黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

東京ノスタルジア:田中吉左衛門商店と白亜荘

2008-05-29 07:37:36 | 東京 URBEX
仕事で出かけた南麻布。
帰りに界隈をちょっと歩いた時にあった、極上のノスタルな建物。
(資)田中吉左衛門商店と白亜荘。



都内では大きい寺院が銭湯くらいでしかみかけなくなった、
入母屋造りの屋根を見ただけでも、この物件がただものでないことがわかります。
窓枠にとどまらずテラスまでもが木製。
まどの上にちょこっと付いた瓦の乗る張出し屋根。





どうやら1階が田中吉左衛門商店、
2階が白亜荘らしいですが、2階は賃貸住宅でしょうか。
店の軒先に薄く設置されたトタン屋根を支える木製の支柱も、
またいい感じです。





見られる部分は建物の前面だけなので、
撮影できるところも限られますが、
それでもどこを見ても見所満載です。
程よく錆び付いた看板に書かれた重厚なお名前、
懐かしの合資会社、
無造作に並ぶぼってりとした機械類。





1階の商店部分を正面から見てみます。
機械類も、積まれた板も、ガラス扉も、
全てがチョコレート色に統一された世界。





白亜荘の玄関のほうも見てみると、
右書き文字の荘名、
シンプルながら時代を感じる天窓のデザイン、
扉に斜めに設置された真鍮のドアパイプや、
裾広がりの3段の階段などなど、
どこを見てもあまりのノスタルに、涙がとまりません。 

ちなみに田中吉左衛門商店は工作機械器具の会社のようで、
この界隈に、他にも何軒かあるようです。

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2 Comments

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フルネーム (えいはち)
2008-05-30 01:25:29
またこれはスゴイ物件がありましたね。
フルネームのついた屋号って、いろいろ見聞を広めた今では、
それほど珍しいものとは感じなくなりましたが、
学生時代に教室でこんな会話をしていたことを思い出しました。
「おい、聞いてくれ。千葉の松戸に『マツモトキヨシ』って薬局があるんだと!」
「えー、嘘だー!」
1980年代前半のことだったと思います。
先日コメントさせていただいた大戸屋もそうですが、隔世の感があります。
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▼えいはちさんへ (廃墟徒然草)
2008-05-30 06:40:50
ですよね、けっこう凄いですよね!
屋号にフルネームはそんなにびっくりしませんが、
「吉左衛門」さんっていう名前から、
何代前から操業されてるんだろう?
もしかしてまだ吉左衛門さんが運営されているんだろうか?
とか、いろいろ思ってしまいました。
 
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