遠(かなた)の世界

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三浦春馬氏イメージ短編「瞳があなた!」第三、四章 

2021-04-27 08:27:28 | 三浦春馬

<イメージ>
  冴久馬 ――― 三浦春馬
  マナ ――――― ??

       < 第 三 章 >

 次の日、ベッドの上に起き上れるようになった。
 左右のベッドの人たちも、まだ眠り続けてる人、
 意識が戻った人、様々だ。

 全身、包帯だらけ。雪だるまみたいになってるが、
 必死で探す。
 冴久馬くんの姿を。

 あの時、船が傾いて火を噴いた時、
 一緒に海に投げ出されたはず。
(冴久馬くんは?冴久馬くんはどこだ?どうか無事でいて)

 走りこんできたのは、お母さんとお父さんだな、たぶん。
「マナ」
「よくぞ、無事で……」
 包帯だんごの私を抱きしめてくれた。
(私って、マナっていうんだ)

 船が岩礁に乗り上げ、エンジンから出火した
 大惨事だったと分かった。
「お母さん、冴久馬くんはどこにいるの?」
 両手が上がるならすがりつきたい剣幕で
 お母さんに食らいついた。

「それがまだ……どこにいるか分からないの」

 両親ともにうなだれた。

 幼馴染みの冴久馬くんは修学旅行の直前におじいちゃんから、
婚約者だとビックリ宣言されてパニックになってしまった、
さなかの事故だった。

       < 第 四 章 >

 冴久馬くん。小さい頃から遊び仲間の中にいたヤツ。
 何回、虐められて泣いたか。他の子とはフレンドリーなのに、
どうして私にだけ髪の毛ひっぱったり、ランドセル隠したり、
からかったり、突然ムシしたり。


 勉強は中の中くらい。ガキ大将でも、英才教育でもない。
ちょっとばかり可愛いからって、女友達が騒いでいたかも。
私には憎らしい存在でしかないから、どこがいいんだか。

************************

 ★忘れられないのが、カメレオン事件★

 ある日、ペットのカメレオンを自慢げに学校へ持ってきた。
「カッコいいだろ、知り合いのおじいちゃんが
 南米のお土産にくれたんだ」
 カメレオン!!
 私は爬虫類、両生類、魚類、昆虫、すべてダメ!!
 なのに、アイツは眼の前にカメレオンをぶら下げた!!
 ぎょろぎょろとした眼が迫った!

 


  <なぜかオマケのカマキリ>

 

「ぎゃあああああああああああああああ!!」

 よく、あんな甲高い声が出せたもんだ。。。。。
 エメラルドのようなカメレオンは、

 暗闇の中に消えていった。
 気を失った私にびっくりした同級生が、
 担架で運んでくれたらしい。


 保健室で目が覚めた時には、
「冴久馬くんなら、カメレオンと帰ったわよ」
 と知らされた。
 ベッドの上で神様と仏様と大仏様と天女様と、十字架と、
 ええと、
 アッラーとやらの神様に呪うように誓った。
 コンリンザイ、冴久馬くんとは口もきかない、

 顔も見ないと!!

 それ以来、廊下ですれ違っても眼も合わせてない!

★★第五章に続く。

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