「100年に一度」ともいわれた世界的な金融・経済危機も最悪期を脱して、ようやく明るい兆しが見えてきた,ともいわれている。しかし,鹿児島県の経済情勢はというと,好転の兆しは出ていない。
ここで忘れてはならないのは,県下でも工場閉鎖が相次いだことである。それは北薩地域に集中した。県は対策の一環として東京に駐在員を常駐させ,新たな企業誘致を目指しているようであるが,付け焼き刃の対策と思えてならない。
日本の南端に位置し,を新幹線,空港,国際港湾そして高速道路が走るという鹿児島の地域特性を生かしての地域戦略,その延長線上での企業誘致を図るできである。---(この稿,続く)
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ここで,北薩地域の工場閉鎖,人員縮小の状況を一覧する。
▼日本特殊陶業(NGK)
同社は自動車販売の世界的な冷え込みから鹿児島・宮之城工場(さつま町)が,1月に稼働を3日程度休止した。これに伴い同工場の派遣社員140名全員を段階的に削減する。鹿児島・宮之城工場は一工場としては,世界最多の月産2400万個の製造能力を持つ。なお,稼働日を少なくする一時休止の減産体制は長期化する公算が大。
なお,削減対象者の7割にあたる約100人が町内在住者で残りも近隣地域の居住者。ほとんどは地元出身者やUターン者が占める。
▼富士通系列 FIM鹿児島工場 派遣削減の対象に
LSI(高密度集積回路)を製造する富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジ九州工場(FIM 薩摩川内市入来町 従業員 約760人)は,親会社・富士通マイクロエレクトロニクス(FML 本社・東京)は,デジタルカメラや自動車部品などに使うLSIなどの受注減少を理由に,3月末までに全国6工場で100人強を減らすという派遣社員削減計画の対象工場の一つとして,鹿児島工場の派遣社員の契約更新を見送る形で,人員削減を図った。
◇FIM九州工場は,78年に鹿児島富士通として設立。九州富士通エレクトロニクスへの社名変更をへて,2003年10月から富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジへ社名変更。九州工場の従業員(派遣社員を除く)は約760人。
▼パイオニア鹿児島工場閉鎖
出水市大野原町のパイオニア鹿児島工場が2月27日、閉鎖した。工場の生産は2008年12月23日終了。残務処理が行われていた。出水市によると、従業員511人が退職。57人が関東などのグループ内で配置転換するという。
工場は1969年創業のNEC鹿児島(現NEC液晶テクノロジー)が母体。98年にプラズマパネル生産の新工場を稼働し、04年にパイオニアが事業を買収した。
同社は08年5月、プラズマパネル事業からの撤退と同工場の閉鎖を発表。7月に次世代薄型パネル開発の会社が取得を表明したが、金融危機の影響などで資金のめどがたたず、断念した。
▼出水市 中島精管工業が民事再生法の適用申請
出水市に工場がある中島精管工業は大正11年創業の、千葉市の電子部品メーカーである。2000年には出水市緑町に鹿児島工場を開設し、プラズマディスプレイや発光ダイオードの関連部品などの製造を行ってきました。しかし、去年秋以降の景気の急速な悪化で受注量が激減し、千葉地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は44億円余りとみられています。
鹿児島工場については,存続も含めて検討中という。
▼NEC液晶テクノロジー鹿児島工場(出水市大野原町)を09年12月末に閉鎖
同工場の生産機能は秋田工場(秋田市)に統合し、従業員370人は秋田工場への配置転換か、希望退職を選択する。同社幹部らが同日、出水市と鹿児島県を訪れ説明した。同市の渋谷俊彦市長は「市民生活や地域経済に大きな影響がある。市商工会議所など関連団体と相談して対応していきたい」と話した。
▼関連HP
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