1月19日,なにげなく聞いていた午後1時からの「文化放送大竹まこと ゴールデンラジオ」のイントロで,定額給付金が取り上げられました。
そこで,評論家の宮崎哲弥氏が,「テレビのパーソナリティーが軒並み定額給付金に反対しているのはおかしい」とし,「定額給付金はやらないよりやったほうがいい。日本では異常なバラマキのように思われているが,フランスでもオーストラリアでも,アメリカのオバマさん(次期大統領)も,(定額給付金に)似たような政策を提示している」と定額給付金について景気対策として評価する発言を行っていることを紹介しました。
この宮崎氏の意見に対比して,師伊東光晴先生(京都大学名誉教授)が,毎日新聞と朝日新聞に書かれた(1月11日,「大不況 政府・企業がすべきことは?」)が話題にのぼりました。パーソナリティの大竹さんが,毎日新聞紙上で,「理論経済学の権威 伊東さんは,<こんなもと役に立たない>と明解に否定している・・」と,話はじめたので思わず,聞き耳を立てた次第です。
1927年生まれの伊東先生,ときおり鹿児島ー東京を日帰りのとんぼ返りされる元気いっぱいの現役。つい先日も,大学のラウンジでお会いしたばかり。
▼関連ブログ
定額給付金 伊東光晴の提言3
定額給付金 伊東光晴の提言2
◇その1-毎日新聞 風知草:給付金騒動とケインズ=専門編集委員・山田孝男
理論経済学の権威,伊東光晴(81)=京都大名誉教授=に聞くと,「ない」と言う。あっさりしたものだ。・・・(中略)
「総花的な大盤振る舞いはやめ,地域の実情に合わせてきめ細かい対策を」という論旨であるらしい。財政出動の効果が望めない今日の日本にとって参考になるのは,このころの論文だと伊東は見ている。
◇その2-朝日新聞1月11日 「大不況 政府・企業がすべきことは?」)
うかつにも,我が家は産経新聞ということもあって,朝日新聞の先生の論説,読み落としていました。ブログを参考に先生の考え方を要約すると,(引用 ケインズとドラッカーの碩学からの提言)
『派遣労働制度は日本と韓国にしかない。派遣労働を政府が認めたことは,中間搾取を無くすという戦後の労働政策の原則を崩壊させた。「国際競争が大変だ」とか「コストを下げる必要がある」などとグローバル化を理由としたが,それなら,世界中が派遣制度を導入しているはずです」
「規制緩和がこんな事態を生じさせた。「派遣切り」された人達や失業者に対して生活保護に相当する額,例えば月12万円を渡してはどうか。100万人換算で,年に約1兆5千万円。定額給付金をやめれば実現できます。
だから月10万円の派遣労働なんかには行くな,と。そうして派遣をやめさせていきます。こうした市場経済の「ゆがみ」が集中している高齢者,失業者,貧しい母子家庭などに対する対策を講じるため,消費税を上げることも含めて,広く集めた税でそうした恵まれない人達に支出するのです。
それによって,所得再分配をはかるだけでなく,出すことによって安定した社会を実現するのです。』
◆参考ブログ:
「いまケインズ,ドラッカーなら」印象に残った朝日の識者コメント
「ケインズとドラッカーの碩学からの提言」
▼誤った理論は誤った政策を導く
この機会に,-誤った理論は誤った政策を導く-とする,伊東先生の近著06年刊の『日本経済を問う』岩波書店を,ご紹介します。 (次回に続く)
そこで,評論家の宮崎哲弥氏が,「テレビのパーソナリティーが軒並み定額給付金に反対しているのはおかしい」とし,「定額給付金はやらないよりやったほうがいい。日本では異常なバラマキのように思われているが,フランスでもオーストラリアでも,アメリカのオバマさん(次期大統領)も,(定額給付金に)似たような政策を提示している」と定額給付金について景気対策として評価する発言を行っていることを紹介しました。
この宮崎氏の意見に対比して,師伊東光晴先生(京都大学名誉教授)が,毎日新聞と朝日新聞に書かれた(1月11日,「大不況 政府・企業がすべきことは?」)が話題にのぼりました。パーソナリティの大竹さんが,毎日新聞紙上で,「理論経済学の権威 伊東さんは,<こんなもと役に立たない>と明解に否定している・・」と,話はじめたので思わず,聞き耳を立てた次第です。
1927年生まれの伊東先生,ときおり鹿児島ー東京を日帰りのとんぼ返りされる元気いっぱいの現役。つい先日も,大学のラウンジでお会いしたばかり。
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定額給付金 伊東光晴の提言3
定額給付金 伊東光晴の提言2
◇その1-毎日新聞 風知草:給付金騒動とケインズ=専門編集委員・山田孝男
理論経済学の権威,伊東光晴(81)=京都大名誉教授=に聞くと,「ない」と言う。あっさりしたものだ。・・・(中略)
「総花的な大盤振る舞いはやめ,地域の実情に合わせてきめ細かい対策を」という論旨であるらしい。財政出動の効果が望めない今日の日本にとって参考になるのは,このころの論文だと伊東は見ている。
◇その2-朝日新聞1月11日 「大不況 政府・企業がすべきことは?」)
うかつにも,我が家は産経新聞ということもあって,朝日新聞の先生の論説,読み落としていました。ブログを参考に先生の考え方を要約すると,(引用 ケインズとドラッカーの碩学からの提言)
『派遣労働制度は日本と韓国にしかない。派遣労働を政府が認めたことは,中間搾取を無くすという戦後の労働政策の原則を崩壊させた。「国際競争が大変だ」とか「コストを下げる必要がある」などとグローバル化を理由としたが,それなら,世界中が派遣制度を導入しているはずです」
「規制緩和がこんな事態を生じさせた。「派遣切り」された人達や失業者に対して生活保護に相当する額,例えば月12万円を渡してはどうか。100万人換算で,年に約1兆5千万円。定額給付金をやめれば実現できます。
だから月10万円の派遣労働なんかには行くな,と。そうして派遣をやめさせていきます。こうした市場経済の「ゆがみ」が集中している高齢者,失業者,貧しい母子家庭などに対する対策を講じるため,消費税を上げることも含めて,広く集めた税でそうした恵まれない人達に支出するのです。
それによって,所得再分配をはかるだけでなく,出すことによって安定した社会を実現するのです。』
◆参考ブログ:
「いまケインズ,ドラッカーなら」印象に残った朝日の識者コメント
「ケインズとドラッカーの碩学からの提言」
▼誤った理論は誤った政策を導く
この機会に,-誤った理論は誤った政策を導く-とする,伊東先生の近著06年刊の『日本経済を問う』岩波書店を,ご紹介します。 (次回に続く)
日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く伊東 光晴岩波書店このアイテムの詳細を見る |
現代に生きるケインズ―モラル・サイエンスとしての経済理論 (岩波新書)伊東 光晴岩波書店このアイテムの詳細を見る |