<イメージ>
冴久馬 ――― 三浦春馬
マナ ――――― ??
< 第 三 章 >
次の日、ベッドの上に起き上れるようになった。
左右のベッドの人たちも、まだ眠り続けてる人、
意識が戻った人、様々だ。
全身、包帯だらけ。雪だるまみたいになってるが、
必死で探す。
冴久馬くんの姿を。
あの時、船が傾いて火を噴いた時、
一緒に海に投げ出されたはず。
(冴久馬くんは?冴久馬くんはどこだ?どうか無事でいて)
走りこんできたのは、お母さんとお父さんだな、たぶん。
「マナ」
「よくぞ、無事で……」
包帯だんごの私を抱きしめてくれた。
(私って、マナっていうんだ)
船が岩礁に乗り上げ、エンジンから出火した
大惨事だったと分かった。
「お母さん、冴久馬くんはどこにいるの?」
両手が上がるならすがりつきたい剣幕で
お母さんに食らいついた。
「それがまだ……どこにいるか分からないの」
両親ともにうなだれた。
幼馴染みの冴久馬くんは修学旅行の直前におじいちゃんから、
婚約者だとビックリ宣言されてパニックになってしまった、
さなかの事故だった。
< 第 四 章 >
冴久馬くん。小さい頃から遊び仲間の中にいたヤツ。
何回、虐められて泣いたか。他の子とはフレンドリーなのに、
どうして私にだけ髪の毛ひっぱったり、ランドセル隠したり、
からかったり、突然ムシしたり。
勉強は中の中くらい。ガキ大将でも、英才教育でもない。
ちょっとばかり可愛いからって、女友達が騒いでいたかも。
私には憎らしい存在でしかないから、どこがいいんだか。
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★忘れられないのが、カメレオン事件★
ある日、ペットのカメレオンを自慢げに学校へ持ってきた。
「カッコいいだろ、知り合いのおじいちゃんが
南米のお土産にくれたんだ」
カメレオン!!
私は爬虫類、両生類、魚類、昆虫、すべてダメ!!
なのに、アイツは眼の前にカメレオンをぶら下げた!!
ぎょろぎょろとした眼が迫った!
<なぜかオマケのカマキリ>
「ぎゃあああああああああああああああ!!」
よく、あんな甲高い声が出せたもんだ。。。。。
エメラルドのようなカメレオンは、
暗闇の中に消えていった。
気を失った私にびっくりした同級生が、
担架で運んでくれたらしい。
保健室で目が覚めた時には、
「冴久馬くんなら、カメレオンと帰ったわよ」
と知らされた。
ベッドの上で神様と仏様と大仏様と天女様と、十字架と、
ええと、
アッラーとやらの神様に呪うように誓った。
コンリンザイ、冴久馬くんとは口もきかない、
顔も見ないと!!
それ以来、廊下ですれ違っても眼も合わせてない!
★★第五章に続く。