負の歴史は繰り返す・・・・。日産自動車には絶大な権力者にひざまずき,横暴を許容する風土があるのではあるまいか。
落日の轍 小説日産自動車 (文春文庫) | |
かつて日産自動車に君臨し〝天皇"と畏怖された男・塩路一郎。 組合員二十三万人の労働組合の総帥として,社長人事に影響を 及ぼし,経営を歪め,社内紛争を長引かせた。一方,豪華クル ーザーで遊び,愛人を囲い,私利私欲を極めた。なぜ彼は権勢 をほしいままにできたのか。大企業の病巣に切り込む実録小説。 |
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歴史は繰り返す・・・・・・・・・・
1970~80年代,日産自動車で〝天皇"と畏怖された男・塩路一郎。組合員二十三万人の労働組合の総帥として,社長人事にも影響を及ぼし,経営を歪め,社内紛争を長引かせた。一方,豪華クルーザーで遊び,愛人を囲い,私利私欲を極めた。
瀕死の組織に大なたを振るい,「聖域なき構造改革」を旗印に,日産自動車を見事に復活させ,「カリスマ経営者」とも称されたゴーン氏が,有価証券報告書の数十億円に及ぶ虚偽記載や家族で使用する約16億円のクルーザー購入などに会社資金の不正流用の疑いで逮捕,起訴された。この事態に 社長西川廣人(さいかわひろと)氏は,「一人に権限が集中し過ぎた。ゴーン統治の負の側面と言わざるを得ない」と述べた。---まさに,負の歴史は繰り返すである。日産自動車には絶大な権力者にひれふし,独裁を許容する風土があるのではあるまいか。
『落日の轍 小説日産自動車 (文春文庫)』は,大企業の病巣に切り込む実録小説。この小説は,こんな書き出しに始まる。
《八月三十日が近づくと,日産自動車の社長,石原俊(たかし)(七十一歳)は憂鬱になる。
今年はとくにその思いが強い。この日は日産自動車労働組合の創立記念日に当たる。
例年,石原は記念総会に招かれ,経営側を代表して祝辞を述べるならわしだ。
記念総会の挨拶で,塩路が経営批判をするようになったのは一二,四年前からであろうか。
塩路一郎。五十六歳。いうまでもなく自動車労連(日本自動車産業労働組合連合
会) の会長として,日産自動車を中心に関連会社を含めたいわゆるク日産困〟二十
三万人の組合員の頂点に立ち,自動車会社の労組を網羅した自動車総連の会長でも
ある。〝ク塩路天皇"を自他共に認め,畏怖されていることを誇りとし,二十年余に
わたって日産労組のリーダーとして君臨しつづけてきた。
出典:『落日の轍 小説日産自動車 7ページ~8ページ』
ゴーン氏は,2001年に仏ルノーから送り込まれたは瀕死の組織に大なたを振るい,「聖域なき構造改革」の旗印のもと,「痛みを伴う荒治療」で見事日産をに復活させ,「カリスマ経営者」とも称された。
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