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80歳代活躍の著名人--八名信夫(84歳)-80歳を過ぎてから映画監督に挑戦-2

2020-01-30 21:25:54 | 人生100歳時代

八名信夫さん、熊本を舞台にした自主映画の制作を発表

 

 悪役として多数の映画やテレビドラマに出演した俳優の八名信夫(84)さん,今月28日のテレ朝系「徹子の部屋」(月~金曜・正午)に出演し,80歳を過ぎてから映画監督に挑戦したことを明かす。
 東日本大震災の被災地で出会った少年の言葉に衝撃を受け,「自分にも何かできないか」と考えたのが,映画を作って支援をすることだった。60年の俳優生活で蓄えた私財を投げ打ち作った映画の収益は,義援金に当てているという。

 八名信夫さんは東日本大震災後、福島・南相馬市で劇団員を率いてボランティア活動を行った。そこで,子どもたちに欲しいものはないかと聞いて回ったが,今欲しいものはない、大きくなって故郷の役に立ちたいとの声を聞き,被災地を舞台とした映画を作り復興の助けとすることを思い立ったという。

 自主制作映画の1本目は「おやじの釜めしと編みかけのセーター」。制作費はすべて自分が出した。無料上映会をするたびに出費がかさんだが喜んでもらえたという。1作目の出演者のひとりが熊本地震にあい,熊本の人々との交流を通じて2作目「駄菓子屋小春」が作られた。製作費の大部分,約3500万円を自己負担した。

 映画の舞台は熊本地震から1年後のとある商店街。子供たちのために地上げ屋から駄菓子屋を守るおばあちゃんの姿を通し、震災を乗り越え強く生きる人々の姿を描いている。熊本市のほか,震度7を2回観測した益城町や宇土市で撮影した。
 「熊本は苦しくてもつらくても、自分を励まし,汗をかいて災害を乗り越えようとしている。北海道の地震に西日本豪雨と災害が多いが,全国に希望や勇気を与えたい」との思いからこの映画を作ったという。映画はこれまでに全国27箇所で無料上映され,会場で販売されたDVDの売上の一部を使い,被災地へ支援物資を送っているという。

 

八名さんは,今年が俳優人生60年目の節目とし,「自分が体験・蓄積してきてできるものは映画で、被災地を助ける少しでも力になる」と語る。
 私生活では30年ほど前に離婚。1人でスーパーに買い物に行き,料理も作っているそうで,得意料理や独り暮らしの日常を「徹子の部屋」で披露している。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 八名語録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分を大事にしろ

          出典:『こんにちは八名信夫です』 八名信夫著 p32~P35

 ある都市に講演にいったとき,迎えに来た先生が,
「ハ名さん,申し訳ありません。うちの学校はちょっと問題のある子が多くて。講演されていても,騒いだり,途中で出たり入ったり,迷惑をおかけするかもしれませんが,どうか許して下さい」って,困ったように何度も何度も頭を下げるんだ。
 最近の若い人は,話を聞くという習慣がないっていうか,じっと座って大人の話から何かを学ぼう,盗もうっていう態度を知らないんだ。
 学校でも,成人式でも新入社員の会でも,びっくりすることがよくあるから,俺もそんな話を聞いてもまたか位に思ってた。
 ところが,体育館に行って,驚いた。
 前の方に,寝転んでいる奴等がいる。ダルイ!つて (?) 感じで。 頭に金色のトサカ,真っ赤なモヒカンっていうのか? そういうのが五,六人。
 ズボンをケツ迄落として,いかにもだらしなく服を着ている奴がゴロゴロ。

 俺が出て行く前,校長先生が紹介して下さってる時に,出たり入ったり。足音をわざわざ高く立てて,これみよかしに,出入りするんだ。
 定時制高校だから,いろんな年代の人達はいるが,十六,七の学生がともかくひどい。
 先生も父兄も注意しない。出来ないのかも知れない。
「なんだ,こいつらー」
腹が立ってきてな。
舞台に出た途端に,
「立て! オイコラー・立て!」
目の前で寝転んでいる奴らに,おもいっきり怒鳴ってやった。
「なんだその態度はー・それが,人の話を聞く態度かー・立て-・立たんか!」
頭に来たから,本気で怒鳴った。
こいつ等を,このまんまにしていて,何も注意出来ない先生や父兄,大人達に腹が立ったてナ。
「俺の話を聞く気がないんなら,今すぐここから出て行け!先生やお父さん,お母さんにはは申し訳ないけど,聞く気のない奴等に俺は話したくないんです。俺だって,わざわざ東京からここへ来た。学校や父兄の皆さんは時間とお金を使って,この講演で皆んなが何かをつかんでくれたらと考えてくれたんだ。
 ま,俺の話なんか,ためにならないかもしれない。聞く気がないのなら,今すぐ出てって貰いたい!」
 俺も最近は若い人達によく出会う機会が多いが,モヒカンとかトサカ頭の高校生はさすがに初めてだったしナ。
 結構本気で怒鳴った。
 これで生徒達がガラツと少なくなっても,構わない。その時は先生に謝ればいいさ。
 そう覚悟していた。
 そうしたら,生徒達の座り方が変わった。
 姿勢を正して,話を聞くような顔になった。
 俺の目の前に寝転んでいた奴等,
 モヒカン,トサカも自分の椅子に戻った。
 いつもは途中で十人も二十人もぞろぞろ出たり入ったりしていると聞いていたが,始まる前にたった一人が出ていっただけだった。
 六百人もの若者達の前で,俺も大人げないが,つい真剣に怒鳴ってしまった。
 おまけにその日は,いつもの原稿と違う,本音で気持ちをぶつけて話した。
 若い奴等が俺の話を聞こうという態度に変わってくれたんだから。俺も真剣だった。
 終わって,校門を出る時,俺の車にさっきのトサカ,モヒカン,寝転んでいた二十人ほどの奴等が走って来て,
「今日のお話,感動しました。ありがとうございました」
と言ってくれた。
びっくりしたな。
ドラマかなんかみたいに,あいつらが送ってくれたんだ。
四国まで来て良かった!
その夜の酒のうまかったこと。

 

 

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