いま,地方スーパーの経営が揺らいでいる。その背景には人口減,少子高齢化の進行による消費量の減少に加え,同業間の出店競争の激化,さらにはコンビニエンスストア,ドラッグストアといった異業種にお客を奪われ,経営の存続が厳しい状況という,業界事情がある。
首都圏においては,昨年,埼玉と千葉を地盤とする中堅スーパーの「マルヤ」(東証2部)は,赤字経営から脱却できず,牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)に身売りした。ゼンショーホールディングスは,さらに千葉県の生鮮品ディスカウントで知られる「マルエイ」,栃木県の「ヤマグチスーパー(山口本店)」といった,地域密着経営の食品スーパー2社をも傘下に収めている。
◆ タイヨーにセブン&アイが触手?
「photo-KTSテレビニュースより」
こうした経営環境にあって,鹿児島県を地盤とする食品スーパーのタイヨー(売上高 1,285億円 93店舗 / 清川和彦社長)の動向が注目を集めている。同社は業績不振を挽回すべく,ID-POSの導入によるマーチャンダイジングの高度化,総菜の製販一体化の構築,さらにはネットスーパー事業の拡大に取り組んできたが,その効果はイマイチであった。
そこで,昨年,株式の非公開化による機動的な経営体制の構築と改装などを通した既存店の収益力改善,そして,管理コストの削減を目指すとして,MBOによる株式の非公開化(上場廃止)に踏み切った。株式の公開買付けに要する資金は,三井住友銀行から総額454億800万円を限度としての融資によるものであった。
そのタイヨーとセブン&アイ・ホールディングスが,「資本業務提携」との,噂が流れている。渦中の清川和彦社長は,「同業大手との資本提携や保有株式の売却は有り得ない」と断言しているというから,直ちに身売りは考えにくい話ではある。この辺の事情を,流通情報誌「激流」2014年6月号は,「鹿児島のタイヨーにセブン&アイが触手の噂」と題して詳述している。
"なぜセブン&アイなのか"。記事によると,噂の根拠は、今期、鈴木敏文会長が打ち出したオムニチャネル戦略にある。さらにタイヨーが融資を受けた三井住友銀行がセブン&アイのメインバンクであること,などをあげている。
(この項,続く)
⇒⇒ 鹿児島のタイヨーにセブン&アイが触手? その1
⇒⇒ 鹿児島のタイヨーにセブン&アイが触手? その3
特集 消費の変化が引き起こす「物流革命最前線」
・ 少子高齢社会が変える最適物流の在り方
・ ヤマト運輸 国内、海外を縦横に走る低コスト高付加価値の「止めない物流」
・ 佐川急便 グループ一丸で掘り起こす静脈物流の潜在ニーズ
・ 東京納品代行《センコーグループ》 海外ブランドも頼る価値追求のファッション物流
・ 丸和運輸機関 物流改善メニューでスーパーが抱える七つの課題を解決
・ ロジザード ネットショップの在庫管理をITの力でサポート
・ セブン&アイ・ホールディングス 現場を知り尽くすオムニチャネルの実証実験
・ ニトリホールディングス 海外調達から個配まで家具業界を制する物流ノウハウ
・ アスクル アマゾンを追撃するBtoC向け最適物流体制が始動
・ バロー 製造小売りに近付くプロフィットセンターを相次ぎ設立
・ 日本アクセス 強みのチルドをベースに小売業、メーカーに3PLを提案
・ キユーピー 食品物流の総合力を生かす物流品質と配送効率
・ 物流施設最新事情 ネット通販が大型物流施設開発競争に火をつけた
◎INTERVIEW
・この人に聞く 【ユニ・チャームペットケアカンパニー 森 信次 プレジデント】
・二つの高齢化が需要創出のチャンスを広げている
◎業界支援【メディセオ×インターシステムズジャパン】
・「ALC構想」で医薬品流通を刷新
◎中国レポート ・EC市場の急成長を支える、新興「宅配業」の物流戦略
◎特別レポート ・食品の有望市場・都市を巡る熾烈な小型店バトル
コンビニ 2014年 05月号 [雑誌]
コンビニ 14年05月号 (2014年04月24日発売) の目次
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【第1特殊】 進化する「近くて便利」
■セブンの進撃 <二つの競争力> セブンが向かう所に敵はあるのか
<スーパー侵食> 「普段の食事」をセブンが攻める
<視点>セブンプレミアムに見える生産重視の姿勢
<オムニ戦略> 鍵を握るセブンの「拠点化」
<視点> 物流の構築がオムニチャネルのポイント
<外食バトル> コーヒー激突「セブンvsマック」
<視点> セブンカフェの「先」に何があるのか?
<出店の脅威> 「質の高い大量出店」で独走
<商品戦略>
「近くて便利」の完成度高める
<差別化MD> 拡大するチルド「即食ライン」
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【第2特集】 大手3社の寡占化、「個店格差」広がる
■13年度コンビニ総決算
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【第3特集】景気浮揚で強まる採用競争を乗り切るポイント