▼JR九州路線図(クリックすると拡大します)
JR九州の株式上場を承認 10月25日に東証上場予定
JR九州 http://www.jrkyushu.co.jp/profile/index.jsp は,10月25日に東京証券取引所、翌26日には福岡証券取引所に上場する。売り出し枚数は1億2千万株で、売り出し想定価格は2,450円,売り出し規模は約3,920億円となる見込み。JR九州にとって上場は,設立以来の悲願であった。
JR九州の発行済株式数は32万株(その後、発行済株式1株を500株に分割)で,そのすべてを国土交通省が所管する独立行政法人・鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が保有している。新規上場にあたっては,その一部が売りに出される。
新規上場株の引き受け証券会社はまだ発表されていないが,国内区分を担当する主幹事証券会社は,野村証券,三菱UFJモルガン・スタンレー証券,SMBC日興証券の3社である。
なお,JRグループの上場は,JR東日本,JR西日本,JR東海に続き,4社目となる。
出典:JR九州グループ 中期経営計画 2016-2018
http://www.jrkyushu.co.jp/medium-term_business_plan.pdf
┏┓
┗■ JR九州
JR九州は,1987年の国鉄分割民営化で誕生した。JRの上場は東日本,西日本,東海に次いで4社目。北海道,四国,九州のいわゆる「3島会社」の上場は初めてとなる。上場により,事業計画の策定や社長人事で国の認可が必要なくなり,経営の自主性が強まる。
JR九州の2015年度の連結決算によると,鉄道事業の売り上げが全体の4割で,営業利益は105億円の赤字。その一方,不動産,外食など鉄道以外の事業は合計323億円の黒字である。
JR九州は,2016年3月期決算で,民営化時に国から受けた3877億円の経営安定基金を取り崩し,年102億円の九州新幹線の使用料の一括前払いに2205億円、長期借入金の返済に800億円、鉄道事業に872億円をあて,財務基盤の強化を図った。また,鉄道関連の資産をほぼ全額減損処理し,鉄道事業のコストを圧縮した。こうした一連の措置により,2017年3月期は鉄道事業での黒字化を見込んでいる。
⇒⇒ JR九州 News Release ⇒ 平成27年度決算について
https://www.jrkyushu.co.jp/top_info/pdf/840/002H27kessan.pdf
●経営安定基金
経営安定基金は,北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)のJR3島会社の経営を支えるために設けられた基金である。1987年(昭和62)に国鉄が分割・民営化された際に,上述3社に交付された。
不採算の赤字ローカル路線を多く抱える3社共に鉄道事業で利益を出すのが困難なことから,経営安定基金の運用益で鉄道事業の赤字を穴埋めし,鉄道網を維持している。
基金の一部は独立行政法人である鉄道建設・運輸施設整備支援機構に高金利で貸し付けており,2015年(平成27)3月期に,JR九州は約126億円の運用益をあげている。
★━┓
┃☆┃
┗━★ 「JR」6社 経営の現状
◆JR北海道 http://www.jrhokkaido.co.jp/
・鉄道事業の赤字を経営安定基金で穴埋めする厳しい経営を強いられている。
・トラブルや不祥事が続く。
◆JR東日本 http://jr-central.co.jp/
・安定した黒字経営。
・沿線での街づくり,駅ビル開発などで収益性が高い。
◆JR東海 http://www.jreast.co.jp/
・安定した黒字経営。
・リニアの開発などで技術力が高い。
◆JR四国 http://www.jr-shikoku.co.jp/
・鉄道事業の赤字を経営安定基金で穴埋めする厳しい経営を強いられている。
・2013年度には,13件の車両故障が起きるなど,車両故障が相次いだ。
◆JR西日本 http://www.westjr.co.jp/
・黒字経営ではあるが,過疎地を多く抱え,経営基盤が弱い。
・地域と現場重視で再出発を図る。
◆JR九州 http://www.jrkyushu.co.jp/
・JR九州は,観光に力を入れている。九州では福岡を除く,佐賀,長崎,大分,宮崎,鹿児島県とも観光立県を目指していることから,JR九州の役割は大きい。