41.3%に拡大していた。金融資産は明らかに二極化しているのである。
この間、「高所得の高齢者が増えたわけではない」(岡田豊・みずほリサーチ&テクノロジーズ上席主任研究員)。むしろ年収500万円以上の中・高所得層は、男性単身者では1999年の15.9%から2019年には6%、女性は2.3%が1.9%へ、夫婦世帯も23.5%が23%と減っている。
駒沢大学の田中聡一郎・准教授が同じ調査を基に1985年から2015年までの間の高所得層、中間層、低所得層の規模(人口割合)の推移を独自の方法で推計したところ、00年以降では中間層は59.4%から56.9%へ2.5ポイント、高所得層も4.5ポイント減少し、低所得層が7ポイント増えていたという。全体で所得層の“低下”が進んでいるのである。となれば、現役時代から老後に備えた生活防衛的に貯蓄をする層が拡大しているのかもしれない。
「老後2000万円問題」。金融庁が19年6月、老後の備えに2000万円必要と試算した報告書をまとめたところ、「年金だけでは暮らせないということか」と強い反発を受けた。当時の麻生太郎金融相が報告書を受け取らないという事態にまで問題は広がり、年金への懸念や老後への不安を示す象徴的な出来事となった。
これも含めて見渡してみれば、岩盤のように厚い低所得層を抱える高齢者は、老後に備えた貯蓄など金融資産の多寡で生活に格差が生まれつつあるということなのだろう。その不安は、徐々に下の世代にも広がっている。
田村 賢司
日経ビジネス編集委員

「クレアチニン」「たんぱく尿」「eGFR」… 腎機能で絶対に見るべき項目は?

2022-02-07 13:30:00 | 日記
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生活習慣病を解消し、一生ものの体をつくるために知っておきたいことを解説する本連載。今回は「腎機能」について教えていただこう。腎臓は血管の塊であり、血管の老化ともいえる動脈硬化が進むと腎機能が低下することが分かっている。特定健診でも腎機能を調べるが、中でも特にチェックすべき検査項目は「クレアチニン」と「たんぱく尿」だ。また、将来、人工透析のお世話にならないためには、クレアチニン値から算出される自分の「eGFR(推算糸球体ろ過量)」を把握しておくことも大切だという。



(イラスト:つぼい ひろき)
こんにちは。大阪大学大学院で生活習慣病予防の研究をしている野口緑です。今回は「腎機能」についてお話ししたいと思います。
この連載の第3回でもお伝えしたように、メタボ(メタボリックシンドローム)や、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病になって動脈硬化が進行すると、腎臓の機能が低下していきます。
おしっこをつくる腎臓は、血管の老化ともいえる動脈硬化とは一見関係なさそうに思えるかもしれませんが、実は腎臓は「血管の塊」とも呼べるほど、血管が集まる臓器。「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれる毛糸玉のようになった0.1~0.2mmの毛細血管の玉が片方の腎臓におよそ100万個ずつ入っています。そこに血液を流して体に必要なものと要らないものをより分け、不要なものを一旦、血液からこし出しています。これが尿の元になります。
動脈硬化が進んで血管が傷んでいくと、この糸球体にも影響が出ます。糸球体はとてもデリケートな血管の塊で、一度壊れると再生しません。糸球体は老廃物などをこし出す仕事をし、普段から他の血管よりも強い圧力に耐えているので、それ以上の圧力がかかる状態が継続すると、その血管は傷んで壊れてしまうのです。
糸球体に血液を送る輸入細動脈や、複数の糸球体を通った後の血液が集まる輸出細動脈が動脈硬化になると、糸球体に流れ込む血液の圧力調整がうまくいかず、糸球体がより傷むことになります。また、高血糖状態があると糸球体の血管を束ねている部分を肥大化させ、結果として糸球体の血管を押しつぶして死滅に至らせてしまいます。健康な状態でも、年齢とともに腎機能は低下してきますが、このように高血圧や高血糖、さらには高LDLコレステロールがあるとそのスピードは速まってしまうのです。
私たちの命を守るためには、腎臓に、生涯にわたって体内の水分量や塩分量などの調整、老廃物の処理のために働き続けてもらわなければなりません。ですから、何らかの腎疾患がなくとも、高血圧や高血糖、脂質異常などの生活習慣病が腎臓にとても関係があることをぜひ知っておいてほしいと思います。また、腎臓の血管(腎動脈)は、脳血管や心臓の冠動脈と同じ構造を持つ「strain vessel」と呼ばれ、腎動脈の変化は同様に、脳血管や心血管の変化を表しているともいわれていることを心にとどめてください。
今のところ、腎機能を根本的に改善する薬はありません。したがって、一定以上腎機能が低下すると腎移植をするか人工透析をするしかありません。透析はとても大切な治療法ですが、一旦透析を受けるようになると、週2~3回、1回に数時間透析治療に時間を要することになります。長期の海外旅行はもちろん、国内旅行に行く場合も、旅先で透析治療を受けることができる医療機関を事前に確保しておく必要があるなど、QOL(生活の質)が大きく下がってしまうことは否めません。できればそうならないよう、早期から腎機能の数値に目を光らせながら、生活習慣を見直していくことが大切です。 
腎機能の数値が高い場合は、血管障害が進んでいる可能性がある

