鋭い観察眼と深い洞察力で,多くの人から尊敬された野村克也さん(享年84)が2月11日,虚血性心不全で亡くなった。
photo出所:NHKテレビニュース画面
野村さんは,2017年12月に45年連れ添った最愛の妻・“サッチー”こと沙知代夫人(享年85)に先立たれた。その直後,「男って弱いわ。いるとうるさいと思うけど……ほんと,男って勝手だよ。。妻を亡くして初めてわかることが多い。先に逝かれると不便で仕方がない。やっぱり男は先に逝ったほうがいいよ」とボヤいていた。そして,亡くなる直前まで,野村さんは口を開くたびに「寂しい」と繰り返していたという。
『ありがとうを言えなくて』では,沙知代さんの思い出を綴っている。この自著の一節にこう記している。
野村さんは沙知代夫人を荼毘に付す直前,眠る沙知代さんに話しかけた。
《どうしても聞いてみたいことがあったのだ。
「幸せだったか」
思わず声が出てしまった。
当たり前だが,何も答えてはくれなかった》
(『ありがとうを言えなくて』より)