りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“J―未来の君へ―” ―全2幕― 完結編

2012年12月10日 20時08分55秒 | 脚本


         音楽変わる。

  ハリー「死ねばよかったんだ・・・」
  エド「・・・え・・・?」

      ハリー“おまえのせいで
          いつも日陰にいる俺
          おまえがいないと
          何もかもうまくいく
          目障り 消え去れ
          俺の目の前から立ち去れ
          邪魔者 二度と現れるな
          この世にいる限り
          心掻き乱される おまえに!!”

  エド「・・・ハリー・・・おまえがそんなことを考えてたなんて、知ら
     なかった・・・」
  ハリー「おまえは甘いんだ!!大事なことは何一つ分かっちゃ
      いない!!マリィのことも・・・俺の気持ちも!!」
  エド「違う・・・ハリー・・・俺は・・・」
  ハリー「俺は気付いたんだ・・・おまえがいる限り・・・いつまでも
      このままだと・・・」
  エド「ハリー・・・」
  ハリー「だから俺は決めたんだ!!」



    
                     ※



      ハリー“おまえを殺す      コーラス“おまえを殺す”
           ここで”

  ハリー「折角トンネルのひび割れを利用して、うまい具合に俺の
      手を汚さず、おまえを殺れると思っていたのに・・・」
  エド「・・・なんだって・・・?じゃあこの・・・落石事故は・・・」
  ハリー「そうさ・・・俺が全部仕組んだことさ!!」
  エド「ハリー・・・」
  犬「ワンワンワン・・・」
  ハリー「のら犬が危ないめに遭いそうだと知ったら、必ずおまえ
      は危険だと分かっていても、このトンネルの中に助けに
      入ると思ったんだ。俺が逃げ遅れたのは、計算外だった
      が・・・」

      ハリー“この世から立ち去れ
           俺の目の前から
           消えてくれ!”

  ハリー「仕事熱心で正義感溢れる警察官は、命を賭けて可哀想
      なのら犬を助ける為に、飛び込んだトンネルの落石事故
      で残念ながら・・・(石を持って振り上げる。)」
  エド「ハリー!!」
 

  
   
                    ※2



  Jの声(エコー)「やめて!!」

         一瞬、光が輝く。

  ハリー「わあっ!!(眩しそうに光を避け、振り上げた石を落と
      す。)な・・・なんだ・・・ま・・・眩しい!!」

         一つの光がフワフワ浮いている。    
    

  
   
                     ※3



  ハリー「なんなんだ、この光は・・・!?わ・・・わあっ!!何も見
      えないっ!!やめて・・・やめろ!!あっちへ行け!!」
  
  Jの声(エコー)「ずっと・・・ずっとパパの代わりだと思って、大好
            きだったのに・・・オイラも・・・母ちゃんもハリーの
            こと、すごく頼りにしてたんだ!!心から!!」

      J“信用してたのにそれを裏切った
       傷付き騙したあんたを許さないオイラ
       パパを奪った犯人だったなんて
       今まで知らずに大好きだったのに
       嘘吐き                  ハリー“分からない
       嫌いだ                       何のこと
       あんたのことなんて               知らない
       大っ嫌い!!”                  何の話し”

  Jの声(エコー)「オイラはともかく・・・母ちゃんまで騙してたなん
            て・・・。母ちゃんが父ちゃんの代わりに、どれ程
            あんたを頼りにしてたと思ってるんだ!!」

      J“心から信用して
       生きてきた なのに!!”

  Jの声(エコー)「許さない!!」

  ハリー「わあ―――っ!!」

         ハリー、消える。

    ――――― 第 3 場 ――――― B

  J「兄ちゃん・・・大丈夫かい・・・?」
  エド「・・・え・・・?」
  J「こんな姿じゃ驚くよな・・・」
  エド「・・・おまえ・・・もしかして・・・」
  J「うん・・・さっき兄ちゃんと出会った・・・」
  エド「あの時の少年・・・。この光の玉がおまえなのか・・・?」
  J「うん・・・兄ちゃん怖くないの・・・?オイラのこと・・・」
  エド「怖い・・・?いいや・・・なぜだろう・・・なんだか初めて出会
     った時から・・・おまえのことを他人とは思えない・・・」
  J「・・・兄ちゃん・・・信じないかも知れないけど・・・」
  エド「もう・・・おまえの言うことなら信じるよ・・・(静かに笑う。)」
  J「オイラ・・・未来から兄ちゃんに会う為に来たんだ・・・。」

         音楽流れる。歌う。

      エド“なぜだか懐かしい
         温もりを感じる
         不思議なこの感覚
         なぜだか分からない”

      J“とても会いたくてたまらず”

      エド“俺のことを知ってるのか・・・?”
 
      J“心の中で考えて”

      エド“どこかで感じた思いは・・・”

  エド「・・・俺に会いに・・・おまえ・・・J・・・なのか・・・?」
  J「・・・やっと気付いてくれたね・・・」
  エド「・・・そうか・・・どうりで他人と思えない筈だ・・・。ちょ・・・ちょ
     っと待てよ・・・でもJの名前は・・・ジェシカ・・・女の子だ・・・。
     おまえは・・・」
  J「オイラこう見えても女の子だよ!!」
  エド「えーっ!!痛っ!!・・・嘘だろ・・・!?あんな格好で・・・
     泥だらけだし・・・どう見たって少年・・・」
  J「失礼だな父ちゃん!!」

   

   



  エド「・・・父ちゃん・・・って・・・何だか変な感じだな・・・。まだ・・・
     俺の中のJは・・・こんな小っちゃくて・・・それが・・・俺・・・こ
     の事故で死ぬのか・・・?」
  J「オイラの父ちゃんは死んだ・・・」
  エド「・・・そうか・・・」
  J「でもこの世界の父ちゃんは・・・」
  
      J“助ける為に来た”

      エド“俺のことを助けにか・・・?”