腎機能は加齢とともにある程度は低下するが、高血圧や高血糖、高LDLコレステロールがあるとそのスピードは速まる。クレアチニンや尿たんぱくの数値が高い場合は、血圧や中性脂肪の数値が高い場合に比べ、血管障害がより進んでいる可能性が高い(Noguchi M, et al.J Epidemiol. 2020 Apr 5;30(4):194-199.から概念のみ示す)

「日本人の7人に1人」知られざる“境界知能”とは 悲惨な事件の背景にある問題

2022-02-07 12:00:00 | 日記
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29歳男性と“同居した60代女性”の悲惨な末路
不幸な生い立ちは犯罪を起こした理由にはならない。正当化の理由にもならない。同じような境遇でもまっとうに生きている人はいるのだから――こうしたコメントはよくネット上で目にする。また、日常会話でもこういう意見を言う人は珍しくない。
もちろん貧しさは窃盗の動機にはなるが、それを正当化する理由になる、とまでは言えまい。また、いかに相手に腹が立ったからといって傷つけてよいはずもない。
これは正論ではあるが、一方で議題にあがりづらいのは、犯罪者の知能の問題である。犯罪の中には、「一体、この行為をして何のメリットがあるのか」と首をひねってしまうものが一定の割合で含まれている。
たとえば今年10月、話題になった埼玉県桶川市の自転車危険運転“ひょっこり男”。少年時代の生い立ちが不幸だった、という報道もある(「週刊女性PRIME」11月4日)が、それではどうにも説明がつかない行為なのは間違いない。道行く人に迷惑をかける以外に、「ひょっこり」をすることに何の意味もないのだ。
また同じ10月、札幌市で29歳の男が同居する60代女性を殺害するという事件が起きた。容疑者には前科があったが、女性はそれを承知で同居させていたという(「文春オンライン」12月1日)。冷静に考えれば、庇護者ともいうべき女性を殺害することにはまったくメリットがない。しかし、「金銭をめぐるトラブル」で口論となり、彼女をボコボコに殴打したという。同記事では、彼は健常者として認められるIQをギリギリ上回る、または下回る可能性のある人物であると指摘。ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)で扱われている「境界知能」の可能性が強く示唆されている。
「ケーキを等分に切る」ことすらできない非行少年が少年院には大勢いたが、問題の根深さは“普通の学校”でも同じなのだ――。「すべてが歪んで見えている」子どもたちの驚くべき実像とは

日本人の7人に1人
そうであるならば、メリットのない犯罪に簡単に手を染める説明はつきやすい。同書で紹介されている「ケーキの切れない非行少年たち」の特徴としては、たとえば以下のようなものがある。
・すぐにキレる
・思いつきで行動する
・人のせいにする
これらは特徴のごく一部だ。しかしこの容疑者の行動を合理的に解釈するには有効だろう。つまり、本来なら世話になっている相手に対して「すぐにキレ」て、後先を考えずに「思いつき」で殴りかかる。「金銭トラブル」云々というのも「人のせい」に等しい(彼の収入はほとんど無かったはずだ)。
誤解してはならないのは、こうした解釈は決して彼らを甘やかすために行っているのではないという点だ。ただし、仮に知能に問題があるのだとすれば、通常の受刑者とは別のプログラムを用意する必要はある。児童精神科医である著者の宮口氏は、医療少年院で勤務していた時に「コグトレ」という認知機能向上への支援として有効なトレーニングを自ら開発したが、これは一定の効果を見せているという。
宮口氏が指摘しているのは、こうした人々には「認知の歪み」がありえるということ。つまり一般的な人と同じものを見て、聞いてもまったく別の受け止め方や解釈をしている可能性があるのだ。宮口氏は、彼らは「反省以前の問題」を抱えている、と指摘している。彼らに対して「不幸な生い立ちをバネにしている人もいる」「努力は報われる」といった常識的な説諭は必ずしも有効ではない。罰を受けるのは当然としても、その罰の意味を理解させること自体が難しいのだから。
同書によれば、実はこうした「境界知能」の可能性のある人は意外と多く、日本人の7人に1人はそれにあたる可能性がある、という。もちろん、そうした人の中には、家族や社会とうまく折り合っている人も多くいる。それだけに、早めに(なるべく子供の頃に)そうした傾向に気づいて、トレーニングなどで周囲が支えることが重要だ、と宮口氏は述べている。
デイリー新潮編集部


「小室圭さん」司法試験に再挑戦 どう転んでも引く手あまたで眞子さんの電撃帰国は?

