(2022-5-3-第2稿)
弟(行年75歳)の急死をきっかけに,78歳たる我が身を鑑み人生の終盤に向けての生き方を考えてみました。なお,新型コロナウイルス根絶は難い状況にあることから,「ウィズ・コロナ」で,さらには100年に一度と言われる時代変化に対応しての人生設計に当たることにしました。
まずは本から知識を得ることとし,蔵書の中からこれからの人生設計を考えるに当たり参考となりそうな本39冊,雑誌4冊の計43冊をピックアップし,斜め読みしました。そのうち,書かれている内容に納得,共感した,小沢 昭一著『老いらくの花』,萩本欽一著『人生後半戦、これでいいの』,五木寛之著『捨てない生きかた』と弘兼憲史著『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』の4冊をじっくり読み込みました。
■ 『老いらくの花』 8ページ 小沢 昭一著
物忘れもここ五年で進みまして、人の名前なんか親しい人でも出てきません。(略)
耳も遠くなりまして、また近頃の若い人は声が小さい。聞こえてるふりでフンフンとうなずいています。(略)でも私、そういうガタのきた老いを全然苦にしておりません。むしろ、俺もやっとオモシロイ老人になってきたなァと楽しんでおります。
若い時から、へンな老人に憧れていたフシもありまして、そうなりつつあるのですから、そんな今の自分を愛しておりますよ。
ささやかながら今も現役でいられることを、ありがたいとは思うのですが、私は例の 「生涯現役」という言葉、どうもなじめません。むしろそれより「退役悠々」。退役の方が無精をきめられてラクです。
■ 『人生後半戦、これでいいの』 46ページ 萩本欽一著
死ぬための準備や用意はしていますか、と時々訊かれます。ぼくは全然していません。 自分は死ぬんだって意識してしまうと、きっと何もする気がなくなってしまうんじゃないかな。 おそらく一番幸せなのは「明日、あれをやらなきやいけない」 って思いながら死ぬことでしょうね。
■『捨てない生きかた』 五木寛之著
コロナ禍によって私たちは新たな経験をしました。 まだ終わったわけではありませんし、歴史的な事実になったわけでもないのですが、ひょっとしたらこれが新しい時代、(捨てない生きかた) のはじまりのような気がしてならないのです。
■ 『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』-はじめより- 弘兼憲史著
「常識」という棚にしまったすべてのものを一度おろして,ひとつひとつ吟味してみませんか。そうすれば,きっとこれからの人生に必要なものと必要でないものが見えてくるはずです。
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▼4氏,四冊から得た-人生の終盤に向けての生き方-5つの教訓-
四冊から得た教訓は,次の通りです。
・続けること:こうと決めたら長期にわたり持続的に取り組んでいく。
・チャレンジ精神:好奇心をもち,新しい試みに積極的にチャレンジする。
・失敗は成功の母:失敗は成功の母と思え。失敗を恐れず,失敗しても落ち込まないこと。
・時の流れに目を凝らす:時代変化,特に変革(ブレイクスルー)となる出来事は見逃さず,それへの対応を怠らない。
・孤高の人:慕われ,頼りにされるが,徒党を組むことなく,孤高に我が道を歩む。
▼4氏の人となりのすばらしさ-小沢 昭一,萩本欽一,五木寛之,そして弘兼憲史,四氏の共通点
人格面でこの4氏に共通する素晴らしさを学びました。それは,
・それぞれの分野で道を究めておられる
・時流にまどわされることなく独自の道,自分流を追求しておられる
・独自の道,自分流の追求は,思いつきや一時的なものではなく,長期にわたり持続的に進めておられる。
・多くの同調者,ファンを持っておられる
・自分の考え(主張)に固執したり,「絶対こうすべき」との決めつけではなく,あくまで一つの考え方,方法だと繰り返し説いておられる謙虚さ
上述の5点が,私が思うところの4氏に共通する素晴らしい人間性です。人生レースではホームストレッチにある我が身です。4氏の卓越さには到底追いつけるものではありませんが,たとえ一歩でも近づけるよう走り抜きます。
>> 4冊の本・78歳からの人生設計 掲載一覧(バックナンバー)
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・7 ~弘兼憲史さん「手ぶら人生」~ 2022-04-29
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・6 ~五木寛之さん ガラクタに囲まれて~ 2022-04-26
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・5 ~欽ちゃん 死ぬための準備なんかいらない~ 2022-04-23
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・4 ~小沢昭一さん 退役悠々~ 2022-04-19
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老いらくの花
小沢 昭一
文藝春秋
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人生後半戦、これ でいいの (ポプラ新 書) |
捨てない生きかた
五木寛之
マガジンハウス
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増補版-弘兼流 60歳 からの手ぶら人生 (中 公新書ラクレ, 763) 弘兼 憲史
中央公論新社
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ところで,弘兼憲史さんの『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』を読み終え,本棚のもとあった場所に返しふと隣をみると奥様の紫門ふみさん著『老いては夫を従え』が,目に入りました。それを読んでビックリ仰天です。弘兼さんのこと,ボロクソに書かれていたのです。曰く,・・・・・
●妻(紫門ふみさん)の乳がん手術当日(152ページ)
-夫は前から入っていた講演のため地方へ行っていて不在。まあ,そういうオトコなのである。
●若さを保つ秘訣-新しいことを覚えなかったこと-(84ページ)
相変わらずパソコンには、触らない。彼はキーボードが打てないのである。仕事場には一応最新機種があり、メールアドレスも持っているのだが、メールボックスを開けられないのでメールで仕事のやり取りはしない。すべて電話とファックスですませている。どう
してパソコンを使わないのかと、人から尋ねられると、「調べたいことが出てくれば、アシスタントに検索してプリントアウトしてもらう。だから俺はパソコンをいじらない」胸を張って答えるのだ。いじらないのではなく、いじろうとしないから、いじれないのだ。
iPodにダウンロードなどもちろんできないので、好きな音楽は、CDかカセットで聞く六十六歳である。
しかし、相変わらず元気いっぱいで毎日精力的に活動する夫を見ていると、「この十数年、新しいことを覚えなかったことが、彼の若さを保つ秘訣なのかも」
私はそんな風に思い始めた。
この奥様の厳しいご指摘。どうとらえたら良いのでしょうか・・・・・・・・・・・・。
『島耕作』シリーズでおなじみの弘兼憲史さん,ベストセラー『東京ラブストーリー』など,時代に合わせて幅広い世代の恋愛ストーリーを執筆し,「恋愛の神様」とも呼ばれる漫画家の柴門ふみさんは,ともに売れっこ夫婦です。
(この項,次回に続きます。)
>>>ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計 掲載一覧(バックナンバー)
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・7 ~弘兼憲史さん「手ぶら人生」~ 2022-04-29
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・6 ~五木寛之さん ガラクタに囲まれて~ 2022-04-26
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・5 ~欽ちゃん 死ぬための準備なんかいらない~ 2022-04-23
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・4 ~小沢昭一さん 退役悠々~ 2022-04-19
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・3 ~参考とした本43冊~ 2022-04-14
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・2 ~デジタル終活~ 2022-04-12
・ウィズ・コロナ時代 78歳からの人生設計・1 ~わたし終(じま)い~ 2022-03-19