翌日の放課後。
いつも通り、レンとマイの2人は一緒に下校した。
そしていつもの分かれ道まで来た所でマイが切り出した。
「レンは卒業後どうするの? やっぱり東京に行くの?」
2人の横を通っていたスクーターの音だけがやけに大きく響き渡った。
まるでそれ以外の物音も人の声も世界から突然消えてしまったかのように。
「… うん…」
マイの質問にレンは少し間を空けてから答えた。
すぐに答えが出てこなかったわけではない。
早かれ遅かれ来ると分かっていた質問が予期せぬタイミングで飛んできて戸惑ったのだ。
「お父さんとお母さんは? OKしてくれた?」
「うーん… 微妙。」
「そうなんだ…」
ほんの3秒ぐらいだったが、2人にはとても長く感じる沈黙の時間ができた。
その沈黙の時間をレンが先に割った。
「でも絶対上京するつもり。昨日の夜、母ちゃんと話してだいぶ吹っ切れた。」
「ふーん。そうなんだ。」
マイがレンに訊きたい事は卒業後に上京するか否かではなく、もっと別な部分にある事をレンは分かっていた。
だからこそ、そこの部分に関しては自分から口を開けなかった。
また短い沈黙の時間ができた。
今度はマイがそれを割った。
「ねぇ?」
「うん?」
「うんうん、なんでもない…」
「そっか… じゃあ… また明日。」
「うん! また明日ねっ!」
マイは無理に明るくそう言って手を振った。
レンは普段より何十センチか低い位置で小さく手を振り返した。
(第4章へ続く)
いつも通り、レンとマイの2人は一緒に下校した。
そしていつもの分かれ道まで来た所でマイが切り出した。
「レンは卒業後どうするの? やっぱり東京に行くの?」
2人の横を通っていたスクーターの音だけがやけに大きく響き渡った。
まるでそれ以外の物音も人の声も世界から突然消えてしまったかのように。
「… うん…」
マイの質問にレンは少し間を空けてから答えた。
すぐに答えが出てこなかったわけではない。
早かれ遅かれ来ると分かっていた質問が予期せぬタイミングで飛んできて戸惑ったのだ。
「お父さんとお母さんは? OKしてくれた?」
「うーん… 微妙。」
「そうなんだ…」
ほんの3秒ぐらいだったが、2人にはとても長く感じる沈黙の時間ができた。
その沈黙の時間をレンが先に割った。
「でも絶対上京するつもり。昨日の夜、母ちゃんと話してだいぶ吹っ切れた。」
「ふーん。そうなんだ。」
マイがレンに訊きたい事は卒業後に上京するか否かではなく、もっと別な部分にある事をレンは分かっていた。
だからこそ、そこの部分に関しては自分から口を開けなかった。
また短い沈黙の時間ができた。
今度はマイがそれを割った。
「ねぇ?」
「うん?」
「うんうん、なんでもない…」
「そっか… じゃあ… また明日。」
「うん! また明日ねっ!」
マイは無理に明るくそう言って手を振った。
レンは普段より何十センチか低い位置で小さく手を振り返した。
(第4章へ続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます