りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“僕といいひとたち”―全7場― 3

2015年04月08日 23時30分44秒 | 新作(人形劇用)




    



  老夫人「待って頂戴。このチュー吉くんは私のお友達なの。今日
      のパーティにもご招待差し上げてるのよ。だからチュー吉
      くんのお友達のポン太くんも、私のお友達と言う訳ね。是
      非あなたもパーティに参加して頂戴な。」
  コック「奥様!!」
  老夫人「構わないのよ。もう一人分、席を用意して頂戴。」
  コック「しかし・・・」
  老夫人「さぁ、早くなさい!」
  コック「・・・(溜め息を吐いて。)そうですか・・・?」
  老夫人「ええ。」
  コック「じゃあ・・・(ポン太を放す。)」
  ポン太「(チュー吉に駆け寄る。)チュー吉!!」
  チュー吉「ポン太!!」

         コック下手へ去る。

  チュー吉「ありがとう、おばあさん!!」
  老夫人「いいのよ。(微笑む。)」
  ポン太「怖かったよ、僕。」
  チュー吉「よかったな!」
  ポン太「うん・・・」
  老夫人「さぁ、お友達も揃ったところで、お話の続きをしましよう
      ・・・」
  
         そこへ、上手よりワンダ、慌てた様子で登場。



    



  ワンダ「おばあ様!」

  老夫人「あらあら、また邪魔が入った・・・。(笑う。)どうしたの?
      ワンダ。偉く慌てた様子だけれど・・・。」
  ワンダ「それが・・・おばあ様が大切になさってるショールが、突
      然、大きく開け放った窓から入って来た突風に巻き上げら
      れて、お庭の大木の枝に引っ掛かってしまったのよ・・・。」
  老夫人「え?私のショールが・・・?」
  ワンダ「ごめんなさい!直ぐに掴もうとしたのだけれど・・・」
  老夫人「まぁ・・・そうなの・・・(悲しげに。)」
  ワンダ「あんな高い木の枝の天辺に引っ掛かってしまって・・・あ
      んな大木を登れる人はいないし、もしいたとしても上の方
      の細い枝まで登ることは出来ないわ・・・。」
  老夫人「諦めるしかないわね・・・私が子どもの頃に、おばあ様
      から譲り受けた、大切なショールだったのだけれど・・・。
      窓を開けっ放しにして部屋を出た私が悪いのよ・・・。ごめ
      んなさいね、ワンダ。」
  ワンダ「おばあ様・・・」
  チュー吉「僕が・・・」
  ワンダ「え?」
  チュー吉「僕が取って来てあげるよ・・・」
  老夫人「チュー吉くん・・・?」
  ポン太「チュー吉・・・」
  ワンダ「いくら子どものあなただって、あんな細い枝に掴まれば、
      その重みで折れて落ちてしまうに違いないわ!無理よ!
      」
  チュー吉「大丈夫・・・!!おばあさんがポン太を助けてくれたよ
       うに、こんなちっぽけな僕でも・・・一つくらい人間の役に
       立つよ!!」
  老夫人「チュー吉くん・・・」

         チュー吉、ポン太残し、紗幕閉まる。

     ――――― 第 5 場 ―――――

         (紗幕前。)

  チュー吉「流れ星さん!!もう一度だけお願いを聞いて下さい
       !!もう人間は十分楽しみました。だから僕を今直ぐ、
       ネズミの姿に戻して下さい!!」
  ポン太「僕も!!」

         音楽流れ、チュー吉、ポン太歌う。 



    

    

     2人“僕ら 2人 いつも
        力合わせ乗り越えてきた     コーラス“友達だ”
        どんなに 道が すごく
        険しくとも恐れはしない”

     チュー吉“たとえ辛く
           高くそびえる山でも
           横を見れば
           いつでも君がいる”      ポン太“僕が”

     2人“僕ら 2人 どんな
        大変なことがあろうとも     コーラス“君がいるよ”
        いつでも一緒ちゃんと
        前を向いて立ち向かうんだ”

     チュー吉、ポン太、人間の姿からネズミの姿に
     戻り、じゃれ合う。



    



    コーラス“仲良し 2人 側に
         それが当たり前かのように    2人“君がいるよ”
         気付けばどんな時も
         隣に聞こえる君の声”

    チュー吉“広く 青い この大地を駆け巡り
          思い馳せた先には君がいる”   ポン太“僕が”

    2人“僕ら 2人 いつも
       力合わせ乗り越えてきた     コーラス“どんな時も”
       どんなに道がすごく
       険しくとも恐れは・・・”       チュー吉“恐れは・・・”
                            ポン太“恐れは・・・”

  チュー吉「さぁ、行くぞ!!」
  ポン太「うん!!」

         チュー吉、ポン太、上手へ走り去る。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         紗幕開く。と、庭。(中央に大木。)
         音楽流れる。
         ワンダ、下手より走り登場。

  ワンダ「チュー吉くん!?チュー吉くーん!!どこにいるの!?」
 
  チュー吉の声「ここだよ。」

  ワンダ「(大木を見上げる。)どこ!?」

  チュー吉の声「木の上さ。」

  ワンダ「大丈夫なの?」

  チュー吉の声「平気だよ!」

         
         そこへ車椅子に乗った老夫人、登場。

  老夫人「ワンダ。」
  ワンダ「おばあ様・・・」
  老夫人「チュー吉くんは?」
  ワンダ「もうこの木の上よ。姿が見えないわ。」
  老夫人「そう・・・」

         チュー吉、ワンダ、老夫人歌う。

    チュー吉“ここにいる      ワンダ“どこにいるの心配
          平気だよ            飛び出して行ったまま
          大丈夫             姿が見えない”
          見ていてね
          僕のこと        老夫人“分かっている私は”
                       コーラス“あなたのことが”
          心配ない      老夫人“本当はここにいない筈”
          任せてよ”

    ワンダ“不思議だわ
         出会ったばかりよ”

    老夫人“昔から知ってる”

    ワンダ“なぜかしら
         気になるとても
         いつか
         きっと
         また会える”

         ワンダ、老夫人一寸端へ。(話しているよう。)
         紗幕開く。と、中央大きな木。(木の枝にチュー吉
         座る。)



    



    チュー吉“優しい人たち
          怖くはないよ
          素敵な出会いだ     コーラス“素敵”
          分かったよ
          どんな人でも
          僕がそう思えば
          誰でもが
          いい人に変わる
          悪い人なんて
          いないんだ
          この世に生きる
          今
          全ての人が”

         チュー吉、木の陰へ去る。
         その時、ショールが落ちてくる。

  ワンダ「あっ!!おばあ様のショールよ!!(上を見て。)・・・
      チュー吉くん!?」
  老夫人「・・・帰ってしまったのね・・・」
  ワンダ「え・・・?どう言うことなの、おばあ様・・・」
  老夫人「あの子の本当の家へ戻って行ったのよ・・・」
  ワンダ「本当の・・・」
  老夫人「さようなら・・・チュー吉くん・・・」

         ワンダ、老夫人、下がる。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         背景変わる。(屋根裏。)
         音楽流れ、上手よりチュー吉登場。
         下手より、じいさんネズミ登場。



   
                    ※



  じいさんネズミ「チュー吉!!」
  チュー吉「おじいさん・・・」
  じいさんネズミ「今までどこへ行ってたんじゃ!!」
  チュー吉「ただいま・・・」
  じいさんネズミ「ただいまじゃないわ!!どれだけみんなが心配
           してあちこち捜し回ったか!!」
  チュー吉「ごめんなさい・・・」
  じいさんネズミ「どうかしたか・・・?何かあったのか?」
  チュー吉「ううん。おじいさんが僕によく話してくれた人間って・・・
        」
  じいさんネズミ「何!?やはり人間のところへ行っておったのか
           ?」
  チュー吉「ごめんなさい!でも・・・」
  じいさんネズミ「・・・いい人間に・・・会ってきたのか?」
  チュー吉「・・・うん、おじいさん!!僕もおじいさんが話してくれ
       たいい人に会って来たよ!!それも沢山の!!」
  じいさんネズミ「そうか・・・よかったの。しかし・・・!今度からは
           一言わしに断ってから行くのじゃよ!」

