職場におけるパワーハラスメントの内容
1.パワーハラスメントの定義
パワハラ防止指針(パワハラ指針)は、パワーハラスメントの定義を「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう」とし、また「なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない」とも記載している。
この指針のパワーハラスメント定義の根拠は、パワハラ防止法の第30条の2に規定された「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」という条文になる。
この条文に至る厚生労働省でのパワーハラスメント定義の変遷を簡潔に辿ると、まず、2012年(平成24年)1月30日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が報告書を公表したが、職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義している。
この厚生労働省の円卓会議ワーキング・グループ報告書の定義は「職務上の地位」だけでなく「人間関係などの職場内の優位性」も付け加え、上司のパワーハラスメントだけでなく同僚や部下のパワハラも対象としたことが、特筆することができる。このことは、今回のパワハラ防止指針にも引き継がれている。
さらに厚生労働省は、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するための方策の検討を行うため、有識者や労使関係者からなる「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を設置し、第1回会合は2017年(平成29年)5月19日に開催された。
この「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」は、2017年(平成29年)3月に決定した「働き方改革実行計画」(働き方改革実現会議決定)において「労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う」とされたことを踏まえて、厚生労働省が設置した検討会になる。(4)
そして厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」は2018年(平成30年)3月30日付で報告書をまとめて公表し、報告書において「パワハラ概念3要素と5対応策案」(5)を示して、今後、とるべき対応等は労働政策審議会での議論に委ねるとした。しかし、「パワハラ概念3要素」と呼ばれるパワーハラスメント定義については、ほぼ変わることはなかった。
(4) 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会 開催要綱
1 開催趣旨
近年、都道府県労働局において、職場における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加しているなど、職場のパワーハラスメントが大きな問題となっており、働く方々が健康で意欲を持って働くためには、労働時間管理やメンタルヘルス対策だけではなく、職場のパワーハラスメントを防止する必要がある。
こうした中で、働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、「職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。」こととされた。
これを受け、有識者と労使関係者からなる検討会を開催し、実効性のある職場のパワーハラスメント防止対策について、検討を行う。
2 検討事項
以下の事項を中心に検討を行う。
・職場のパワーハラスメントの実態や課題の把握
・職場のパワーハラスメント防止を強化するための方策
・その他
3 運営
・本検討会は、厚生労働省労働基準局長が有識者の参集を求めて開催する。
・本検討会の庶務は、厚生労働省労働基準局勤労者生活課において行う。
・本検討会の座長は、参集者の互選により選出する。
・本検討会の配付資料、議事録については、別に申し合わせた場合を除き、公開とする。
(5) 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書「パワハラ概念3要素と5対応策案」
・パワハラ3概念要素
1 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
2 業務の適正な範囲を超えて行われること
3 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
・パワハラ防止5対応策案
1 行為者の刑事責任、民事責任(刑事罰、不法行為)
2 事業主に対する損害賠償請求の根拠の規定(民事効)
3 事業主に対する措置義務
4 事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示
5 社会機運の醸成
1.パワーハラスメントの定義
パワハラ防止指針(パワハラ指針)は、パワーハラスメントの定義を「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう」とし、また「なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない」とも記載している。
この指針のパワーハラスメント定義の根拠は、パワハラ防止法の第30条の2に規定された「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」という条文になる。
この条文に至る厚生労働省でのパワーハラスメント定義の変遷を簡潔に辿ると、まず、2012年(平成24年)1月30日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が報告書を公表したが、職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義している。
この厚生労働省の円卓会議ワーキング・グループ報告書の定義は「職務上の地位」だけでなく「人間関係などの職場内の優位性」も付け加え、上司のパワーハラスメントだけでなく同僚や部下のパワハラも対象としたことが、特筆することができる。このことは、今回のパワハラ防止指針にも引き継がれている。
さらに厚生労働省は、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するための方策の検討を行うため、有識者や労使関係者からなる「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を設置し、第1回会合は2017年(平成29年)5月19日に開催された。
この「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」は、2017年(平成29年)3月に決定した「働き方改革実行計画」(働き方改革実現会議決定)において「労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う」とされたことを踏まえて、厚生労働省が設置した検討会になる。(4)
そして厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」は2018年(平成30年)3月30日付で報告書をまとめて公表し、報告書において「パワハラ概念3要素と5対応策案」(5)を示して、今後、とるべき対応等は労働政策審議会での議論に委ねるとした。しかし、「パワハラ概念3要素」と呼ばれるパワーハラスメント定義については、ほぼ変わることはなかった。
(4) 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会 開催要綱
1 開催趣旨
近年、都道府県労働局において、職場における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加しているなど、職場のパワーハラスメントが大きな問題となっており、働く方々が健康で意欲を持って働くためには、労働時間管理やメンタルヘルス対策だけではなく、職場のパワーハラスメントを防止する必要がある。
こうした中で、働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、「職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。」こととされた。
これを受け、有識者と労使関係者からなる検討会を開催し、実効性のある職場のパワーハラスメント防止対策について、検討を行う。
2 検討事項
以下の事項を中心に検討を行う。
・職場のパワーハラスメントの実態や課題の把握
・職場のパワーハラスメント防止を強化するための方策
・その他
3 運営
・本検討会は、厚生労働省労働基準局長が有識者の参集を求めて開催する。
・本検討会の庶務は、厚生労働省労働基準局勤労者生活課において行う。
・本検討会の座長は、参集者の互選により選出する。
・本検討会の配付資料、議事録については、別に申し合わせた場合を除き、公開とする。
(5) 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書「パワハラ概念3要素と5対応策案」
・パワハラ3概念要素
1 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
2 業務の適正な範囲を超えて行われること
3 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
・パワハラ防止5対応策案
1 行為者の刑事責任、民事責任(刑事罰、不法行為)
2 事業主に対する損害賠償請求の根拠の規定(民事効)
3 事業主に対する措置義務
4 事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示
5 社会機運の醸成