九州に住むレンには一つの大きな夢があった。
「なぁ、親父…」
テレビで野球中継を真剣に見てる父親にレンが珍しく自分から話しかけた。
「なんだ?レン。」
「高校卒業したら東京にある俳優の養成所に通いたいんだけど…」
「はぁ? 何を馬鹿な事を言ってるんだ。」
「俺、俳優になりたくて…」
「ダメだ。そんなもんはな、ほんの一握りの人間しかなれねぇんだよ。悪いことは言わないから、こっちの大学通って、良い会社に就職しろ。」
「親だったら普通、息子の夢を応援するもんじゃねぇの?」
「俺はお前のためを思って言ってるんだ。」
「もういいよ!!」
レンには同じ高校へ通うマイという名前の彼女がいた。
マイは3年生の夏休みが明けてすぐに県内の会社に就職が決まった。
マイがずっとやってみたいと思っていたウェブデザインの仕事だ。
2人は1年生と2年生の時は同じクラスだった。
3年生になって違うクラスになってしまったが、放課後はほぼ毎日時間を共にしている。
最初はただの友達だったが、やがて付き合うようになった。
付き合い始めて半年になる。
「レンは卒業後どうするの? やっぱり東京に行くの?」
レンやマイと同じ高校3年生で、四国に住むアオイにも夢があった。
美容師になりたいという確かな夢。
だが、アオイの中で確かなようで、まだ確かではなかった。
「私、ここの専門学校に行きたいんですけど…」
担任の教師との進路相談の時間に、アオイは東京にある美容専門学校のパンフレットを差し出しながら言った。
「ご両親は何て言ってるの?」
「私の好きなようにしなさいって言ってくれてます。」
「あら、それは良かったわね。」
「はい… でも私…」
レン、マイ、アオイと同じく半年後に卒業を控えている高校3年生のカズ。
カズの家は東北にある。
「こらっ! またゲームばっかりやって… 進路希望調査の締め切りって明日じゃなかったっけ? ちゃんと考えてるの? 卒業後の事。」
今日も母の怒声が飛ぶ。
「大丈夫。ちゃんと考えてるから。」
カズはゲームのリモコンから手を離さず、テレビの画面から目も離さずに答えた。
母は肩を落としながら言った。
「まったくもう…」
(第2章へ続く)
「なぁ、親父…」
テレビで野球中継を真剣に見てる父親にレンが珍しく自分から話しかけた。
「なんだ?レン。」
「高校卒業したら東京にある俳優の養成所に通いたいんだけど…」
「はぁ? 何を馬鹿な事を言ってるんだ。」
「俺、俳優になりたくて…」
「ダメだ。そんなもんはな、ほんの一握りの人間しかなれねぇんだよ。悪いことは言わないから、こっちの大学通って、良い会社に就職しろ。」
「親だったら普通、息子の夢を応援するもんじゃねぇの?」
「俺はお前のためを思って言ってるんだ。」
「もういいよ!!」
レンには同じ高校へ通うマイという名前の彼女がいた。
マイは3年生の夏休みが明けてすぐに県内の会社に就職が決まった。
マイがずっとやってみたいと思っていたウェブデザインの仕事だ。
2人は1年生と2年生の時は同じクラスだった。
3年生になって違うクラスになってしまったが、放課後はほぼ毎日時間を共にしている。
最初はただの友達だったが、やがて付き合うようになった。
付き合い始めて半年になる。
「レンは卒業後どうするの? やっぱり東京に行くの?」
レンやマイと同じ高校3年生で、四国に住むアオイにも夢があった。
美容師になりたいという確かな夢。
だが、アオイの中で確かなようで、まだ確かではなかった。
「私、ここの専門学校に行きたいんですけど…」
担任の教師との進路相談の時間に、アオイは東京にある美容専門学校のパンフレットを差し出しながら言った。
「ご両親は何て言ってるの?」
「私の好きなようにしなさいって言ってくれてます。」
「あら、それは良かったわね。」
「はい… でも私…」
レン、マイ、アオイと同じく半年後に卒業を控えている高校3年生のカズ。
カズの家は東北にある。
「こらっ! またゲームばっかりやって… 進路希望調査の締め切りって明日じゃなかったっけ? ちゃんと考えてるの? 卒業後の事。」
今日も母の怒声が飛ぶ。
「大丈夫。ちゃんと考えてるから。」
カズはゲームのリモコンから手を離さず、テレビの画面から目も離さずに答えた。
母は肩を落としながら言った。
「まったくもう…」
(第2章へ続く)
情景のイメージが、すっと頭に浮かんできました。離れてる地方の人物たちの物語が、どんな風に進行していくのか、楽しみです。
これから彼らには、山や谷や葛藤が待ち受けるのでしょうか…。
切ない気持ちにもなりそうですが、楽しみにしています。
最後に4人の物語は交わるのか否か、その辺をお楽しみに!!