      J“パパに会いに”

      エド“俺に会う為にここへ・・・?”

      J“そうよ”

         (後方中央、エンゼル登場。)

      エンゼル“時間だ”

         光の玉からジェシカの姿に変わる。



   



      J“子犬を助けて死んだ
         私への
         最後の願いを
         聞き届け             エド“愛しい娘だ
         パパに会う為に            死んだ
         ここまで来たのよ           なぜだ”
         願いが叶った        
         お別れね             エド“必ずこの俺が
         会えたパパに・・・           助けると”
         この世界の私
         可愛がってあげて
         それがこの私も
         幸せになること”

      エド“分かった必ず守るよ”

      J“一目でも会えて良かった”

      エド“命を賭けた約束だ”

      J“お別れの時がきたのね”

         J消える。(エコー“さよなら”)

  エド「ジェシカーッ!!」

         紗幕閉まる。     

    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れ、紗幕前。(天界。)
         大王とエンゼル、上手より登場。

  エンゼル「大王様・・・487万3647番とその父親は・・・」
  大王「まぁ、こう言うこともあるじゃろう・・・。」
  エンゼル「じゃあ“生き返った”・・・と・・・?」
  大王「誰かさんの柄にもない“思い遣り”に免じて・・・今回のこと
     は、目をつむってやろう。未来は随分、変わってしまったが
     のぉ。(笑う。)」
  エンゼル「大王様!!」
  大王「うむ・・・。」

         天使達に両腕を掴まれ、下手より
         ハリー登場。

  ハリー「何すんだよっ!!離せよっ!!」
  大王「エンゼル!代わりの新入りを早く連れて行くのじゃ。地界
     へな!」
  エンゼル「分かりました!さ、おまえ達、そいつを早く向こうへ連
        れて行け!!」
  天使達「はっ!!」
  ハリー「は・・・離せ・・・離せよーっ!!離しやがれ!!畜生ーっ
      !!」

         (天使達、ハリーを連れて上手へ去る。)

  大王「やれやれ・・・全く騒がしい男じゃのぉ。」
  ハリー「離せーっ!!」
  大王「地上は平和じゃのぉ・・・(笑う。)」
  エンゼル「はぁ・・・」

         大王、エンゼル下手へ去る。
         紗幕開く。と地上。
         エド、佇む。

  エド「未来のJ・・・元気にしてるんだろうか・・・。未来の俺は、今
     も生きておまえのことを可愛がっているか・・・?もう二度と
     会うことはないけれど・・・お互いに大切な者を守ろうぜ・・・
     同志!」

         エド、歌う。

         “未来へ続く道の先に
         必ず幸せが待ってると”

         上手より、マリィとJ登場。

  マリィ「あなた!少しはJのこと、叱ってくださらない?」
  J「パパ!(エドの側へ。)」
  マリィ「Jったら、男の子と木登りばっかり・・・。今日も買ったばか
      りのドレスを破って帰って来たのよ。あなたからも何とか
      言って頂戴!」
  エド「(笑う。)まぁまぁ、いいじゃないかマリィ。女の子でも元気が
     一番!なぁJ!ほら、お土産だ!お祖母ちゃんの家から取
     って来たんだ。子どもの頃の、パパの宝物だったんだぞ。(
     ボールを取り出し、Jの方へ差し出す。)」
  J「(ボールを取って。)わーい!ボールだ!パパ、キャッチボー
   ルしよう!!」
  マリィ「あなた!」
  J「パパ!大ー好き!!(笑う。)」
  マリィ「もう、2人共!ホントに・・・」



         
                      ※4



         マリィ、J下手へ去る。
         エド、歌う。

      コーラス“例え何があっても
            大切だと思うもの守ろう”

      エド“誰もが幸せになること
         それがみんなの願いだから
         行こう”

  エド「きっと未来のJも、元気に走り回っているんだろうな・・・」

  Jの声「パパーっ!!」

  エド「ああ、今行くーっ!!」
  





          ――――― 幕 ―――――







      それでは次回掲載作品の紹介をしておきたいと
      思います♪
      次回は、少しお話ししていました、ドン、デンさんの
      物語をご覧頂こうと思いますが、書いているうちに、
      今回はドンさんメインのお話しになってしまいまし
      た^^;
      只今、佳境に入りかけた辺りを執筆中の・・・
      “ドンのハッピーサンタクロース”お楽しみに(^-^)










    ※ 髪の毛がエライことになっています・・・(^^;全般、
      この状態だったのを、ビデオで見て初めて気付いた
      次第です(>_<)

    ※2、手には何も持っていません~・・・(^_^;)

    ※3、この“光る玉”は、もっと“光る玉”にしたかったので
      すが・・・知識のない我々には中々難しく・・・試行錯誤
      の上、団員が考えて写真のようなものになりました^^;

      照明さんが、場面に合わせて照明チェンジして下さった
      ので、それなりに雰囲気の出た場面になったのでは
      ないか・・・と・・・(^_^;)
 
    ※4、見えていませんが、変身前と後、同一人物であること
      が分かりやすいように、“J”は脱いだ帽子を首に引っ掛
      けたまま登場しています(^_^)
      




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪











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