黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

佃島:綺麗に残る長屋街に感動

2018-02-16 23:48:09 | 東京 URBEX
先日オフ会的に催行した街歩き『東京古埋立地と呑み散歩』で、
久しぶりに訪れた佃島。
戦前からの小さめな戸建ての区画が残っている場所は多いものの、
すでに小綺麗な(=味のない)建家に建て替えられたものも多く、
ホコロビのように残る戦前の建物から、
東京の原風景を観てみたいと思います。
※佃島の概要は前々回の記事を参照


→google map

前回の記事でアップした三軒三様の看板建築のすぐ裏手には、
かろうじて長屋街とよべる一角が残っています。
玄関扉と二階のベランダを中心に、
かなりリフォームされてはいますが、
その躯体や街並はおそらく創建当時のものだと思います。

画像に写ってる並びはすべて二階建てですが、
反対側はなぜか1階建てとという変則的な路地です。







冒頭の画像も含めて、
建家が微妙に歪んでいるのがアジといえばアジ。
このお宅は、外壁を黒いトタンに張り替え、
窓周りをブルーに塗装し直したようです。







最初の画像の路地のほぼ中央には、
コンクリ製の防火水槽と井戸が残っていました。
特にその付近だけ広くなっているわけではありませんが、
かつては、井戸端会議の声が絶えなかった場所だと思います。
用水槽、井戸、そして最初の画像に写る中央を貫くドブは、
まさに典型的な長屋街の造りそのもの。







長屋の路地に入る手前のエリアには、
長屋より豪勢な造りの仕舞屋(しもたや)が並んでいます。
これが、おもに長屋の大家が建てる「表店(おもてだな)」とよばれる建家で、
その奥に、二つ前の画像のように、
大家に家賃を支払う裏長屋の形が残っているのに驚かされます。
ちなみに、表店が並ぶ様子を撮影し忘れていたので、
表店の軒先に施工された、理容店の看板付ベランダだけアップしておきます。







きれいな形で残る長屋街からほどなくした所には、
うどんをメインにした「亀屋食堂」があります。
看板や暖簾とは裏腹に、ちょっとモダンな看板建築。
ちなみにこのお店の看板建築は、正面のみのフラットタイプではなく、
側面へ回り込んだ部分がある、すこし凝った造りの看板建築でした。







最後は、亀屋食堂から南へ移動したところにある、
かつての畳屋さんを改装した焼き鳥屋さんの「幸侍(こうじ)
(いまでも昼は畳屋さんなのかな?)
これまで観て来た出桁造りが、
ほとんどそのままの姿で残る町家の焼き鳥屋さんです。
内装もおそらく主要な箇所は創建当時のままではないかと思います。
なかなか知り合いでもいない限り、
出桁町家の内部を観ることはできないので、
ぜひコノお店で観て欲しいと思います。


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