         チュー吉、歌う。

        “どうしても見たかったんだ
         いつも話し聞いてばかり
         自分で確かめたかったんだ”  
                            コーラス“素敵な世界” 

         そこへポン太、下手より大きなチーズを
         両手に抱え登場。


   



  ポン太「チュー吉ー!!見て見て見てー!!」
  チュー吉「どうしたんだい、ポン太。そんなに大きなチーズ・・・ま
       さか盗んで来たんじゃあ・・・」
  ポン太「違うよ!屋根裏の入り口のとこに、沢山置いてあったん
      だ。」
  チュー吉「屋根裏の・・・?」
  ポン太「だから食べてもいいよね!!ね!!ね!!」
  チュー吉「しようがないなぁ・・・あれ・・・何かついてる・・・(ポン
       太の持つチーズに引っ付いた紙を剥がす。)」
  ポン太「何、何?」
  チュー吉「・・・チュー吉くんへ・・・」

  老夫人の声「チュー吉くんへ・・・これはショールのお礼よ。おじ
          いさんにもよろしく伝えて頂戴ね。また会いましょう
          ・・・。」

         チュー吉、歌う。

        “少しの勇気出せば
         思い気付くこともあるよ
         誰もがいつも心の片隅ある”   コーラス“優しい心”

         後方、ワンダ、車椅子に乗った老夫人、
         上がり歌う。
         (チュー吉、ポン太話しているよう。)

     ワンダ“不思議な男の子だったわ
          もういない気付いた時には” コーラス“夢のような”

     老夫人“確かに私は知っている
          あなたのことを
          昔2人は出会ったことがある
          思い出したの”          
                         コーラス“懐かしい思い出
                               2人で過ごした日
                              素敵な時間の共有”

         チュー吉、歌う。

        “僕は夢見てた
         いつの日にか
         おじいさんの        コーラス“話”
         確かめることを
         素敵な世界があるならば
         行ってみたいと      コーラス“未知の世界が”
         いつもそう願っていたんだ
         心の中で          コーラス“いつでも
         踏み出したいよ           知らない世界が
         優しい人と出会ったこと      あるのなら
         忘れはしない”            心のままに”

  チュー吉「いい人たち・・・ありがとうー!!」



   






          ――――― 幕 ―――――







   載せ終わるまで長いことかかってしまいました<(_ _)>

   ようやく・・・次回から去年夏公演のもう1本の作品
   「モリーウィズフェアリー」の掲載を始めたいと思います^^;
   
   お楽しみに♪














   ※ 一瞬一人で二体持ちしています(^^)v





― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


   (どら余談^^;)

  長ーいこと・・・ホント長いことご無沙汰してしまいました
  

  年末に色々と私的なことでドタバタと過ごしていた為、
  中々ここへやって来ることができませんでした(>_<)

  そんなドタバタした日々を送りながら、公演の依頼をこなし
  ・・・痛めた膝痛と戦いながら、新作の執筆に追われ・・・
  やっとその夏公演の新作が今日、ほぼ出来上がり・・・
  一先ずブログページを開いたところであります^^;

  そんなこんなでひょっとしてこの好き勝手書き連ねていた
  ブログは、突然に終了してしまったのか・・・などと思われて
  いた方がいらっしゃったとしたらホントごめんなさい

  またこれからも好き勝手書き綴っていきたいと思います♪
  

                                 どら。
  





  3月14日(土)

  今日は公演があります"^_^"
  4度チュー吉くんです・・・^^;
  しかも本舞台・・・(>_<)
  こんなに続け様に本舞台を組む公演があることは珍しく・・・
  ・・・頑張ります・・・^_^;
























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