黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

運河の終わり

2007-08-25 05:55:31 | 都市景観


東京の下町と呼ばれる江東区に張り巡らされる無数の運河。
その殆どは、いずれ小さな河川に合流し、
やがて荒川や隅田川へと流れ込んで行くけれど、
いくつかそうはいかない運河があります。
どこへ合流する訳でもなく、暗渠になって地下に潜る訳でもなく、
ただそこで行き止まりになってしまう運河の終わり。

本来川ならば終わりではなく始まりなのかもしれないけど、
運河は川筋から人工的に造られたモノなので、
先へ行けば行く程、それは終わりへ近づいて行くことになるのだろうか。

かつては商船が行き交い、荷揚げ荷下ろしが盛んに行われたかも知れない
運河の終わり。
でも今は商船もトラックにその仕事を譲り、
決して船が入ってくる事のなくなった、
運河の終わり。
鉄のプレートでせき止められ、
更に川からは何回も曲がってくるため、水の流れも殆どない、
運河の終わり。
申し訳程度に育つ雑草だけが毎日見ている、
運河の終わり。
水の流れが止まっているのに同調するかのように、
あたりの空気も停まっているかのような印象を受ける、
運河の終わり。

そんな運河の終わりに、魅力を感じます。


最新の画像もっと見る

post a comment