野際陽子さん(享年81)が逝って四年。6月13日が命日。
大ヒットドラマには常にこの人あり。そう言いたくなるほど存在感のある役柄を数多く演じてきた野際さん。
野際さんに肺腺がんが発覚したのは,2014年。幸い早期発見だったため,手術は成功。しかし翌15年4月,がんが再発。腫瘍の摘出手術を受けた。その後再々発するも,抗がん剤治療が功を奏したことで復帰を果たしている。
だが,がんは次第に身体をむしばんでいく。そして2017年5月,肺炎を併発して入院してした。野際さんはドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)に出演していたが,なんと入院の前日まで撮影に臨んでいたという。
野際さんは,「週刊女性」2015年5月19日号で,“80歳を迎える野際さん。これから挑戦してみたいことは?”,との問いかけに次のように応えている
「うーん,ゴルフは興味がないし,動物は好きだけど乗馬は落っこちたら大変だし,スカイダイビングは途中で死んじゃいそうだし(笑い)。いろいろ考えてみると,そんなにやりたいことってないのね。だから今までどおり,1日1日を大切に過ごしていきたい。年をとることをネガティブに考えても仕方ないし,毎日を楽しく暮らしていければ,それが一番じゃないでしょうか」
---ドラマ『やすらぎの郷』では,入院の前日まで撮影に臨んだという,エピソードと重なる言葉である。
■ユーモアたっぷりに日々の暮らしを綴る-
2015/5月,79歳の時,エッセー『70からはやけっぱち』を出版している。
そこでは,5年ほど前から始めたという水彩画とともに綴られる人気女優の日々の暮らし。体重が増えたことを嘆いたり,庭で見つけた怪しげな虫を飼ってみたり,飼い犬たちの世話に奮闘したりといった毎日が,茶目っ気たっぷりに語られている。
内気な老女 p110
信じてもらえないかもしれないが、私は幼少の頃から人見知りで気が弱く、とても内気だった。我儘(わがまま)で、思いどおりにならないと、ところ構わずひっくり返って泣いたりする困った子ではあったらしいが、それはほんの偶(たま)さかで、普段、特に人前では、むやみに燥(はし)ゃいだり、首を傾げて可愛らしくオシャマなことを言ったり、友達と派手に喧嘩したりすることの殆ど無い、ごく大人しい目立たない女の子が私の記憶の中の自分の姿だ。・・・・・(以下略)
-p111
大学時代は初恋が失恋という悲劇的状況だったから、勿論自分に自信などあるはずはなく、「私は野暮で魅力のない女だ」と思って、〝いい女になるための十か条″を作り地味に努力していた。何時だったか古いノートに書かれたその十か条を実家の納戸で見つけた。そこには〝自分の本心をあからさまに見せず、ミステリアスな女になるべし″なんていうことが大真面目に書いてあり、既に人生の実態をほぼ知ってしまっていた私は、そのいじらしいほどの幼さに大笑いしてしまった。
NHK時代だって控えめな大人しいアナウンサーだったと思う。様々な失敗をしながら、ひたすら真面目に仕事に取り組み、色恋沙汰も捗々(はかばか)しく実らず、地味に退局した。
◆野際 陽子(のぎわ ようこ,1936年1月24日 - 2017年6月13日)
野際さんは富山県富山市生まれ。3歳から東京・杉並で育ち,立教大卒業後の58年には,NHKにアナウンサーとして入局した。60年から同局「おはようみなさん」の司会などで活躍したが,62年にNHKを退職。その後,フリーアナとしてTBS系「女性専科」の司会を務めた。
63年にTBS系「悲(ひ)の器」で女優デビュー。大学時代に劇団に所属していたこともあって,以後は女優として活躍していく。66年にはあこがれだったフランスのソルボンヌ大学に留学し仏文学を学んだ。帰国後の68年,TBS系「キイハンター」で女優復帰した。同番組は5年間放送され,最盛期には視聴率30%を超える大ヒットとなり,野際さんの代表作ともなった。
NHKのアナウンサー時代から交流のある女優の黒柳徹子(87)と公私ともに交流が深く,テレビ朝日系「徹子の部屋」には女性ゲストでは最多の21回出演していた。
楽天KOBO | |||||
|
|
||||
1-----
⇒⇒ 週間女性 2017/6/27 ⇒ 野際陽子(81)『やすらぎの郷』に出演中も体調を崩し,緊急入院していた http://www.jprime.jp/articles/-/9881
▼やすらぎの郷【テレ朝動画】 第17話-野際さん出演シーン
井深凉子(野際陽子)は,なぜスターの名前を捨て濃野佐志美に生まれ変わったのか,その理由を菊村栄(石坂浩二)に語る。凉子の言い分にある程度の理解を示す栄。その上で,「物書きには物書きの,守らなくちゃい…
やすらぎの郷【テレ朝動画】 第17話【動画配信】
やすらぎの郷 中 第46話〜 第90話 [ 倉本 聰 ] |
ノクターンー夜想曲/明日、 悲別で (倉本聰戯曲全集) [ 倉本聡 ] |
見る前に跳んだ 私の履歴書 [ 倉本聡 ] | ||
双葉社刊 1,620円(税込) 送料無料 |
新日本出版社刊 2,700円(税込) 送料無料 |
日本経済新聞出版社刊 1,728円(税込)送料無料 | ||