2022-02-07 11:00:00 | 日記
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勉強と仕事のバランス
2月を迎えると、再び小室圭さんがニューヨーク州の司法試験に挑むことになる。7月の試験では不合格となっていたが、今回はどうなるか。その結果によっては生活設計も含め大きな環境の変化もありえる。取材記者や宮内庁ら展開を見守っている側の声を拾ってみた。

データ面をおさらいしておくと、圭さんが受けた2021年7月の試験の合格率は約63%だったが、同年2月の合格率は約49%となっている。
「合格率に差が出るのは、ロースクールを5月に修了して7月の試験まで、特に抱えるものがないため全力投球できるということがあるようです。2月の場合は、仕事などと折り合いをつけながら受験する人たちが多く、失敗する可能性が高くなるということでしょう」
と、社会部デスク。
「試験勉強に集中すればそれだけ普段の仕事がおろそかになりかねず、下手をしたらクビになってしまう。仕事はかなりハードでそれをこなそうと思えばその分、勉強時間が失われる。身もふたもない言い方になってしまいますが、勉強と仕事のバランスを取るのがとても難しいということでしょう」
日本とコネクションを
圭さんの代理人弁護士は以前、取材に対して、〈仕事をしながらの勉強で大変だとは思いますが、前回合格しなかったのは学力の問題ではないので〉などと語っていた。学力の方はクリアできており、言及こそなかったが、たとえば結婚に関する一連の騒動で落ち着かない日々を送っていたことが足をひっぱったということを匂わせた。ロースクールを修了後、試験までのあいだ全力投球できなかったというわけだ。
晴れて試験をクリアすれば問題ないが、万一うまくいかなかった場合、どんな動きが想定されるのだろうか?
「宮内庁としては常に生活費の問題を懸念しているということでした。2月も落第するとなると、勤務する法律事務所とずっと雇用関係を結べるかは不透明です。法曹資格がなければ法律事務所で仕事ができないというわけではもちろんないでしょうが、大きく方向転換を迫られることは間違いないでしょう」(先のデスク)
それが悪い方ばかりに転がるかというと実際はそうでもないようだ。
「アメリカには多くの日本企業が駐在しますし、日本とコネクションを持ちたいとか強めたい外国の企業も数多く存在しています。そういった会社が小室夫妻にアプローチし、皇室や政府との距離を縮められると判断すれば手を差し伸べることは考えられるようです」(同)
日本に帰りたくない
2人の生活については現地の日本領事館などが下支えしているといい、
「結婚を機に日本政府と切れたということはあり得ません。司法試験でつまずいたとしても、そういった企業のサポートがあるならアメリカでやっていくことは可能ではないかと宮内庁は見ているようです」(先のデスク)
その一方で眞子さんについては、
「かねて”何があっても日本を出たい”だったのが今は、”何が起こっても日本に帰りたくない”という思いだと聞いています。裏腹な言い方になりますが、そんな中でも帰国があるとすればお子さんができた時ではないでしょうか。”日本で育てたい”という気持ちを丁寧に説明すれば、2人の結婚に批判的だった人たちもさすがにそう強く非難はできないのではないか……。そんな見立てもあるようです」(同)
眞子さんが「30歳で結婚」にこだわっていた背景には、「圭さんとの子供を早く」と熱望していたという話もあるが、果たして――。
デイリー新潮編集部

