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野際陽子さん-存在感のある脇役女優として活躍

2017-11-01 00:00:59 | 女ぷり


「やすらぎの郷」出演中だった野際陽子さんは,肺腺がんのため6月13日亡くなった(享年81)。 関係者によると,5月中旬にがんと肺炎を併発して体調が悪化し,都内の病院に緊急入院。その後は小康状態が続いた。

 昼ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日)の出演場面は残っており、脚本家の倉本聰氏(82)が体に負担がかからないように台本を書き換えていたが,野際さんはそれをきっちりとこなして女優魂を見せた。最後の収録は5月7日。「鼻にチューブをつけて臨まれましたが悲そう感はありませんでした」(スタッフ)という。その翌日8日に入院。そのまま退院することはなかった。



 存在感のある脇役女優として、お茶の間の好感度が高い野際陽子さん。「知的なのにユーモアがある」「なぜ,あんなに元気できれり?」,40代~60代女性や若い男女のファンも多かった。


堺正章(71)さんは,TBS特番『オールスター赤面申告!ハプニング大賞』で長年共演してきた、女優・野際陽子さんが6月13日に肺腺がんのため81歳で亡くなったことを受け「女優という枠から飛び出て,オールフリーで物事にあたる方でした。本当にさみしいです」と,故人をしのんだ。


TBS系ドラマ「ダブル・キッチン」などで共演した俳優伊東四朗(80)さんもコメントを出している。 「理知的なお顔に似合わずコメディー感覚をお持ちの方で喜劇人の私にとってはとてもやりやすい女優さんでした。台本を補う適切なアドリブには舌を巻きました。もう1度夫婦役をやりたかったです。ゆっくりお休み下さい」。


 


 


---------------70からはやけっぱち [ 野際陽子 ]


 内気な老女

 信じてもらえないかもしれないが、私は幼少の頃から人見知りで気が弱く、とても内気だった。わがままで、思いどおりにならないと、ところ構わずひっくり返って泣いたりする困った子ではあったらしいが、それはほんの偶さかで、普段、特に人前では、むやみにはしゃだり、首を傾げて可愛らしくオシャマなことを言ったり、友達と派手に喧嘩したりすることの殆ど無い、ごく大人しい目立たない女の子が私の記憶の中の自分の姿だ。

 5歳ぐらいの頃、熟を測る時、誰に聞いたのかこれがカッコいい測り方だと思って口で測っていたら、体温計がポキンと折れてしまったことがあった。困惑と叱られるという思いで暫くの間誰にも言えずにそのままくわえていて、だいぶ経ってから「折れちゃった」と母に小声で告白した。その時の両親の仰天、慌てぶりはいまだに忘れられない。口の中のものを吐き出させ、私を抱えて近くの医院に走った。体温計には水銀が使われていて、それが毒だなどということは勿論知らないから、「飲んでないでしょうね!!」という母の悲鳴のような声に、自分の仕出かしたことの重大さを知り、只々怯えて黙って領いていた。全く、命に係わる気弱さだ。
 戦中戦後の小学生時代、自由を謳歌した中学、高校時代も地味な自分の姿しか恩い出せない。それなりに楽しい少女時代ではあったが、少女雑誌の表紙モデルになったような凄い美人、ピアノコンクールで入賞した人、後に東大に入るような成績優秀な人のいる同窓生の中で、私は何事にも全く自信がなかった。授業中に稀に手を挙げて発言する時など、今では自分でも信じ難いが、立ち上がる前からドキドキして声の震えを必死で抑えていたものだ。
 大学時代は初恋が失恋という悲劇的状況だったから、勿論自分に自信などあるはずはなく、「私は野暮で魅力のない女だ」と思って、〝いい女になるための十か条″を作り地味に努力していた。何時だったか古いノートに書かれたその十か条を実家の納戸で見つけた。そこには〝自分の本心をあからさまに見せず、ミステリアスな女になるべし″なんていうことが大真面目に書いてあり、既に人生の実態をほぼ知ってしまっていた私は、そのいじらしいほどの幼さに大笑いしてしまった。
 NHK時代だって控えめな大人しいアナウンサーだったと思う。様々な失敗をしながら、ひたすら真面目に仕事に取り組み、色恋沙汰もはかばかしく実らず、地味に退局した。

                            出典: 70からはやけっぱち [ 野際陽子 ]     p110~111


 

















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 本書は、「毎日が発見」誌(角川マガジンズ、直販シニア月刊誌)に掲載された野際さんの水彩画イラスト入りエッセイ連載と、本人実写「野際体操」などの記事から再編集。仕事や趣味の絵に、美と健康維持に、日々楽しみながら奮闘する、おちゃめで真面目な野際さん=70代から元気をもらえる。




































   
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