周平の『コトノハノハコ』

作詞家・周平の作詞作品や歌詞提供作品の告知、オリジナル曲、小説、制作日誌などを公開しております☆

小説第4弾『この道の先には』~第4章~

2014年01月28日 | 小説
2014年2月20日(木曜日)

彼は、彼だけはボクを無視しなかった。
「はじめまして。同じ占い結果が出たなんてビックリです!
でも俺はあんなの信じないですけどね♪ 
こちらもフォローさせていただきました!よろしくお願いします!」

ボクがツイッターを始めて約1年。初めてリプライをもらえた。

「フォローありがとうございます!ボクは訳あってあの占い結果を信じてます。
っていうか当たってほしいんです。」
ボクは彼にそう返した。

「えっ? 何でですか? あなたは死にたいんですか?」

「はい… だってこの先生きてても良い事なんて無いかもしれないですし…」

「そんなの俺だって同じですよ!とりあえずDMでお話ししましょうか?」

「はい。よろしくお願いします。」

※DM…ダイレクトメッセージの略。ツイッター上で自分をフォローしてくれている相手に他のユーザーには見られないメッセージを送る事ができる。つまりお互いにフォローし合っていればメールと同じように他者には見られずに言葉のやり取りができるようになる。

死にたいなんて馬鹿な事を言うボクに対して、彼は真剣に向き合ってくれた。

それからボクと彼はしばらくDMでやり取りをした。

彼はボクを説教もしたし、説得もしてくれた。

彼がボクより2つ年上の方だという事も分かった。

そして、やっぱりボクと彼の家が近所であるという事や頻繁に利用するコンビニが一緒である事が分かったので、互いに連絡先を交換し、明日の夜に近所の居酒屋で直接会って話してみようという事になった。

しかし家が近所という事や利用しているコンビニが一緒という、やっとボクにも友達ができたかのような嬉しいそれは、ボクと彼に出た占い結果が本当に当たるという可能性をさらに増やしてしまうものでもあった。

増やしてしまう…?

不思議なものだ。

今のボクは「死ぬ事」=「悲しく残念な事」というような大多数の人間が持っているであろう認識に限りなく近いものを持ち始めていた。

(第5章へ続く)

小説第4弾『この道の先には』~第3章~

2014年01月21日 | 小説
2014年2月19日(水曜日)

ボクが死ぬであろう日まで、
ボクが勇気を出さずとも死ねる日まで、
あと6日。

「昨日、あなたの最期占いで1週間後に死ぬと告げられたなう。」
「やったぁ!あと6日で死ねるぞ~!」
そんな事をボクがツイッター上でつぶやいてみたところで誰もリプライなんてくれないし、気付いてもくれなかった。
そりゃそうだ。ボクのフォロワー数は0なのだから。

※リプライ…ツイッター上で自分のつぶやきに対して他者がコメントを返してくれる事。
※フォロワー…ツイッター上で自分のつぶやきがその人のタイムラインに表示されるようにフォローをしてくれている人の事。

でも驚くべき事が起きた。

ボクがフォローしてる人がリツイートしてくれたおかげで知る事ができたのだが、
「あなたの最期占いで2014年2月25日(火曜日)に某コンビニエンスストアに車が突っ込むという事故で死ぬと占われた。。。でもそんなの信じないぞ!!」とつぶやいている男性がいたのだ。

※リツイート…他人のつぶやきが良い情報や気に入った内容だった場合にその内容を他のユーザーにも拡散するために再投稿する事。

彼のIDは「@SHO_HEX」、名前は将平というらしい。
どうやら彼もボクと全く同じ占い結果が出てしまったようだ。

それは複数人に同じ結果が出るような、やっぱり適当な占いの単なるスマホアプリにすぎないという事か、もしくはボクが死ぬ時に彼も同じ現場に居合わせるという事のどちらかを意味している。

もし後者だったとしたら、きっと彼はボクの近所に住んでいて、きっといつも同じコンビニを利用して、よく雑誌の立ち読みをしているに違いない。

ボクは思い切って彼にリプライをしてみた。
「はじめまして。実はボクもあなたの最期占いで同じ結果が出ました。フォローさせていただきました。よろしくお願いします!」と。

不思議なものだ。
ボクはあと6日で死んでしまうというのに、誰かと繋がっていたいなんていう人間らしい感情が今更溢れ出していた。

(第4章へ続く)

小説第4弾『この道の先には』~第2章~

2014年01月14日 | 小説
2014年2月18日(火曜日)

巷でひそかに流行っているスマホのアプリがあった。
その名は「あなたの最期占い」。

※アプリ…アプリケーションの略。スマホやパソコンにインストールして利用する「応用ソフト」の事。

自分の名前、生年月日、血液型などのプロフィールを一通り入力した後で、100個の質問にYesかNOで答えると、自分の命日と、どのような最期を迎えるかが分かるという、占いの中でも最も胡散臭い類に入るようなくだらない占いだ。

だが、「それが案外そうでもないらしい」という話がツイッター上でひろがっていた。

※ツイッター…140文字以内で好きな事をつぶやいたりできるコミュニケーションツール。パソコンや携帯電話などがあれば誰でも無料で登録・利用できる。

ほとんどの人が「何十年後の何月何日かに何らかの病名で亡くなる」というように今すぐは結果が本当かどうか分からないような占い結果を出される中、
「わずか3日後に交通事故で死ぬ」とか「12日後に心臓麻痺で突然死する」と占われた人が本当にその通り亡くなってしまったというのだ。

もちろん誰もが「単なる偶然だ!」「運命は自分で変えられる!」「本当に当たるわけがない!」というように全く信じようとはしなかった。
ちょっと悪ふざけの過ぎる単なるスマホアプリぐらいに捉えていた。

だが、おそらく唯一だと思うが、その占いが当たって欲しいと願う人間がいた。

それがボクだ。

なぜならばボクは「2014年2月25日(火曜日)に某コンビニエンスストアに車が突っ込むという事故で死ぬ」と占われたからだ。

つまり今日からわずか1週間後だ。

おそらくいつものようにコンビニで週刊少年誌の立ち読みをしているという、ボクにとって唯一の至福を味わっている最中に外から車が突っ込んできて、ボクは死んでしまうのだろう。

でもそれなら本望である。

本望であると思っていた。

そう。彼と出会わなければ。

(第3章へ続く)

小説第4弾『この道の先には』~第1章~

2014年01月07日 | 小説
死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
そう。彼と出会うまでは。

そして、きっと死んでいた。
そう。あの男と出会わなければ。

ボクには何の取柄も無く、特に夢も無い。
お金もあまり無く、28歳にもなって恋人もちゃんとできた事が無い。
友達もいない。兄弟もいない。両親ももうこの世にはいない。
バイトも深夜の工事現場の交通整理が週に3、4日あるくらいで、いわゆる「誰かと会話する」事が他人に比べて圧倒的に少ない。

そんなボクにある唯一の趣味といえば、毎週月曜日に発売される週刊少年誌をコンビニで買いはせずに立ち読みする事くらいだ。

果たして、"この道の先には光なんてあるのだろうか?"

これから先、生きていて何か楽しい事はあるのだろうか?
ボクに明るい未来などあるのだろうか?
愛読の週刊少年誌が廃刊にでもなったらどうやって生きてゆけば良いのだろうか?

死にたいと思っているくせに、
死んでしまいたいと願っているくせに、
どうしたら楽に死ねるだろうと考えているくせに、

こうしてまだボクは今日もここに生きてしまっている。
自殺する勇気すらボクは持っていないのだ。
スマートフォンなんかは持っているくせに。

そもそも友達もいないようなボクがスマートフォン(以下、スマホ)なんかを持つ意味があったのだろうか?

それが、どうやらあったらしい。

死にたいと思っていた。
死んでしまいたいと願っていた。
どうしたら楽に死ねるだろうと考えていた。
そう。彼と出会うまでは。

そして、きっと死んでいた。
そう。あの男と出会わなければ。

(第2章へ続く)

#134 『よくばりキャンバス』

2014年01月01日 | 作詞作品集
楽しい事は大歓迎
両手を大きく
ひろげて受け止める

悲しい事はお断り
涙をふいてる
時間がムダだから

小さい明日(あした)や しょぼい未来は
想像できない
自分のキャンバスを
はみ出して描こう

MOTTO MOTTO よくばっちゃえ
MOTTO MOTTO 大きな手で
好きなように
この世界を塗りつぶせ
KITTO KITTO よくばっても
KITTO KITTO 怒られない
だって ほら
人生 一度きり


面白い事 最優先
笑えるチャンスを
逃しちゃ もったいない

難しい事 後回し
自然に解決
するかもしれないし

小さな夢とか 控えめな恋
全然 興味ない
せっかく描くなら
誰よりも大きく

MOTTO MOTTO よくばっちゃえ
MOTTO MOTTO ワガママで良い
この大空も
好きな色に塗りかえて
KITTO KITTO よくばっても
KITTO KITTO なくならない
だって ほら
宇宙は無限大


他のみんなの絵の具と混ぜられて
自分の好きな色が消えてしまう
そんなのゴメン

MOTTO MOTTO よくばっちゃえ
MOTTO MOTTO 自分らしく
好きなように
この世界を塗りつぶせ
KITTO KITTO よくばらなきゃ
KITTO KITTO 後悔する
だって ほら
チャンスは 一度きり

だって人生は 
たった一度きり

謹賀新年

2014年01月01日 | 日誌
2014年、あけましておめでとうございます!

昨年は上半期はあまり良いニュースをお届けできませんでしたが、
下半期はおかげさまでアイドル一色な嬉しいお知らせを連発できた事を嬉しく思います。

今年は上半期からかっ飛ばしていけたら良いですなぁ。

去年歌詞を提供させていただいたアイドルユニット『Lucky Spice』は、
9~12月の4ヶ月だけで9本もライヴを行い、
その数だけ周平作詞の『恋の切り札』を披露してくださいました♪

今年もライヴをガンガン行うのではないかと思います。
また作詞させてもらえたら嬉しいなぁ。

そして、この記事と同時に別のアイドルユニット『Pop-n-Happen』に提供させていただいた『よくばりキャンバス』という歌詞を#134としてアップしましたので、是非ご覧くださいませ。

さらに!

1月7日(火)から毎週火曜日に8週にわたって、小説第4弾『この道の先には』をアップします!
こちらもお楽しみに!!

さらにさらに!!

2月にはネット配信オリジナル曲第8弾となる新曲『デストラクロック』を公開予定!!
上半期のうちにさらにもう1曲公開したいと考えております♪
そのためにキーボードも新調しちゃいますよ!!
もちろん消費税の増税前にね(笑)

今年もなるべく良いお知らせをお届けできるように頑張りますのでよろしくお願い致します!!

2014年 元旦 周平