ヨーグルトと納豆、微生物が生きてる発酵食品の魅力

2022-02-07 08:30:00 | 日記
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このところ発酵食品ブームが続いている。ヨーグルト、納豆、塩麹(しおこうじ)、甘酒、漬物、味噌、酢……と発酵食品は多種多様。「体によさそう」なイメージはあるが、何にどんな健康効果があるのかについては、はっきり整理できていない人が多いだろう。そこで、発酵食品の専門家である東京農業大学名誉教授の小泉幸道さんに話を聞いた。
生きた菌を生食したければヨーグルトか納豆が効率的 ©Oksana Bratanova-123rf(ヨーグルト)©reika7 -123rf(納豆)
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生きた菌を生食できるヨーグルトと納豆
発酵食品の健康効果といえば、整腸作用を思い浮かべる人が多いだろう。例えば、「ヨーグルトの乳酸菌は、生きて腸まで届き善玉菌として働く。だから、腸内環境が良くなる」ということはイメージしやすい。
しかし、生きた微生物(細菌、カビ、酵母など)が含まれている発酵食品は意外に少ないことをご存じだろうか。
「例えば、酢は酒に酢酸菌を加えて発酵させたものですが、最後に加熱処理を行うため、出来上がりには酢酸菌は含まれません。また、パンは酵母が発酵するときに排出する炭酸ガスを利用して生地を膨らませますが、焼くと酵母は死んでしまいます」(小泉さん)
つまり、製造工程では微生物が生きていても、製品となった段階では死んでいる場合が多いのだ。味噌のように製造工程で加熱処理をしないものもあるが、調理の段階で加熱すると麹菌や乳酸菌、酵母は死んでしまう。つまり、グツグツ煮た味噌汁には生きた微生物は含まれていない。
生きた微生物を腸に入れる」という観点で整腸作用が期待できる発酵食品はヨーグルトと納豆くらい(©liza5450-123rf)
「生きた微生物を腸に入れる」という観点で整腸作用が期待できる発酵食品は限られる。それは、ヨーグルトと納豆だと小泉さん(ぬか漬けやキムチなどの漬物からも生きた微生物はとれるが、確実性が高く、効率よくとれるのはこの2つだという。漬物については第2回で解説する)。
ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を、納豆は大豆に納豆菌を加えて発酵させたものだが、どちらも短時間で急激に菌数を増やし、長期間発酵、熟成させずに出荷する。そして、生で食べる。つまり、この2つの発酵食品は、生きた菌を菌数がピークの状態で口にすることができるレアケースなのだという。
もっとも、菌が死んでいるからといって、健康効果が期待できないわけではない。
「そもそも発酵とは、米が麹菌や酵母の働きで日本酒になるように、もとの食品が微生物(細菌、カビ、酵母など)の作用で別のものに変化することをいいます」(小泉さん)
つまり、発酵食品は本来、「微生物が生きているかどうか」というよりも、「微生物が何を作り出すか」という点に着目して作られたものだといえる。たとえ微生物が死んでいても、微生物が作り出したものに健康効果があるものも多い。それは、整腸作用に限らない。
発酵食品の特色は「風味」「栄養」「保存性」
発酵には、細菌が働くもの、カビが働くもの、酵母が働くものがある。これらが複数重なってできるものも少なくない(下図)。また、「微生物は関わっていないが、魚介類の内臓に含まれるたんぱく質分解酵素やアミラーゼ、リパーゼなどの酵素が作用してできる発酵食品もあります。代表的なものは塩辛やアンチョビです」(小泉さん)
■発酵を起こさせる微生物や酵素
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「微生物は自分が生きていくために食品の成分をエサとして食べ、違うものを放出します。この微生物の“排せつ物”が人間にとって有益な場合が『発酵』、有害な場合が『腐敗』です。例えば、ブドウを放置すると腐敗してしまいますが、ブドウに酵母が繁殖すると、酵母がブドウの糖を食べてアルコールや二酸化炭素、また、香りを生み出し、ワインになります」(小泉さん)
ワインには「ブドウにはない独特の風味」があり、「ブドウよりもポリフェノールが多い」。また、「ブドウよりも保存性が高くなっている」。小泉さんは、この3つが発酵食品の特色だという。
発酵食品の特色
  • 独特の風味が生まれる
  • 栄養価が高まる
  • 保存性が高まる

発酵食品が体にいいのは、発酵によって元の食品にはない栄養素が生まれたり、栄養素の量が増えたり、栄養素が吸収されやすい形になったりするからだ。
「健康効果」より「風味」「保存性」が勝るものも
しかし、こういった栄養面のメリットが少なく、「風味」や「保存性」の点が勝っているものもあるため、全ての発酵食品に高い健康効果が期待できるわけではないと小泉さんは指摘する。
例えば、発酵食品のなかには塩分が多いものもあるため、「体にいいから」ととり過ぎると高血圧や腎疾患などの原因になることがある。
また、甘酒は元の米に比べると驚くほど栄養成分が高まっているため、栄養補給に役立つ。しかし、高エネルギーで、糖が吸収されやすい形で含まれているため、とり過ぎると血糖値を急激に上げてしまったり、肥満の原因になることもある。
つまり、発酵食品は「流行っているからとやみくもにとるのではなく、自分に合ったものを選んで、適量をとること」が重要ということだ。次回は、さまざまな発酵食品の健康効果について解説しよう。
小泉幸道(こいずみ・ゆきみち)さん
東京農業大学名誉教授
1951年生まれ。1973年東京農業大学農学部醸造学科卒業。1997年東京農業大学教授に就任。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行ってきた。