遠(かなた)の世界

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三浦春馬氏イメージ短編「瞳があなた!」第一、二章

2021-04-26 12:09:42 | 三浦春馬

<イメージ>
  冴久馬(さくま) ――― 三浦春馬
    マナ ―――――― ??

    < 第 一 章 >

 見えるものは、真っ赤なゆらぐ柱。めらめらと……。
 熱くはない。迫ってくる怖い赤さ。
 ふっと、すべて無くなり、真っ白な中にいる自分。
 霧?雲??
 私は横向けでいるの?立って歩いているの?
 足元には何もない。

「だから、お前、気をつけろって
 いつも言っているだろっ!ねぼけマナコ!」


 突然、つんざくような 怒鳴り声。
 誰かな。聞きなれた声だけど、思い出せない。
 頭が痛い、殴られたことはないけど、
 殴られたみたいに痛い……。

********************************

  < 第 二 章 >

 ふと、明るくなった。
 窓のカーテンが開けられたようだ。
瞼をそっと開けてみる。
 全身が地球の引力の力で寝かしつけられてる
みたいだ。
 勇気を出して、目玉だけ右側を見てみる。
 ベッドが並んでいて、たくさんの人が
ヨコになってる。

 左側にも目玉を動かす。同じくたくさんのベッドが。
(いったい、ここは……)
 軽いドアの開く音がした。
 誰かがやってきた。
 知らないおじさんの顔が見えた。
女の人も。白い服を着ている。
「気がついたかな」
 男の人は 眩しい光を私の瞳に当てた。
痛いくらいの眩しさ。
「大丈夫なようだね。だんだん、動けるようになるよ」


(ここはどこ?私は……)
と、聞きたいが声が出ない。
「ここは病院ですよ。あなたやお友達は
船の事故で運ばれてきたの」
(この人は看護師さんかな)
 ベッドの側のチューブみたいなものを、
カチャカチャ触ってから二人は去った。
(船の事故……??)
(あっ)と閃いた。(私たちの修学旅行……)

 



「だから、お前、気をつけろって言ってるだろ、
ねぼけマナコ!!」 

 また、怒鳴りつけられた。
 子どもの頃から、いつも怒鳴りつけてる声。
(ふん、どーせ、私はねぼけマナコみたいに
目が細いわよ)


 ハッとした。
(冴久馬くんだ)
 熱いものが瞼にあふれた。

★第三章に続く―――。

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